オーストリア最高峰のグロースグロックナーとザルツカンマーグートへ

オーストリア最高峰のグロースグロックナーとザルツカンマーグートへ


グロースグロックナーをご存知だろうか。標高3,797m、オーストリア最高峰の山だ。周囲は国立公園になっており、間近からグロースグロックナー、そしてオーストリア最大の氷河、パステルツェ氷河の雄大な姿を見られるのである。
今回はこのグロースグロックナーと、玄関口になるザルツカンマーグートを中心に、東欧の田舎を訪れた。


1日目
目が覚めると曇り空。少し肌寒い。実は東京で見た天気予報だと今週のプラハの天気は晴れのち雨。心配しながらも、自分を晴れ女だと信じ、雨具を用意してこなかったことを少し後悔。。。プラハの観光は1日のみ。どうか天気がもちますように!

プラハの観光地は集まっていて、地図で見る限りとても周りやすそうであったため、今回はできるだけ徒歩でまわることにした。
まず訪れたのが火薬塔。17世紀に火薬倉庫として使用されていたためそう呼ばれるそうだが、それまでは旧市街の城壁の門のひとつだったという。町を守っていた門が、今は人々に守られ、生き続けている。

次はこちら。

なんでもない公園のようだが、ずっと歩いていくと、、、


なんと、プラハ本駅につながっているのだ。駅が公園の中にあるなんて、とってもおしゃれ!


国際列車も止まる駅のため、広く、きれいで、人もたくさん。駅にいるだけで、ちょっとした旅気分を味わえる。
駅から南へ進むと、国立博物館があり、その正面にのびる道は、ヴァーツラフ広場と呼ばれる、長い広場となっている。




ところで、プラハは道が広くて歩きやすいが、信号がとても少ない。

こんなに広い道にも信号がない。だからなんとなく、横断歩道のように線が引いてあるところで渡ろうとすると、車はすぐに止まってくれる。譲り合う、ということがとてもできているように感じた。(個人的には怖いので信号を増やしてほしいが。)
ヴァーツラフ広場をまっすぐ進むと旧市街広場につながっている。

とにかく人が多い。旧市庁舎・天文時計・ティーン教会など、見どころがぎゅっと集まっているのも理由のひとつだが、プラハ市内を観光するにも拠点となっているようだ。
旧市街広場を抜けてカレル橋へ行くつもりだったが、地図で見るよりも各観光地が近いように感じたので、ユダヤ人地区へ寄ることにした。

この地区には迫害されたユダヤ人たちが暮らしていたという。旧ユダヤ人墓地やシナゴーグ(ユダヤ教徒の祈りの家、教会堂)が残る。

写真はヨーロッパ最古のシナゴーグ。現在は、とても静かで、落ち着いた町並みとなっていた。
ユダヤ人地区を西へ進むとヴルタヴァ川へ出る。ヴルタヴァ川といってもピンとこないが、「モルダウ」といえば「あー、あのモルダウか!」と納得するのではないか。私も中学校の合唱コンクールを思い出した。


ヴルタヴァ川でも最も有名な橋がカレル橋。プラハ最古の石橋である。

カレル橋にはいつもたくさんの人があふれている。




そして、30の彫像、たくさんの演奏家、アーティストたちが橋をさらに賑やかにしている。
カレル橋から北西にプラハ城がある。門では衛兵さん。



建築博物館ともいわれるプラハにぴったりの迫力ある建築に目を見張る。
プラハ城はもちろんすばらしいが、プラハの町を一望するならペトシーン公園にある展望台がおすすめ。ケーブルカーで10分弱、ケーブルカー乗り場から少し歩くと、エッフェル塔を模して作られたという展望台が現れる。
上まで登るとこんなにも美しい景色が見られる。展望台にはエレベーターがあるが、階段での昇降も可能。行きはエレベーター、帰りは階段というのも面白い。

この展望台、風が吹くと揺れるので、高いところが苦手な人は注意が必要だ。
たくさん歩いた日の夕食。とりあえずビールで、とビールを注文。チェコは国民一人当たりのビールの消費量世界一の、ビール大好き国民なのである。

この500mlで1杯250円くらい。安いところだと150円くらいで飲める。
食事は伝統的な料理が食べたいとオーダー。出てきたのがこれ。

豚膝肉のロースト。
これで1人前らしい。味はおいしかったが、見た目が強烈。女子一人でこんな夕食なので周りの観光客らしき人たちから驚きの目で見られた。
2日目
今日はチェスキークロムロフへ。プラハも世界遺産の町だが、チェスキークロムロフも世界遺産の町。しかもプラハよりずっと小さい町、世界でもっとも美しいと賞賛される町なのだ。チェスキークロムロフへは列車を乗り継いでいくルートもあるが、今回は定期バスを利用することにした。

出発のバスターミナルは地下鉄B線のアンデル駅。ぎりぎりに到着したが、すでにたくさんの人が集まっていた。

荷物はトランクに預け、乗車する。

ざっと数えたところ、70人くらい乗られそうな大きなバス。チェスキークロムロフまでは約3時間。休憩もなく、進む。

(利用していないが、バスには一応トイレがついている。)
あっという間に到着。定刻通りだった。

タクシーは待っていなかった(正確には1台だけ待っていたが、他の乗客が乗ってしまった)ので、仕方なく、少し歩き出した。しかし、全く方向が分からない!!困っていたところ、ガソリンスタンドでタクシー発見!すぐに駆け寄った。
無事にホテル到着。

今日の宿泊は旧市街近くのホテル、ゴールド。とってもかわいいホテル。


ホテルの横にはヴルタヴァ川が流れる。プラハで見たよりもずっと川幅が狭く、対岸の聖ヴィート教会がよく見える。

ホテルから旧市街までは徒歩2-3分。旧市街の中もそうだが、小さな町なのでとても歩きやすい。


美しいと言われる町全体が見たくて、チェスキークロムロフ城を目指した。

石の階段を上ると、やがて門にたどり着く。


入り口の手前、両脇で何やら下を覗き込む人々。その下には、、、

なんと、熊がいる!まさかこんなところで熊に出会うとは、、、
城の至る所からこのように町が見渡せる。

しかし、せっかく来たのなら、城の塔から旧市街全体を見渡すのがおすすめである。




チェスキークロムロフは、美しい緑に囲まれた、今も生き続ける、ため息が出るほど美しい古都なのだ。
さて、チェスキークロムロフに来たなら、味わいたいのがチェスキークロムロフの地ビール、エッゲンベルグである。

町外れのビール工場では、見学もできるようになっているそうだ。
3日目
8:20にタクシーのドライバーさんに迎えに来てもらい、オーストリアのリンツ駅へ。今日はザルツブルグに向かうのだ。リンツ駅まではタクシーで1時間半ときいていた。景色を楽しみにタクシーに乗り込んだが、、、この運転手さん、すっごく飛ばす!!!くねくねと蛇行する山道を猛スピードで飛ばす。後ろで重いスーツケースが右へ左へと動く。このままでは酔うと思ったので、遠くの山を見つめてみるが、この蛇行タクシーにはきかない。しょうがないので寝てみる。こんな日に限って眠くない。でも頑張って寝るんだ!眠れなかったが目を閉じていたおかげで、危機は免れた。気付けばオーストリアに入っていた。結局、どこが国境だったのかも分からなかった。。。運転手さんに「リンツ駅だよ」と言われ、時計を見ると9:25だった。1時間半の予定のところを1時間で来たわけだ。移動時間が短いのは旅行者にとっては有難いが、タクシーを降りてからしばらくは、気分が収まるまで動けなかった。。。

元気になったところでリンツ駅構内へ。まず最初に自分の乗る列車を確認。

時間、プラットフォームを確認。
駅にはカフェ、本屋、スーパー、ドラッグストアなど、国際列車が止まる駅なので施設は充実している。

トイレは有料(50セント)、銀行もあるので使用しない通貨が余っている場合はここで両替もできる(紙幣のみ)。


さて、他のヨーロッパの国でもあることだが、このリンツ駅に「改札」はない。
表示通りの乗り場へ進むと、、、


エスカレーターや階段があって、あがるともうホームなのだ。
パスの場合は乗車前に自分でヴァリデーションをすることを忘れずに。
ホームの表示はAやBといったアルファベットになっていて、自分のチケットは「22号車」。自分の乗る列車の、この22号車がどこに該当するのかを掲示板で確認する。

基本的にホームに駅員さんがいないので、不安な点はホームに行く前に切符売り場等で確認する。どうしてもホームに行ってから迷った場合は、改札がないので戻ることはできる。
リンツからザルツブルグまでは約1時間。乗車した列車はチューリッヒ行きの国際列車のためか、荷物置き場は荷物が溢れていた。

車内ではワゴンの車内販売もある。
自由席と指定席は車両で分かれているわけではないので、座席上のミニ電光掲示板で予約状況を確認する。

これはリンツーザルツブルグ間は指定の意味。時刻の変更などは上のモニターで確認できる。


ザルツブルグも見所は旧市街に集まっている。ザルツァッハ川を渡り、旧市街でも最も賑わうゲトライデガッセを歩くと、ひときわ目を引く黄色の建物がある。

ここはモーツァルトの生家である。モーツァルトは1756年にここで生まれ、1773年まで実際に住んでいたそうだ。


なかは博物館のようになっていて展示が見られる。
賑やかなゲトライデガッセを抜け少し進むと馬洗い池に出る。

映画サウンドオブミュージックにも登場した、美しい場所だ。
旧市街の真ん中で、大きく構えるのは大聖堂。774年に創建され、モーツァルトがオルガン奏者を務めたこともある。大聖堂の前は美しい広場になっている。

大聖堂の横を少し進むと、小さな教会と墓地がある。ザンクト・ペーター教会と墓地である。

ドイツ語圏で現存する最古の修道院のひとつという。

映画サウンドオブミュージックでは、最後にトラップファミリーが逃げ、隠れるシーンで登場する。教会の横の小さな道を進むとホーエンザルツブルグ城塞へ向かうケーブルカー乗り場がある。



往復のケーブルカーとガイドツアー、博物館の入場等、セットになったチケットを購入し、いざ、ケーブルカーへ。
やはり町から眺めるよりも近づいたほうがずっと迫力がある。


美しい旧市街を一望することができる。

昨日までのチェコ、オレンジの屋根の町並みも本当に美しかった。しかし、このザルツブルグの緑に囲まれたヨーロッパらしい景観も本当に美しい。
ホーエンザルツブルグ城塞を後にし、少し下ると教会・修道院がある。

映画サウンドオブミュージックでは、主人公マリアがいた修道院で重要なポイントとなっている。修道院の中は見学できないが、教会は見られるようになている
サウンドオブミュージックと言えば、下記も映画に登場する美しい場所。

モーツァルト小橋。
橋の上からはホーエンザルツ城塞も見られるようになっている。

ミラベル庭園。
オーストリアは緑が多い国だが、こうした庭園・公園なども非常に多く、休日になると多くの人々が出かけるスポットになっている。
4日目
ついにこの日が来た!!
今日はオーストリア最高峰、標高3797mのグロースグロックナーを見に出かける。3000m級の山々が連なる一体はホーエ・タウエルン国立公園となっており、その中のグロースグロックナー山岳道路を通ると、雄大な山々が見られるようになっているのだ。

まずはザルツブルグから車で2時間ほど走る。途中、ドライバーさんに「ここから先はドイツだよ。」と言われる。看板のようなものはあったが、日本国内の県境のようであった。

しばらく進むと、始めはこのような山であったのが、

雪山が姿を見せ始める。

道沿いにはまだまだ雪が残る。

山岳道路に入ると、雄大な山々、大パノラマが続く。

出発から約3時間、最終地点のフランツ・ヨーゼフス・ヘーエに到着。土産物屋やレストランがある。

ここから見られるのが、パステルツェ氷河という、オーストリア最大の大氷河である。
以前はケーブルカーで下まで下りて氷河に近付くことができたが、現在ケーブルカーは閉鎖中。自分で下まで下りてみることにした。

初めは階段になっているが、

途中からは階段とはなかなか呼べなくなる。

こんなに下まで下りると、、、

氷河に接近できる!(但し、氷上は歩けない)

もちろん、氷河とともにグロースグロックナーと山々の迫力も味わえる。
レストランでは、大パノラマを見ながらの食事も楽しめる。
*この山岳道路は、雪の多い冬の時期は閉鎖される。
この日の宿泊は、映画「サウンドオブミュージック」でトラップ邸として一部利用された「レオポルツクロン」ホテルである。

古城を改装して作られた古城ホテルであるが、当時の様子そのままに残っている場所も多く、その豪華さには圧倒される。

ベッドルームは落ち着いた色合い、

アンティークの家具や絵が飾られている。

ゲストが誰でも利用できる部屋があり、

階段や廊下にも絵が飾られている。

美しい天井も見ごたえがある。


庭も美しく、目の前にはサウンドオブミュージックにも登場する湖がある。

美しい図書室もぜひ訪れたい場所。


こんなわくわくするような隠れ階段もある。
そして、この古城ホテルでたっぷり味わいたいのがダイニングルームでの朝食である。




メニューはそれほど多くないが、広い会場、高い高い天井、側面と天井の美しい絵、どれをとってもすばらしい。こんなお城のダイニングで食事をとることはなかなかできない!できればゆっくりと室内や外の景色を眺めながら過ごしたい時間だ。
5日目
美しく感動的なザルツブルグを出発し、ハルシュタットに向かった。ハルシュタットはザルツブルグの南東、ザルツカンマーグートにある人気都市。文化景観遺産として世界遺産となっている。
ザルツブルグからハルシュタットへ行くには列車でアットナング・プッハイムというところまで行き、乗り換える。

乗り換えも含め、列車に乗ること2時間半。
到着したのはこんな駅。

山に囲まれた駅。周りには何もない。列車を降りた全員がフェリー乗り場に向かう。

ハルシュタットは湖の対岸にある村なのだ。
小さなフェリーで湖を渡る。ほんの10分くらいでハルシュタットの町に到着。

ハルシュタットの人口は約870人。町というよりも村、というほうがしっくりくるかもしれない。
今回宿泊したホテルはフェリー乗り場から徒歩1分、町の中心、広場の目の前に位置するゼーホテルグリュナーバウムホテル。


部屋によっては湖の絶景を見ることもできるのが魅力のホテルだ。
ハルシュタットの町には世界最古の塩坑がある。といってもピンと来ないかもしれないが、この塩を見れば気がつくのではないだろうか。

オーストリアは岩塩がとても有名だが、このハルシュタットには世界最古、そして今も操業を続けている採掘坑があるのだ。それだけでもわくわくする。
まず、みんなでこんな作業着に着替える。

グループにはガイドさんがついてくれる。

ここから入る


途中にはこんな滑り台があったり

たくさんの岩塩があったり、

岩塩はその成分によって色が少しずつ変わるそうだ。とっても神秘的。
ハルシュタットに行くならぜひ訪れたい観光地である。
もう1箇所、ハルシュタットで外せない教会がある。正確には、カトリック教会の裏にある納骨堂バインハウスである。

ハルシュタットでは昔、土地が足りず、埋葬後10-20年後に遺骨を取り出し、そこには次の遺体を埋め、遺骨は納骨堂に納められた。納骨堂の中には、約1,000個の頭蓋骨が並ぶ。当たり前だがこんなにたくさんの頭蓋骨を見たのは人生初だった。頭蓋骨には生年月日や亡くなった日とともに美しい花や木がカラフルに描かれている。遺骨がぎっしりの納骨堂内は入った瞬間は鳥肌が立ったが、描かれている絵についての説明文に「Meaning of Love」と書いてあるのを読み、なんだか温かい気持ちになった。愛に溢れてるんだなぁ。
ちなみに最後の遺骨が納められたのは1995年のこと。現在は納骨堂が残るのみだ。
6日目
雨である。予想はしていたが、残念だ。

晴れていればどんなにきれいなことか、、、
思いを巡らせていても仕方ないので、早々にウィーンに向かった。
ウィーンは美しい町である。


他のヨーロッパの都市とも異なり、のんびりとした雰囲気も魅力である。
最後の夜、ホイリゲを訪れた。ウィーン郊外にはブドウ畑がたくさんあり、ワインを造る場所も多い。そんなワインの町には手軽にワインを楽しめるホイリゲがたくさんあるのだ。

今回訪れたのはこちらのお店。


ホイリゲでは自分で食べたいものを選び、量り売りしてもらうスタイルが多い。

ワインとともに。

店内はこんな雰囲気。
ホイリゲは旧市街からもトラムで簡単に行くことができるので、お勧めだ。
7日目
世界遺産のシェーンブルン宮殿は有名である。しかし、その敷地内にある動物園の魅力は、日本ではなかなか知られていないのではないだろうか。


この動物園、1752年に創立し、現存する動物園としては世界最古の歴史があるのだ。
驚くべきはその動物との距離である。


こんなにパンダに大接近できたり、

キリンが間近でえさを食べていたり、

寝ているコアラを近くで見られたり、
こんなに魅力ある動物園は少ないのではないだろうか。
こうして振り返ると、世界遺産、世界最古など、歴史あるもの、美しいものに存分に触れた旅となった。
最後はウィーンのシュテファン寺院から。ウィーンも本当に美しい町だ。

2012年6月 西田

東欧・北欧・ロシアカテゴリの最新記事