地中海カントリーホッピング〜遥か歴史の足跡を辿る旅〜チュニジア・マルタ・シチリア〜

地中海カントリーホッピング〜遥か歴史の足跡を辿る旅〜チュニジア・マルタ・シチリア〜


真っ青な地中海

紀元前より様々な戦争や征服があった地中海。古代ローマ帝国は、目と鼻の先にあるシチリアにも勢力を延ばし、その先のチュニジアの町カルタゴとカルタゴ領であったマルタをもポエニ戦争によりローマの属州としました。その後7世紀にはアラブ人が侵攻、チュニジアはそのままアラブの国となりますが、シチリア・マルタは11世紀にはノルマン人、ビザンチン、など所有者が変わる事となります。チュニジア、マルタ、イタリアの3ヶ国、今は全く違う国ですが、長い歴史の中で同じ道を辿る時代もありました。


チュニジア、エル・ジェムの円形闘技場

この紀元前より栄えてきた地中海の歴史ある3ヶ国を6泊で周遊しようという忙しいけど1度の旅で3度おいしそうな行程で出発する事になりました。

day1 成田夜=
day2 =チュニス着→スース
day3 スース→エル・ジェム→ケロアン→チュニス
day4 チュニス→カルタゴ→シティブサイド→チュニス
day5 チュニス=マルタ
day6 マルタ=カターニャ→タオルミーナ
day7 タオルミーナ→シラクーサ
day8 シラクーサ→カターニャ


新しくなったイスタンブール国際空港

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◼︎◼︎チュニジア◼︎◼︎
まずはチュニジアに3泊で6都市訪問です。

day2 スース

チュニス到着後、車で約2時間、カルタゴ同様フェニキア人によって建設された町スースへ。幾度となく町の様子も変えてきましたが、世界遺産となっている現在のメディナの町並みは7世紀以降のアラブ人が築いてきた姿です。


世界遺産のメディナを見渡す

メディナに入ってすぐの要塞リバトに登ってみました。


リバトの塔


グランド・モスクを見下ろす

塔の上からモスクを見下ろした時、ちょうどアザーンが流れてきました。なんだか空気もピリッとして気が引き締まります。

さて、メディナの内部を歩いてみました。正に迷路のようです。狭い路地に、小さなモスク、カフェ、お店がところ狭しと立ち並んでいます。

また、是非訪ねて頂きたいのがスース考古学博物館。メディナの南側の一角にあり内部は近代的。ここは3〜4世紀ローマ帝国時代のモザイクが中心に展示がされています。これだけ多くのモザイクが綺麗に残っているとは素晴らしい。


有名な「バッカスの勝利」


やっぱり迫力のある「メドィーサ」

朝9時オープンですが、オープン直後は観光客も少なく、ゆっくり鑑賞が出来ます。

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day3
スース→エル・ジェム→ケロアン→チュニス

スースのメディナを後にし、更に南下、ローマ帝国時代に繁栄を極めた町エル・ジェムへ。この町に残るのは巨大な円形闘技場コロッセウム。保存状態も良く世界遺産に登録されています。今でもフェスティバルなどで利用されているとか。

次に訪れたのは、7世紀にイスラムの町として生まれたケロアン。11世紀半ばまで聖都として繁栄し、ベドウィン侵入による町の衰退後は聖地として巡礼者を迎え続けています。見所はモザイク画や漆喰の透かし彫りの美しいシディ・サハブ霊廟、メディナにある、アフリカ大陸最古のグランド・モスク。またメディナ内の小さなモスクを見て歩くのも楽しいものです。


美しいグランド・モスク


美しい天井の模様/シディ・サハブ霊廟


流行りのウォールアート?


これもウォールアート?

ケロアンからチュニスまで約2時間半。その途中にあるローマ時代のザグーアン水道橋を見学、どこまで続くのか確認出来ないほど遠くまで続いています。

ローマ帝国時代が確かにここにあったのだ、とつくづく思わずにはいられませんでした。

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day4
チュニス→カルタゴ→シティブサイド→チュニス

チュニス近郊のカルタゴへ。チュニスは知らなくても、カルタゴは知っているのでは?というほど有名なあのカルタゴです。

紀元前フェニキア人によって栄えたカルタゴでしたが、ローマ軍の侵攻で名将ハンニバルは3度目のポエニ戦争で破れ、町は破壊されました。その後ローマの植民地化で再び息を吹き返し、ローマ帝国の第3の都市となり7世紀のアラブ侵入まで繁栄しました。

まずは、紀元前ローマ軍に滅ぼされる前のフェニキア人の住居跡を見にビュルサの丘へ。ここは古代カルタゴの中心でした。

次にVILLAS ROMAINES(ローマ人の住居)へ。その名の通りローマ時代の住居跡です。住居前に残る床のモザイクが見事です。


美しいモザイクが残っています。

そして巨大なローマ遺跡、2世紀に建てられた皇帝アントニヌスの共同浴場。建物は風呂、サウナ、プール、談話室などがあり、フレスコ画や彫刻、モザイクが敷き詰められるなど贅沢なものだったようです。数々の部屋の作りにローマ人達が談笑しながらお風呂に浸かる様子が眼に浮かびます。


遺跡をバックに

ここで遺跡ではないけれど、カルタゴに来たら是非寄りたいシティブサイド。フランスの芸術家達に愛されたチュニジアで最も美しいといわれる町です。真っ白な壁にチュニジアンブルーが使用され、ブーゲンビリアやジャスミンの色がプラスされる様はフランスのアンダルシアの雰囲気。

チュニスから30分程度で行けるカルタゴとシティブサイドは必見の町です。
チュニスのメディナもご紹介。


新市街と接するメインのフランス門


ここでも細い路地にお店が立ち並びます

チュニスで利用した「カールトン(Carlton)」は立地抜群!新しくモダンでおすすめです。


便利な立地


バス・トイレが別で明るく清潔なお部屋


テラスもあります。

遺跡が点在するチュニジアのほんの一部しか訪れていませんが、ローマ時代とイスラム時代の両時代において素晴らしい遺跡や町が残されているのを見ることが出来、3泊でも充実した行程でした。一つ残念なのはアルコールが飲めない事。一部カフェで出してはいますが、すっかり男性達の溜まり場となっていて、女子1人で入れる雰囲気ではありませんでした。笑

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day5
チュニス=マルタ

チュニスからマルタへはマルタ航空利用の空路移動。深夜1時にホテルを出発という体力的に厳しい時間、なのにフライト時間はたったの35分という・・・。

マルタと言えば騎士団を思い出す事が多いと思いますが、マルタも起りは紀元前、巨石神殿文化から始まり、フェニキア人、ギリシア人、カルタゴ人、ローマ人、アラブ人、ノルマン人、などなど主人を変え時代を乗り越えてきました。その為、この小さな島国の中だけでも大変見所が多いです。

〈巨石神殿文化〉タルシーン神殿

紀元前3,000〜2,500年に建てられた巨石神殿跡。発掘品のオリジナルは全てヴァレッタの考古学博物館に展示されていますが、その巨石の大きさ、組み合わせ方に当時の技術力が伺えます。複数の巨石神殿を合わせ世界遺産に登録されています。

〈古代〜中世〉イムディーナ

紀元前より砦が築かれ、フェニキア人、ローマ人、アラブ人、騎士団と繁栄を続けてきた町ですが16世紀後半にヴァレッタへの遷都により寂れていってしまいました。今ではハチミツ色のマルタストーンの建物が時の流れを語るだけとなっています。

〈4〜6世紀〉聖パウロのカタコンベ

この場所にキリスト教徒約1,000人が眠っていた、マルタ一の地下墓地です。

〈中世〉ヴァレッタ

16世紀後半聖ヨハネ騎士団により築かれた要塞都市。当時建てられた建物がそのまま残りタイムスリップした様な雰囲気です。1980年世界遺産に登録されました。

〈17世紀〉セント・メリー・マグダレン・ディングリ

地中海の絶景を背景に建つ小さな教会。知る人ぞ知る穴場スポットです。

〈19世紀〉モスタドーム(奇跡のドーム)

19世紀に建てられた世界で3番目に大きいドーム教会です。第二次世界大戦時このドームに向かって爆弾が投下されましたが、奇跡的に不発となり、中にいた人々が助かりました。その事により奇跡のドームと呼ばれています。教会の内部は美しく厳かな雰囲気。地下には戦中のシェルターもあり見学が可能です。

その他、地中海に囲まれたマルタだからこその絶景があります。

24時間を切る滞在時間しかなかったマルタでしたが専用車の親切なドライバーさんのお陰で色々回ってもらう事が出来ました。時間がない方には専用車がおすすめです!
また、今回のホテルはヴァレッタの入口にある「カスティーユ(Castille)」。歴史ある建物だけに古いですが、趣があって立地も素晴らしいホテルです。

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day6
マルタ=カターニャ→タオルミーナ

イタリアは二度目ですが、シチリアは初!マルタから約35分のフライトでカターニャに到着しました。

初シチリアでまずは思いっ切り観光地のタオルミーナへ。そしてやっぱり古代遺跡。紀元前ギリシア時代に建造され、ローマ時代に円形闘技場に改築されました。


ギリシア劇場からエトナ火山を望む

チュニジアのエル・ジェムの円形闘技場を見た後だけにイマイチ迫力は感じませんでしたが、残る遺跡からCGを使って回想する映像は見応えがありました。

タオルミーナは丘陵地にある避暑地。エメラルドグリーンの海には美しき島イソラ・ベッラが浮かび、夏は沢山の海水浴客で賑わいます。

タオルミーナのメインストリート「ウンベルトストリート」。

今回の宿泊ホテル「イザベラ(Isabella)」はウンベルトストリート沿いでかなり便利でした。

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day7
タオルミーナ→シラクーサ

次の目的地はシラクーサ。ギリシア古代より長い歴史を持つ街です。ここでの見所はネアポリス考古学公園のある北側と、石畳の旧市街がある南側オルティージャ島。南北は徒歩30分位で行き来も可能な距離です。

北側にあるネアポリス考古学公園には、紀元前に造られたギリシア劇場、古代ローマ円形闘技場などがありいずれもスケールが大きく見応えがあります。建てられた時代により雰囲気が違うので、それぞれ楽しめます。


ギリシア劇場


古代ローマ円形闘技場

また、近くにはサンジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ教会とカタコンベがあります。カタコンベは地下に教会もあり、かなり広くなっています。英語ガイド付でのみ入れます。

南側オルティージャ島にはドゥーモを中心とした旧市街が広がります。紀元前に建てられた神殿がその後教会になり、さらに時代の流れに沿って手を加えられて今の様な荘厳なドゥーモとなりました。旧市街は細い路地にもカフェやレストランのテーブルが並びお洒落な雰囲気。ゆっくり時間をかけて食事を楽しみたいですね。

また、オルティージャ島にも遺跡があります。紀元前7世紀に建てられた、シチリア最古のドーリス式神殿跡です。こちらも時代とともに教会、聖堂などに改築された跡も同時に残しています。

このシラクーサでは1泊から可能のホームステイ。日本人の奥様とイタリア人のご主人がオルティージャ島でレストランを経営されていて、そこでのお料理教室とご自宅にホームステイをされています。


経営されているレストラン「Le Cambusa」

料理教室はレストランのキッチンで行い、メニューは実際にお店で出している本格的なシチリア料理。シェフである奥様が下ごしらえから教えてくれ、数品を作ります。今回のメニューは4品。

・ピスタチオとエビのカザレッチ(パスタ)
・イワシのパン粉揚げ
・エビとオレンジのオーブン焼き
・マグロのマリネ

シチリアでよく使う食材を中心にメニューを教えていただきました。日本でも再現可能な料理もあり楽しめます。

ホームステイはネアポリス考古学公園近くのアパートメント。ご夫婦はレストランのお仕事があるので基本的な行動は自由となり、夕食をレストランでいただけます。ゲストルームは広々としていて明るい雰囲気。バス・トイレも専用ルームを貸して貰えます。


明るく広いお部屋


バス・トイレも専用

奥様が日本人なので言葉の心配なく、シラクーサについての話もいろいろ聞けるので楽しいステイとなりました。


お世話になったレストランオーナーの奥様

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6泊3ヶ国の忙しい旅でしたが、訪れた国それぞれで内容の濃い充実した時間を過ごす事が出来ました。地中海3ヶ国が同じ歴史を辿った時期もあり、その後徐々に分かれていった歴史も目の当たりに出来たのは興味深いものでした。

また機会があればそれぞれの国をゆっくり回りたいと思います。

【スタッフおすすめ度】
●チュニジア
・スース・・・★★★★ 地中海リゾートも味わいたい方!
・エル・ジェム&ケロアン・・・★★★★★ ローマ遺跡とアラブ世界を見たい方に!
・カルタゴ&シティブサイド・・・★★★★★ 必見!
●マルタ
・青の洞門・・・★★★★ 天気が良い日ならいくべし
・イムディーナ・・・★★★★ ジェラートを食べながら散歩したい
・マルサシュロック・・・★★★★★ 漁港好きに!日曜はマーケットが楽しい
・ヴァレッタ・・・★★★★★ 行くだけでなくむしろ宿泊したい
●シチリア
・タオルミーナ・・・★★★★★ 夏は水着必須!
・シラクーサ・・・★★★★★ 出来るなら数日滞在したい

2019年9月
能祖

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