自然ってすばらしい!~中国福建省&雲南省の世界遺産ハイライトの旅~

自然ってすばらしい!~中国福建省&雲南省の世界遺産ハイライトの旅~


中国というと、自分の中で騒がしいとかあわただしいというイメージが強かったのだけれど、今回の福建省・雲南省の旅でのどかで空気がきれいな場所をたくさん見て周り、今までの中国のイメージが見事に一新された。もちろん各観光地は観光客で溢れかえっていたけれども、きれいな空気と世界遺産をたっぷり満喫できたのは初めてだった。


自然豊かで空気がきれい!福建省の武夷山&アモイ
上海乗り継ぎなどにより便利になった中国旅行だが、まだまだ日本人観光客が少ないこのアモイ&武夷山。上海から飛行機で1時間半のアモイは住みやすい気候でヨーロッパ風の街並みが魅力で、アモイから飛行機で50分の武夷山はとにかく山、川の大自然がすばらしく、どちらも町自体は大きくなくゆっくり観光できるので、是非おすすめしたい2箇所だ。
武夷山で有名なものは2つ、九曲渓と大紅袍だろう。九曲渓とは名前の通り、峰や岩の間を9つのカーブを描いて流れる川で、是非体験してほしいのはその九曲渓の筏下りである。九曲から一曲まで約1時間半かけて下るもので、流れが緩やかな所と急な所があり、意外と楽しい。6人乗りという決まりがあるようで、一人の私はガイドさんが見つけてきてくれて台湾からの5人グループに混ざりいよいよ出発。船頭さんが岩や峰の説明をしてくれるのだが、中国語が全くできない私は理解できず。前もってガイドさんから少し話しを聞いておくとわかりやすいだろう。また筏下りの終点地の近くに下ってきた九曲から一曲までのおさらいができる小さい博物館があるので帰り際に覗いてみてほしい。


烏龍茶で有名な武夷山だが、大紅袍という名を聞いたことがある人も多いだろう。筏下りの地点から少し北の天心景区にお茶がたくさん栽培されており、最高級の岩茶であるこの大紅袍の原木も茶畑を15分くらい歩いた先の高い岩壁に保存されている。

今はこの大紅袍の原木からお茶をとることはなく、接木からとられた第2~3世代のお茶が売られているようだ。昔、原木からお茶がとられていた頃、1g数十万円したと言われ、皇帝へ献上されたお茶だそう。武夷山の街中には第2~3世代の大紅袍を扱っているお茶の直売所がたくさんあり、試飲もできるので興味があれば寄ってみてほしい。ちなみに私が寄った直売所「不遠復」では元日本語ガイドだった店員さんが、いろいろなお茶を説明してくれ、飲み比べさせてくれた。

武夷山は小さな町なので、観光もほとんど徒歩でできる。2年前に約4億元かけて作られたという中華武夷茶博園からは大王峰を眺めることができる。緑がいっぱいの広場のようなところでゆっくりできる。


そんな自然いっぱいの武夷山を観光し終えて、深夜便でアモイへ。
アモイもまた小さな町ではあるが、武夷山とは雰囲気が全く異なり、ヨーロッパ風の建物が目立つ。道路脇など町にはたくさんの花が栽培されおり、1年中比較的過ごしやすい亜熱帯性気候なのでそれもまた魅力。そんなアモイで観光したのは胡里山砲台と南普佗寺。
1891年から5年かけて作られたという胡里山砲台。入り口から少し歩くと当時の兵隊の寮だった場所が見えてくる。それから要塞を越え、大砲へと続きますが、今でも形をとどめていて、当時の様子が想像できる。要塞の中は博物館になっていていろいろな大砲が展示されている。
砲口の直径28cm、全長約14mの大砲は間近で見るとかなりの迫力。大砲の近くにこの大砲がどれだけの威力だったのかを説明が石に刻まれている。



次に観音菩薩の主要道場の一つされている全国的に有名な南普佗寺。熱心に参拝する人々が多く、中国の人々にとって観音様は大きな存在なのだということがわかった。

さて、観光した順番としては逆になるが、その日の午前にはアモイの港からフェリーで5分のコロンス島を観光した。このコロンス島にはピアノ博物館や、島やアモイを一望できる日光岩がある。2つあるピアノ博物館は世界各国から集めた昔のピアノが展示されており、音楽好きにはたまらないだろう。私も10年ほどピアノの経験があるので、この博物館は非常に興味深いものだった。暑い中、たくさんの観光客に混じり階段を登り、少し大変だった日光岩だが、頂上まで登ると島を一望できるので、コロンス島に行った際は頂上まで登ってほしい。コロンス島は毎日観光客で溢れかえっているが、ここには車が走っていない。みんな徒歩か電気カートでの観光なのだ。電気カートを利用すると、島の主要部分を1周してくれる。ヨーロッパ風の建物が並び、反対側にはビーチも見え、風が心地よかった。
所々に土産物屋やカフェ、ユースホステルもあり活気に満ちていた。


私が一番見たかったのは福建省の世界遺産、土楼である。アモイから車で2時間半のところ、南靖県土楼の田螺坑土楼群を訪れた。
田螺坑土楼群に着くまでの山道でもいくつかの土楼を見ることができ、すでに感動していたのだが、田螺坑土楼群を上から眺めた時、円形、楕円形、方形の計5つが集まって建っている光景に本当に感動した。この土楼とは漢族が住む山村住宅で、1階部分は食堂や
レストラン、2階は穀物の倉庫、3~4階がそれぞれ住居となっているようだ。今では観光地として有名になり、土楼の1階部分や土楼の外では、住民が土産物や干物を売って呼び込みしているので、非常ににぎやか。入口を入ると途端に生活感ただよった空間になるので、面白い。2、3日土楼に滞在したいくらい。


自然や文化の魅力がいっぱい 雲南省 麗江・大理・昆明
さて、福建省の観光も終わり、続いて向かったのは、魅力いっぱいの雲南省。その中でも私が一番楽しんだのは、麗江である。正直麗江の魅力の多さに驚いた。世界遺産にもなっている麗江古城内にはたくさんのレストランやお店が並び、にぎわってはいるが雰囲気の良い場所である。麗江1日目には玉龍雪山を観光した。この日は観光客がとても多く、最初のバス乗り場で1時間半待ち。バスで15分山に登ったところで次はケーブルカーに乗り換える。5分ほどでケーブルカーを降りるが、まだ終わりではない。そこから15分ほど徒歩で山に登り、やっと着いたのが、雲杉坪(海抜3240m)地点。玉龍雪山が近くに見え、すばらしい景色だった。しかし、高山になれた方は是非海抜4506m地点の氷河公園まで行ってほしい。見渡す限り雪の山で絶景だろう。

麗江に滞在した際にはもうひとつ、見てほしいものがある。古城を出て徒歩5分程、麗江民族文化センターで公演される麗水金沙というショーである。地元客、観光客ともに人気のショーでチケットをとるのが難しいそうだ。私も最初はチケットがとれず諦めかけていたのだが、その日は特別観覧客が多かったようで、1公演追加となりその追加公演のチケットが運良くとれたのだ。
ナシ族の習慣や故事ショーで、言葉ではなく音楽に合わせて踊って伝えるものなので、理解しやすいし、面白い。ショーの出演者は皆若く、専門の学校出身者ということで、レベルの高い幻想的なショーである。


麗江2日目には、茶馬古道という南シルクロードといわれる山道での馬乗りを体験した。約2時間のコースでチベットへ続く昔の交易路(山道)を馬で登るのだ。5~6人1グループとなり、1人の馬使いのお兄さんがついてくれる。出発前に一通りの馬の扱い方の説明を受け、馬に乗りいざ茶馬古道へ。ゆっくりゆっくり山道を登って行き、30分ほど行っただろうか、中間地点の少し平地になった川が流れる場所で馬を降り、少し休憩。少し山の方へ歩くと水が湧き出ており、もちろん飲むこともできる。休憩の後、また馬に乗り少し山を登りそれからは下り坂。山を抜け、村に入るとのどかな風景が広がる。少し歩き、最後はボート乗り。小さい池に着くと、船頭さんがボートに乗せてくれる。何もない池だが、近くに山が見え、静かな所でゆっくりと時間が流れた。


午後は麗江東巴(トンパ)博物館へ。ここでは日本語を話す学芸員さんが東巴文字・文化・生活などがいかに貴重なものかを丁寧に説明し、案内をしてくれる。展示室の最後で、その学芸員さんが「日曜日だけここに東巴先生が来ていて、会うこともできるし好きな東巴文字を書いてもらうことができる、丁度良い時に来たね」とのこと。この東巴先生とは東巴の宗教、文化にまつわるあらゆるものを習熟している人のことを言うそう。部屋に入ると東巴先生は熱心に東巴文字を紙に書いていた。実際紙に好きな字を書いてもらうと東巴紙という丈夫な紙でその紙代がかかる。小さい紙150元、大きい紙200元と意外に高いのだが記念にもなるし、東巴文字への興味もあり、購入を決めた。
好きな東巴文字を書いていただけるということで、東巴先生が熱心に書いていた紙の四文字熟語の横に自分の名前の東巴文字にした字を書いていただいた。最後は先生とも記念撮影をさせてもらえた。

翌日、列車にて麗江から大理へ。まさに中国のローカル列車というべき列車だったが、それはそれで現地の人々の普通の生活に交じることができてよい経験だったと思う。1時間半強で大理に到着。そのまま車に乗り込んで、まずは藍染家庭工場へ向かった。工場とは言っても、そこは一般の家庭の家の中で藍染をやっているというだけで、家が特別大きいわけでもなかったが、家の中は藍染の藍染の商品でびっしりだった。藍染の作業をしていたおばちゃんが片言の日本語で一通りの商品を案内してくれる。

次に観光したのは大理のシンボルとも言われている大理三塔寺。入口付近ではたくさんの土産物屋や野菜を売っている人がいて、にぎわっている。正面の大きな門をくぐり、少し歩いた広い庭のような場所に早々と3本の高い塔が見えてくる。間近で見ると圧倒されるくらい迫力があり立派。だが、この三つの塔で終わりではなくお寺は山のほうへ次から次へとお寺が続くのだ。距離にすると1.5~2kmくらいをずっと少しずつの階段と8つのお寺が続く。そして、一番奥にある展望台(望海楼)からは今まで歩いてきた大理三塔寺全体やお寺周辺のすばらしい景色が一望できる。出口の前に池があり、池を手前して大理三塔を眺めると本当に美しい絵になる風景なのだ。



大理古城周辺はちょうどペー族の三月街祭が開かれていて、たくさんの人が遊びにきていた。午後からはこのお祭りを少し覗いてみた。祭りなので、もちろん屋台や出店がずらーっと並んでいる。食べ物のお店、服のお店、電気製品のお店など、なんでも売っていて、規模はかなり大きく、歩いても歩いても終わりがない。もっと奥へ行くと食肉用になる馬やろばも売られているそうだ。大理古城や洋人街は麗江古城に似ているが、雑貨屋やカフェなどおしゃれでノスタルジックな雰囲気だった。


昆明着後、そのまま石林へ。昆明から石林までは車で約1時間半ほど。入り口付近からは緑の多い広い庭という印象を受けた。まずは大石林へ歩いていくと早くも文字の刻まれた写真スポットへ。かつては海底だったという石灰岩でできた石の塔が見渡す限りに広がる石林地帯。長い時間を経て、海底が隆起し、風化によってできた今の形はなんとも不思議だった。石と石の間など後から観光用に作られた細い道が石林内にたくさんあり、階段を登ったり降りたり、トンネルのようになったところをくぐったり、冒険心にかられる。石林をそのまま見るとただの石だが、想像力を働かせて見れば、何にでも見えるというのがポイント。ねずみにみえる石や女性が籠をしょっているように見える石など。大石林の中には展望台があり、迫力のある石林を見下ろすことができる。
小石林は比較的小さな石が集まった地帯で、大石林のように石と石の間のごつごつした所を歩くという感じではなく、庭の中にところどころ石がそびえたっているという感じで少し迫力はないが、景色としてはきれいだ。

このように今回の旅で中国福建省と雲南省の世界遺産を中心にその他各地の有名どころを観光したわけだが、北京・上海のような大都会なところとは違い、雲南省ではたくさんの少数民族が住んでいて、民族ごとに文化も異なり、本当に面白い地域だと実感した。自然が豊かで時間がゆっくりと感じられたし、特に麗江や大理古城にはあと1泊くらい滞在し、ショッピングや少数民族の文化をもっと楽しみたかったなぁと強く思った。福建省・雲南省に旅行する際は、ぜひ大自然とゆったりした時間を感じてほしい。
2011年4月  栗山

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