中国周遊紀行

中国周遊紀行

オリンピックスタジアム20年ぶりにアジアでオリンピックが開催される。今夏、世界中から注目を浴びる事になる北京をはじめ上海、大同の3都市を巡る中国周遊の旅であった。機内から見る北京国際空港は果てしなく巨大なもの。春にリニューアルされたばかりの空港は全てのターミナルを合わせると現在世界最大規模の総面積を持ちとにかくその広さに圧倒されるが、つくりは単純で迷うことはない。無事にガイドさんとも合流し渋滞で混み合う街中、宿泊先の金橋国際公寓ホテルまで50分ほど走り翌日からの観光に備える。


万里の長城北京は世界遺産の宝庫であるが、やはり一番の目玉は万里の長城であろう。
宇宙からもその姿を確認できる建造物としてあまりにも有名で、八達嶺や居庸関等、見所が沢山有る中で私は居庸関を訪れる事にした。そのスケールを目の当たりにして言葉で表現するのは難しい。勾配の急な石段を登るのは想像以上に大変だがそこから見える景色は素晴らしいものである事を約束してくれる。
それと同時にまるで蛇の様に聳え立つ長城の屋根を見ていると、築くのに要した時間や労力などを考えると気が遠くなってしまう。
頤和園市内にある頤和園は12世紀中頃、皇帝の離宮として造られたもので19世紀に西太后が避暑地として再建した。それだけに緑が多くとてもすがすがしく気持ちよい。街中の喧騒に疲れたら是非ここを散歩してみることをお勧めしたい。
くまなく見ようと思えば一日かけても足りないほど広く、世界一の長廊は赤、緑、黄色などカラフルで繊細な絵が天井に描かれておりこの廊下を歩きながら樹木や昆明湖を眺めればとても癒される。お勧めの世界遺産のひとつになった。
やがて大同へ向かう夜行列車の出発時間が迫り、乗車駅の北京西駅へと向かう。各方面行きへの列車のアナウンスが流れる中、ひと際たくさんの乗客が時間まで待っているのが大同行きの列車だ。この日は金曜日という事で週末に移動する人が多く、特に混み合っているのだという。私は海外で寝台列車に乗るのが初めてだったので、楽しみと同時に少し不安もあったが、杞憂であった。上下2段に分かれたベッドが向かいあって4人でひとつの個室をつくる。そんな構造になっている。軟臥と呼ばれるベッドは硬くなく、やや幅が狭いのは否めないが想像よりもきれいであった。そして当日の観光で歩き回り疲れていた私には大同駅到着までの時間は短いものであった。
大同賓館駅前の広場からメインストリートに暖かな陽光が差し込むその街は北京に比べて遥かに田舎で、垢抜けないがどこか懐かしい感じもする。車窓から人々の生活の様子が垣間見る事ができ、15分ほど車で走り大同での宿泊先、白亜の大同賓館が現れる。今回の旅で私が宿泊したホテルの中ではここに1番高い評価を与えたい。開放的で外観や部屋なども綺麗にされており十分満足できた。ひとつの難点はホテルの周りに何もなく、ちょっとしたものを買うのにもかなり歩かないといけない事だ。飲み物などの買出しのついでに2時間ほど散歩をしてみた。町のど真ん中に鼓楼があったりしてそれなりに楽しいのだが、やはりこの町に来る目的は雲崗石窟や懸空時を訪れる拠点になる事だと感じる。
懸空寺
市内から1時間半も走ればとんでもない山奥に来るがそこに突如見えるのが懸空寺で、その姿はまるで岩壁にめり込んでしまったかの様な光景だ。実際階段を登り、中に入ってたくさんの像を見る事ができる。地上を見下ろす景色がスリルはあるのだが思ったほど急ではない。

雲崗石窟大同の主要な世界遺産に雲崗石窟もある。大小様々な大きさで5万体を超える彫像が約1キロにわたり、50ほど点在する洞窟に保存されている。風化が激しいものもあるが、その細やかな彫刻はずっと見ていても飽きないほどだ。
中でも第五窟像は雲崗石窟で最も大きくその高さは17メートルに達する。
柔和で女性的な表情ではあるが、ずっしりと構えた姿が実に力強い。この雲崗石窟を見る為だけに大同を訪れる人が多いわけだ。中国一の石炭の産出量を誇る大同を訪れる事があれば是非この2つは見てほしい。
盧溝橋
朝発の列車で再び北京に戻った私は、市内を散策する事にした。日中戦争のきっかけとなった盧溝橋は、月の名所としても名高い。一体毎に異なる表情の獅子の像が欄干を飾り、その美しいアーチを引き立てる。

北京動物園
広大な敷地を持つ北京動物園もある。目玉はジャイアントパンダであるが、もし時間がとれるようなら午前中に行くのがよい。午後に行くと私の様にあまり動いてくれないパンダをじっと動くまで待たないといけなくなるので。

新北緯飯店北京での最後に弊社でもよく使う新北緯飯店を紹介します。日本人はもちろん、フランスやオランダなどヨーロッパ人が主に利用し、天壇公園まで歩いて20分ほどの距離で散歩がてらに行く方も多いという。ロビーは広く、開放的で部屋は落ち着きのある配色でまとめられた印象。スタンダードクラスホテルとしての機能は持っているといえるだろう。
北京での滞在を終えた私は、再び寝台列車の旅に出るべく、今度は北京駅へと向かう。各地へ向かう列車のアナウンスと大きな荷物を抱えた人ごみでごった返す異様な熱気に包まれその時を待つ。そして今回の最後の滞在先の都市である上海行き列車は動き出した。12時間に及ぶ長距離移動のはずであったが、やはり私には上海の遠さは実感できなかった。まもなく同室の中国人に着いた事を教えられ、慌てて西南出口に向かいガイドさんと合流。改札を出てまず目に飛び込んできたのは、駅前の大きな広場と上海鉄路大廈酒店だ。
上海鉄路大廈酒店
上海鉄路大廈酒店も弊社でよく使用するホテルで、周辺に飲食店や日用品店も多く有り、立地は申し分ない。部屋もなかなか綺麗で居心地良い。バスタブはなく、シャワーのみだが上海の比較的新しいホテルではその傾向にある。

新天地実際に見た上海と北京は大きく街の印象が異なった。上海の繁華街は、例えば南京東路などをとっても日本よりもスケールが大きい。新天地はまるで中国にいる事をふと忘れそうにさえなる。めまぐるしい経済成長にある中、高層ビルが乱立し発展し続ける。しかしそれだけではなく、ノスタルジックな民家や建物がすぐそばに隣接している。そんな対極にある雰囲気を同時に感じられるのも上海の魅力のひとつなのだろう。
周庄朱家角

そんな上海から日帰りでいける観光地として周庄や朱家角がある。いずれも水郷の町として雰囲気はよく似ているが、朱家角の方が上海から近い。遊覧船に乗り、何も考えず風情ある石橋や豪商の屋敷、水面等を眺めたい。そう、ここでは実にゆっくりとした時間が流れるのだ。

今回私が見たのは中国という大国のほんの一部に過ぎない。この国を知っていると言えるようになるには、まだまだ訪問が足りない。
オリンピックに沸きこれからも更なる変化を遂げるであろうこの国を、またいつか訪れようと決心した。
日本からわずかな時間で行く事が出来、素晴らしい遺跡、風光明媚な景色がある中国を旅先に選ぶのも決して悪くないはずだ。是非一度は訪れてほしいと思います。
2008年5月 南口

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