カナリア諸島のテネリフェ島と言っても、いったいどこにあるのか想像もつかない人が多いのではないだろうか。最近ではサッカーの柴崎岳が所属していたチームがこの島にあるので少しは知名度が上がったかもしれない。スペインリーグ2部のチームがあるほど人は住んでいるのだろうか。見るべきところはあるのだろうか。と様々な疑問を抱いて島に渡った。
テネリフェ島へ行くにはマドリッドから2時間半、もしくはバルセロナから3時間半の飛行機で入るのが主なルートだ。なんと空港は2つもある。北部にある、テネリフェ・ノルテ空港と南部にある、テネリフェ・スール空港だ。テネリフェ島は主要7つあるカナリア諸島の中で最も大きい島で、スペイン本土から南に1,300km、アフリカ大陸から300kmに位置する火山島である。この絶妙なロケーションが実に快適な気候を生み出している。冬の平均気温が17℃、夏の平均気温が24℃と、避寒にも避暑にも適した常春の島である。「大西洋の楽園」とか「大西洋のハワイ」と呼ばれる所以である。この温暖な島を目指して何と年間300万人以の人が訪れるのだ。ちなみに面積は2,036㎢、東京都とほぼ同じ大きさ。人口は約90万人。カナリア諸島全体では約200万人が住んでいる。
人気の理由はその天候だけではありません。スペイン最高峰の山「テイデ山」を中心とした世界遺産「テイデ国立公園」が一番人気だ。テイデ山の標高3,718mはほぼ富士山と同じ高さ。頂上付近までロープウエイで気軽に行けてしまう。車で2,356mのロープウエイ乗り場まで行き、そこから3,555mの終点まで一気に登って行くのです。あっという間の７～8分の乗車体験だ。徐々に高くなるにつけ周りの景色は変わっていき、雲海もあっという間に下の方に下がっていく。平日なのに超満員、予約必須だ。
頂上に着けば、そこはパノラマの景色が全開。雄大な景色に大満足。空気の薄いのも忘れ見とれてしまう。遠くにテイデ天文台も見え、ここが空を観測する世界3大スポットの1つであることを思い出させる。ロープウエイの終点から頂上までの僅か200m弱の山道を登るには、予め登山許可書を取得する必要がある。かなりの傾斜の山道で、きっちりしたハイキング装備をした方がいいだろう。ピッケルを持つ人も見かける。往復2時間はかかるようだ。ちょうど登頂した日に、60㎞マラソンが行われていた。おそらく麓から頂上まで往復するのだろう。かなりきついのか、多くのランナーが休憩を取っていた。
なだらかなテイデ山を遠くに眺めながらドライブしていると奇岩で有名なロケ・デ・ガルシアが目の前に現れる。その奇岩群の周囲の景観とのアンバランスは、強いインパクトを与え、全体の景色をより印象深くしている。ミルフィーユのような岩や、人の顔のような岩や、屏風のような岩など様々な形の岩がある。古いスペインの紙幣の裏側にテイデ山と龍血樹とともにここの奇岩が描かれているので、昔から有名な場所だったにちがいない。家族連れも多く、気軽に立ち寄れるスポットが「ガルシアの岩」だ。
テネリフェ島の2番人気は「サン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナ」だ。一般的には単に「ラ・ラグーナ」と呼ばれるこの旧市街は、スペインが大航海時代に築いた美しい都市で1999年に世界遺産に登録された。カナリア諸島で初めて大学がここに建てられたので「大学都市」とも言われている。17世紀の教会、修道院、貴族の邸宅といったカナリア建築の歴史ある建物が、コンセプション教会からアデランタード広場までの徒歩10分の間に集中して並んでいる。この街は街歩きに最適な広さと、おしゃれなカフェテリアや居酒屋が立ち並ぶ人気の街なのだ。テネリフェ島の一端を紹介したが、他にも古い街が多くあり、南側のビーチはロス・クリスチアーノをはじめとして一大リゾート地が並んでいる。
テネリフェ島はスペイン本土と組み合わせるといいスケジュールになるが、私も今回は前泊にマドリッドで念願のピカソの「ゲルニカ」を鑑賞し（写真撮影は不可）、後泊にバルセロナで「サグラダ・ファミリア聖堂」を訪れ、大満足の旅となった。
＜スタッフおすすめ度＞
テイデ国立公園★★★★★ロープウエイでテイデ山に上ってパノラマ景色を堪能
ロケ・デ・ガルシア★★★★奇岩とテイデ山をセットに見る景色は他にはありません
ラ・ラグーナ★★★★★カナリア建築が並ぶ歴史地区は一昔前に戻ったよう
(2017年6月 本山泰久)
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