サハラ砂漠のど真ん中で満点の星空が見たい!今流行の“モロッコ雑貨”を買い漁りたい!フェズの迷宮都市を歩いて見たい、そんな理由から私はカサブランカへ飛んだ。
26時間以上のロングフライトに加え、やっと到着したと思ったら列車に乗り換えそこからさらに地獄の4時間。長時間の移動も比較的苦にならない私も、さすがに今回ばかりは肩や腰が軋みはじめていた。旅の初日から一番の楽しみとも言える街に到着してしまった。
昨日の疲れもなんのその、朝早くから目が覚めてしまう、というより起こされた。朝の5時くらいからイスラムの祈りの時間を告げるアザーンが重低音の声で鳴り響く。
とにかく、私のマラケシュでの目的はショッピング!何は無くともショッピング!そう思っていたので、どこを観光するか、などあまり考えていなかった。
申し訳程度に観光地も周ったが、気もそぞろだったので、あえてそこの部分の説明は割愛して、どのようにしたらショッピングを楽しめるのかに重点を置いて話をしたい。
買い物といえば、スークである。マラケシュのスークが一番品揃え豊富だった。モロッコでは値札というものが存在しないところが多い。スークのような観光客が行く店ならなおのこと。値段を聞くと日本人か?と聞かれる。国籍によって値段も変わるのだろう。ひどいところなど、はじめの段階では相場の10倍以上の料金を言ってくる。なので、値引き交渉の1発目は自分でも引くくらい、安い金額から交渉をスタートしないといけない。目標金額の半分くらいの金額を持ちかけてみよう。もちろん相手も商売なので、あまりにばかげた金額を言うと最初から相手にされなくなるのでそこの匙加減が難しい。
そこでお勧めしたいのが伝統工芸館。ここは職人さんたちが適正な価格で高品質なものを売っている。なんと、商品にちゃんと値札が付いている!そしてスークに並ぶものよりかなりイイ仕事をしている。またスークのようなしつこい勧誘もないのでじっくり時間をかけて選ぶことも出来るし、最高の場所だ。先にここで相場を確認しておけば、後にスークでぼったくられるというリスクが激減する。ベルベル絨毯がそれはもうかわいくて、値段も日本で買うのよりとても安いのだけど、先日別のものを買ってしまったばかりだったので、泣く泣く諦めた。よっぽど心残りが会ったのだろう、その後も見かける度に絨毯の写真ばかり撮っていた。後々になって分かるが、ここで売っている絨毯が一番安かったと思う。
物欲が収まった後は、のんびりとフナ広場ウォッチング。
大道芸人がたくさんいるフナ広場は昼間っからとても賑やだ。カメラを向けると抜け目無くチップを要求してくる。一人に付き10ディルハムくらい要求される。勝手にフレームインしてきてチップを要求する輩もいるので、むやみにファインダーをのぞいていると面倒なことになる。
そして夕方からは屋台が軒を並べる。いろんなお店があるので、地元の人で賑わっているお店に入るのがおいしいお店を見つけるコツだそうだ。
翌日、マラケシュからワルザザードへ。
ワルザザードは街自体はあまり見所が多くない。ここはアイト・ベン・ハッドゥに行くための基点となっている。アイト・ベン・ハッドゥは世界遺産にも登録されている要塞都市でモロッコの中で最も状態の良いカスバ(砦のある街のこと)だ。ここはハムナプトラやグラディエーターのロケ地としても有名である。
そしてここでもベルベル絨毯に目がいってしまう、、、
そして車はサハラ砂漠の入り口、メルズーガに到着。それまで裁くというより、岩が転がっている荒涼とした大地だったのが、急に目の前に砂漠が広がるようになる。
これがアフリカ大陸の3分の一を占めるという、あのサハラ砂漠か、、、
ここからラクダに乗り役1時間半。
砂漠の砂はとてもサラサラしていて、そして風も強いのでカメラや携帯には防塵の備えが必要だと痛感した。砂丘を歩くがあまりにサラサラしていてまるで新雪の上を歩いているかのよう。一歩を踏み出すのがとても大変で、砂丘など登ろうものなら息が上がってしまう。そして夜は満天!それはもう満天としか言いようのない星空。砂漠の真ん中で耳を澄ましても何も聞こえない、ただ降るような星空の下いつまでも星を眺めていた。
一番最初にモロッコに興味を持つきっかけとなったのが、フェズの迷宮都市とその中にあるタンネリ。世界一複雑というわれるフェズの旧市街(メディナ)はとてもガイド無しでは歩けない。いや、時間さえあればメディナを迷い歩きたいのだが、半日しかない私には時間を無駄にしている余裕はない。ガイドさんを雇って効率よくメディナを観光した。
こうして怒涛の9日間が幕を閉じた。
やっぱり、モロッコは期待を裏切らなかった。ショッピング、ハマム、砂漠に迷宮都市。何もかもが色鮮やかで、鮮烈な印象を残した。毎日タジン料理の繰り返しで辟易してしまったが、きっといつかまたこの街に戻ってくるんだろうな、と思う。
2012年11月 久保井