ファイブスタークラブの社員は皆、心から旅を愛している。ゆえに、仕事を忘れるべき(?)飲み会の場でも盛り上がるのは旅の話。
とある夏の宴会のことだった。1人の先輩が「今まで行った国の中で、ここは良かった~もう一度いきたぁいって国は?」と皆に問いかけた。別の先輩がすかさず「僕はスイスかな、スイスは良いよぉ中村さん」と私にスイスをすすめる。またさらに別の大先輩も「わかるわぁ、スイス」とうんうん強くうなずく。そして話題提供者である先輩も「わたしもスイスかもなぁ~」と遠い目でうっとり。あの瞳は日本から遥か9500km先、アルプスの山々が連なるスイスを見ていたのかもしれない。
何十か国、人によっては百か国以上の渡航歴を持つ強者たちファイブスター社員らが揃って「良い!」と太鼓判を押す国スイス。一体何がそれほどまでに彼らを魅了するのか。『へー、スイスねぇ、アジア大好き・インド狂の私には正直なところピンとこないなあ・・』などと考えていた矢先、なんとスイスの魅力をこの目で確かめるチャンスが私に舞い降りた。欧州エキスプレス様、スイス政府観光局様からスイスファムツアー9日間のご招待をいただいたのだ。
先に結論をお伝えしよう。
今は入社1年目の私だが、来年後輩が出来たあかつきにはきっとこう言うに違いない。
「今まで行った中でここは良かったって国?・・やっぱりスイスかなあ!」
9日間の旅の中の中村イチオシハイライトは、間違いなく「チョコレートトレイン」だ。
チョコレートトレインとは、チョコレートで出来た列車・・のことではない。スイス西部の街モントルーから列車とバスを乗り継いで、チーズの聖地・グリュイエール、そして、ブロにあるカイエチョコレート工場、といった2大グルメスポットを巡り、日帰りで再びモントルーへ帰ってくる現地パッケージツアーのことである。ツアー費用には、その間の移動費・入場料にくわえ、道中で配布されるチョコクロワッサンとコーヒー代まで含まれるというのだから、お得感がある。
今回の旅行記では、「チョコレートトレイン」で過ごす1日の流れを紹介しようと思う。
まず、朝の8:44、モントルーの駅にて列車に乗るところから「チョコレートトレイン」は始まる。
チョコレートトレインの出発地であるモントルーは、スイス西部に位置するフランス語圏の街だ。ドイツ語圏スイスを経由したのちにモントルーにやってきた私は、まず、その暖かさに驚いた。マッターホルンの麓の街・ツェルマットではちょうどよく感じていたセーターは、モントルーでは厚着すぎるようだ。うっすら汗が。そんな温暖な気候のおかげか、モントルーに住む人々は皆かげりのない明るい表情をしていた。いや、気候のおかげだけではない。モントルーは中央ヨーロッパで二番目に大きな湖・レマン湖の畔に位置しており、一瞬「海?」と見間違えるほど大きなその湖が人々の心に開放感をもたらしているのだと思う。ふりそそぐ太陽の下、フランスまでまたがる雄大なレマン湖を背景に、カフェのテラス席でワイングラス片手におしゃべりを楽しむモントルーの人々。なんとなく南仏のようである。フランス行ったこと無いけれど。そういえば、心なしか他の街よりイケメンが多い気も・・(あくまで中村調べ)。私はすっかりモントルーを気に入った。
この街の雰囲気を気に入ったのは私だけではない。世界的ロックバンド「クイーン」のボーカリスト・フレディマーキュリーは、「If you want peace of mind, come to Montreux(平和を探したいならモントルーに行け)」という言葉を残すほどモントルーを気に入り、晩年をモントルーで過ごしたという。レマン湖畔の遊歩道にはフレディマーキュリーの銅像も。「クイーン」のファンは必見だ。
そんな素敵タウン・モントルーから列車に乗り込む。
艶々とした木製の床と壁、花柄の織りが美しく座り心地も抜群のソファシート。乗っていると、あれ?私ってそういえば貴族だったっけ?と錯覚を起こしかねないクラシカルな列車に揺られ、途中でバスに乗り換えること約1時間半、チーズの聖地と呼ばれる街・グリュイエールに到着。
「スイスといったらチーズだよね~」と意気揚々とチーズ工場に入館すると、館内スタッフさんが素敵な微笑みと共にこんなものを手渡してくれた。
わーお、サービスいいねぇ。日本語音声ガイドによるチーズの製造工程の説明に耳を傾けつつ、窯の中でチーズが攪拌される様子を見学。
大きな窯の中でぐるぐるかき回されるチーズを目の前に「チーズ愛好家は、この窯の中に溺れたい!とか思うのかな。私もチーズは割と好きな方だけれど、さすがにそこまでじゃないかなぁ」等とぼんやり考えながら、お土産コーナーへ移動。ここでは、日本で買うより遥かに安く絶品グリュイエールチーズが手に入る。商品にもよるが、買う前に試食させてもらえるため、帰国後いざ食べてみて「あれ?想像していた味と違う・・」なんてこともないから安心だ。前述の通り、窯に溺れたいほどチーズ狂という訳でもなければ、自宅でチーズを食べるようなお洒落ライフスタイルとも縁遠い私だが、その美味しさと安さに魅了されて、ついつい購入してしまった。恐るべしグリュイエールチーズ。
昼食後、グリュイエールからブロという街に移動する。ついにお待ちかね「チョコレートトレイン」のメインイベント、カイエチョコレートファクトリー訪問だ。カイエは、チョコレートの発展に大きく貢献した老舗チョコレートメーカー。このチョコレートファクトリーは、チョコレートの歴史・カイエの歴史を学べるだけでなく、試食や、希望すればチョコ作りの体験まで・・・チョコにどっぷり浸かることのできる夢の国だ。
中に入ってみよう。まず、お土産ブースが目の前に広がる。見渡す限りチョコレート。
スイスと聞くと、チーズフォンデュやラクレットなどチーズ大国のイメージが強いかもしれないが、実はチョコレート大国でもある。日本人の1年間のチョコレート消費量が1人当たり約2キロであるのに対し、スイス人は約12キロ。我々日本人の6倍だ。そして、単に消費量が多いだけでなく、チョコレートの歴史においてスイスという国は重要な役割を担ってきた。
チョコレートの起源は、紀元前のメソアメリカ文明(今のメキシコ周辺)まで遡る。当時のチョコレートは、今現在の甘いチョコレートとはかけ離れた、スパイシーな食べ物であった。苦くて辛いチョコレートは大航海時代を経てヨーロッパにやってくる。そして、ベルギー人、イギリス人、各国のグルメたちが手を加えることによって、現代の私たちが愛してやまない甘~いチョコレートへと変化していったのだ。牧畜の国であり乳製品のプロフェッショナルであったスイスが果たした役割は、チョコレートと牛乳を結び付け、ミルクチョコレートという幸せの食べ物を商品化し世に売り出したことだ。
チョコレートの歴史を一通り学んだ後に向かうのは、ミルクチョコレートの普及に大いに貢献した偉人・カイエの努力の結晶をただで味わうことができる試食コーナー。甘い物好きな私にとって、ここは天国。スイスに来れてよかったー!ファイブスターに入社してよかったー!生まれてきて、よかったー!!心の中で叫びつつ、10種類近いカイエのチョコレートを味わう。今回のスイスの旅の中で、私のテンションが最高潮に達した瞬間であった。
クラシカルな列車、その車窓からは牧歌的な風景、絶品チーズ、チョコ天国・・・。こんなに充実のラインナップをたった1日で味わい尽くせるのは、「チョコレートトレイン」ならでは。大満足の私はモントルー行きの列車に乗り、帰路に就く。夕方の17:57、モントルーに着いた頃にはちょうど日が暮れかかっていた。夕暮れ時のレマン湖が最高のクライマックスを飾り、こうして「チョコレートトレイン」の1日は終わる。
最後に。
ひたすらスイスの良いところだけを紹介したが、当然、良いところだけではない。スイスは日本と比べて物価が高い。特に山岳地帯は物価が上がる。パスタが一皿2000円以上することも。(もちろん、安いお店を探せば大丈夫!)さらにスイスに行くためには、直行便を利用したとしても12時間の長時間フライトは避けられない。人によっては12時間も座っているとお尻が痛くなるだろう。航空券代も近場のアジアに比べるとやはり高くなってしまう。
・・・ただ、少し奮発してでも!少しお尻が痛いのを我慢してでも!ぜひ皆さんには行ってほしい、そんな国なんです、スイス!きっと後悔はしません。
欧州エキスプレス様、スイス政府観光局様、ファムツアー参加者の皆様。こんなにも素敵な機会を与えてくださった皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました!そして、この旅行記の読者の皆様。最後までご覧いただき、ありがとうございます。
さて、次に向かうはどこの国。わくわく。以上、中村でした。
おすすめ度
【モントルー】★★★★☆ クイーンのフレディマーキュリーが愛した街。活気と静けさがほどよく共存。せっかくならレマン湖をのぞめるホテルに泊まるべし。
【グリュイエールのチーズ工場】★★★★★ 日本と比べて遥かにリーズナブルな価格でグリュイエールチーズを購入できる。スイスワインも併せて購入すれば、日本に帰ってからのお楽しみが増えること間違いなし。
【カイエチョコレート工場】★★★★★L 試食コーナーは文句なしの満腹度・・おっと、間違えた、満足度。天国とはここのことだったんですね。
(2017年10月 中村未来)
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