カンボジアを訪れるのは初めてだったのだが、どこか懐かしさが漂っていました。
恐らく個人的に東南アジアに何度か訪れた為でしょう。
正直なところ、行く前はカンボジアの事は雰囲気がタイやベトナムに似ていて、遺跡がたくさんあるだけで、魅力がそこまであるとは思っていませんでした。一方でなぜカンボジアは遺跡でこれほど人気があるのかを解き明かしてみようと考えてもいました。
ただ今回のカンボジアは7泊9日の中で、シェムリアップに6泊7日して、プノンペンに1泊2日という偏りがあり、少し不安でした。ただ結果から先に言うと、とても良い塩梅だったと思いました。むしろ全日程をシェムリアップの遺跡に費やしても、よかったかもしれません。
カンボジアといえば、恐らく大半以上の人が【遺跡】を連想するでしょう。だからこそ、遺跡自体には興味がなかったが、どんなものか見てみよう!という心持ちで臨んだシェムリアップ。開けてみると奥が深い遺跡の世界が待っていました。
<アンコールトム>
アンコール遺跡群でアンコールワットに続いて、人気がある遺跡です。特にバイヨンには美しいままのレリーフが多く残っており、他の遺跡と比べるとその美しさは歴然です。
またジァヤバルマン7世時代の遺跡のため、仏教とヒンドゥー橋を融合させた四面の彫刻が多数存在し宗教から平安を求めた象徴とされています。
<アンコールワット>
カンボジアの遺跡といえば、1番人気がアンコールワットである事は間違いないでしょう。観光客の方はまずはここに行ってみるべきだと思いました。遺跡が西向きに建てられていることから、昼過ぎに行けば逆光にならず綺麗に写真が撮れます。
ここで最も印書に残ったのは、アンコールワット越しの朝日です。
神秘的でいて、歴史の息吹が朝日に照らされることで、目に見えるような感覚になりました。
<コーケー遺跡群>
シェムリアップ市内から2時間程の距離にあるまさしく遺跡のオンパレード、コーケー遺跡群。数多くの遺跡が中心を囲うように点在しており、見応えは抜群です。
コーケー遺跡群の見所は何と言っても、プラサット・トムと呼ばれる聖なる山を象ったピラミッド調の遺跡です。
以前までは工事の関係で登ることもできなかったそうですが、現在は登ることができ、頂上まで行くことができます。登るのに一苦労ですが、周囲を一望できる眺めは印象に残ります。
<ベンメリア>
ベンメリア遺跡はシェムリアップ市内から1時間ほどの距離にあり、見応えがあらことから、アンコールワット、アンコールトムに続いて人気があります。見所は、修復されていない遺跡そのものを体験できるところです。片づけられてはいますが、崩れた遺跡の上を歩く場所もあります。中には保存の良いものもあり、ベンメリアの蛇神ナーガの像は細部まで確認できるものもあります。
まだ謎が多い遺跡で、どの時代に誰によって建設されたかなどを明らかにする碑文は発見されていません。全貌が明らかになればアンコールワットを凌ぐといわれるほどの規模を持つと推測されているそうです。
また、建物が苔むし、建造物のいたるところに植物が根を伸ばし覆っているさまから、「天空の城ラピュタ」のモデルの一つではないかとも言われています。タプロームの木が至る所に生い茂り、自然と遺跡だけが時間に取り残されているような神秘的でいて、謎めいた様子を見ることができます。
<ロリュオス遺跡群>
アンコール地域から約15km地点にあるこの遺跡群は、8世紀末から9世紀にかけて栄えていました。その後アンコールワットに王都が移転したとされています。つまりアンコールワットの前身。アンコールワットへと移り、どう変化したかを比較して楽しむにはもってこいの場所です。
面積自体はそれ程広くないので、簡単に回ることができますが、残念なことにロレイ遺跡は修復中で、綺麗な状態で見ることができなかったのは心残りでした。
<水中寺院クパルスピアン>
グレン山にある水中寺院クパルスピアン。これもシェムリアップ市内からは少し距離がありますが、行く途中にベンメリア遺跡等によってから行けるので、是非訪れてほしい場所の一つです。ジャングルの中にひっそり眠っており、アンコールワットとの類似点が多く「東のアンコール」ともよばれています。遺跡はジャングルに埋もれており崩壊も進んでいるため歩ける範囲も限られていますが、秘境の遺跡にふさわしいたたずまいをみせています。聖なる川の底にはシヴァ神の彫刻が施されているのは、水量によっては見ることができないので、そこは天候次第です。
さらにその先に三段に渡る滝があり、一番下の落差が高いポイントは圧巻です。
<バンテアイチュマール遺跡>
今回訪れた遺跡の中でもっとも遠く、3時間以上かかりました。タイとの国境付近に位置し、未だ整備がほとんどされていません。観光客は私たちしかおらず、本当に入っていい場所なのか疑うほどです。
ただ、一度中に入ればすぐに時の流れと逆行しているみたいに、老朽化し、苔が生い茂った遺跡が顔を出します。
<サンポールプレイクック遺跡群>
アンコール遺跡群最古の遺跡で、アンコールワットの原型をなすといわれているのがサンポールプレイクックです。シェムリアップ中心地からはかなり距離があり、1日がかりで訪れました。車に揺られること約2時間30分。着いた場所では観光客はほとんど見ることができず、単なる森林のようでした。そんな木々の中にひっそりと点在しているのがサンポールプレイクック。ここは個人的には特にお気に入りです。他に人がいない場でゆっくりと遺跡を見ることができます。またアンコール遺跡群の中では最古の遺跡とされており、ここから始まったと考えると、ルーツを見ることができたような気がします。
お分かりのように今回は遺跡づくしの出張でした。最初は興味が薄かった(ほぼありませんでした)のですが、途中からは他の遺跡と形状や歴史、宗教の違いに興味を持つことができ、結果としてとても充実したように思えます。是非、遺跡目当てで行かれる際は、ちょっと足を伸ばして、サンポールプレイクックやバンテアイチュマール等のマイナーな遺跡を訪れてみることをお勧めします。
カンボジアの遺跡は奥が深いことを知ってしまいました。
機会があれば、またシェムリアップに遺跡を求めて行きたいです。
【おすすめ遺跡】
・アンコールワット★★★
・アンコールトム★★★★
・コーケー遺跡群★★★★
・ベンミリア★★★★★
・ロリュオス遺跡群★★★
・クパルスピアン★★★★
・バンテアイチュマール遺跡群★★★★★
・サンポールプレイクック遺跡群★★★★★
(2014年12月 小沢駿)
このエリアへのツアーはこちら