バヌアツって知ってる!?日本人の知らない南太平洋の秘境リゾートへ

バヌアツって知ってる!?日本人の知らない南太平洋の秘境リゾートへ




バヌアツという国名を聞いて、どこにあるどんな国だか、ピンとくる人は少ないのではないだろうか。南太平洋のフィジーやニューカレドニアの近くにある島々の国だ。日本人にはあまり知られていないのだが、オーストラリアやニュージーランドからは多くの観光客が訪れる人気のディスティネーションだ。
今回はニューギニア航空に初搭乗。ニューギニアもまだ行ったことがないが、その先のバヌアツへ就航し始めたので行かせてもらえることになった。
ポートモレスビーまで約7時間。荷物検査が終わったら、すぐ横のカウンターでポートモレスビー以遠のチェックインをする。何の看板もでていないが、成田ではポートモレスビーまでの搭乗券しかでないので、必ずここでこの先の搭乗券をもらわなければならない。



綺麗な建物だが、往路は乗り継ぎ時間の約5時間を過ごさなければならない。今回は特別にビジネスクラス向けのパラダイスラウンジに入れてもらった。軽食にビールもあり、シャワーもあって便利だ。その後のフライトはホニアラを経由で、約50分の機内待機の後、バヌアツの首都ポートヴィラに到着。
予定より早くついたので、夕陽の見えるカバBARへ行ってみる。カバは南太平洋エリアの伝統的な飲みもので、植物の根をすり潰して絞った液体。

鎮静作用があり、漢方みたいなものらしいのだが、見た目とにおいは完全に泥水だ…意を決して飲んでみると、やはり泥臭い味で、喉と舌が痺れるような感覚がある。数口のんだものの、お椀になみなみと注がれたカバは全然減らず、ついに飲み干すことはできなかった。ただ、誰もがまったりと過ごすこの空間と、湾に沈む夕陽はとても素敵だった。バヌアツの人はお酒を飲まない代わりに、このカバを仕事帰りに飲んだりするらしい。こんなものを好んで飲みにくるなんて、信じがたい。

初日の宿はメラネシアンホテル。ツアーデスクがあり、日本人スタッフもいる安心のホテル。ここのシェフが腕をふるってバヌアツ牛を出してくれた。カバでバヌアツの食文化に警戒心を抱きつつあったのだが、でてくる料理はどれも美味しい。一般的なバヌアツ牛ステーキじゃつまらないだろうと作ってくれたバヌアツ牛のたたき。和風な味付けでお箸が進む。

そしてとろっとろのバヌアツ牛煮込みシチュー。骨髄の中のところが特に美味しい。これはバヌアツ牛のメニューで一番おすすめかも。どちらも牛肉がとても柔らかかった。

しかし、まだ定番のステーキは食べていないのだ。次はバヌアツ牛ステーキを食べなければ。
翌日、午後のフライトでタンナ島に向かう。バヌアツでは国内線の空港税はチェックイン後にこのカウンターで支払う。そうすると、チケットにスタンプを押してくれる。


そのままヤスール火山を見に行くはずが、フライトが遅延したので火山ツアーは翌日に持ち越しに。タンナ島で宿泊するホワイト・グラス・オーシャン・リゾートへ。かわいらしいヴィラで女子旅にもおすすめの人気リゾートだ。ホテルの向こうはすぐ海で、広い地平線に沈む夕陽の景色が美しい。

陽が沈んだ後は、満天の星空が広がる。その後、雲が広がったかと思うと、海の上に大きなリングが見える。なんと月の明かりで見える虹らしい!地元の人も初めて見るというから、バヌアツでも珍しいものみたいだ。真っ暗で写真には写せなかったが、とても貴重なものを見ることができた。
そしてこのホテルも食事が美味しい!意外に思われるかもしれないが、バヌアツは料理が美味しいのだ。野菜も海の幸もフルーツもあって、どこに行ってもおいしい料理が出てくる。かつてイギリスとフランスの共同統治時代があったことも、料理がおいしいことに関係があるのかもしれない。

さくさくで、食べるとほろっとするチョコレートブラウニー。

ポートヴィラの自然ももちろんすごいが、タンナ島はジャングルのワイルドな自然に満ちた島。裸族の村を訪れれば、そこに生えている植物はどれも食べられるものばかり。自給自足の生活を送っているのがわかる。子どもたちの笑顔がまぶしく、皆しあわせそうな村だ。

子どもの遊びを見せてくれる。

バヌアツの伝統料理ラプラプ。トロイモとお肉やお魚にたっぷりココナッツミルクをかけ、バナナの葉で包んで蒸す。絞った後のココナッツは鶏や犬のエサに。

伝統的な踊りに参加させてくれた。一緒にジャンプしたり、走ったり、子どもの頃に戻ったように楽しい。

この村ももちろんそうなのだが、バヌアツの人はサービス精神旺盛で、純粋でいいひとばかりだ。車で走っていれば、すごく遠くからでもみんなが手を振ってくれるし、みんなにこにこしている。そんな東京なら考えられないような出来事が、偶然1回ではなくて、いつもなのだ。自然とあたたかい気持ちになる。
そしていよいよ、昨日のリベンジでヤスール火山へ!泊まっているホワイト・グラスから火山までは車で約2時間。ほとんど舗装されていないガタガタ道を4WDに揺られて進む。中国が道を舗装し始めたそうなのだが、一部できている道はアスファルトの道幅がとても狭く将来が少し不安だ。しかし、ガタガタ道はやっぱり楽ではない。なんとか火山の麓までやってきたら、岩塩のような火山灰が降っている。幸い天気は良い。ゲートを抜けてガタガタ道をさらに車で登る。

ここからは車を降りて登るが、なんと9合目まで車で行かれる為、自分の足で登るのはほんのわずか。麓のゲートと、車で登りきった9合目にトイレがあるが、ゲートのトイレには鍵がなく、9合目ではもはやドアがない。草むらで、という選択肢もあるが、できれば行かれるところで言っておいたほうが良い。

9合目のトイレ


ここまでくると風がとても強く、気温も下がる。防寒具にウインドブレーカーが必要だ。ヤスール火山は活火山で、轟音とともに真っ赤な溶岩が噴き出す大迫力の景色を目の前に見ることができる。ドーンという噴火の音が心臓に響く度に、心臓が一瞬縮まるような感覚がある。こんなに近くで見られるなんてとても驚くべきことだし、本当に貴重な経験だと思う。ガイドさんが風向きや噴火の向きを見極めて、観察スポットをきめてくれるので一応は安心するが、それでもドーンと爆発音が火山の底から響くと、ガイドさん以外の全員がビクッとして、それから花火のような噴火を見て歓声をあげる。

暗くなるとますます溶岩のオレンジ色が際立って、迫力が一段と増す。

地球の火山活動をこんな間近で見られることがあるとは、今まで思ってもみなかった。この体験は写真と言葉だけでは伝えきれないので、実物を見にいくことを強くおすすめする。帰り道は真っ暗なので、懐中電灯をお忘れなく。
国内線の時間がかわり、タンナ島での滞在時間が伸びたのでブルーケイブにシュノーケリングにいくことに。ホワイト・グラスからボートに乗り込み、さんさんと降り注ぐ紫外線と気持ちの良い風を感じて進むこと約40分、ブルーケイブの入り口に到着。海に向かって洞窟の入り口が開いているのだが、入り口部分は海に少しもぐって、くぐって入らなければならない。ほぼシュノーケリングの経験がない私だったが、ガイドさんや周りの方がたのお陰でなんとかくぐることができた。中は洞窟状の空間で、外の太陽の光が反射して、綺麗なコバルトブルーの海が広がっている。慣れてきて水中を覗き込むと、日の光でキラキラと光る青い海に魚も泳いでいる。こんな綺麗なところがあるのに、日本人にあまり知られていないのが不思議だ。
大満喫したタンナ島を後にし、一旦ポートヴィラに戻ってからサント島へ。こちらはリゾート感溢れ、ゆったりとくつろげる島だ。一番の見所はシャンパンビーチ。驚くほど細かいさらっさらの白砂のビーチで、さらに驚きなのが、人がいないこと!ほとんどいつでもプライベートビーチになるそうで、観光客だらけの忙しないビーチとは異なり、自分だけの時間を過ごすことができる。また、リリ・ブルーホールやナンダ・ブルーホールは地中から湧き出す淡水でとても透明度が高く、きれいな水の中を泳ぐこともできる。実はこのサント島が映画『ちょっと今から仕事やめてくる』の撮影に使われたのだ。美しいリリ・ブルーホールでは主演の福士蒼汰さんはじめ、撮影隊が湖に向かってターザンダイブをして遊んだのだとか。



ポート・オルリーのこのヤシの木の下で2人が話をする場面が撮影されたそうだ。

サント島の宿はラトゥア・プライベート・アイランド。波止場からボートで約45分、小さな島に作られたリゾートだ。ボートが近づくとウェルカムミュージックで迎えてくれる。着く頃には暗くなっていて、ライトがゆらめいてロマンティックな雰囲気。バリのアンティークな建物の資材を運んできて作られていて、隠れ家的なリゾートだ。こんなきれいな海で極上のスパがうけられる水上スパがとても気になる!



翌朝早朝には出発の為、ゆっくり滞在できなかったのが惜しい。帰りはかわいい子ヤギがお見送りしてくれ、ボートで進む途中にはちらっと海ガメをみることができた。
ポートヴィラに再び戻り、エファテ島1周ツアーへ。タカ・ビレッジでダンスやココナッツ・デモンストレーションを見せてもらえる。

こんな小さい子も踊ってくれるのがかわいい。


ポートヴィラにもサント島のブルーホールのように青くて美しいブルーラグーンがある。ここもターザンダイブできる。

こんなきれいなスポットがいくつもあって、なんて美しい島国なんだろう。眺めているだけで癒される。
ポートヴィラでちょっとしたおすすめなのがマーケット。山のような野菜やフルーツがあり、食堂になっているところもあるのでローカルフードを食べることもできるし、お土産なんかも売っている。時間があればここでアイランドドレスを買いたかった。どの国に行っても、やっぱりこうゆう市場は楽しい。


明日は早朝に空港へ向かうので、これが最後の1日。旅の思い出にまたカバBARへやってきた。お椀に半分くらいの量にしてもらい、気合を入れて一気に飲んだら、今度は飲みきることができた!しかし・・・まずい。しかも半分だけなのに酔っ払ったように平衡感覚がなくなり、ふらふらになった。とにかく味はまずいが、リラクゼーション効果は絶大だ。そこが癖になる人もいるのかもしれない。
そして最終日にして、やっとバヌアツ牛のステーキにありつくことができた。分厚いというか、まさに塊肉!なかなかのボリュームだったはずだし、はしゃぎすぎて少し体調を崩しつつあったのだが、ペロリと食べてしまった。とても柔らかくて美味しいのだ。日本にもバヌアツ牛を出しているお店があるらしいので、帰国後に食べに行く計画をすでに立てている。
8日間の日程でエファテ島、タンナ島、サント島とまわったが、実はまだまだ行かれなかったところや、やり残したことがたくさんある!小さな島国なのに、それほどに見所の多い国なのだ。それなのに、何故だか日本人には知られていない。こんなに人もよくて、観光するにも、ゆっくり滞在するにもいいところなのだから、もっと多くの人に行ってみてほしい。というか、バヌアツに行ったことがないなんて、もったいなさすぎる!本当はこんないい国は自分だけの秘密にしておきたい気持ちもちょっとはあるのだが。また訪れることを楽しみに考えながら、ポートヴィラの空港を飛び立った。
おすすめ度
ポートヴィラ…★★★★バヌアツ観光の拠点。24時間オープンのマーケットは必見。
タンナ島…★★★★★火山に海に自然を感じられるワイルドな島。
サント島…★★★★★自分へのご褒美にぴったり、女子旅におすすめの島。
2017年5月 増田里紗
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