日本人が気軽に旅することができるポルトガルという国のお話しをいたしましょう

日本人が気軽に旅することができるポルトガルという国のお話しをいたしましょう





なんとこれ全部イワシの缶詰!
日本からフライトでポルトガルに入国する場合、首都のリスボン空港か、ポルトガル第二の都市・ポルト空港のどちらかを利用することになります。どちらの空港も市中心部へは地下鉄が直結していて30分もあれば到着します。タクシーを利用しても15ユーロ前後で所要時間は15~20分くらい。お手軽に利用できるのですが、運悪く渋滞に巻き込まれると面倒なので、地下鉄を利用するほうがよいでしょう。因みに地下鉄は左側通行で日本と同じなのですが、車は日本と違い右側通行です。ちょっと不思議に思いました。




地下鉄・アエロポルト駅
ポルトガルは日本同様、地下鉄を含む鉄道網が発達しているのでほとんどの場所に鉄道で行けます。鉄道がなければバスが利用できます。市中心部でのバス利用は避けがちですがポルトガルのバス停には路線図と時刻表が完備されていることが多いので不安なく利用できます。地下鉄利用だと乗換えが必要で少し余分に時間がかかるところ、バス利用だとダイレクトに行けて時間を効率よく使えるなんてこともしばしば。バス停を目にした時にでも確認してみてください。そしてさらに、日本ではほとんど見なくなりましたが、一般道路を走る市電も発達していて便利なことこのうえありません。


市電15号線でべレン地区へ
このようにポルトガルは交通の便が非常によいので他の国と比較して個人旅行者には「くみしやすい国」と言えます。ローカル列車から高速列車までポルトガル鉄道に乗れるユーレイルポルトガルパス、大都市のリスボンやポルトの観光には、ポルトガル鉄道の一部路線、地下鉄、バス、市電、ケーブルカー、観光用エレベーターに乗り放題のカードがあります。おまけに、美術館や観光施設などが無料、または割引になりますので、使いようによって非常にお得なツールとなります。
今回、私は、ポルトには行かなかったので、リスボンの乗り放題パスについてお話しいたしましょう。以下、2種類あり、料金に差がありますので、どちらを選ぶべきか、事前に何がしたいのか、時間は足りるのかなど、ある程度の下調べをしましょう。
●リスボンカード(Lisboa Card)
乗り物では地下鉄、バス、市電、ケーブルカー、観光エレベーター、ポルトガル鉄道のシントラ線とカスカイス線が乗り放題になります。シントラやロカ岬に日帰りで行くならこのカードがよいでしょう。あと、おまけとして、ミュージアムや観光名所の入場料が一部の施設で割引または無料、ショッピングやレストランでも使えることがありますので、気に入った施設があればカードを提示して店員さんに尋ねてみましょう。駅で購入可能です。2017年5月現在での料金は、24時間19ユーロ、48時間32ユーロ、72時間40ユーロ。時間は購入した時間ではなく最初に使い始めた時間からスタートになります。

ヨーロッパ大陸最西端のロカ岬

最西端到達証明書(2つのデザインから選べる)

シントラ中心部の町並み
ロカ岬とシントラ観光のモデルコースをご案内するなら次のようになります。
リスボン・ロシオ駅→(列車:約40分)→シントラ駅→(バス:約40分)→ロカ岬→(バス:約25分)→カスカイス駅→(列車:約35分)→リスボン・ロシオ駅(逆周りも可)。バスは各区間概ね1時間に1本、ロカ岬のバス停はロカ岬にある観光案内所です。この案内所で最西端到達証明書(10ユーロ:2017/5現在)を発行してくれるので興味のある方は是非。また、シントラの訪問をランチ時にするのがお奨めで、目安としてホテルを朝8時頃に出発するとよいでしょう。ただし、シントラ駅→(バス:約40分)→ロカ岬→(バス:約25分)→カスカイス駅間のバスの乗車券は、乗車時にご購入ください。
●ヴィヴァ・ヴィアジェン・カード(Viva Viagem)
これはリスボンカードの簡易版みたいなもので、対象が限定される分お値段が安くなり24時間で6.15ユーロ+カード代金0.5ユーロです。カード代金は返金無しで1年間有効です。対象は地下鉄(ポルトガル鉄道は利用不可)、バス、市電、ケーブルカー、観光エレベーターのみが対象になります。地下鉄1区間を1.5ユーロと考えると5区間乗れば元が取れます。つまり、観光すればするほどお得です。24時間使い放題が切れて残りが中途半端な滞在時間しかない場合、同じカードをプリペイドカード(日本の「パスモ」や「スイカ」などと同じ)として使えます。使い方はカードの先端部を自動券売機に差し込んで必要金額をチャージします。または有人窓口で手続きができます。

ヴィヴァ・ヴィアジェン・カード

「LOVE」と発見のモニュメント

ビールと発見のモニュメント
私は、リスボンでのフリータイムが半日しかありませんでしたが、ホテルの最寄り駅の「ラト駅」から地下鉄グリーン線の終着駅である「カイス・ド・ソドレ駅」へ。そこからポルトガル鉄道に乗り継げますが「ヴィヴァ・ヴィアジェン・カード」は使えませんので、すぐ駅前に隣接する市電の停留所で15番線に乗換えべレン地区に到着。ジェロニモス修道院、べレンの塔、発見のモニュメントを観光後、同じ方法で戻ろうとしましたが市電の本数が少なくなかなか来ません。その時、ある物に気づきました。市電とバスの停留所にはそれぞれ次に到着する乗り物の所要時間が表示されているのです。最初は信用できるものか疑っていましたが正確な時間が表示されていました。これは便利でした。


リスボンで泊まったAmazonia Hotelの最寄駅「ラト駅」周辺の町並み

ラト駅前の上品な紫色の花をつけるジャカランダ
そこは、バス停も兼用だったのでバスのルート案内を見ると途中まで同じルートを辿るバスが来ることがわかりました。降車場所に到着すると、なんと、タイミングよく市電の18番が合流するではないですか。無事、市電の18番に乗れ、各種乗り物の旅を満喫しながら「カイス・ド・ソドレ駅」まで戻ってこれました。しかし、乗車した市電の18番は空調が壊れている上に窓が開かないので暑くて暑くてしかたありませんでした。
リスボンの地下鉄はグリーン線以外に、レッド、ブルー、イエローの計4路線あります。因みに、ポルトでは6路線あります。
このように「ヴィヴァ・ヴィアジェン・カード」があれば、地下鉄、市電、バスに乗り放題。市電、バスは日本と同じく乗車時に機械にカードをかざすと「ピッ」と音がしてチェックイン完了。この後、「カイス・ド・ソドレ駅」から1駅の「バイシャ・シアード駅」で下車し徒歩にてサンタ・ジュスタのエレベーターに向かいましたがすごい行列の為乗車断念。因みに、パリのエッフェル塔を手がけたギュスターブ・エッフェルの弟子が設計したそうです。
でも、とってもかわいくて素敵なイワシの缶詰屋さんを見つけられたのでよかったです。
このお話しについては、また後ほどすることにいたしましょう。


とっても頑丈そうなサンタ・ジュスタのエレベーター


ケーブルカーにも乗りました
この日は土曜日の午後だったので人出がとても多かったようです。さらに歩き続け、ロシオ広場、レスタウラドーレス広場を過ぎたら左手にケーブルカーを発見。おもしろそうなので乗車してみました。勾配が急なので歩くと息が切れたでしょう。お蔭様で30度前後あろう暑さだったので歩くと汗が噴き出していたと思います。終着駅は丘の上公園になっていて、すばらしい見晴らしでした。実は、私、同じ道、方法を辿って戻るのは好きではありません。そこで、あたりを見渡すとバス停がありましたのでルート表を見ると、これまた何と、ホテルの最寄り駅である「ラト駅」を通るではありませんか。それを見た途端、その日の行動が脳裏をめぐりました。朝早くに前日の滞在先だったマデイラ島のホテルを出発しフライトに乗りリスボンに到着。まずは地下鉄を利用しホテルに行き不要な荷物を置いてすぐに出発。そしてこれまでお話しした行動を経て丘の上公園前のバス停にいる私。迷わずそのバスに乗ることにしました。
ということで、この日は、リスボン空港駅で「ヴィヴァ・ヴィアジェン・カード」を24時間乗り放題に切り替え→(地下鉄)→ホテル→(地下鉄)(市電)→べレン地区→(バス)(市電)(地下鉄)→バイシャ地区→(ケーブルカー)→丘の上公園→(バス)→ホテルと移動しましたので余裕で元が取れたでしょう。満足な1日でありました。
さて、マデイラ島にいたというお話が出たところで時間を戻してマデイラ島のお話しをいたしましょう。
知る人ぞ知るマデイラ島は、マデイラワインと、そして、ポルトガルの英雄、クリスティアーノ・ロナウドが生まれた島として有名な南国情緒溢れる世界遺産の島です。北アフリカのモロッコとほぼ同じ緯度が示すように1年中温暖な気候に恵まれています。



旧市街のサンタマリア通りの芸術作品と町並み
青い海と輝く太陽、咲き乱れる色鮮やかなトロピカルフラワーやフルーツなど年間を通じて南国らしい雰囲気を楽しむことができるため、ヨーロッパ各地から観光客が訪れる人気の観光地です。島の成り立ちから海岸線は断崖絶壁が多く砂浜のビーチはほとんどありませんが、そのワイルドな景観と新鮮なシーフードを楽しめるのどかな漁師町、カマラ・デ・ロボスは特に人気です。乗り降り自由の2階建て定期観光バスでお手軽に行くことができます。
そして、ポルトガルは、世界有数のワイン生産国であり消費国でもありワイン通の国民であると言えますが、そんな人々に愛されるマデイラワインを試さないわけにはまいりません。


ラウラドーレス市場の八百屋さんと花屋さん

乗り降り自由の2階建て定期観光バス


カマラ・デ・ロボスの切り立った絶壁と長閑な風景

かつてマデイラ島を守ったサンティアーゴ要塞(現在はミュージアム兼レストラン、貸切のイベント施設として利用されている)
甘くて芳醇な風味は食前酒や食後酒として好まれ、甘口、ドライタイプなどいろんな種類がありますので市内のワインショップで試飲するとよいでしょう。
マデイラワインは、ポルトガル第二の都市・ポルトのポートワイン、スペイン・アンダルシア地方のシェリー酒と並び称され世界中で愛される酒精強化ワインのひとつです。酒精強化ワインとは醸造過程でアルコールを加え、アルコール度数を高めたワインのことです。完成品は褐色系の色をしていますが、意外なことに白ワインから作られています。品質やブランドイメージを守るためにさまざまな決めごとがあり、ぶどうの品種、熟成年数、甘さ、色など細かく分類分けされているので、購入時に好みのタイプを言って試飲すれば確実に自分の好きなタイプのマデイラワインを選ぶことができます。リスボンでも買うことはできますが、やはり種類の多い本場マデイラ島で買いたいですね。



試飲ができるマデイラワイン専門店
そして、マデイラ島で宿泊したのが、ぺスターナCR7フンシャルホテルです。
2016年7月に新築オープンした総部屋数48室の4星クラスで、ポルトガル大手ホテルチェーンのペスターナグループとクリスティアーノ・ロナウドが共同経営するエレガントなホテルです。1階にはホテルレセプション兼広々とした開放感溢れるレストラン、レプリカユニフォームやオリジナルTシャツが購入できるクリスティアーノ・ロナウド・ミュージアム、ポルトガルの名産品が揃うお土産屋さんがあり、2階に客室、大西洋が一望できるプール、色鮮やかな緑の芝生が敷き詰められた本格的な野外フィットネスガーデン、そして、ジャクジーやサウナまで完備されています。宿泊客はすべて無料で利用でき、南国の島・マデイラ島を満喫できます。

ホテル前のロナウド像

ここが151号室

ぺスターナCR7フンシャルホテルのお部屋一例

本格的野外フィットネスガーデン
このホテルの151号室は特別室になっています。ファンの方ならすぐおわかりかと思いますが、クリスティアーノ・ロナウドが所属するサッカーリーグ、リーガエスパニョーラで、リオネル・メッシを凌ぐ最速ペースで150ゴールを達成した記念に特別に造られたお部屋です。
むむ!? では、なぜ151号室?
それは、同じ試合で彼は2ゴールを決め、試合が終わってみれば151ゴールになっていたからでした。これまで200ゴールを決めた人はいません。果たして達成してから別のリーグに移籍するか、気にせず移籍するか。どちらでしょうか?
マデイラ島にはもうひとつ特筆すべき特徴があります。
トボガンというユニークな乗り物があり、これもまたマデイラ島で体験すべきものの一つです。では、トボガンについてお話しいたしましょう。


マデイラ島の人気アトラクション・トボガン
トボガン=tobogganは英語で「そり」を意味し、南極のペンギンが腹ばいになって雪上を滑るのを「トボガン滑り」といいます。マデイラ島で楽しめるトボガンは木製のソリが付いた大きなバスケットで最大で大人3人が乗れる大きさで屈強なおにいさんたちが2人掛かりでモンテの坂道を下ってくれる人気のアトラクションです。アスファルトの道路を滑るのですが、まるでリニアモーターカーかホバークラフトのように動きはスムーズでそよ風が心地よい快適な2kmの旅が体験できます。でも、押してくれているおにいさん(おじさん?)たちは最初こそ威勢はよいのですが、カーブを曲がるに従い息は絶え絶え「はぁはぁはぁ」。少し申し訳ないなとは思いますが結構なお値段なので、子供の頃のように大声出して楽しみたいですね。因みに、3人乗ると1一人当たり25ユーロ、2人乗ると1一人当たり30ユーロ、1人で乗ると45ユーロ。お金は直接おにいさんに支払います。10分ちょっとでおしまい。


ノッサ・セニョーラ・ド・モンテ教会
第一次世界大戦後オーストリアを追放された最後の皇帝・カール1世の棺が安置されているノッサ・セニョーラ・ド・モンテ教会の前がスタート地点になります。毎日、楽しそうな声を聞きながら安らかに眠っておられるのでしょう。
到着地点はタクシー乗り場になっていてベルトコンベアーのようにタクシーに乗せられ別の観光地に連れて行かれる・・・うかうかしてるとこうなっちゃいますので気を付けましょう。私はチャーターした車があったので、ドライバーさんが助けにきてくれて、すぐにその場を立ち去ることができました。
そしてまだあります。ポルトガルで体験すべきもの・・・。それは、「ポサーダ」に泊まることです。それでは、私が泊まったオビドスにある「ポサーダ・ド・カステロ」で体験した心温まるエピソードを混じえてお話しいたしましょう。

活気溢れる昼間のオビドス

とても危険な城壁(私は高所恐怖症でランチの時にビールも飲みましたが歩きました)

おとぎの国へのメインゲートのアズレージョ

旧館やレストラン施設への入り口
「ポサーダ」(POUSADA)とは、古いお城や修道院、貴族のお屋敷などを改修したり、その地方特有の歴史的建築物を生かして造られたポルトガルならではの国営宿泊施設です。ポルトガル全土に45施設あるとのことですが、ポサーダとして認定された第1号が私の泊まった「ポサーダ・ド・カステロ」です。因みに、隣国スペインでは「パラドール」と呼ばれています。内装は、現代風にアレンジされているものの歴史を感じさせる風格も兼ね備えた快適空間で優雅なひとときを過ごせます。また、朝食にも利用されるレストランがお奨めでせっかく泊まるなら是非ディナーも!出窓を利用したテーブル席がひとつだけあり、ここで食べたい場合は予約が必須です。

予約必須のテーブル

豪華なウェイティングバー
オビドスの城壁内の旧市街はメインストリートが1本だけあり、昼間は観光客で大いに賑わいます。そして30分もあれば旧市街全域を網羅できるくらいの規模です。夜になると人出はめっきり減りちょっと寂しい感じになります。夜は一部のレストランだけですがクローズするところもあります。そんな雰囲気を感じたことと、せっかくポサーダに泊まっていることもあり、夕食は併設のレストランで食べることにしました。しかし、残念なことにランチの時間が遅かったため、あまりお腹が減っていません。でも、他にすることもないので軽く食べることにしました。高級なレストランでそんなことをするのは気が引けましたが・・・。当日でもよいので事前に予約して来店を予告しておいた方がよいですね。

心遣いの一品



ポサーダでいただいた全品(飲み物はオビドス名物のジンジャ=さくらんぼ酒をグラスで)
中に入るとかつて古城だっただけあって、いきなり重厚な空気に包まれます。ウェイティングバーもある本格レストランです。既に4組の入店者があり、店員さんはてきぱきと動き回っていました。気が引けていた私は、入り口そばの隅のテーブルを選び座りました。そして、ビールを注文した後メニューを確認し、「アスパラガスのスープ」と「タコのマリネ」を注文したのですが、やはり店員さんはメイン料理の説明を始めました。申し訳ないのでその話をやさしく遮り、ランチが遅かったのでお腹がすいてない旨を伝えすべての注文が完了しました。すると、爽やかな笑みを浮かべながら店員さんが持ってきてくれたのは、蜂蜜がたっぷりかかったチーズのお料理でした。そのお皿がテーブルに置かれるや否や、「身体にやさしいお料理です。これで疲れを癒してください。お代はいただきません」と。何と心優しい心遣いに感激したことは言うまでもありません。来店客全員に心遣いの一品を出していたのかもしれませんが、日本も含めて、こんなに感激したことは初めてでした。最後に出てきた「タコのマリネ」はまるでメイン料理のように手の込んだ作りで目でも堪能することができました。


おとぎの国の朝食
オビドスを訪れたならポサーダに泊まりましょう!おとぎの国の中世のお城で優雅な一夜を過ごすことができるでしょう。
朝食も同じレストランです。とても豪華な朝食で、白のスパークリングワインがありました。これまで朝食で出会ったことはありません。朝食時にシャンパンを飲む朝シャン健康法についてデューク更家さんがテレビでお話ししていらっしゃったのを覚えていますが、そういうことなのでしょうか。
ポルトガル人は、日本人同様タコを好んで食べます。そして他にも好んで、しかも、単純に塩焼きで食べる食材があります。引き続きまして、その食材のお話しをいたしましょう。



イワシの炭火焼きには白のスパークリングワインがピッタリ

マデイラ島のカマラ・デ・ロボスで食べたイワシのタパス料理とポルトガル3番手のビール会社CORAL
それは、「イワシの炭火焼」で、ポルトガルの代表的な名物料理です。
海外で焼き魚を食べることはなかなかできませんが、ポルトガルにはイワシを塩焼きで食べる習慣があります。魚好きの日本人にはうれしいですね。レストランによってですが炭火で焼いて出してくれるお店もあります。
また、魚の干物もよく食べ、中でも干しダラが代表的な食材になり、野菜とスープと一緒にオーブンで焼いたりします。西海岸沿いのナザレでは、シーズンになるとビーチ沿いに天日干し用の干物の干し棚が延々と並び、日本各地の漁師町と似たような光景を見ることになります。また、ビーチが延々と続くプライア地区からケーブルカーに乗って高台のシティオ地区に行ってみましょう。そこからの絶景は素晴らしい。また、シティオ地区の岬は特殊な海底地形をしていることから巨大な高波を見ることができるそうでサーフィンの世界大会が行われます。ナザレは知る人ぞ知るサーフィンの町でもあるのです。

ナザレビーチに天日干しされた干物

シティオ地区から見たナザレビーチ


ミュージアムに飾られていた高波の写真

海底までの深さの違いで海の色が変わる
リスボンではイワシ漁の最高潮を迎える毎年6月にイワシ祭り(正式名称は聖アントニオ祭り)が約1ヶ月間行われ、街の至る場所に炭火焼スタンドの屋台が出て、右手にイワシ、左手にワインやビールを持って朝まで踊り明かすそうです。5~10月がイワシのシーズンでポルトガル各地のレストランでイワシの炭火焼を楽しむことができ、茹でたジャガイモと緑の野菜やトマトを添えて出してくれるのが一般的です。4尾も食べればお腹いっぱい幸せ気分になれます。
ポルトガルにはいろんな種類のイワシの缶詰が売られています。ツナ缶もそうです。缶詰ショップがあって試食した上で購入できるお店もあると聞きました。他にも缶詰のパッケージに何十年にも渡る年号がひと缶ごとにデザインされたイワシの缶詰を売る専門店があります。色もカラフルで、私は最初見たとき、てっきりディズニーショップだと思ってしまいました。ポルトガル人はよほどイワシに特別な感情を持っているのでしょう。おわかりだとは思いますが、缶にある年号は単なるデザインで製造年ではありません。中に入っているイワシはごく普通のイワシです。
このように、日本と似た食習慣がありますので、交通の便が非常に良いことと並んで日本人にとってポルトガルは「くみしやすい国」であると言えるでしょう。



イワシの缶詰だけのお店
引き続き魚のお話ですが、マデイラ島でお世話になったガイドさんに、エスパーダとバナナのおいしい料理があると聞き、そのガイドさんのお薦めレストランに行って食べてみました。エスパーダは日本では獲れない魚ですが、太刀魚に似た魚です。日本語では黒太刀魚と表記されるようです。身はもちろん白いのですが、色は黒く口が大きく歯が鋭いので見た目はとてもグロテスクで怖いです。肝心のお料理の方は、単純に塩コショウして揚げただけのシンプルな料理です。フィッシュ&チップのフィッシュとほぼ同じ感じです。それに冷やしたバナナの甘煮を上に乗せて食べます。日本では決して食べることのない組み合わせで新鮮な感覚を覚えました。皆様も機会あらば是非一度お試しください。

これがエスパーダ(マデイラ島のラウラドーレス市場)


乙な味?エスパーダとバナナ
最後に、お酒についてお話しをいたしましょう。
ポルトガルは圧倒的にワインが主流で、この点は日本とは異なります。アメリカ・カリフォルニア州にあるワインの業界団体であるワイン・インスティチュートが2015年に発表した、国民1人あたりの年間ワイン消費量ランキングによると以下の通り。(カッコ内は国民1人あたりの年間消費量<単位:リットル>)
1.バチカン市国(54.26)
2.アンドラ(46.26)
3.クロアチア(44.20)
4.スロベニア(44.07)
5.フランス(42.51)
6.ポルトガル(41.74)
順位不明=日本(2.73)
上位15ヶ国中14がヨーロッパ諸国で、唯一エリア外なのが南米のパラグアイです。
世界ランキング6位を誇るワイン通のポルトガル人に販売されているワインは、きっとすべておいしいに違いないと思ってしまいます。町のスーパーでワインの値段をチェックしたら3ユーロ台からありました。値段が安いのも理由のひとつでしょうが、ビールは1本約1ユーロでした。同じ容量で値段を比較してもビールの方が少し安いですね。



瓶のビールよりも美味しかった
一方、ビール事情のお話しもいたしましょう。
ポルトガルのビール会社は3社あり、2社(「SAGRES」と「SUPER BOCK」)で90%以上のシェアを占めているそうです。
因みに、「SAGRES」は、沢木耕太郎の「深夜特急」の中で彼が旅の終わりを決意したサグレス岬のあるポルトガル南西部の町の名前です。
マデイラ島ではなぜだか「CORAL」がよく出てきました。ポルトガル3番手のビール会社です。
レストランや町のスーパーで見るだけだと前述の大手2社の、しかもスタンダード製品しか置いていないのでポルトガルにはたった2種類のビールしか存在しないのかと不安になりました。が、しかし、バーに行くとここ数年流行の「IPA」など前述2社のいろんな種類のビールが置いてあり、飲んでみると「ぐっ」とくるビールばかりで安心しました。
因みにポルトガルの国民1人あたりの年間ビール消費量ランキングは、日本よりも遥かに上のようです。
今回の旅の心残りは、リスボンでのフリータイムが少なかったことです。せめて丸1日使える日があったら・・・。もしもあったら、いろんなジャンルのいろんな発見をしたであろうと思います。リスボンの街は大きく、東京や大阪、名古屋や博多、札幌などの大都市のように同じ街にも趣の異なるエリアがあって楽しい街歩きができるワクワク感を持たせてくれる街であるような気がします。
【おまけ】
リスボンには1泊ずつ3回、飛び飛びで計3泊し、すべて同じアマゾニアホテルに泊まりました。ホテルに到着したのはいつも早めの午後で、すべて同じ3人のフロントスタッフが迎えてくれました。「おかえり~」って感じで。最後の夜、「レストランに来てくれたらビールおごるよ」って言ってくれたので、のこのこと出向きました。
ということで・・・
「ハイ、リスボン!またお会いしましょう。ごきげんよう、さようなら」
<リスボン>★★★★★
例えば3~4泊ずっとリスボンでも飽きない街
<ロカ岬>★★★★
記念の塔に刻まれた「ここに地果て、海始まる」というポルトガルの詩人ルイス・デ・カモンイスの趣ある有名な一篇の詩を噛みしめながら眺めたい景色
<シントラ>★★★★
ペーナ宮殿はもちろんのことできればレガレイラ宮殿や王宮にも立ち寄りたい
<オビドス>★★★★★
ポサーダに泊まっておとぎの国の中世のお城で過ごしたい。城壁の上を歩く場合は十分気をつけて。転落の危険有り
<アルコバサ>★★★★
悲恋物語の主人公が眠るサンタマリア修道院は必見
<ナザレ>★★★★★
長閑な田舎町だが漁師町ならではのシーフード料理は見逃せない!ギネスブックに登録された世界最高の高波で有名な岬も必見
<バターリャ>★★★★
世界遺産のバターリャ修道院は迫力有り!
<ファティマ>★★★
教会や集会所のあまりの巨大さに驚愕
(2017年5月16~24日 森裕)
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