今回、私はラトビア政府観光局とリトアニア政府観光局そして、フィンランド航空協力の研修旅行に参加させていただいた。
私が訪れた6月は、バルト三国でも夏の季節に入る。北欧は夏でも寒いだろうと思い込み、長袖をたくさん持ち込んだが、日中の気温は25度前後あり、半袖でも暑いと感じるほどだった。日本のような湿気はなくカラッとして気持ちのよい天気である。朝や夜は冷え込むこともあったが、軽めのパーカーが1枚あればいいくらいだ。またこの時期は、白夜の影響下に入るため夜の22時ごろになっても、お昼と錯覚してしまうくらい明るかった!
今回私が訪れた地域は、リトアニアのヴィリニュス・カウナス・シャウレイ。ラトビアのユールマラ・リガ・スィグルダである。
その中でも、ラトビアでは今の時期だからこそ体験できるものが多くあったので、今回はそちらをメインに紹介したいと思う。
研修3日目、リトアニアのシャウレイからバスでラトビアのバウスカとやってきた。シャウレイの「十字架の丘」で見舞われた豪雨が嘘のように晴れている。ラトビアの旅は、雨が上がりキラキラと輝くルンダーレ宮殿から始まった。
ルンダーレ宮殿は“バルトのベルサイユ”とも言われるようで、その装飾はどれを見てもうっとりしてしまうものだった。黄金の広間、白の広間、バラの間、夫人の部屋など見学コースはかなり広い。1つ1つ説明を聞きながら周るならば1時間では足りないだろう。余裕をもって見学してほしい。ルンダーレ宮殿の見所のもう1つは庭園である。奇麗に整えられたフランス庭園の緑と色鮮やかな花が初夏を思わせる。庭園の隅から隅まで散策するなら、さらに時間に余裕を持ちたいところだ。
夜11時過ぎ、本日滞在するユールマラへと到着。この時間になると、ようやく日が落ちて夜になったなと感じる。ユールマラは首都のリガから電車で20分ほどのところにある海水浴場である。日本の湘南といったところだろうか。100年前から保養地として注目されていた歴史があり、ユールマラ博物館では当時の海水浴のやり方や、水着の変遷などとにかく保養地アピールの資料をたくさん見ることもできる。
ラトビア2日目はリガ郊外のキェメリ国立公園の湿地散策をした。延々と広がる湿地には、木道が一周している。蝶やキツツキ時にはキツネを見られることもあるという。樹齢は高くても、水質の関係からか背の高い木はないので、日差しを遮るものがない。帽子とサングラスがあると便利だ。湿地に行くまでに森林を通るが、そちらでは非常に大きな蚊が飛んでいるので、虫除けスプレーもあるといい。
1時間ほど湿地を散策した後は、国立公園内にある「Valguma Pasaule(潤いの世界)」という施設にある「裸足の道」を体験した。森林の中に作られた約2400メートルの道を裸足で歩くという超健康的なアトラクションだ。5月~10月の夏の時期のみ体験ができる。砂利道や、松ぼっくりの道、泥の道、ガラスの道、丸太の道など様々な道が用意されている。イケイケ20代な私は、余裕で走り抜けてみせる!と意気込んでいたが、1歩目から足の裏に激痛が走り、結局グループの最後尾をへっぴり腰で付いていくこととなった…。痛いのは確かだが、普段ほったらかしの足裏が刺激されるし、子どものように体を動かせるし気持ちよかった。ゴールに着いたときにはなんだか体が軽くなっている気がした。もう1周と言われたら断るが(笑)
さて、せっかく夏のユールマラに滞在するのだから、街も海も満喫しなくては!ユールマラには歩行者天国ユアマス通りがある。1本道の両脇にはレストランやブティック、お菓子屋さんなどが立ち並ぶ。見ているだけでもかわいい通りである。
その道をまっすぐ進むと、砂浜に面する4つ星ホテルのBaltic Beach hotelが姿を現す。今夜は、ここでサンセットディナーだ。ビーチでくつろぐ人々と、ゆっくりと沈んでいく太陽を眺めていると優雅な気持ちになった。食後の運動として遠浅のビーチを走り回る。海水はひんやりと冷たいが、裸足の道で刺激された足へのクールダウンになった。
ラトビア3日目は、リガ近郊にある「ラトビア民族野外博物館」を見学した。ここには18世紀からの様々な民族や地域の建物が展示されている。今回は、この野外博物館で年に2日間だけのイベント「民芸市」をみることができた。広い敷地にはたくさんの出店がびっしりと並んでおり、伝統的な骨董品、リネン、本、家具、フルーツにパンにビール…なんでも揃っている。伝統的な衣装に身を包んだ店員さんや、馬に乗っている人など見ているだけでも楽しめる。物の値段はそのお店によって様々だが、質と値段を見比べて買い物するのも面白い。ビールは1.5~2ユーロくらいでたっぷりと飲めた。この2日間は多くの人が訪れるため、簡易トイレも作られるがトイレ待ちの列ができる。ビールはついつい飲み過ぎないように…。
午後は、雰囲気がガラリと変わり、リガの自由記念碑の近くにあるKGB本部「STURA MAJA(街角の家)」の期間限定(2014年5月~10月まで)の特設展示を見学した。ここはラトビアがソ連に支配された後に置かれた本部で、多くの罪のないラトビア人が拷問を受け処刑された。見学スペースでは射殺場や、多くのラトビア人を収容した部屋、1日1回しか使えなかったトイレなどが生々しく残っていた。射殺場や拷問部屋で写真を撮ったが、シャッターが下りなかったり、撮ったはずなのに画像が変になっていたり…と、これは思い込みかもしれないが、軽い気持ちで見学できるところではないのは確かだった。美しい街にある決して忘れてはいけない歴史を改めて感じる機会となった。
ラトビア4日目、リガから車で1時間ほどのスィグルダを訪れた。深い渓谷と豊かな緑で“ラトビアのスイス”と呼ばれているらしい…。見所は広く散らばっているので、ロープウェーとバスやタクシーを駆使するといい。ちなみに深い渓谷を跨ぐロープウェーからはなんとバンジージャンプをすることができる。私もやってみたかったが、その日はお休みの日であった。その代わりではないが、スィグルダ城址で面白い体験をした。こちらも夏限定のアクティビティなのだが、中世時代の食事や、狩りを体験できるのだ。食事の前には狩りをしなくてはいけない、という中世の掟に従い、弓を射ったり斧を投げたりすることとなった。初めは恥ずかしかったが、いざやってみるとはまってしまう。中世風の食事は、暗く静かなお城の中で食べた。暗い中で食べると、普段、視覚からも味を意識しているというのを実感させられた。
また、スィグルダには遠い昔、恋文を交わしていた薔薇と呼ばれた美しい女性とその恋人の切ない物語が残っている。それにちなんで、近くの紙芸工房では実際に紙を作ったり、手紙を書いて送ったりすることができる。ぜひ大切な家族や恋人に手紙を書いてみてほしい。
私も、今回のリトアニア・ラトビアの研修旅行を思い返しながら手紙を書いて、旅の締めくくりとしよう!と、思ったが・・・
私の書いた手紙はというと、住所を間違えたので、思い出と共にどこかをさ迷い続けることだろう…。
前半に訪れたリトアニアを写真で紹介☆
「ゲティミナス城」
ゲティミナス城は、リトアニアの首都ヴィリニュスの旧市街の丘の上にある。城は13世紀~16世紀に築かれ、最も高い位置にあるゲティミナス塔は現在、博物館と展望台になっている。歴史を学びながら、美しいヴィリニュスの街を眺めることができる絶好のポイントだ。
「ウジュピス」
ヴィリニュスの旧市街の東側にある地域で15世紀~16世紀の街並みを残しながら、近年芸術家がイベントを行うなど、芸術の街に姿を変えてきている。よく意味のわからない標識が立っていたり、4月1日には“ウジュピス共和国”に入るためのパスポートが必要になったりと、ユニークな街。
「パジャイスリス修道院」
カウナスにある18世紀バロック様式の修道院である。建物に入ったとたん冷房が入っているかのようにひんやりとした空気に包まれる。建物内の装飾、フレスコ画、霊室を見学すると涼しさに増して鳥肌が立つ。神聖な空気を持つこの修道院にはレストランと宿泊施設もある。
「十字架の丘」
シャウレイにある十字架の丘は、リトアニア・ラトビアに来たならぜひ訪れてほしい場所の1つである。墓地ではないが、大小無数の十字架がこれでもかと言うくらい立てられていて鳥肌物である。晴れの日の十字架の丘を撮るぞと張り切っていた私だったが、8日間の研修旅行中、唯一、豪雨に見舞われてしまった。これも何かの力の影響だろうか…。
今回の研修旅行を企画して下さった観光局の皆様、並びに研修に参加された皆様、大変お世話になりました。ラトビア・リトアニアに乾杯!!
ユールマラ(ラトビア)★★★★★ ぜひ連泊してビーチでのんびり過ごしたい
裸足の道(ラトビア)★★★★★ 足の裏、刺激してみませんか?
スィグルダ(ラトビア)★★★★ 渓谷と緑が美しい1日散策がおススメ
ウジュピス(リトアニア)★★★★ ヴィリニュス市内観光の際はぜひ足を伸ばして
十字架の丘(リトアニア)★★★ 晴れていたらなぁ・・・
(2014年 6月 鈴木 美冬)
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