ガイドブック数ページほどの情報と、好奇心×不安を胸にバヌアツ共和国へと飛び立った。
バヌアツまでの直行便は飛んでいないため、まずエアカランでニューカレドニアまで。1泊した後翌日にバヌアツに到着した。
そこは、温かい人、美味しいご飯、綺麗な海、手つかずの自然・・世界で一番幸せな国とも言われた潜在的な魅力を秘めた国だった。
バヌアツの玄関口はポートヴィラ国際空港。
空港に入るとすぐ1台の小さいバゲージクレームがあり、待たずとも荷物が出てくる。
その隣10歩ほど歩いたところには簡単なイミグレーションカウンターがあり、入国手続きをする。入国すると両替所があるので、こちらで両替。
ヌメアからポートヴィラまでエアカランで入国する場合、機内で入国カードが配られるが、なんとフランス語のみで英語表記がない。ガイドブックにも記入例がなく、同行者と一緒に推測で空欄を埋めた。(お客様には記入例をお渡し致しますのでご安心下さい。)
バヌアツではポートヴィラだけに滞在するよりも、ここを起点に国内線でタンナ島やサント島といった離島へ行くのがおすすめ。
今回私はタンナ島とサント島両方を訪れてきたので紹介したい。
○タンナ島
ポートヴィラから国内線に乗り約1時間でタンナ島到着。
空港を出るとホテルのドライバーが出迎えてくれる。
タンナ島の道はまだ整備されていない。がたがた道を4WDで走る。
フィリピンやメキシコのマンゴーとは違い、小さくて緑色。これってまだ食べ頃じゃないのでは・・と思いつつ口にしてみると、意外と甘くて美味しかった。
この島で感動したことの一つが、島の人たちは10人が10人揃って、車が通ると必ず手を振ってくれること。ドライバーさんはタンナ出身の方で、こちらからも手を振りかえすのがマナーだということを教えてくれた。少し離れたところに立っている子供も、必ず大きく手を振ってくれる。さらに窓から手を出すと、みんなハイタッチをしてくれる。日本だとありえないことだけど、この島の人懐っこさ、あたたかさに感動した。
<カスタムビレッジ>
この島では、実際にまだ昔のままの暮らしを続けている原住民の生活を見学することができる。そこには、服を着ないで生活をしている裸族がいる。男性は藁で作られたナンバスを付け、女性は腰みのだけを身に付けている。
村に入る前に、この村で採れる食べ物を紹介してもらった。本当に食べ物が豊富で、食には困ることがないとのこと。
バヌアツの伝統料理ラップラップを作っているところを見学。
芋を棒ですり、そこにココナッツやアイランドキャベッジといわれる葉っぱを混ぜ、バナナの葉っぱで包んで蒸す。
一方で男性は火を起こすのが仕事。
種から作り、藁を使って慣れた手つきでいとも簡単に火を起こしていた。
今回バヌアツを訪れる前に、バヌアツの家族が日本でホームステイをするという企画のテレビ番組を見た。ここで、まさかの日本に来ていたタマイさん家族のお母さんに会うことができた。
この村では「こんにちは」、「おいしい」、「ありがとう」などすべて同じ言葉「ルア」で通じる。とりあえず、皆「ルア」しか言っていない。「ルア」さえ覚えればこの村の人たちとは仲良くなれる。なんて簡単。
電気もガスもない村だけど、皆本当に幸せそうだった。子供たちの純粋な笑顔に癒され、パワーをもらった。
<ヤスール火山>
この島で一番の見どころが、世界で一番火口に近づけるというヤスール火山。ガタガタ道を約2時間かけてヤスールを目指す。
火山に近付くにつれ、灰でどんどん道が黒くなっていくのが分かる。
ジャングルのような中を進んでいくと、急に砂地の開けたところに出る。ここは火星か、異世界かと思うような光景。
山は砂場で作ったような見た目。そこから不規則にもくもくと煙が出ている。
偶然にも写真を撮っていると綺麗な虹が出てくれた。何とも幻想的な光景。
麓には「世界で一番危険なポスト」が設置されていて、そこからポストカードを出すことができる。
事前に街でポストカードを購入していたので、日本に出してみた。(届くまで、2週間程かかった。)
足元にはごろごろとした火成岩がたくさん落ちている。そして「ゴロゴロゴロ」という大きな音が聞こえてくる。
5分ほどで火口が見えてくる。
そこからもくもくと水蒸気が立ち込め、不規則にドカーンという音と共にマグマが吹き出す。
たまに大きな爆発があると、あまりの迫力に思わず後ずさりしてしまう。
なんだか”地球と向き合っている”気持ちになった。
山の上は天気が変わりやすく、雨が降ることも多いので、雨具かウインドブレーカーが必須。また、夜が綺麗に見えるため、日が沈むのを待ってから下山する。そのため、懐中電灯もマスト。あまり写真は綺麗に撮れなかったが、夜はやはり綺麗だった。
○サント島
タンナ島の火山やカスタムビレッジで刺激を受けたあとに訪れたここは、透き通ったビーチと真っ青なブルーホールがあるまるでパラダイスのような島だった。
サント島は、バヌアツの中で一番大きい島。
空港から主な観光地(ブルーホールやシャンパンビーチ)までの道は1本で、綺麗に整備されている。それ以外の場所はまだまだ整備されていないそう。
<ブルーホール>
サント島には6つのブルーホールが存在する。今回まず訪れたのがリリ・ブルーホール。ブルーホールまで手漕ぎボートに乗って行く。
水は驚くほどに透き通っていて、川底がすぐそこに見える。鳥のさえずりとボートを漕ぐ音以外は何も聞こえない。
10~15分ほど行くと、見たこともない青さのブルーホールが目に飛び込んでくる。神秘的な青さに吸い込まれてしまいそうになる。
そこにロープを使って飛び込む人たち。
私たちも、一緒にターザンジャンプをしたり、シュノーケルをしたりと楽しんだ。あまりの気持ちよさにずっとここでぷかぷかと浮いていたかった。
シャワーがなかったが、ブルーホールの水は真水のため、泳いだあと髪の毛がさらさら、肌もツルツルになっていたのが嬉しかった。毎日ここで泳いでいると肌が若返るとか!
<シャンパンビーチ>
次に訪れたのがシャンパンビーチ。シャンパンビーチという名の由来は、海水と湧き水(真水)が混じる地点があり、そこがシャンパンのように輝くためらしい。
向こう側には、世界遺産のハットアイランドが見える。ここはかつてバヌアツの争いを収めたという伝説のリーダーロイマタの遺体が眠っている島。現在入島は禁止されている。
ここでもシュノーケルをして楽しんだ。少し泳ぐと、魚の群れや、カラフルな魚、イソギンチャクをたくさん見ることができる。人もほとんどおらず、貸切状態なのがまた良いポイント。湧き出るシャンパンを見たかったが、残念ながら見つけることはできなかった。
今回私たちは時間がなかったため日帰りでポートヴィラに戻ったが、サント島には素敵なリゾートホテルもたくさんあったので、是非1泊はしてみて欲しい。
出発までに心配していたのが、バヌアツのご飯。芋とか虫とかしか出てこないんじゃ・・と薬もしっかり持って行っていた。しかし、そんな心配は全く不要だった。
食物が豊富なバヌアツでは、新鮮な野菜が豊富にある。マーケットに行けば、採れたて野菜がたくさん並んでいる。ポートヴィラの街中にあるマーケットは24時間開いていて、遠くから野菜を売りに来た人達が3日間程泊まり込みで売るらしい。(ただし、夜中でも開いてはいるが、おばちゃんたちは寝ているとか。)
また、有名なのがバヌアツビーフ。
オーストラリアからわざわざこのバヌアツビーフを買いに来る人がいるほどらしい。
持ってきた薬を投げ捨てたくなるほど、ご飯は日本人の口にとてもあい、美味しかった。
もう一つ驚いたのがホテルのクオリティの高さ。
あまり期待をしていなかったこともあるが(笑)、本当に素敵なホテルがたくさんあった。今回エファテ、タンナ、サント3島のホテルをたくさん見て回ったが、ほとんどのホテルが満室だった。日本人にはまだまだ知られていないが、オーストラリアやニュージーランドでは大人気のリゾート地らしい。
〇タンナ島〇
*エバーグリーン
*ホワイトグラス
〇サント島〇
*ロペロペロッジ
*ヴィレッジ・デ・サント
〇ポートヴィラ〇
*ワーウィック・ル・ラゴン・リゾート&スパ(プールヴィラ)
*ホリデイインリゾート(水上ヴィラ)
*ザ・ハバナー
*イリリイリリキアイランドリゾート&スパ
今回の旅で素朴なバヌアツの秘める底知れぬ魅力に、衝撃を受けた。
地球の威力を間近に見ることができる場所があり、一方では縄文時代のような生活を幸せそうに続けている人達がいる。そして少し離れれば洗練されたリゾートもあり、目を見張るほど綺麗なビーチもある。何よりも人の温かさを肌で感じることができる。
モルディブのホテルはちょっと高すぎるけど、アジアでは物足りない・・というハネムナーの方にもおすすめ。アクティビティも充実していてご飯美味しい。
世界で最も幸せな国と言われていた理由が本当に分かった気がした。
おすすめポイント
ヤスール火山 ★★★★★
間近で見る火山の噴火は迫力満点!噴火を間近で見れるなんてここバヌアツでしかできない体験。
カスタムビレッジ ★★★★
原住民の人達の生活を見ることができ、とても面白い。とりあえず「ルア」で仲良くなれる。
ブルーホール ★★★★★
その神秘的な青さに吸い込まれそうになる。シュノーケルをすれば楽しいだけじゃなく真水でお肌もスベスベに。
シャンパンビーチ ★★★★★
シャンパンのように輝くビーチでのシュノーケルは最高!人も少なく静かでのんびりできる。
2014年9月 池田郁依
このエリアへのツアーはこちら