プルル、プルル…ガチャッ
「お電話ありがとうございます、ファイブスタークラブでございます」
午前10時。今日もこうして電話をとり、私たち社員の一日は始まる。受話器の向こうには、旅への思いを膨らませるお客様の声。
「いつもよりちょっぴり贅沢してラグジュアリーな旅をしたい!」
「都会よりも自然が好き」
「世界遺産をこの目で見てみたい」
「絶景を写真におさめたい!」
旅のスタイル、趣味嗜好は本当に人それぞれで面白い。
人の数だけ旅があるんだなぁとしみじみ感じる。
さてさて。この旅行記を今読んでくださっている皆さんはどんな旅がお好きですか?
どんな事をしたくて、どんな物を見たくて、どんな時間を過ごしたくて、旅に出ますか?
かく言う私は「旅に出たら、な〜んにもしたくない」派。
怠け者?いやいや、良く言えばのんびり屋。
有難いことにそんな私にぴったりのリゾートの出張が舞い込んできた。
今回の出張の舞台は、ここメキシコの「マヤコバ地区」というエリア。
メキシコのリゾートと言うとほとんどの人はカンクンを思い浮かべるだろうが、今回の舞台はカンクンではない。
「マヤコバ」だ。
きっと皆さん、聞き慣れないワードであろう「マヤコバ」。
それもそのはず。インターネットやガイドブックを見てもマヤコバに関する情報はとても少ない。
まずはその立地と特徴についてお話したい。
メキシコを代表するイケイケなリゾート地・カンクンから車で南下すること、たったの1時間。そこには、美しいビーチにサンゴ礁、さらにはビーチだけでなく淡水によるラグーン、そして海水と淡水が交じり合う水面に広がるマングローブ・・・大自然が私たちを待っている。
伝わるだろうか、この大自然。これ、ホテルの敷地内です。
人類の手がほとんど加えられていない静寂の中で保たれる生態系は「シティよりも自然が好きです」派の人々の望みを叶えてくれるに違いない。植物、動物、星空・・・なんでもある。ここにないものは、喧騒くらいだろう。
しかし、自然だけじゃないのがマヤコバの凄いところ。
このマヤコバ地区内には最高のおもてなしを約束する高級ホテルが建ち並ぶ。いつもよりちょっと贅沢を求める「ラグジュアリーな旅がしたい」派の心をがっちり掴んでくる。
世界が誇るハイアットグループが生み出した高級志向ブランド「アンダーズ」、各国にラグジュアリーホテルを展開する「フェアモント」、アジアを中心に展開する「バンヤンツリー」・・・一流中の一流ホテルが今ここに集結しているのだ。
こんな笑顔でおもてなしされたら、誰だってイチコロ。
ハイアットの高級ブランド「アンダーズ」の中にある砂浜レストラン。なんとムーディー。
フェアモントの客室。こんな家に住めるのは夢のまた夢かもしれないが、ホテルで1泊なら・・・うん、まぁなんとかギリギリ叶えられる夢かな?
バンヤンツリーの寝室。こんな素敵なベッドルームに泊まれたら、天にも昇る心地だろう。天に昇ってもいいように、きっと天井が高いのだろう。
さらには、食事もソフトドリンクもお酒も全て食べ放題!飲み放題!のオールインクルーシブスタイルをとるホテルが多いので、至れり尽くせり。わざわざレストランをグーグルで探してタクシーに乗って・・・そんな手間暇かけずに快適な滞在が叶う。私のような「な~んにもしたくない」派も大満足間違いなしだ。
ちなみに今回私が宿泊したホテルは「アンダーズ マヤコバ リゾート」。
アンダーズとは、先ほどちらりと紹介した通り、超有名ホテル企業「ハイアット」が手がける高級ホテルブランドの一つ。
ハイアットグループは、ハイアットリージェンシー、グランドハイアット・・といった形で、複数のブランドを展開している。それらブランドごとにコンセプトは異なる。
「アンダーズ」とは、インドの言葉・ヒンディー語で「パーソナルスタイル」を意味するらしい。宿泊客一人一人の個性を大切にし、かつその土地の個性も尊重することで最高のサービスを目指すという想いが、その名に込められている。
そのコンセプトは見事大当たり。2007年にロンドンで一号店を開業して以来、ニューヨーク、上海、ドバイ、ハワイ・・・世界の主要都市へと進出している。2014年には東京・虎の門に12号店を構えた。
アンダーズの魅力は建物そのものやスタッフの細やかな配慮だけでない。
最大の魅力は、よくある高級ホテルの一歩先をいく、ホテルの新しい在り方を実現しているところだ。
敷地内をマングローブクルーズできちゃうんです。贅沢の極み。
この写真をご覧頂くと、きっと伝わるだろう。私が泊まったアンダーズ マヤコバ リゾートは鬱蒼と茂る緑の魅力を殺すことなく、むしろ大切に保護し、敬意を払って共存に努めている印象だ。
さらにアンダーズブランドは、エイズ撲滅運動に取り組む団体とも協力し、その活動を支援しているという。
人にやさしく、自然にやさしく、世界にやさしく。それこそが旅行業、観光業、サービス業の目指すところではないだろうか?アンダーズは限りなく、旅行業の目標地点に近いところまで登り詰めていると思う。まぁ、私なんぞが旅行業の目標地点を語るなんておこがましい話なのだけれど。
つらつら書き並べてしまったが、要するに外装も内装もサービスもコンセプトも、何から何まで最高だった。
さて、ここまで書くと、まるで私はリラックスするためだけに出張へ行かせて頂いたかのように思われてしまいそうだ・・・そろそろ、ちゃんとお勉強もしてきました!というところをアピールさせてほしい。
マヤコバから車でおよそ1時間、トゥルム遺跡へ行ってきた。
トゥルム遺跡は、マヤ文明に生きた人々が居住した最後の都市の1つで、13~15世紀の間に繁栄したといわれる。しかしスペイン系の移民によって持ち込まれた感染症を機に、終焉を迎えたのだとか。
風の神殿と海の神殿、メインとなるこの二つの遺跡はカリブ海を望む崖の上に建てられており、建物自体の魅力はさることながら、カリビアンブルーの海、真っ白なビーチ、そしてグレーがかった遺跡とのコントラストは実に圧倒的なインパクトだ。
遺跡からはビーチに降りることもできる。海水浴ができる世界遺産として、欧米人旅行者から絶大な支持を受けているとのこと。
私はあいにく水着を持ち合わせていなかったので、楽しそうに海水浴をしている人々を崖の上から観察して終わった。
以上、マヤコバは、たったの1時間車を走らせるだけで「世界遺産をこの目で見てみたい」派、および「絶景を写真におさめたい」派のニーズもしっかり満たしてくれるということをこれにて証明できたであろう。
・・・マヤコバの魅力は語り始めると止まらない。いくらでも語り続けられる。
が、長くなってしまいそうなので、このあたりで無理矢理だが総括に入りたい。
のんびり屋さんも、自然大好きさんも、ちょっと高級志向さんも、遺跡マニアさん、写真好きさんも・・・全人類の心を満たしてくれるリゾート。マヤコバ。
誰と行っても、誰が行っても、「あー、楽しかったね!」と笑顔で帰国できる、そんなリゾート。マヤコバ。
まだまだ知名度の低いマヤコバ。
もっと多くの人に知ってほしい、ああ、でも自分だけがこっそり知っていたい、
そんな複雑な気持ちにさせてくれる憎いやつ、マヤコバ。
けれども世に広めたい気持ちが勝ってしまって、気づいたら、こうして旅行記のテーマにしてしまったマヤコバ。
結論・・・マヤコバは最高です!
~完~
2020年2月 中村
おすすめ度:
<アンダーズ ★★★★★> 大自然とラグジュアリーのコラボレーション、ここにあり。
<トゥルム遺跡 ★★★★☆> 遺跡と海水浴って両立できるんですね!