魅惑のカンボジア&ベトナム2国周遊の旅

魅惑のカンボジア&ベトナム2国周遊の旅


太陽が苦手で胃腸の弱い、わたし。なんにでも酔いやすいし、体力は全然、ない!好奇心はあるけれども極度の心配性。旅行にあまり向かない条件をほぼ満たしているのがわたしなのであります。
そんなわたしが訪れたのはアジアの2つの国、カンボジアとベトナム。歴史好きなので遺跡にはいつか行ってみたいと思っていたものの、暑さという壁に阻まれ、今まで足が遠のいていたカンボジア。料理が大好きで、本場のごはんを食べてみたいと思っていたベトナム。どちらも日本より暑く、そして衛生的に、胃腸的にはあまりよくなさそうな地域です。しかも車移動多し!歩き多し!苦手なものが勢ぞろいの国で、わたしは一体どれだけ楽しむことができるのか。楽しみよりも不安が勝っていた旅のスタートでした。


旅行前に渦巻いていた不安を一気に吹き飛ばしてくれたのは、飛行機を降りたときのカンボジアの澄んだ青空。同じアジアでもこんなに空は違って見えてしまうのね。日本からカンボジアへは直行便がなく、どこかで乗り継ぎが必要。今回はホーチミンで乗り継いで、8時間ほどでカンボジア・シェムリアップへ。何事もなく入国審査を済ませ(カンボジアはビザが必要です。必ず取得すべし!)、荷物をピックアップしガイドさんと合流。シェムリアップに到着して1時間程経過して、ここでやっと、あれだけ恐れを抱いていた気温のことに気付きます。あれ、暑くない・・・むしろちょうどよい!ちょうどよいぞ!夕方に到着したので、日本の9月終わりくらいの過ごしやすい気温だったのです。嬉しい裏切り。これはいい旅の始まりだわと浮かれに浮かれてしまいました。
そんな気分ノリノリの状態をキープしたままでホテルに着き、夜から市内のマーケット観光でも・・・なんてことをベッドの上で考えていたらいつの間にか夢の中でした。
翌日は8時集合、ついにアンコール遺跡観光開始です!朝はまだまだ暑くないはずよ。そう思ったわたしは甘かった。ホテルを一歩出た途端、暑さの洗礼を受けてしまいました。わたしが行ったのは10月下旬から11月上旬にかけて。ちょうど雨季と乾季の入れ替わりの時期なので、雨が降らず観光はしやすいしそこまで暑くないと聞いていたのですが・・・なんせ、暑さへの適応能力が人並み以下なもので・・・見事にものの15分で太陽の威力に負けてしまいました。照りつける太陽のまぶしさで目はいつもの3分の1しかあけていられない。代謝がいいので汗がだらだら流れてくる。もうめまいが・・。これで3日間の遺跡巡りは乗り越えられるのか?!不安が再登場です。
が、しかし。最初の遺跡、アンコール・トムの入り口、南大門に近づくにつれて、そしてその後の遺跡群を見ることによって、わたしの意識は変わってゆくことになります。3日間で数々の遺跡をまわりましたが、その中でも特に思い出深いものをご紹介。
【南大門~バイヨン】
暑さで若干憂鬱になりながらも、南大門を目にする。はじめて見た遺跡は、なんだか現実離れしていて、とてもじゃないけれど、本当にこの世にあるものだと素直に信じられない。まずその門の大きさ。塔の顔の長さだけでも3メートルはあるらしいです。そのスケールにまず圧倒され、これから訪れるバイヨンはどうなっているんだろう?好奇心が芽生え、期待感が膨らみます。もうさっきまでの憂鬱感はなくなっていました。



南大門をくぐり少し歩いてバイヨンへ。バイヨンは、アンコール・トム遺跡のちょうど中心部に位置する遺跡。観世音菩薩の四面塔は全部で54もあります。どこを見ても菩薩が微笑んでいる状態。ありがたい光景です。

回廊にはアンコール時代の人々の生活、出来事を彫ったレリーフがびっしり。立派な芸術品です。



バイヨン遠景。湖に反射した遺跡が美しいっ!
ここだけで1、2時間は滞在できます。見所もりだくさんの遺跡でした。
【タプローム遺跡】

遺跡に絡みつくガジュマルの木々。思わず「バルス!」と叫んでしまいそうになります。そう、ここはジブリアニメの「天空の城ラピュタ」の舞台のモデルになった?かもしれない!と言われている遺跡なのだ!(別の遺跡、ベンメリアかもしれない説もあるし、いやペルーのマチュピチュだ、いやいや元々モデルはない説などいろいろありますが。)ジブリ好きとしてはぜひ訪れてみたかった場所だったので期待度高めで参りました。
壊れかけた寺院、年月を感じさせる苔、遺跡のそこらじゅうを這うガジュマルはたしかに空飛ぶ城ラピュタの内部の様子に似ています。これはモデル説が浮上してもおかしくはないなあ。遺跡の中に一歩踏み入れると、周りにいた多くの観光客の喧騒が一瞬聞こえなくなるくらい引き込まれてしまいます。霊感などはひとつもないわたしですが、この場所に関しては、冒してはいけない神聖な空気を感じてしまいました。ガジュマルと、壊れかけて今にも崩れ落ちそうな遺跡群。静寂の中で、互いに力強く共存している姿を見ていると人間なんてほんとちっぽけであるということを実感してしまいます。



【バンテアイスレイ遺跡】

シェムリアップ市内から車で約1時間いったところにある「女の砦」を意味する寺院。何年か前までは、この遺跡の付近は治安が悪く危険地帯とされていたため行くことができなかったそう。今は安全なのでここもたくさんの観光客が来ていました。
この遺跡の特筆すべき点はその彫刻の細やかさ。


アンコール・トムやワットなどの遺跡も美しかったけれど、ここの彫刻の完成度ははるかにそれらを凌駕しており、圧倒的に美しい!ため息が出てしまいます。細部まで丁寧に作り上げられた神々は飛び出さんばかりに生き生きとした表情。赤い砂岩の色がまたなんとも言えない雰囲気を醸し出してくれています。


中央伽藍には「東洋のモナリザ」と呼ばれる、数あるデバター(女神)像の中でもとくに保存状態がよく美しいといわれる像があるのですが、中央伽藍は立ち入り禁止の場所のため近寄って見ることができませんでした。有名なモナリザの姿は拝めませんでしたが、とにかくひとつひとつの彫刻が素晴らしかったので満足!
ではここで、少し趣向を変えてホテルの話題でも。
遺跡観光は相当体力を使うので、ホテル選びはちゃんとしたほうがいいかもしれません。シェムリアップでは2つのホテルに泊まりました。
【ロイヤルエンパイア】

首都プノンペンへと続く国道6号線沿いにあるホテル。ゴージャス感はそんなにありませんが、遺跡観光で疲れた体を休めるには充分なお部屋でした。6号線沿いにはホテルがどんどん建っています。わたしが行ったときも工事中のホテルがいくつも見られました。
【プリンス・ド・アンコール・ホテル&スパ】


シェムリアップ市内にある4つ星ホテル。観光にとても便利です。徒歩5分以内で新しくできたショッピングセンター「ラッキーモール」にも行けます。スパ&マッサージもあるし、中庭にはプールがあるのでちょっとしたリゾート気分が味わえます。スタッフも英語はよく通じるし、日本語も意思疎通程度ならできたので安心。
シェムリアップは近年観光都市としてどんどん成長しており、よいリゾートホテルがたくさんできています。よいホテルにはプールやジム、スパなどの設備が整っているので、グレードの高いリゾートホテルに泊まるなら1日は観光を休憩して、ホテルにゆっくり滞在してもいいなと思います。それもカンボジアの1つの楽しみ方かなと。スパやマッサージなども日本に比べてお手ごろなのもうれしいところ。
カンボジアのまとめとして。気温とか、治安とか、食べ物とか、心配!な人でも、ひとつ遺跡を見はじめればきっと大丈夫。感動で心配なんてもの忘れてしまいます。事実わたしがそうでした。暑いのがなんだ!帽子をかぶって水を飲めばいいじゃない!歩くのに疲れたら休憩したらいいじゃない。少し我慢すれば、こんなに神秘的で、美しい遺跡たちに出会えるのだから。カンボジアは、何度訪れてもいい!と思える魅力を持っていました。
そんなこんなで遺跡巡りに終始した4日間のカンボジア滞在は終了。ガイドさんに別れを告げシェムリアップ国際空港へ。約1時間程度のフライトでホーチミン・タンソンニャット国際空港へ戻ってきました。最近、ベトナムに入国する際、空路のときのみですが出入国カードがいらなくなったので手続きはとてもスムーズ。これからの4日間ずっとお世話になるガイドさんと合流しホーチミン市内へと向かいました。
ホテルへ向かう車中から眺めたホーチミンの街は、先にカンボジアの街を見てきたからか、かなり都会のような印象。街は車や人やバイクであふれ、かなり活気があります。特にバイクの数!噂には聞いていたけど、やはりバイクの数が圧倒的。ベトナムではバイクは地元の人達にとってはなくてはならない移動手段。車を持っているのは一部のお金持ちだけなんだとか。小型のバイクはベトナムの狭い道路でもどこでも行けるので便利なのだそうです。

ドンコイ通りのあたりには外資系のショップが立ち並び、またガイドさんの話によると最近では高層マンションがどんどん建っているとのこと。なんだか、カンボジアとはお隣りさん同士なのに・・・こんなにも違うものなのか。
いったんホテルへ行き荷物を置いたあと、ついに楽しみにしていたベトナム料理とのご対面!現地の人も、観光客にも大人気の「クアンアンゴン」というレストラン。
えびの塩焼き、ベトナム風オムレツ、えびのすりみを揚げたもの、生春巻き、鶏肉の煮込みなどなどなど、一人でしたがほとんど平らげました。とにかくなんでも美味しい。期待以上!ベトナム料理は、同じアジアでもタイ料理とは違う、スパイスなどを使わない、日本人に合ったやさしい味付けのものが多く、とても食べやすいのです。

今回は、ホーチミンから車で4時間ほど、ビーチリゾートのファンティエットにまで足を伸ばしてみました。
ファンティエットまでの街並みは、ホーチミンから離れるとともに素朴なものになっていき、ベトナムの原風景を垣間見ることができました。視覚的には楽しい道中だったのですが、車に酔いやすい体質の方はご注意。なんにでも酔うわたしはこの道のりで酔うのが怖くて、酔い止めを日本から持参したので大丈夫でしたが。
途中、失礼ながらえ?ここ民家じゃないの?と思ってしまうほど簡素なつくりの食堂へ寄り、あたたかい鶏肉入りラーメンをいただいたのですが、これがびっくりするくらい美味しかった!!食べるのに夢中で写真を撮り忘れました。どうみても衛生的に不安なかんじのお店だったのに(失礼)、こんなに美味しいものが出てくるなんて・・・ベトナムおそるべし。
さて、ファンティエットに到着し、市内からさらに車で15分程度、ムイネーというビーチエリアに。ここは小さめのビーチではあるものの、多数のリゾートホテルが並んでいます。

わたしが滞在したロマナリゾート&スパはムイネー市内から若干離れたところにあるので、車もほとんど通らず、とても静か。のんびりするには最適です。敷地内の庭を散歩しつつ夕暮れの海をじっと眺めていた時間は本当に贅沢なものでした。ちゃっかりマッサージも受けちゃったりして、プールがあっても泳げないわたしなりにリゾートを楽しんでみました。



夕食は市内の現地人が集まる屋台へ。ここがまた楽しかった!漁業がさかんな海辺の町なだけあって新鮮な魚介類がたくさん。日本と違い、生で食べる習慣はないのでお腹的にも安心です。


頼みすぎて料理がテーブルいっぱいに。
屋台は団体のお客さんが多く賑やか!活気に溢れており、こっちまで愉快な気持ちになってきます。ごはんはというと、魚介類が入ったおかゆ、得体の知れない魚(でも美味しかった)、いかの煮込みに炒め物など、ここでもやはり、なんでも美味しくて、もうお腹はいっぱいなのにつめこめるだけつめこんでしまい、これが原因で最終日は腹痛に悩まされました・・・。明らかに食べ過ぎた・・・。改めて振りかえるとベトナムでは食べることしかしていないですね。わたしは食べ過ぎということでお腹を壊しましたが、屋台によっては衛生的によくないところもあるみたいなので、屋台巡りをされたい場合は十分お気をつけてベトナム料理を楽しんでください。

今回のカンボジアとベトナムでつくづく感じたことは、まずやってみないと、行ってみないと分からないということ。苦手だと思っていたことでも、それを一度乗り越えると平気になります。暑いエリアは正直苦手だったけれど、素敵な場所や美味しいもの、楽しいことがたくさんあって、終わってみれば苦手意識や不安は消え、面白かった!という思い出ばかりです。あえて苦手なところに行ってみる、というのも旅の1つのあり方なのかもしれないと実感した旅でした。
2010年11月 相沢

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