香港はイギリスから、マカオはポルトガルから、それぞれ10数年前に中国に返還されたので現在はひとつの国である。ただ、今尚、それぞれに国境があり、使用される通貨も違う。海外からの旅人からすると3つの異なる国である。でも、おかしなことに、香港ではマカオの通貨は使えないが、マカオでは香港の通貨が(支払う側がちょっとだけ損するが・・・)使える。というか受け取ってもらえると表現した方が正しいかもしれない。少々不思議なことではあるのだが、それが微妙なバランスの上に成り立っている中国という国なのだろう。
深夜に香港空港に到着した我々はタクシーでホテルに移動し、翌朝、フェリーでマカオに向かった。本当は深夜でもそのままマカオに移動したかったのだが、残念ながら、香港空港⇔マカオ間のフェリー便はまだ24時間運行にはなっていない。戻りは、マカオから直接、香港空港に移動するため、もう香港には入国しない。そのため、香港には朝食を食べるだけの滞在だったことになる。
マカオまでの1時間の船旅は、台風の影響で強い風雨の中、途中揺られながらの移動になったが、マカオに到着するころには快方に向かってほっとした。さっそく、マカオのフェリーターミナルで両替。マカオでは香港ドルがどこでも使えるので余ったときのリスクを考え、マカオパタカではなく、何かと融通の利く香港ドルに両替することにした。
チェックインにはまだ早い時間だったのでホテルに荷物を預け、予定通り、中国・珠海にある海鮮中華レストラン街へ直行!珠海へは別のフェリーターミナルから小型船で、たったの10分。小さな運河のすぐ向こうが中国なのだ。
小さく古いフェリーターミナルだが、もちろん、そこにもイミグレーションがある。そして免税店もある。そこからレストラン街はゆっくり歩いて10分程。そこは中国なので、途中、銀行に立ち寄り両替した。
その海鮮中華レストラン街の裏手に大きな市場がある。そこに魚屋さんが所狭しと軒を並べているのだが、その数ざっと・・・。すごい数だ。そこで素材を調達してレストランに持ち込んだら調理してくれる。もちろん調理方法は指定できる。それに、レストランの店員さんが魚屋さんに料金交渉もしてくれる。お店がたくさんあるので、どこで買ったらよいかわからないし、今、何が旬なのかも教えてくれるのでありがたいサービスだ。
その市場には酒屋もあって、ワインを買ってレストランに持ち込んだ。ワインなら持込んでもOKというこれまたすばらしいサービス!ということで新鮮な魚介類をたらふく食ってお酒も飲んで一人2,000円チョット。昼食を食べる為だけに国境を越えたのだが、大満足のお昼ご飯でした。
左下:マテ貝のオイスターソース炒め
マカオは誰もが知るカジノシティである。つまり、24時間眠らない不夜城・マカオ。いくつかのカジノをのぞいてみたが、そのどれもが活気に溢れていた。欧米のカジノと違い、カジュアルな感じで堅苦しさは全くない。入場するときにちょっとしたチェックはあるが、服装チェックをしているとは思えない。でも、店内の雰囲気はどれもゴージャス。実際にプレイしなくてもカジノの雰囲気だけでも楽しむことができる。
ここ数年、マカオは目覚しい進化を遂げている。例えば、タイパ島には、超巨大高級リゾートがオープンし、どれも大盛況。何台もの大型バスが連なって利用客を運んでいた。また、高級感溢れるサウナ、スパ・マッサージ施設も数多くよりどりみどり。世界遺産に指定されている30箇所もの歴史的建造物や広場のある歴史市街地区。そして、アジア風情たっぷりのレストランやバーなど男性も女性も楽しめるものがいっぱい。これからも発展し続ける予感プンプンのマカオに注目していきたい。
うまい!!約30分待った甲斐がありました!
心が落ち着く
今回の旅は、もちろん出入国スタンプを集めるのが目的ではなかったが、旅の途中、国境を越えるたびに押される出入国スタンプを眺めていると、いったいいくつのスタンプが押されるのか、そこへの興味が自然と湧いてきた。ところで、今日から小中学生は夏休みに突入したようだ。毎年、夏休みになると、ある鉄道会社が企画する「スタンプラリー」のイベントが開催され、スタンプ帳を手にした小中学生たちが駅を駆け巡る。でも、「スタンプラリー」は子供たちだけのものではなさそうだ。この「スタンプラリー」を「駅巡り」とすると、他に、「銀行・郵便局巡り」、「ミスタードーナツ巡り」、「コンビニ巡り」、「市町村役場巡り」、「カレーハウスCoCo壱番屋巡り」などという物が存在し、少なからぬ愛好者がいるらしいのだ。これらも、もちろん、何某かの“訪問の証”を集めるのが目的である。子供、大人問わず楽しめるのが「巡り」の人気の秘密なのか。
そう言えば、江戸時代から始まったとされる「四国八十八箇所巡り」などの「寺社巡り」も「スタンプラリー」の一種だと思ったりする。“訪問の証”を集める中で、その土地土地の人々とのふれあいや、名所・旧跡を訪問する楽しみも“巡る”ことへの動機付けになるのではないだろうか。「スタンプラリー」も旅のひとつである。
旅券(パスポート)に押される出入国スタンプが集まるうち、いつしかスタンプ収集が海外旅行の目的となってしまうという隠れた愛好家も多いと聞く。
確かに、そんな旅があっても“おもしろいな”と実感できる今回の旅であった。
2010年7月 森