あれ、ここ地球だよね?奇跡の絶景ウユニ塩湖へ

あれ、ここ地球だよね?奇跡の絶景ウユニ塩湖へ

塩湖をひた走るワゴン

あれは確か私がまだ高校生の頃だっただろうか。
ピンクのワゴンに乗って若者たちが世界を旅しながら、恋人を探すという人気番組があった。当時その番組にハマっていた私。かわるがわるワゴンの中で繰り広げられる恋愛模様と一緒に、ブラウン管越しに海外を楽しんでいた、まだ海外旅行なんて行ったことのない私。
ある時、その番組のオープニングでこんなものを目にした。
ピンクのワゴンが、永遠に続くのかと思われるほど広大な、鏡張りの湖を延々と走る映像。
なんじゃこりゃぁ!!!!
テレビで見たその映像は後に何年も私の心の中に残ることとなる。どこか分からないけれど、とても綺麗なところ。私も行ってみたいなぁ…、なんて叶うわけがないと思いつつ、そんなことを夢想していた。
そして時はたち、私は旅行会社に入社。
ティーン時代から十数年の時を経て、あの頃の私の夢が現実となる。
高校生の時の私に教えてあげたい“あんた行くよ、行くんだよ!その場所ウユニ塩湖って言うんだよ”と。きっと泣いて喜ぶだろう。
前置きが長くなってしまったが、まだ海外なんて縁のない私を一瞬にして虜にしてしまった、あのウユニ塩湖に行く機会を得たのだ。


憧れの地、ウユニがあるのは南米ボリビア。ボリビアへの道は長い。
成田を出発し、LA、マイアミと乗り継いで、翌朝ボリビアの首都ラパスに到着する予定だ。
意気揚々とLAに出発し、大急ぎでアメリカの乗継を終え、マイアミに到着・・・したものの、到着の時点でボリビア行フライトのボーディングタイムが過ぎている。フライトが遅延したのだ。出発まで残り20分!?うそでしょ。CAさんに頼んで、ラパス行きのゲートに遅れる旨伝えてくれと懇願するも、“それは出来ん、走れ”という無慈悲なご回答。言われるがままにダッシュしてゲートに行くも時すでに遅し。既にゲートは閉まった後だ。誰もいなくなったゲート。なんてこったい。
チケッティングカウンターでネゴシエーションするも、この日はもうラパス行きのフライトが無く、明日、今日と同じ時間のフライトに乗らざるを得なかった。なんてこったい。
とりあえずマイアミの空港ホテルに宿をとり、翌日たっぷりマイアミでも観光するとしよう。
いきなりマイアミ観光となってしまったので予備知識がゼロだったが、マイアミ空港は市内から近く意外と観光しやすそうだ。
まずはムーバーと呼ばれるモノレールとメトロとバスを乗り継いて、リトルハバナへ出かけた。その名の通り、マイアミにある小さなキューバだ。

広場でドミニに興じる人々

リトルハバナのシンボル、ニワトリ

街の雰囲気も良く、そこら中をスペイン語が飛び交っている。シガーショップもあり、どこからか常に音楽が流れてくるあたり、確かにキューバっぽいような気がしないでもない。
レストランでキューバ名物のモヒートを飲みながら一休みした後、やっぱりマイアミビーチ見なきゃ!とバスを乗り継ぎ、ビーチへ赴く。
ところで、この日のマイアミはとても気持ちの良い気候。暑すぎず、のんびりするにはちょうど良かった。とはいえ、私の出で立ちは厚手のロングTシャツにロングスカート、そしてトレッキングシューズ。ビーチではとびきり浮いていた。昨日、スーツケースを受け取ることが出来なかったのだからしょうがない。まさかビーチ来るとは思ってないし。

マイアミビーチ

マイアミにはたくさんのショッピングモールがあり、お買い物にも事欠かない。巨大なモールをふらついた後、今日のフライトは逃すまいと、早めに空港に戻った。
さてさて棚からボタモチならぬ、棚からマイアミを楽しみ、翌朝無事ラパス空港に降り立った。丸1日遅れの到着だ。
本来の行程であれば、ラパス1泊→ウユニ2泊→ラパス2泊→ダラス1泊→帰国の予定だが、初日のラパス1泊はやむなくカット。ラパス到着後はそのままボリビア国内線に乗り継ぎ、ウユニへ飛んだ。
ところで、ラパスは世界で最も高所にある首都として知られている。(正確には首都はスクレという街だが、事実上の首都はラパスとのこと)標高はなんと3650m!ウユニの標高もラパスとほぼ変わらない。高山病にかかってしまうのだろうか。。。
心の片隅に不安を残しつつ、ボリビア初日、ウユニのツアーの始まりだ。
まずは列車の墓場へ。
かつて塩や鉱物を運んでいた蒸気機関車や貨物車両が放置されているのだ。なんとも哀愁を感じる佇まい・・・


鉄道の墓場

そしてウユニの塩産業を独占しているコルチャニ村へ。コルチャニ村の主な産業は塩。村の中には製塩所があり、ウユニの塩を買って帰ることもできる。驚くほど安いのだが、塩は重く、たくさん買って帰れないのが残念だ。
村の入り口にはたくさんのお土産物屋さんが軒を連ねる。ここではアルパカのセーターや帽子、民芸品などいろいろ揃えることができる。
私はここでアルパカのセーターとカラフルな帽子をゲット。これからの旅に役立ちそうだ。

コルチャニ村の製塩所

コルチャニ村

そしていよいよ、念願のウユニ塩湖へ!
塩湖の淵はまだ水が張っていても、地表は茶色い。車を10分位走らせると、ついに憧れてきたような映像が広がってきた。

絶景のウユニ塩湖

高校生の時、テレビで憧れたあの風景!想像を超える絶景を前に、すごい・・・の連発。私の驚きと感動を伝えるにふさわしい言葉がそれ以外に出てこなかった。
さてさて、ウユニ塩湖に来たらやりたかったこと。それはトリック写真撮影。
だがその前に腹ごしらえということで、塩湖のど真ん中でピクニックランチ。ドライバーさんとガイドさんが私の為にテーブルをセットしてくれる。

塩湖でピクニックランチ

簡単だが美味しいランチで空腹を満たし、いよいよ写真撮影スタート。
12月から2月にかけて雨季になるウユニでは、塩湖上に水が張りそれがまるで鏡のようになるのである。ただし運が悪ければ水が十分でないこともある。ひろーい塩湖の中をドライバーさんとガイドさんがベストポイントを探してくれる。

鏡張りに移る私




塩湖でトリック写真撮影

鏡張りの写真を撮るには、ちょうどいい感じの量の雲(多すぎても少なすぎてもダメ)と無風が求められるのだが、残念ながら初日は風が強く、雲が少し多かった。
ウユニは高地だけあって、天候が非常に変わりやすい。特に雨季では日中に雨が降ることもあるので、ウユニには2泊ないと不安だ。
この日このままサンセットツアーも行ったが、ちょうど太陽の沈む位置に雲がかかり、いい感じの写真を撮る事は出来なかった。

ダカールラリーのモニュメントと私

微妙な感じの夕陽

本日マイアミから夜行便で到着したばかりの私は、高所のせいもありかなり疲労がたまっていた。夕飯を摂ることもできず、ベッドになだれ込んだ。
翌日は星空と朝日鑑賞があるので、深夜3時半にホテル発だ。つかの間の休息をとり、深夜目を覚ますと、頭が重い・・・なんか気持ち悪い・・・うぅぅ~これが高山病か。
だるい体を無理やり起こし、ツアーに備える。事前情報ではとにかく寒いとあったので、タイツの上に毛糸のパンツ、裏起毛のあったかズボン、上半身はヒートテックにロングTシャツ、ユニクロのインナーダウンにモコモコのマウンテンパーカ。靴下は2枚重ね+両つま先にホッカイロをプラス。お手元にもホッカイロ2個持ちでニット帽をオン。
スーパーモコモコ状態でツアーに出かけたが、ガイドさんは昼間の洋服にダウンを着ているだけ。ずいぶんラフだ。
移動中も軽い頭痛を感じていたが、いざ塩湖に到着すると、痛みは一瞬のうちに遥かかなたに消え去った。私にとっては高山病より、よっっっぽど二日酔いの方が辛い。でも人ぞれぞれ、その日のコンディション次第だろう。若くてもなる人はなるし、おじいちゃんおばあちゃんでも元気な人は元気だ。
夕方、かなり雲の量が多かったので、星空観賞には一抹の不安を頂いていたが、やっぱりイマイチな星空だった。(先日、ニュージーランドのポカラで超絶すごい星空を見てしまったからかも知れないが、正直この日のコンディションは想像以下だった)

雲が多い星空・・・

でも夜のウユニの楽しみ方は星だけではない!私はある秘密兵器を日本から持参していた。ペンライト~~~!!
百均で売っているペンライトだ。これを使って、暗闇に文字を書き、なおかつ鏡張りの湖に文字を照らし出す、そんな写真を撮りたい!
ただ、ふつうこういうのは大人数でやるもの。一人一文字ずつ書くのが一般的。一人でやるにはかなり体力がいる。カメラを30秒の撮影にして、暗闇に反転文字を書いていく。もちろんシャッターが下りるまでうまくいっているかどうか分からない。
一生懸命一人で闇夜に向かってペンライトを振っては消し、横に移動して書いてを繰り返す姿はちょっぴりシュール。

全然ダメ。失敗作

残念、途中で時間切れ

yes!成功!

こちらは反転をさらに逆に書き、湖面に文字を映しこんでいる。

スーパーモコモコ状態で上下左右に運動するもんだから、かなり汗ばんだ。実際ウユニが最も寒いのは5月頃だそう。このころはマイナス10度くらいになるとか。
徐々に日が昇るにつれ、雲も消えて行った。そして無風。絶好のコンディション到来!

朝と夜の間の時間

真っ暗だった世界が徐々にピンクに色づいていく・・・
朝が夜に溶け込んでいくような、まどろみの時間。空なのか地上なのか分からない不思議な風景。言葉に出来ないほどの美しさ。




朝日鑑賞

満足すぎる星空&朝日ツアーを終え、朝食を食べにホテルへ戻った。ホテルと言えば、今回私は塩湖周辺にある、塩のホテル“ルナサラダ”に宿泊していた。ホテルは壁やベッドの台などがすべて塩のブロックで出来ている。廊下にも塩が撒かれ歩くとザクザクという感触が楽しい。雰囲気満点のユニークなホテルだ。

塩で出来た壁

室内

こちらはまた別の塩のホテル、パラシオ・デル・サル

素敵な室内

塩のホテルでおいしい朝食を食べ、この日も引き続きウユニ塩湖観光。
塩湖に行く前に、まずはコケサのミイラを見に出かけた。
竪穴住居のようなところにミイラがドーンと寝ていて、お供え物が散乱している。
なんていうか、、、ありのままだな(笑)

コケサのミイラ

樹齢200年のサボテン

今日は昨日よりももっとコンディションが良い!
程よい雲と青空、風もなし!
ウユニの水量は非常に変わりやすく、昨日あたり一面鏡張りだったところが、今日の午前中にはすべて水が干上がっている。昨日よりも更に塩湖を走り回り、鏡張りのポイントを探してもらった。それにしても広大な広さに張っていた水が一晩にしてなくなってしまう不思議。本当に神秘に満ちた湖だ。

絶好のコンディション





トリック写真撮影

我がウユニ旅行に一遍の悔いなし!
存分にウユニを楽しみ、翌朝ウユニを立ち、首都ラパスへ飛んだ。
既に初日、1泊分のラパス泊を失っているため3日分の観光を2日間に詰め込んでいる。
チチカカ湖クルーズ、ティワナク遺跡、月の谷と駆け足で巡った。
チチカカ湖クルーズは浮島に上陸しても全く人がおらず、閑散としていた。ペルーサイドのイメージをもって行くとかなり期待は裏切られる。

チチカカ湖の浮島 どんより天気が寂しさに拍車をかける

世界遺産のティワナク遺跡

その名の通り、月面のような月の谷

月の谷にいたチョリータと一緒に

ラパスの街は前述の通り、世界で最も高所にある首都だ。街全体大きなすり鉢状になっていて、そこに行くほど裕福な人が暮らしているそう。高低差の多いラパスの街で市民の足となっているのがロープウェイである。このロープウェイは2014年に開通したばかりで、現在3区間のロープウェイが走っている。このロープウェイはとってもお勧め!
すり鉢状の斜面に並んだ赤レンガの家々がそれはもう見事に見渡すことができる。始発から終点まで乗ると、途中乗継を含めて30分ほど。ラパスの街の大パノラマを楽しむことができる。現在新たに2区間を建設中で、更に標高の高い隣町まで行けるようになるという。

そして、夜はミラドール・キリキリ展望台へ夜景を見に行った。これがまたすごい!すり鉢状に街が広がっているので、夜景に取り囲まれたような絶景なのだ。そう、ラパスの夜景は上から見下ろすのではなく、下から眺める夜景なのだ。下からとはいっても、キリキリ展望台は高台にあり、郊外までよく見える。でもそれ以上に高い位置にも夜景が見えるというわけだ。世界に有名夜景スポットは数あれど、包まれるような夜景に出会えるのはラパスだけ(多分!)だろう。

ミラドール・キリキリからの夜景

そしてラパスで私が一番心ときめいたもの、それはショッピング。
南米でも物価の安いラパスはまさに買い物パラダイス!アルパカセーター1500円、エケコ人形400円、南米らしいカラフルなマンタと呼ばれる大判の布600円、アルパカの磁石50円etc・・・。この独特の色使い、たまりません!もっと買いたかった~

土産物屋が並ぶサガルナガ通り

三つ編み&ハットのチョリータ


十数年の時を経て辿りついたボリビア。
百聞は一見にしかず、何もかもが想像以上だった。まるで違う星に来たかと思うような絶景の連続に、何度言葉を失ったことか。
例え帰国の際、ボリビアを出発するフライトが運休になって、2時間も3時間も待たされて、航空会社に明後日までフライトはないと言われて、なぜかペルーを経由して帰ることとなろうとも、おつりがくるくらい素晴らしい経験となった。
マイアミ ★★★★ ビーチにショッピングになんでも楽しめる!
ウユニ ★★★★★ これぞ絶景!一生忘れることのできない風景がそこに
ラパス ★★★★★ 買い物天国。街中を歩くチョリータも素敵
(2017年1月 久保井奈々子)
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