ワインジョッキで乾杯!!~ワインの郷を訪ねるスロバキアの旅~

ワインジョッキで乾杯!!~ワインの郷を訪ねるスロバキアの旅~


荘厳華麗な歴史が作った街ウイーン、ヨーロッパの伝統や文化に触れられる国。でもそれだけじゃ少し物足りない!オーストリアのウイーン空港からたった45分でいけるもうひとつの国、スロバキア。オーストリアからエアポートバスで行けてしまう、その気軽さにひかれて4泊5日で訪問しました。スロバキアはお隣のオーストリアよりぐっと素朴で古き良きヨーロッパの原風景が残る国でした。




ブラチスラバの旧市街

ブラチスラバには大道芸人がたくさんいる

オーストリア航空の成田からウイーンへ行き、そこから先は空港の出口から出ているスロバキアの首都ブラチスラバまでバスを利用して向かいます。バス代は8ユーロ。それに荷物代(スーツケース)2ユーロを追加して全部で10ユーロ。この区間は2社のバス会社が運行していて、1時間に1本程度の頻度です。それぞれのバス会社がブラチスラバで異なるバス停に到着します。私のバスはブラチスラバのバスターミナルに到着しました。ターミナルとは言ってもぽつぽつバスが到着しているだけの結構さびしい感じのところ。広いけど、実際バスはほとんどない・・・さらに周辺は昔のロシアみたいな四角くい、どでかい大きなビルに、四角い小さな窓が並ぶマンションともオフィスビルともわからないシンプルな建物が並ぶエリアで、「うわー退屈なところにきてしまった」という(失礼ですが・・・)印象でした。バスターミナルから市内のホテルへはなぜか徒歩をチョイスした私は、時間を大幅に無駄にしてしまいました。タクシーの利用をおすすめいたします。結構距離があります。さらに理由がなんだかよくわからないのですが、ブラチスラバの歩道のそこらじゅう、モグラが出てきそうな感じにコンクリートの地面が隆起していて、キャリーケースなどは転がしにくい。うっかりしたらつまずづいて転んでしまいそうです・・・旧市街は石畳のところが多いのです。

フラブネ広場


町にはポップで楽しいオブジェが

ブラチスラバ中心部は1キロ四方くらいの小さなところ。カフェやレストラン、日本大使館などがある街のセンターとなるフラブネ広場から放射状に古い町並みが広がっています。広場ではお天気がよければ焼き物やはちみつなどを売るマーケットがあったりするにぎやかなエリアです。ブラチスラバの市内にも大きな新しいショッピングモールもできていますが、多くのところでクラシカルな街並みが残ります。

バンスカービストリッツァ駅

翌日からはいよいよスロバキアの中部へ。市内中心部から北に2キロくらいのところにあるブラチスラバ中央駅から、バンスカービストリッツァに行きました。14:02発の列車にのり、約3時間半の列車の旅です。スロバキアはバスも列車もわりときっちり定刻に発車します。この区間は2時間に1本の頻度です。みなさんお乗り遅れのないように・・・。この時期のヨーロッパは夕暮れが遅いのもメリット。夕方5時でもまだまだ日は高くて、夜9時ころにようやく暗くなります。日があるとやっぱり観光もしやすい!バンスカービストリッツァに5時に到着しても、街歩きならこの時間からでも可能です。

バンスカービストリッツァの中心部SNP広場


バンスカービストリッツァは人口8万人の街で、中部スロバキアで中心になる街です。現在は大学の街といわれており多くの学生がここで学んでいます。第二次世界大戦の際にはナチス・ドイツの保護に対しての抵抗運動が起こったところでもあり、民族蜂起司令部がおかれていました。市内には「民族蜂起博物館」がありその歴史を学ぶことができます。戦後はチェコスロバキア領でロシアの強い影響を受けました。そんな歴史的に大きなできごとがあったとは思えないくらい街並みはおだやかで、15分ですべてが見られるくらい小さな旧市街は、SNP広場を中心にカラフルなかわいらしい家々に囲まれています。あたたかくなるこれからのシーズンは通りにレストランのテラスがでて、気持ちのよい風に吹かれながらの食事ができます。1杯1ユーロのビールやワインをぜひ!さらに1枚5ユーロのピザをぜひ!最後は3ユーロのティラミスをぜひ!スロバキアのもう一つの魅力は食事が安いことです。スロバキアのおいしいビール、ワインがたった1ユーロ(すべての値段はもちろんお店により異なります)。うーん幸せ。最近でかけたどこの国よりも安いと思います。

スロバキアの家庭訪問

イノシシの煮込み料理

3日目はお待ちかねのワイン蔵訪問。この日はバンスカービストリッツァから南部にあるバンスカーシュティアヴニッツァまで日本語ガイドさんとともに専用車で、周辺の素朴な村や町を訪問しながら移動します。今回の旅行はあいにく到着した日以外、毎日雨、時にどしゃぶり、ごくまれに小雨とさんざんのお天気だったにもかかわらず、スロバキアの旅行会社、ゼンネットワークスの邦子さんのアレンジによりとても楽しい体験をたくさんさせていただきました。

フロンセックの木造教会

世界遺産になっているフロンセク村の木造教会、スロバキアで一番古い町のクルピナや、一般のご家庭でランチをいただいたりと盛りだくさんの内容の中でした。その中からスタラーホラー村の古いワイン蔵と1991年にオープンしたカルパスカ・ペルラというスロバキアでもまだ数少ない設備のととのったワイナリーのことにフォーカスしたいと思います。スロバキアのワインの生産を少し垣間見てきました。

スタラーホラーのワイン蔵

これまでに作ったワインを1本ずつ残しているそうです

スタラーホラー村はたった700人が住む小さな村です。多くのお宅が洞穴を持っていて、各家庭でワインが作られています。この洞穴がワインセラーの役割を果たすワイン蔵です。この蔵は1700年代から利用されているそう。洞穴の入り口からトンネルのように長細い通路が50メートルくらい続いていて、下り坂になっているトンネルの最後のところにワインの樽が保存されています。中は土を掘っただけの本当にシンプルなもの。現地の土の質によって、掘っただけでもしっかり堅く、その蔵の上に家があっても決してつぶれることはないそうです。蔵の中の気温は8~10度くらいだそうです。どんなに暑い夏でもこの中はひんやりしているそうです。その日は雨が降っていたせいか、とにかく寒かったです。中にはぶどうを収穫してワインを作るときに使われる機械や収穫の道具なども保管されています。家庭によっては毎年1本ずつボトルに詰めたワインを残してそれをディスプレイしたり・・・その家庭ごとにワイン蔵の雰囲気も違います。
毎年できあがるワインは主に家庭での消費がメインだそうですが、秋に行われるワイン祭りではスロバキアのみならず世界からやってきた観光客にも振舞われるそうです。お祭りでなくてもちょっと話が弾めば、「うちのワイン飲んでいきなよー」っていうのは今でもあたりまえなことだそう。ご近所同士の交流にも自家製ワインはかかせないんですね。

赤ワイン

こんな家庭的なワイン蔵も、場所によっては見学や試飲が可能です。今回はマリアさんのお宅のワイン蔵で試飲をしました。ぶどうを収穫してから1年以内にできたワイン。透明度の高くて、まだまだ若い味が特徴。飲み終わると同時にどんどん注がれます。そろそろ酔いが回ったところで失礼させていただきました・・・スタラーホラーのワインが市場に出回ることはないそうで、本当に家庭だけで消費されるワイン。アルコール度数も少し低くて飲みやすいグレープジュースみたいなワインでした。

さくらんぼ摘み

マリアさんのお宅のワイン蔵の前には桜の木があって、収穫のシーズンちょうどだったので、さくらんぼも摘ませていただきました。その時々、季節にあった楽しい体験ができるのも田舎の旅の魅力だと思います。

カルパスカ・ペルラのワイナリー

ソムリエによるワインの解説


次の日に訪問したのがカルパスカ・ペルラというブラチスラバから車で1時間くらいのところにあるワイナリー。ヨーロッパの数々のワインコンテストで優勝もしているワインメーカー。前日とはうって変って、機械化された大きな工場。何百と並ぶ樽の数でその生産量がわかります。随時見学も可能。ワインのとってもいいにおいの中で見学をしているとその樽とぶどうのおいしい匂いに、もう酔っ払いそう・・・
できたてのワインを早く飲んでみたい!!もちろんここでは5種類6ユーロほどで試飲も可能です。試飲のあとはもちろんお買いものもできます。物価のせいなのか、それとも需要がそれほどないのかその辺がよくわからなかったのですが、どんなに高くてもボトル1本10ユーロ以下でとにかく安くて、中には5ユーロのワインも。どれも気軽に飲めるとてもおいしいワインです。ワイナリーには食事をしながらワインも楽しめるレストランも。さらに予約をすればアメリカで勉強をしてきた若いソムリエさんによるテイスティング会にも参加できます。飛び込みだったにもかかわらず、運よくプライベートテイスティング会を開いていただきました。スロバキアだけにしかない品種のぶどう「アンドレ」の開発についてのことや、イタリアワインと混ぜたユニークなワインなど、いろいろなことを教えていただきました。カルパスカ・ペルラは新しいワインづくりにチャレンジする新しいワイナリーでした。

ワインといえばイタリア、フランス・・・ファイブスタークラブのワイナリーを訪ねるツアーでもおなじみの国々。これらの国に負けないくらいワインの生産が盛んなスロバキア。スロバキアの多くのレストランではワインを頼むとジョッキで運ばれてきます。だいたい相場は2ユーロくらいから。この辺ではワインをジョッキで飲みます。たっぷり飲むため?それともテーブルをともにすれば、知らない人とでも話に花が咲き、ワインを片手についつい長居してしまうから?理由はともかくワインのジョッキを片手にシュニッツェルやポテト料理を!古きよきヨーロッパとの街並みとおいしいワイン。ちょっとユニークなワイナリー巡りはいかがでしょうか。ウイーンからすぐ!ゲートも何もない国境をまたげばそこには素朴で美しいもう一つのヨーロッパがあります。
2013年6月 吉木
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