私はミャンマーをすごく誤解していました。日本で報道されるミャンマーは軍事的な力の強い政治の事についてや、大きな事件等が起こった際に断片的にそして一方的に入ってくる情報が多かったので10年以上ミャンマーの旅行商品を販売させていただいてはいたのですが仏教の国であること、戦争の時代に沢山の日本兵が亡くなられたこと、軍事的な強い権力の下の国であることぐらいしか正直イメージがありませんでした。今回訪問してみて温かいやさしいミャンマーの人の人々に触れてすごくミャンマーが好きになりました。今ミャンマーを訪問したいという人に会うと身を乗り出して勧めてしまいます。今回私のみてきたミャンマーを少しだけ紹介したいと思います。
ミャンマーを訪問する際に時間が無くても是非古都バガンには足を運んでみていただくことをお勧めします。私が個人的に一番好きになった町は、このバガンでした。遺跡の数も非常に多く正直1泊では足りないくらいです。ミャンマーを訪れる外国人観光客の人数は多いのになぜか遺跡に足を踏み入れるとものすごく静かでおだやかな時間が流れています。気持ちがシャンとして心がおちつくそんな時間を感じられます。仏様のお力なのでしょうか、仏教遺跡の1つ1つはそれぞれに特徴を持ち個性豊かです。
例えはそのなかの1つマヌーハ寺院では幽閉されていた王様が自分を表した座像や寝仏は建物の中に体いっぱい窮屈そうにしている姿は死してなおものすごい年月が経過しているのにもかかわらずその思いが仏遺に表れています。その他にも遺跡に登って大地に沈む夕日を眺めたり、馬車に乗ってのんびり揺られて遺跡を巡ったり、少し郊外の小さな村を訪問したりいくら時間があっても足りません。
バガンには素敵な立地のホテルもあるのでちょっと贅沢して川沿いのリゾートホテルに泊まって景色を楽しみながら食事を楽しみバカンスと遺跡を両方贅沢に楽しむのもまたお勧めです。
古都マンダレーはバガンに比べると都会で宝石や貿易の関係で中国人の方が沢山住んでいるそうですごく町自体に活気がありました。それでも托鉢をする僧侶が歩いている姿をみかけると、都市の中に独特の雰囲気が生まれます。行きかう車の横を托鉢用の入れ物を持って歩く僧侶の姿は不思議な印象を受けます。ミャンマーではあたりまえの事なのですがわれわれ旅行者にしてみるとものすごく目に焼きつきました。
マンダレーではマンダレーヒルに登って夕日の中の仏塔を眺めるのもマンダレーでの楽しみの1つですが、今回ドライバーさんの計らいで日が暮れてから小さな僧院を訪ねるチャンスに恵まれました。まだ子供と呼べるような年齢の修行僧もいて、暗闇の中ついていっていいのかしらと思いながらも僧侶の列に続いて僧院の中へ、あっという間に本堂の中は数え切れないほどの僧侶だらけに月明かりの中でライトも無い小さな本堂で一心不乱にお経を読む姿を目にするとちょっと体に震えがくるような感覚が、その音と雰囲気にのまれて時間を忘れてしまうほど目を離すことができませんでした。予定の日程に無いサプライズの観光はちょっとうれしい限りです。
マンダレーの郊外サガインでは日本人戦没者を慰霊する日本パゴダがありそこで日本から戦争でお父様を亡くされた慰霊に訪れた方々に遭遇しました。神主様と一緒に日本式の慰霊の儀式を行いにこられたそうで、訪問されているご親族ももう高齢でいらっしゃいました。
ミャンマーを訪れると各地で日本人慰霊碑を見かけます。どこもすごくきれいに掃除されていてとてもありがたい気持ちになりました。われわれ若い世代の人が今平和である日本でなに不自由なく生活ができるのは、戦争という厳しい時代があって、家族との別れや、遠く日本から離れたこのミャンマーの地で時代の波にのまれて悲しくもお亡くなりになられた事実を決して忘れてはいけないと思いました。旅をすることで突如として日本の歴史を知り、自分自身が気づかされる事が沢山あります。学校の授業で学生の時に歴史として学ぶだけではない大切なことを知れた気がします。
インレー湖に行くとマンダレーやバガンの古都とはまた景色が一転します。湖のほとりから小船のスピードボードに乗って1時間湖の中心までのクルーズは湖の上を跳ねるように進んでいきます。
少数民族が多く住む水上生活者の暮らしをのぞいたり、水上寺院、水上の畑もあります。独特な技法の魚釣りの風景や、空の雲がぽっかり湖に映る景色は自然の生み出す美しさです。水上のコテージホテルに宿泊すると朝日や夕日も楽しめますし湖畔のニャンシェの田舎町に泊まると時代がタイムスリップしてしまったかのようなすごく田舎の町を楽しめます。住んでいる人々もとても素朴で凧揚げを楽しむ子供達の姿がなにより印象的でした。町を歩いてうろうろするそんな時間も個人旅行ならではの贅沢な時間です。
ミャンマーの田舎に旅をした際には是非路上マーケットに足を運ばれることをおすすめします。どこの国に行ってもマーケットは台所をのぞくようでその国を知ることができて楽しいものですが、インレー湖の近くで見学したマーケットは本当に地元の住民向けのマーケットで少数民族の女性達が活気に溢れたマーケットで商売をしているのが印象的でした。
おばけのようなサイズの野菜や、世にも奇妙な色の天然シャンプー、山のようなゴムサンダルなどより日常生活に近いところに近づけるのはすごく楽しくなりテンションも上がります。屋台のレストランで食事をする地元のみなさんのお皿をのぞかせてもらったり、店主のお母さんが小さな子供を抱えて働いているのでその横で遊ぶ子供たちと遊んでみたり、カメラを構えると撮って撮ってとキラキラした目で次々に声をかけてくれる子供達、姉妹の姉の写真を撮ってあげると小さな妹も撮ってねとお願いする仲良し姉妹。純粋なその笑顔にやられました。本当に素朴です。
インレー湖湖畔のニャンシェの町からさらに2時間今回の旅の大きな目的の1つであるカックー遺跡を訪問しました。以前は、外国人旅行客は訪問できない場所であったそうで、現在も勝手に旅行客が訪問することはできません。民族衣装着た少数民族シャン族の専門の若い女性ガイドさんと一緒に同行していただきます。
カックー遺跡には1000体を超える数え切れないほどの多数の仏塔が集められていて独特の雰囲気をかもしだしていました。風が吹くと仏塔の上の鈴がまるで風鈴のようにチリチリチリンと音をたてて音の雨のようです。その場所だけまるで特別な力が溜まっているようなところで、パワースポットのように感じました。
人知れず、ぽつんとある遺跡ではありますが味があって渦巻くような力を感じる遺跡です。専門のガイドが同行しなければ行けないような行きにくい場所だからこそ旅人の心をくすぐります。帰り道、小さな村に立ち寄り家庭訪問をさせていただいたのですが、それはまるで日本で言うと弥生時代のような建物で、高床式の建物は正直頼りなげな台風がきたら倒れてしまうのではないかという簡素な作りです。そこではインレー湖の湖畔の村よりもさらに奥まったミャンマーをのぞくことができました。
ぐるりとミャンマーのハイライトをまわってヤンゴンの戻ると一転、急に大都会です。急速に進む経済成長に比例するかのようにヤンゴンの街はどんどん変わっているそうです。
ここは東京?思わせるほどの洗練されたカフェがあったり、美味しいタイ料理のレストランもあり外国のグルメも楽しめます。
若者の興味は韓国ドラマの影響で韓流ブームとの事。
街中にはアウンサンスーチーさんの大きなポスター写真が販売されていて絶大な人気振りが伺えました。どんどん新しいものが入ってくる中で、伝統服であるロンジーを着ている人が少なくなってきたり、天然の日焼け止めタナカを使う人が少なくなってしまうのもちょっと寂しい気がします。
でも今日より明日明日、そしてまたその先の未来へと駆け足で発展を続けるミャンマー、旅先で出会った心優しい温かいミャンマーの人々の笑顔がいつまでも続くように平和に発展していくことを願ってやみません。
2011年12月 岡野