住むのだったらシドニーが一番

住むのだったらシドニーが一番

「今まで行った中でどこが一番よかったですか」とよく聞かれるが、沢山いいところがあって困ってしまう。370回位海外へ行っているがどこもかしこも気に入ってしまう。ところが住みたいとなると別の話だ。気候・言葉・物価・人柄等色々なファクターを考えるといくつかの街に絞られてしまう。やはり寒すぎるのはいやだな、とか。自然も残っていた方がいいな、とか。物価も安くて、人も親切な所がいいなどと考えてしまう。候補に残るのは、ホノルル、ホーチミン、チェンマイ、シアトル、ビクトリア(カナダ)、そしてシドニーといった所だ。シアトル、ビクトリアは4月〜9月の6ヶ月なら最高。ホノルルはずっといるとボケてしまいそう。チェンマイ、ホーチミンは物価も安いし料理もおいしいけど、暑さに順応できるか不安だな。やはり私の一押しはシドニーかな。世界3大美港の1つと言われるほど風光明媚。冬でも日本人ならコートは要らない。食もうまい。何より人間が明るい。同じ白人でもアメリカ人より明るく、天真爛漫である。


これほどシドニーを薦めるのは実は理由がある。以前仕事で半年ほどの間、月の半分はシドニーに住んでいたから他の場所より親近感があるかもしれない。やはりそこで生活をしてみると到底一時の観光では見えない所まで見えてくる。都会といっても自然が隣り合わせで、いつも青空と一緒に歩いている感じだ。そのときいつも定宿にしていたのはラシュカッターベイホテル。シドニーオリンピックのときヨットハーバーになったところで、それは美しい湾と公園に思わず見とれてしまう。毎朝公園の中をジョギングしてから会社に出かけた。日本ではほとんどしたことも無いのにそうするのは、しない方が本当にもったいないと感じてしまうからだ。
オペラハウス
ところで今回なぜシドニーへ行くことになったのか。当社ではオーストラリアのコースは無い。仕事とは関係なく、留学中の娘に会いに行くのが目的だ。娘はシドニー工科大学に今年の2月から12月まで、私の好きなシドニーへ留学してくれたのだ。なんと親孝行な娘だ。といっても私の役目は荷物運び。妻だけでは持てない娘の冬物をしこたま持っていったのであります。
横から見たオペラハウス
オーストラリア初めての妻のために、親子3人シドニー名所案内に繰り出したので少しずつ講釈をしていきたい。やはりオーストラリアといえばなんと言ってもオペラハウス。透き通ったシドニー湾の突先に浮かぶ大きなヨットのフォルムは、青い海の中に浮かぶ白い屋根という見事な対称のなかで輝いている。遠くから見ると一つの建物に見えるが横から見ると、3つ別々に分かれている。やはり何でも遠くから見るほうがいいのかも。
シドニー・ハバー・ブリッジ
この景色をさらに完璧なものにしているのは、シドニー・ハバー・ブリッジ。建築物でありながら、芸術作品のごとく存在している。橋のトップを歩いてわたる「ブリッジ・クライミング」に申し込む人が後を絶たないのは、雄大で美麗な景観の中に自分自身も融合出来るからだろう。
ロイヤル・ボタニック・ガーデンズ
オペラハウスを左に見ながら湾を沿って歩くと、30万ヘーホーメートルもの巨大な公園「ロイヤル・ボタニック・ガーデンズ」が広がっている。目の前の海と、ゆったりした公園。人間もここではおおらかになる。公園の中にはガラスのピラミッド型をした「トロピカル・センター」植物園がある。この対称さも又アートだ。
QVB
街の中は古さと新しさが実に絶妙にミックスされている。由緒ある建物が街に落ち着きを与えている。QVB(クイーン・ビクトリア・ビルディング:ショッピングセンター)やタウン・ホール、セントラルステーションなどはその代表だ。
パディス・マーケット
買い物ならあまりガイドブックでは紹介されていないが、チャイナタウンの近くにある「パディス・マーケット」は親密感溢れ、嬉しくさせる場所だ。もちろん「ロックス」はヨーロッパの風情を漂わせて歩くだけでも楽しい。週末にはマーケットがある。
ダーリング・ハーバー
またオペラハウスやハーバーブリッジを抱えて人気のサーキュラー・キーだけでなく、違う入り江の「ダーリング・ハーバー」は洒落た店が建ち並び人気のスポットだ。このように沢山の見所があるが、なんと言ってもシドニーを人気の街にしているのは、歩いて回れるという点である。そして、街の創り方は住む人のことを、観光客のことを考えて伝統と新しさを 調和させ、心地よくさせることを目的にしていると思える。
ボンダイ・ビーチ
ほんの20〜30分足を伸ばせば、きれいなビーチがひろがる。「ボンダイ・ビーチ」にはサーファーのみならず、老若男女が集い、身近なリゾートを楽しんでいる。「マンリー・ビーチ」には洒落たレストランと夕陽を楽しむ人で溢れている。
見るところばかりでなくシドニーの名物は料理。シーフード、肉、イタリアン、フレンチ、中華、日本等本当に美味い。少々物価高で高くなっているのが不満だが日本より安い。食べ歩きの最後は、以前よく通った中華料理のお店「リーガル」で、昔の同僚も一緒に親子ともども多いに盛り上がって名残を惜しんだ。そして住むのだったらシドニー、の思いをさらに強くして後にした。
本山 泰久
2004年4月(4月14〜18日)

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