遺跡もビーチも食べ物も人も気候も 全てがHOTな国 -MEXICO-

遺跡もビーチも食べ物も人も気候も 全てがHOTな国 -MEXICO-


私が出発する1か月程前。メキシコを訪れた友人から、「2回も盗難にあった、1回は銃を向けられた」という話を聞いた。そんな話を聞いた1か月後、女子一人メキシコ、大丈夫かな、生きて帰れますように。と少し心配を抱きながらも、成田を旅立った。
ダラスで乗継時。イミグレーションで「一人?」と聞かれ、「一人です。」と答えると、「どうして?一人でメキシコ?!!友達はどこにいるの?!!」と聞かれたので「現地に友達はいません」と答えるとかなりびっくりした顔をされた。私の恐怖心をさらに掻き立てる。ここまで来たからには引き返せない。そんなこんなで、どきどきしながらメキシコシティに到着した。

メキシコの主食トルティーヤ


到着後、そのままメキシコシティから車で約1時間の場所にあるテオティワカン遺跡に向かう。テオティワカンには太陽のピラミッドと月のピラミッドがあり、65mもの高さを誇る太陽のピラミッドは世界三大ピラミッドの一つ。登頂可能なピラミッドの中では世界最大のものだそう。
この太陽のピラミッドからの眺めはとても良い(らしい)。一番高い登頂可能なピラミッドということで、登ってみたかったが、あいにくの雨。雷とともに本格的な雨が降ってきてしまったために、登頂は断念。しかし、下から眺めるとその迫力に圧倒される。

太陽のピラミッドと月のピラミッドの間 は「死者の道」と呼ばれる道が通っている。死者の道は北から南へ約4mに及んでまっすぐ伸びており、雨水が溜まるよう道はゆるやかな坂になっている。

せっかく来たからには少しでも上からの景色を眺めたい、ということで、少しだけ頑張って登ってみた。そこから眺める太陽のピラミッドはとても美しい。雷雨と寒さのせいか、他の観光客が見当たらず、テオティワカン独り占め!笑 ガイドさんも誰もいないテオティワカンは初めてだ、と言っていた・・。

テオティワカン独り占め

翌朝、4時にホテルを出発し、国内線でビジャエルモッサへ。
到着後、ガイドさんに「ここタバスコ州は60%が水(湿地)=蚊のパラダイスだよ!」と忠告を受ける。慌てて日本から持ってきていた虫よけスプレーをふりたくり、いざ。
まず訪れたのが空港から30分程の所にあるラ・ベンタ遺跡。

ここにはかつてメキシコ湾岸で栄えたオルメカ文明の遺跡が展示されている。発掘されたものを展示しているのではなく、自然のままに置かれた状態の野外博物館。とてもユニークな像がたくさん並んでいる。オルメカ文明の特徴は何といってもオルメカヘッドと呼ばれる巨石人頭像。

巨石人頭像と私

どの像も、空を見上げていたため、後頭部は平らになっている。

絶壁あたま①

絶壁あたま②

その他にもたくさんの像が点在している。

顔が分かりますか?

空を見上げる猿

綱を強く握る男性

その綱の先には女性が・・

忘れてはいけないのが、ここは蚊のパラダイスだということ。

こんなジャングルの中を歩く

私は迂闊にもここで30か所くらい蚊にやられてしまった。日本の虫よけはメキシコの蚊には効かないようだ。。
因みに、隣には動物園も隣接しているので、遺跡を見た後は動物にも触れ合うことができる。


この日はパレンケ村に宿泊。

ミシオンパレンケ

このホテルの周りはジャングルで、鳥の囀りと共に朝を迎える。ホテルを散策していると、こんな大きなイグアナと遭遇することも。

かわいいイグアナ

翌日から、パレンケ、ウシュマル、カバー、チチェン・イツァ、コバ、トゥルムと6つの遺跡を巡ったので、それぞれのダイジェストをご紹介したい。
◆パレンケ遺跡◆

世界遺産にも登録されているパレンケ遺跡。
なんと約800年もの間、発見されることなくジャングルの中に眠り続けていたこの遺跡。
18世紀の半ば頃にようやくスペイン人により発見され、1948年に本格的な発掘調査が開始。現在もなお発掘調査は続いており、まだ60%は謎に包まれたままなのだとか。
昔の写真と比較してみると、どれだけジャングルに覆われていたか、よく分かる。

碑文の神殿

宮殿の塔

ピラミッドに登ることが規制されている遺跡が多いなか、パレンケ遺跡はまだ規制が少なく、ほとんどの遺跡に登り内部を探検することができるのも魅力。十字架の神殿からは遺跡全体を見渡すことができる。

遺跡を見終えた後、ジャングルの中の小道を通って帰ると、そこにはかつての住居であった遺跡や、綺麗な滝を見ることができる。遺跡見学はとても暑いので、マイナスイオンをたっぷり浴びてクールダウン。


◆ウシュマル遺跡◆

魔法使いのピラミッド

この遺跡は、マヤ遺跡としては珍しく側壁が丸くなっているのが特徴。小人が一夜で作り上げたという伝説から「魔法使い」という名称がついている。
メリダからチチェン・イツァとこのウシュマルを訪れる人が多いが、「ウシュマルの方が良かった!」と言う声をよく聞いた。確かに、チチェン・イツァももちろん素晴らしい遺跡だが、観光客が多く、お土産屋さんがずらりと並んでいるのが少し残念。ウシュマルは人が少なく、とても静かでゆっくりと見て周れるのが良い。
グラン・ピラミッドに登ってみると、緑の地平線が見渡せる。

◆カバー遺跡◆

マヤ人にとっては雨が降ることが最も重要で、降らないと生け贄を捧げて雨乞いをする。カバー遺跡の特徴は、雨神チャック神の顔で外壁全体が飾られている「コズ・ホープ」と呼ばれる遺跡。

別名「仮面の神殿」とも呼ばれるコズ・ホープ

おびただしい数のチャック!

前にもチャックがコロコロとたくさん置かれている。

この顔1つが30もの石のパーツの組み合わせで出来ているそう。ここにはチャックの顔が約300個以上あるともいわれるのだから、この壁を作るために費やした労力は計り知れない。
それだけこの地方では水が重要だったということだろう。
◆チチェン・イツァ◆
メキシコの代表格、チチェン・イツァ。チチェン・イツァはトルテカ人の影響も受けているため、これまで紹介したものとは少し違った遺跡が見ることができる。
大きな違いはマヤ文明では動物や自らを神に捧げたのに対し、トルテカでは人(階級の低い人たち)を生け贄にしていた。残酷だが、人の心臓を取り出し、それを毎日のように神に捧げていた。それを現す像が「チャック・モール像」。

生け贄の心臓を捧げるチャック・モール

戦士の神殿の上段入り口中央や、その他にもいくつかこの像が置かれている。(戦士の神殿にはあいにく登ることができない)

戦士の神殿

財宝や心身御供が投げ込まれたという、ミステリアスな生贄の泉、セノーテもある。

また、生け贄のドクロもトルテカならでは。ツォンパトリ=頭蓋骨の城は、生け贄の骸骨を大衆にさらす場所とされ、そこには様々な表情の頭蓋骨のレリーフを見ることができる。

今回チチェン・イツァ遺跡に隣接する「マヤランド」に宿泊した。

マヤランドからは直接遺跡への入り口があり、徒歩5分程でアクセスが可能。
せっかくなので、夜行われている音と光のショーを見に行ってきた。チチェン・イツァ(エスカルティージョ)に音と合わせて光を映し出す、いわゆる、プロジェクションマッピングのようなもの。
メリダ、チチェン・イツァに滞在していれば無料で入ることができる。(カンクンに滞在の場合は、整理券をもらえないため入ることができない。)事前にインターネットからの予約が必要。予約をせずに行った場合、席が空いていれば入れてもらうことができるらしい。時間は19時からの1回。ホテルのフロントで急いで並ばないと!と言われ、6時頃ホテルを出て並んだが、その後続々と長い列ができていた。チケットを持っていても、席がいっぱいになってしまえば入ることができない。実際19時に入場が始まり、ショーの開始は19時20分頃~30分間程だった。(英語の解説が聞けるイヤフォンの貸し出しは行っておらず、あいにくスペイン語のみ。)
しかし、解説は分からないものの、見る価値は大いにあり!周りは明かりがないため見上げると満点の星空。遺跡の後ろにはオリオン座が輝いている。ショーもなかなかのクオリティでとても幻想的。終わった後は大きな拍手が沸き起こる。
※ちなみに、マヤランドからの遺跡への入り口はこの時間閉まってしまっているので、メインエントランスまではタクシーで行く必要がある。



◆コバ遺跡◆
あまりガイドブックにも載っていない遺跡。しかし、行ってみる価値は十分にある、おすすめの遺跡だ。
ここにはマヤ遺跡ではユカタン半島北部一高い「グラン・ピラミッド」がある。このピラミッドまでは、少し距離があるので、歩くのも良し、自転車のレンタルもしくは運転手付きの自転車をお願いすることもできる。(120ペソ)グラン・ピラミッドの高さは42m。(チチェン・イツァは25m)さらに、このピラミッドには登ることができる。

遺跡内を歩いていると、このようなトンネルを見かける。

ここは、身を清めるためのトンネルで、マヤの人たちは何か大事なことがあるとテキーラを飲み、このトンネルを歩いたのだとか。球戯場の隣にも、このトンネルがあった。ゲームの前に、ここで身を清めてから試合に挑んだそう。

球戯場

また、ここにはとても綺麗な丸みを帯びた円錐型のピラミッドがある。

これだけ綺麗な円錐の形を残した遺跡を見たのは初めてかもしれない。うっとりと見とれてしまった。
◆トゥルム遺跡◆

マヤ遺跡とビーチのコラボレーション

水着を着て遺跡観光をしている人がいるのはここだけではないだろうか。

遺跡の前でレジャーシートをひいてくつろぐ欧米人達

マヤ文明終焉の遺跡と言われているトゥルム遺跡。これまでジャングルの中にしかなかった遺跡だが、ここはカリブ海に面したところに遺跡がある。なんと、ウミガメの産卵エリアまである。

スペイン人が最初に遭遇したマヤの都市が、トゥルムだそう。海水浴と遺跡を一挙に楽しめ、欧米人には今大人気の遺跡となっている。

フレスコ画の神殿

遺跡を見尽くした後は、カンクンに2泊。今回は「ハイアット・ジラーラ・カンクン」に宿泊させていただいた。ハイアット・ジラーラは、大人のみの宿泊に限った、オールインクルージブのホテル。また、日本人のコンシェルジュが2人常駐しているので、困ったことがあっても安心。
ホテルに到着すると、まず日本人コンシェルジュのところへ案内され、そこでチェックインの手続き。

日本人コンシェルジュ

チェックイン時には枕とお部屋に炊くアロアの種類の好みを聞かれる。さすが5つ星サービス。そして、手首にはブレスレットを付けられる。これはオールインクルージブの印で、リゾート内お財布なしで楽しむことができる。

全部屋オーシャンビュー、且つ2人用のジャグジーが付いている。

お部屋の奥の方にジャグジーが!

テラスにはハンモック

お部屋から眺めるコバルトブルーの海

到着後しばらくしてから、私の腕時計の時間が1時間遅いことに気付く。同じユカタン州の中でも、チチェン・イツァとカンクンでは時差が1時間あるのだ。車で3時間の距離なのに・・なんだか1時間損した気分になってしまった。

朝焼けをバックにウェディングフォトの撮影



プライベートプール

帰国の途へ。乗継のダラスで、ああ、そういえばかなり脅されたな・・と懐かしくなった。暑い国メキシコに足を踏み入れると出発前抱いていたあの心配は瞬く間になくなり、むしろ、人は温かく、とても親切で危険を感じたことは一度もなかった。(特に女性には優しい)※もちろん必要最低限の注意は必要。
遺跡で歴史に触れ、ビーチも楽しめる。そして何よりも、ご飯とビールが安くて美味しい!いつも旅行中日本食が恋しくなってしまう私だが、今回は一度も日本食に手を付けることはなかった。メキシコは私の再訪したい国リストの一つに追加された。

マリアッチと一緒に!

パレンケ遺跡 ★★★★ ジャングルの中に潜むパレンケ遺跡は神秘的で面白い
ウシュマル遺跡 ★★★★★ 観光客が多すぎず、静かにゆっくりと観光できる。
チチェン・イツァ遺跡 ★★★★★ 夜の光と音のショーが超おすすめ!無料なので是非。
(2015年12月 池田郁依)
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