<自然大国ニュージーランド!肩肘張らずにアウトドア>

<自然大国ニュージーランド!肩肘張らずにアウトドア>

今回、ニュージーランドへ行く機会を得た。
私のとって初の南半球、初の赤道突破。日本と季節が逆なんて、用意した服装で充分なんだろうか・・
ぼんやりとした不安を抱えつつ、ニュージーランド行の飛行機へ乗り込んだ。

プカキ湖とサザンアルプスの山々

ニュージーランド航空といえば、普通は退屈してしまう・・あの機内安全ビデオがユニークと聞いていた。
眠気で重くなった瞼をひっぱり上げ今か今かと待つ。すると突然軽快な音楽が流れ始め、ニュージーランド人の男性がラップを歌いながら機内安全について案内し始めた。後に調べてみると、映画「メン・イン・ブラック」の世界をモチーフにして、ラグビーのニュージーランド代表チーム「オールブラックス」のメンバーが踊っていたらしい。なるほど、最後はちゃんとオチまでついていて、かつ機内の安全についてもしっかり確認でき、小さな拍手でも贈りたくなるようなビデオであった。
いきなり余談だが、私はお酒が大好きだ。ニュージーランドはワインが有名と聞いていたので、あまり飛行機ではお酒を飲まない私が機内で白ワインを注文してみた。ワインが好きだが全然詳しくない私でも、そのワインがとても美味しいことは分かった。機内でいただくとは思えない味であった。ぜひぜひぜひ機内でのワインを召し上がっていただきたい。


そんなこんなで、意外と遠いニュージーランド。ワインに惚れ惚れしながら出発から10時間をかけてオークランドに到着した。11月末のオークランド、季節は春のはずだが意外と涼しい。日本でいう桜が咲く頃の気温くらいだろうか。そこから南島にいくとさらに涼しくなる。私は薄いセーターを持ってきて良かったと思った。
ニュージーランドは1番の人口密度を誇るオークランドでさえ、どことなくのんびりとした雰囲気が漂い、大変暮らしやすそうだ。到着した日は金曜日だったが、午後14時で街のレストランやバーが混みあっていた。みんな仕事はどうしたのだろうと不思議に思ったが、ニュージーランド人は金曜日の午後にもなるとソワソワして仕事が手に付かなくなるらしい。それで真昼間からレストランで食事することを許されるのだから、なんという国だろう。(うらやましい・・)

金曜日午後のオークランド

混雑する金曜午後のレストラン

ニュージーランドの旅で1番感激したのは、日帰りで参加したミルフォードトラックだ。“世界一美しい散歩道”と呼ばれるこのトレッキングコースは、今から100年以上も前に開拓された山道である。変化に富んだ景観や展望、いくつもの滝や湖などを結ぶコースで、年間1万4000人もの人が訪れる人気のコースだ。ただし、景観や貴重な自然を守るため、入山制限が設けられている。希望する場合は事前に予約しておこう。本来はミルフォードサウンドとティアナウ湖を結ぶ全長53.5kmのコースで、3泊4日で歩くコースだが、時間が限られている行程のため、このコースをティアナウから日帰りで体験してきた。
ミルフォードトラックは、ティアナウからアクセスするのであれば、まずティアナウから車で20分ほど走ったところにある、ティアナウダウンズへと向かう。ティアナウダウンズに停泊しているボートに乗りこみ、30分ほど走るとボートはミルフォードトラックへの入口に着岸する。


このミルフォードトラック、または有名なミルフォードサウンドなどがあるこの一帯はフィヨルドランド国立公園とよばれ、太古より変わらない自然景観を残す貴重なエリアとされている。この一帯に年間8000mmを超えて降る雨が、その豊かな自然を育んでいる。年間8000mmといえば、おおよそ年間の3分の2が雨だそうだ。現にその日も生憎のお天気で、小雨がぱらついたときもあった。
年間8000mm、やはりミルフォードトラックに足を踏み入れた瞬間に感じたものも、“湿度”だった。だが不快な湿度ではない。植物や生き物がもつ自然な湿度が、山歩きが不慣れな私を少し安心させた。
ニュージーランドのトレッキングなのだから、さぞかしハードな運動になるだろうと覚悟していったが、全く初心者でも問題ないほどのトレッキングであった。まさに“散歩”である。急なアップダウンがあるわけでもなく、森林の中を歩くだけなので、水をはじく上下のジャージと、底のしっかりしたスニーカーがあれば服装としても心の準備としても充分である。ただし服装に反して、内容自体は濃い。そこは“世界一の散歩道”と呼ばれるだけあって、恐らくベテランのトレッカーであっても充分に満足できるほどの“散歩”である。まさにそこは“太古”と聞いてイメージする世界そのものだ。


ミルフォードトラックは、苔に覆いつくされている。年間降水量8000mmの賜物だ。樹木にも苔は絡みつき、少し樹に捕まるだけで手に雫がしたたる。



ニュージーランド固有種のニュージーランド・ロビンという鳥

入ってみた

マイナスイオンたっぷり、都会で暮らす私にとって、それはそれは癒される散歩であった。
珍しく晴れたミルフォードサウンドについても紹介しよう。
ミルフォードサウンドはティアナウからバスに乗れば、そのまま乗船場まで連れていってくれる。ティアナウからミルフォードサウンドまでは片道3時間ほどの道のりだが、バスの中では日本語でニュージーランドやミルフォードサウンドについての案内をしてくれるから、それも楽しみだ。しかも、行きは何ヶ所か写真スポットでバスを停車してくれるから嬉しい。

ミルフォードサウンドへの道中で見られる、ニュージーランド固有種のオウム、ケア

湖面に山が映るミラー湖

“サウンド”とは入り江という意味だ。氷河によって垂直に近い角度で削り取られた周囲の山々が、1000m以上にわたって海に落ち込んでいるという壮大な眺めは、ニュージーランドを代表する景色の1つ。ミルフォードサウンドでは、その氷河によって削られたところに海水が流れ込んだ、入り江をクルーズする。
幸運にも晴れ渡ったその日、さらに幸運が重なって私たちは滅多にみることができないクジラに出逢った。もっとも、乗客に押されてクジラを見ることができたのはほんの一瞬、影のようなものだけだったが。それでも珍しいといわれるクジラに遭遇したことは大変思い出深い。

楽しい楽しい


クジラに狂喜する乗客(かすかに向こうにクジラの尾が!)



クルーズの終盤、落差155mを誇る滝の前に差しかかると、船は滝めがけて急カーブ。滝ギリギリまで船を近づけて、乗客を楽しませてくれる。デッキに出ているとびしょびしょに濡れてしまって横の人と笑いあうのもそれはそれで楽しい。


ニュージーランドでアウトドア、文化系で貧血持ちで運動不足の私がついていけるかしら・・等の心配は結局のところ全く必要なかった。もちろん、しっかりとしたアウトドアを体験することも可能だが、気軽にニュージーランドの自然を楽しみたいわという方にも充分応えてくれるツアーも多くある。今回は夜に雨が降ってしまい、マウントクックでの星空鑑賞ができなかったが、ニュージーランドの南島、とくにテカポやマウントクックは星空が美しいことで有名であるから、夜にはそういった楽しみ方もある。
太古からの姿を残した自然豊かな森と、それらを守るニュージーランドの人々。のんびりとしているのに強く、やさしくて大らかなニュージーランドに、今度は冬に行きたい!!!!

忘れちゃならない羊ちゃん

<スタッフおすすめ度>
ミルフォードトラック★★★★★・・かなりおすすめ!!ニュージーランドの自然と濃く触れ合える
ミルフォードサウンド★★★★・・氷河湖から突き出た高い山々が圧巻
(2015年11月 楠本悠子)
このエリアへのツアーはこちら

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