生きてる間に一度は行きたい「パタゴニア」~アルゼンチン・チリ~

生きてる間に一度は行きたい「パタゴニア」~アルゼンチン・チリ~


思えば遠くに来たものだ。伊丹空港を出てから40時間(成田からは36時間)経ってようやく目的地のカラファテに到着。日本からは最も遠い地域の南米の南端・パタゴニアにやってきた。夜7時というのにまだ昼間のように明るい。10時過ぎまで日が落ちない。まだ寝るには早いのでカラファテの街を散策する。小さなこじんまりしたきれいな街でまるでヨーロッパのどこかのようだ。夏はシーズンだけあって街には観光客があふれている。この街は氷河で有名なロス・グラシアレス国立公園のベースとなる街だ。





翌日はロス・グラシアレス国立公園の中の有名なペリト・モレノ氷河に行った。遊歩道が整備され、高さ60M、幅5㎞の氷河が目の前に見える。すぐ手に届くところにこんな巨大な氷河があるなんてとても信じがたい。時たま氷河が崩落する大きな音がするが視界の中には入ってこない。氷河の内部でおきているのだろう。運よく1回だけ氷河の崩落現場を見ることが出来た。夏なので10度はあり多少暖かいが、氷河は壮大にたたずんでいる。



クルーズ船に乗ってさらに近づいてみるとその大きさがさらに実感できる。なんとも言えない綺麗なブルーだ。透明感のある純粋の青さだ。流氷にも触ってみる。何十万年の時間を感じさせる冷たさだ。夕食はガイドのドリスさんの紹介のレストラン・エル・クチャロンで最高に美味しいオニオンスープで体を温めた。


3日目はアルゼンチンから国境を越えてチリのプエルト・ナタレスへ6時間のバス移動だ。入国手続きに結構時間がかかる。ホテルにチェックインしたのは午後3時。遅い昼食を取りに絶品のピザレストラン・メシタ・グランデにてピザをいただく。テーブルの周りは世界中の国から来たバックパッカーの若者で一杯だ。夕食はホテルインスペクションの仕事を終え、エスペランサ湾の真ん前にある最も気に入ったブテックホテル・インディゴで水墨画のような景色を見ながら食事を取った。至福の時間だ。




4日目はパイネ国立公園終日ツアーに参加。どちらかと言うと日本の景観に似ているのでインパクトは少ないが、パイネ・グランデ山を中心にした景色は一見の価値がある。パイネの意味は先住民の言葉で「青」を意味するが、山々の色、氷河の色、空の色はまさに「青」にぴったりだ。最初に1万年前に絶滅した動物「ミロドン」の骨が発掘されたミロドンの洞窟へ寄った。意外に広い洞窟の中にミロドンのレプリカがあり、ツアー参加者は記念撮影を楽しんだ。公園の中には沢山の動物が住んでいる。足がすらりとして気品のあるグアナゴがすぐそばに見られる。実に愛くるしい顔をしている。現地語でカランチョと呼ばれている鳥「カラカラ」も私たちに挨拶してくれている。パイネ山々の中で特に目立って美しいのは、パイネの角という名を持つ山である。角笛に似たそのシャープな姿、近寄りがたい壮厳さ、存在感のある山である。グレイ湖には氷河とそこから流れてきた流氷がぽっかり浮かんでいる。氷河に乗ってクルーズでもできそうな気になる。夕方6時に戻り、またあの絶品ピザハウスへ出かけてしまった。
5日目はプエルト・ナタレスからバスにてカラファテまで逆戻り。夕方の飛行機で世界最南端の都市・ウシュアイアへ向かった。1時間半のデレイでウシュアイアに夜9時に到着。みぞれまじりの嵐の天候だった。


前日の天気がうそのように、6日目はいい天気になった。午前中はティエラ・デル・フェゴ国立公園に行く。ここではなんといってもハイライトは世界最南端を走る蒸気機関車の「地球の果て号」乗車体験だ。約1時間公園の中を走っていく。トイ・トレインなので席は横2人掛け、大の大人も小さくなって遊園地気分を楽しんでいる。窓の外は日本の上高地か尾瀬を思わせる景色が続く。のどかな時間だった。



午後はビーグル水道クルーズに乗船。アルゼンチンとチリとの国境であり、進化論のチャールズ・ダーウィンが乗っていた船のビーグル号の名前を取ってビーグル水道と呼ばれている。陸を見るとウシュアイアの街が厳寒のなかで耐え忍んでいるような景色が重たく続いている。しばらく進むとアザラシとペンギンのいる島がある。まるでクルーズのアクセントをつけるために存在しているようだ。デッキに出ると夏なのにダウンジャケットを着ていても寒い。景色も風も寒い極寒の地で暮らす人の苦労はさぞかし大変なことだろう。この晩の飛行機もまた1時間遅れで、夜中の1時にブエノス・アイレスに着いた。



最終日はブエノス・アイレスの市内観光。南米のパリと言われるだけあってきれいな街だ。明るい日差しと青々とした樹々。笑顔の絶えない人々。お洒落なカフェの並ぶ通り。ここなら住んでもいいと思わせる街だ。中でもお薦めは「カミニート」地区。サッカーのボカ・ジュニアーズ・スタジアムのすぐ近くにある、家々がカラフルにペインティングされた一画だ。家々が美術館の展示物のようだ。タンゴやライブの弾き語りを見聞きしながらビールでも飲んでゆっくり出来たらどんなにいいものか。旅の最後の後悔でした。
2010年12月 本山泰久

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