ワインの聖地ボルドーとオランダの田舎を専用車で周るツアー

ワインの聖地ボルドーとオランダの田舎を専用車で周るツアー

●KLMオランダ航空でワインの聖地ボルドーへ。
定刻22:10にボルドー空港に到着し、最終のバスに急いで飛び乗る。


7ユーロを払って運転手にホテル名を伝えたがよくわからず、ここから近いぞとテキトーなことを言われ
全然近くないところで降ろされた。仕方なくタクシーを乗り継いでクオリティセンターホテルにチェックイン。
3連泊するので良いホテルであって欲しいと願っていたが、期待以上に良いところだった。
地図で見るとちょっとわかりづらいが、実は絶好のロケーション。街のシンボル大劇場から聖堂へ続くメインストリートのサントカトリーヌ通りを入って少しのところにある。外観は古いが内装はきちんと手入れされていてとても新しくスタイリッシュな部屋。アメニティからセーフティボックスまで細かいところまで行き届いている、バスタブもあるので日本人にはうれしいお勧めホテル、スタンダードクラスにしてはその名の通り、クオリティの高いホテルと感じた。


●サンテミリオンとメドック観光ツアー
翌朝9時が集合時間。9月はサマータイムなので夜は9時近くまで明るいが朝は7時でもまだ暗いので気をつけないと寝坊してしまいそうだ。昨夜は遅かったのでよく見えなかったが大劇場から横から見えるカンコンス広場の像の眺めがとてもいい。

このボルドーの市外区域は2007年に世界遺産に登録された。三日月型に流れるガロンヌ川を中心に発展したことから登録名は「月の港」

市内の移動はトラムが便利。レールから電気を取っているのでパンタグラフのないのが特徴で街の風景がすっきりして、景観保護に一役買っている。目的のカンコンス広場までは5分くらい。
朝陽を背にしたジロンドの記念碑が美しい

ドライバー兼ガイドさんはボルドー在住の日本人女性で言葉の安心感はもちろん、親切丁寧な話が聞けた。
車で東へおよそ1時間、途中緑色のブドウ畑を延々と走り抜け最初の目的地のサンテミリオンへ。

ここはブドウ畑に囲まれた丘の上の小さな町。畑ではブドウの実がぶらさがっていて、9月はまさに収穫をする時期にあたり見学するにはいいタイミングであった。迷路のような丘を登ってシャトーのベコーへ到着

ボルドーには8,000近いワインのシャトーがあるそうだがそのうちの1割はここサンテミリオンにあり、
まさに激戦区。本来は城の意味だが実際はブドウの栽培からワインの製造、出荷まで行う醸造所をシャトーと呼ぶ。
サンテミリオン産のワインを理解するにはやはり造り手の話を聞くのが一番だろう。
ブドウ畑のあと早速製造現場の見学へ、地下の洞窟(カーヴ)は圧巻だ。

何せサンテミリオンの地下洞窟はあわせて全長200キロの長さらしい。地上も迷路だったが地下も迷路。地震があったらどうなるんだろう?と気になってしまう。

一通りの説明を聞いたら最後はお楽しみのテイスティング。実は元々ワインはほとんど飲んだことがないので残念ながら良し悪しがわからない。非常に香りが良くて飲みやすいのだが自分が今まで飲んだことがないことだけは
間違いない。やはり雰囲気と先入観からだろうか、オンチにもそれなりに美味しく感じる


ツアーはこの後、サンテミリオンの村で1時間ほどランチ休憩を取る。

中心に聳え立つシンボルのモノリス教会。

8世紀に修行僧聖エミリオンが隠遁生活を送るためにこの辺りに洞窟を掘ったのがこの村の始まりと言われており彼の死後9世紀に弟子たちが地下の石灰岩をくり抜いて造られた。この石造りの建物が立ち並ぶ中世の町並はブドウ畑も含めサンテミリオン地域として世界遺産に登録されている

午後は北上して名産地のメドック地区、シャトー、プリユレリシーヌを訪問。ブドウ畑を見学して説明を聞いて
からテイスティング。この前のシャトーとは歴史が異なるが同じようにワインに対する愛情、プライドを持った
説明が興味深い。

ワイン造りはやはり自然を相手にする厳しい仕事あって彼らがいかに気持ちを込めて、良いブドウとワインを造っていこうとしているかが伝わってきた。
帰り道に、ブドウ畑でまさに収穫しているところに遭遇したので記念撮影をしてもらいツアーは終了。

●ピラ砂丘と生カキと白ワインツアー
ボルダー市内から西へおよそ1時間、まず最初にピラ砂丘へ。緑濃い松林をくぐりぬけると階段が見える。
普段は無いが観光シーズンとなると即席で設置される、その階段を上って110メートルの高さの頂上へ。

天気があまり良くなかったのが残念だがこれがヨーロッパ一の砂丘かと思うと感激する。晴れた日であれば、アルカション湾全景さらにスペインまで続く松林を見られ、太陽が大西洋に沈んでいく日没の風景がとても美しいロマンチックスポットとして愛されている。団体客が多い中で童心に返って遊ぶ初老の夫婦の姿が印象的だった。

次いでフランスの高級避暑地の一つアルカッションへ。実はここがあのタラソテラピーの発祥地と知った。
元々は結核病の療養地として、そして富裕層の避暑地として発展してきたとても静かな町で、綺麗に区画された町並みは日本でたとえると東京の田園調布だろうか。

ビーチ沿いにはおしゃれなお店が立ち並ぶが今は9月なのでオフに入ってしまい人が少ない。夏になると特にパリなどの大都市やオランダ、ドイツ、イギリスからのバカンス客が多いリゾート地。どちらかというとご年配のご夫婦の姿が目立つ上品な大人の町。

ツアーのプログラムで最も楽しみなのは生カキと白ワインのランチ。水揚げされたばかりの旬の新鮮なカキを食べるのが最大の目的。

アルカションを世界的に有名にさせているのはカキでフランス食用カキのおよそ7割がアルカッション産といわれている。現在アルカッションで養殖されているカキは70年代に日本から移植されているもの、つまりルーツは日本ということになる。水質の良いアルカッションで育ったカキは”R”のつく月が美味いと言われていて、ちょうどSEPTEMBERからOCRTOBERになろうという食べはじめの時期にあたって良かった。
白ワインがあまり好きでない自分も水のように飲みまくり気がつけば1人でほぼ1本あけてしまった。それほどこの取れたての新鮮なカキやシーフードに白ワインが合う。参考までに翌日大好きなビールで生カキを食べて
みたがちょっと合わないと感じた。

●オランダの田舎を車で回るツアーの視察
初めにツアーの予定にはなかったカンティヨン醸造所へ。

ガイドブックでも紹介され、日本に販売代理店のあるこの醸造所で朝から軽くビールをテイスティング。ワインのような香りの良い酸味の利いた未だかつて喉を通したことのない味わいのあるビールをいただいた。
軽くアルコールが入ったところで最初の目的地バールレナッソーを目指してフリーウェイを北上する。
目指すはバールレナッソーという地図で探すのがちょっと難しい小さな村。

この村はオランダの中にベルギーの飛び地が21箇所、さらにその中に8箇所のオランダの飛び地が存在するという複雑かつ不思議な村。

オランダの南、ベルギーのアントワープから車で30分くらいの所にありオランダに属する村はバールレナッソー、ベルギーに属する村はバールレヘルトホと呼ばれている。入国審査がない、パスポートも必要ない、1日に何度でも歩いて海外旅行ができるこの村は2つあわせても人口1万人にも満たない小さな村。村の中にインフォメーションセンターがあり、今回は偶然にも村唯一の専門ガイドさんがいらっしゃったので簡単にこの村の話を聞くことが出来た。

そもそもことの始まりは12世紀。ある公爵の権力争いが原因で今日までずっとこの異常な状態が続いているらしい。国旗や表札または車のナンバープレートでどちらに属しているか判る。ややこしいのは同じビルなのに左がベルギーの会社、右にオランダの会社

最もややこしいのは境界線のある家。半分はオランダ、半分はベルギーという構成になっているのが興味深い。

オランダで起きてベルギーで朝食・・なんだろうか?ちなみに家の中を国境線が通っている場合は、その家の住民全員、正面玄関がある方の国民ということになっているそうだ。1991年のシェンゲン協定でオランダとベルギー間の移動はほぼ完全に自由になったが、このように飛び地が点在している状況では様々な問題が起きるため両国間で何度か飛び地解消に向けた交渉を行われた。しかし税金など生活のルールが違い、住民の反対などもあって、解消されないまま今日に至っている。
次にキンデルダイクへ。世界遺産にも指定されているキンデルダイクの風車はキュ-ケンホフのチューリップと並ぶオランダで有名な観光ポイント。

ロッテルダムから南東へおよそ1時間のところにあって列車とバスを乗り継いで行くのが一般的。洪水被害対策として18世紀に建設された風車はその後オランダを農業大国へと発展させた大功労者で現在もオランダの治水技術の象徴として人々に愛されている。19基の風車が点在するその風景はとても穏やかで感動的。1キロ四方の敷地をじっくり時間をかけて歩いてみるのもいいが自転車を借りてサイクリングロードを風を切って走ってみるのもお勧め。

次に訪れたのはオランダを代表するチーズの故郷ゴーダ。

世界的にも有名なゴーダチーズを生んだこの町はキンデルダイクからおよそ1時間、アムステルダムからも列車で
1時間くらいのところにある運河に囲まれた小さくて静かな町。町の中心地のマルクト広場にはオランダで最も縦長の聖ヤンス教会や現在は博物館となったチーズ計量所がある。中で試食してチーズに関する話を聞くことが
出来た。

ゴーダチーズはエダムチーズと並んでオランダを代表するチーズ。帰りにチーズ専門店を覗いてたくさんの種類を試食。何を飲んだら合うのかな?とつい酒のことが頭をかすめる。

広場のシンボルである市庁舎は全く同じものが長崎のハウステンボスにあるらしく、同行のドライバーさんが興奮していた。ベルギー出身の彼はハウステンボスのオープニングスタッフとして働いていて、今日初めて”本物”を肉眼で見たそうだ。ちょっと不思議な感じがした。白い窓枠と赤い窓が印象的でまるで童話の世界に飛び込んだような気分になる。

そして最後の目的地デルフトに到着。朝9時にブリュッセルを出てここに着いたのが午後4時半。途中の観光を入れてここまでおよそ8時間のコース。
白と青の陶器で世界的にも有名なデルフトはオランダの南にある小さな古都でこぢんまりとした広さとヨーロッパらしい空間が特徴。オランダ美術を代表する画家フェルメールが生まれ育った町としても有名。1日あればじっくり周れる広さなのでアムステルダムから日帰りで訪れることも可能。
デルフト=フェルメールということで日が暮れぬうちに早速、眺望が描かれたといわれているポイントへ。
観光客どころかまったく地元の人を見かけないとても静かなところで、時おり自転車で颯爽と駆け抜けていく若い人の姿を見かけるくらい。ここで何ショットかトライしたがこれが最も雰囲気が近い1枚。

今日の泊まりはデコープハンデルホテル。(別名:3つの金槌亭)ここはフェルメールのお父さんが経営していた由緒ある建物。火事でほとんど焼けてしまったがステンドグラスなど一部の物が残っている。

その他の主な観光スポットは翌日歩いて周った。
フェルメールが埋葬されたとされる街のシンボル旧教会は傾いて見える。


町の中心、マルクト広場に聳え立つ新教会はオランダでは2番目に高い塔。

正面には市庁舎、周りにはバーやお土産屋が多い。天気が良いと展望台からの景色が楽しめるのだがあいにく強風のためクローズしていた。デルフトは学生の町で夜遅くまで賑わっているオランダでは珍しい町。危険な空気もほとんど感じないので夜歩きも安心だと思う。他にもプリンセンホフ博物館やフェルメールにゆかりのある地の探訪やショッピングするなど観光ポイントが豊富で飽きないところだと思う。

運河沿いに石畳の道を歩く、そして夕暮れ時に教会から聞こえてくるカリヨンの響きを聞いていると“ヨーロッパに来たんだな”ということを実感する。デルフトはこのツアーの中で、また行きたい!最もお勧めの町となった。

以上、今回訪れたこの4つはオランダを深く知る意味で必見。交通手段が乏しいのでなかなか個人で効率よく観光することは出来ないので専用車を利用することをお勧めする。
その後、列車でオランダ最大の都市アムステルダムへ。半日で名所と言われるところを歩きまわった。
短い時間の中でも国立で見たフェルメールの名作”牛乳を注ぐ女”が最も印象に残った。先にデルフトを訪れた影響が大きいのだろう。
全体を振り返るとワインシャトー3件、ビール醸造所も3件、1日中しかも朝からアルコールを注入することは休日以外の日本では出来ない。アルコール好きにはとても幸せな旅であったが、おかげでさらに腹が突き出てしまい、元の体型に戻る日が遠のいてしまった。
2012年10月 桜本

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