マルタ? 聞いたことあるけれどマルタってどこだろう。そんな風に思う人の方がマルタを知っている人より多いはず。今回はそんな知名度がまだまだ低いマルタと北イタリアのミラノ~ヴェネチアまで途中2つの町を挟んで周った。
全行程で現地6泊という非常に短い旅の中で、マルタの宿泊はたったの2泊。スケジュールを見ると、マルタに着いたその日も観光が入っており、翌日1日でマルタの主要な観光地を全部周るような組み合わせになっていた。それを見て少々不安になりながらも、車の外から見えるマルタの町並みの美しさにわくわく心が躍る思いだった。
最初に、ヴァレッタというマルタの首都を徒歩で観光した。マルタ共和国自体が大変小さい国なので、首都とはいうものの全て徒歩で観光できるのである。更に道路は京都のように碁盤の目のようになっていて、地図が非常に見やすい。迷うこともない。このヴァレッタの町の中に、有名な聖ヨハネ大聖堂がある。この大聖堂を見るために、マルタを訪れる人も少なくないのだそう。大聖堂の中に入ってみると、一瞬でその理由がわかるように、大聖堂の床、天井画、祭壇全てが本当に美しかった。私にとっては、今まで入ったことのある聖堂の中で一番である。
ヴァレッタ内に限らず、マルタ全土でいえることだが、マルタの建物のほとんどが蜂蜜色のマルタストーンを使っているため、建物が薄い黄色で統一されており、どの通りを歩いていてもみとれてしまう美しさだ。
マルタにはたくさんの遺跡があり、それもかなり古い遺跡ばかりなので非常に面白いが、今回は青の洞門とイムディーナを紹介したい。
青の洞門は、イタリアのカプリ島の青の洞窟に似ている。長い年月風と波で浸食し、岩がアーチ状になり浅い洞窟のようになっている。そこをエンジン付きボートで20~30分程度の観光ができる。ただ、悪天候だったり、少しでも風があるとボートが出ないので注意が必要だ。今日しかチャンスがないという私は、天気に恵まれ無事ボートで観光ができた。
透明度の高い海だが、浅く洞窟のようになった少し暗いところに入ると、光の反射で海底の方から青々と光っていて幻想的で感動する。
次はマルタ島のほぼ真ん中に位置するイムディーナ。私が訪れたのは朝だったため、他の観光客はおらず、人通りもほとんどなかった。マルタの昔の首都であったにも関わらず今では静かな町になってしまっている。細い路地が迷路のように続き、両側にはマルタストーンの美しい家々の壁が続く。
昼ごろになると、観光客も増え、レストランや土産物屋もオープンし、明るい雰囲気になるそうだが、おすすめは夜。展望カフェからは周りの町のライトアップで素晴らしい景色が広がるそうだ。また、イムディーナ内唯一のホテル、シャーラパレスに泊まるのもよい。もともとは貴族の邸宅を改装したホテルなので、外観はホテルだと感じさせないくらいイムディーナの街に溶け込んでいるが、入り口から一歩入ると高級感あるロビーが広がる。このシャーラパレスはお部屋全室の内装がそれぞれ異なるのが魅力だ。
マルタにはもう一つ、絶対に見逃せない島、ゴゾ島がある。ゴゾ島はマルタ本島からフェリーで約30分。マルタに訪れた観光客のほとんどが観光する島である。フェリーの本数は1時間に1~2本で夏場は比較的夜遅くまで運航しており、気軽に島間を移動できる。
マルタ本島よりも小さな島だが、見所はたくさんあるためゆっくり周るならゴゾ島でも1泊することをおすすめする。ゴゾ島の大聖堂は、天井に遠近法を使っただまし絵があることで有名だし、紀元前40世紀という世界的にもかなり古い時代のジュガンティーヤ神殿があり、興味がある人にはたまらないだろう。そしてビーチがたくさんあり、透明度が高く、美しい海なのでゆっくり海を楽しむのも良いと思う。
翌日早朝、早くもマルタを離れてイタリアへ飛び立った。
約2時間の飛行でミラノに到着。午後からは早速市内観光に出かける。ミラノに1泊しかしないので効率良く周るため、この日は半日市内観光のオプションをつけた。
そしてほとんどの人がミラノの観光で一番の目的が「最後の晩餐」だと思うが、入場チケットを手に入れるのは少し困難となる。それほど世界中から観光客が集まり人気ということだが、ミラノの半日観光のオプションには「最後の晩餐」入場チケットも付いているので、チケット入手の手間も省けるし、安心して観光できる。なので、オプショナルツアーを事前に予約しておくことを是非おすすめする。
ミラノと、後から出てくるヴェネチアは他のスタッフのバックナンバーを見ていただきここでは割愛させていただき、弊社スタッフの中で誰も行ったことのない、ガルダ湖の玄関口デセンツァーノ・デル・ガルダ、シルミオーネと「ロミオとジュリエット」で有名な町、ベローナについて紹介したい。
ミラノから列車で約1時間。ほとんどの人が通り過ぎてしまうであろうガルダ湖の基点となる町がこのデセンツァーノ・デル・ガルダである。小さな町だが、他の大都市のような騒がしさがなくゆっくりと休暇を過ごすのに最適な印象を受ける。湖畔沿いにレストランやホテル、ブティックが並んでおり、中心地となる。
この町の湖畔からガルダ湖の各湖畔の町までフェリーが出ていて、一番近い町シルミオーネまでは約20分で行くことができる。
船の本数も1時間に1~2本で、半日観光で充分だ。シルミオーネも非常に小さな町であり徒歩での観光が可能だ。
中心部にはスカラ家の城塞があり、一番上まで上るとシルミオーネを一望でき、眺めが良い。スカラ家の城塞の入場したところに、内部の説明の看板が置かれているのだが、イタリア語のみなのがとても残念。
中心部はレストランや土産物屋、ブティック等が並び地元客と観光客で大変にぎわっている。雰囲気の良いヨーロッパらしい建物が並び、それを彩るかのように美しい花で町全体が飾られていて、騒々しいイタリアのイメージを覆すかわいらしい町だ。
イタリアでは各都市1泊ずつなので、翌日には次の町ベローナへ向かった。デセンツァーノ・デル・ガルダからベローナまでは列車で20分。ベローナと聞いてある作品を思い浮かべる人もいるだろう。ご存知でない方も「ロミオとジュリエット」と作品名を挙げれば知らない人はいないだろう。実はベローナにはシェークスピアの一番の名作「ロメオ(ロミオ)とジュリエッタ(ジュリエット)」で登場した家がある。
ジュリエッタの家にはジュリエッタの衣装や写真がたくさん飾られていて、物語の中に入り込んだような感覚になります。
市内にはジュリエッタの墓やロメオの家もあるので併せて観光するとより楽しめるだろう。他にも野外オペラが開催されるアレーナやベローナの町を一望できるランベルティの塔など、見所は主に市内中心に集まっていて観光しやすい町なのだ。
また、ブラ広場とエルベ広場付近には日中は大道芸人達がたくさんいて、路上でパフォーマンスを披露しており、陽気で楽しい、印象に残る町になった。
最後の訪問都市はベネチア。本島では主に船(ヴァポレット)を使って移動をする。ヴァポレットは他の都市で言う市バスやメトロのように本数が多く、そして乗船口も多い。しかし、島内はレストランや土産物屋、ガラス製品のお店がずらりと並ぶので、徒歩での観光もおすすめだ。
ヴァポレットで近くの島(ムラーノ島やリド島)などに日帰り観光も魅力です。
今回、マルタとイタリアの2カ国を周ったわけだが、同じヨーロッパの(しかも場所も近い)国同士なのに、町の雰囲気が全く違っていて大変驚いた。特にマルタは治安も良く、観光や休暇にぴったりの国なのに、知名度が低いのは本当にもったいない限りである。私が撮ってきた写真やこのレポートを見て、少しでも多くの人にマルタに対する興味を持っていただければ良いなと思う。同じく、イタリアのガルダ湖周辺で滞在する人は少ないと思うが、町の雰囲気がよくのんびりできるので、ミラノやベローナ方面の観光と一緒に視野に入れていただけると嬉しく思う。
2013年5月 栗山
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