ヨルダン・イスラエル9日間

ヨルダン・イスラエル9日間

 気分はインディ・ジョーンズ!!! 馬車に乗ってエル・ハズネまで一直線。本当はゆっくり歩いて行って気分を盛り上げてご対面したかったのだが、ガイドのハルビーが馬車に飛び乗ったものだから仕方なくこんなことになってしまった。ともあれ狭いシークを壁にぶつかりそうになりながら通り抜け、忽然とその華麗な姿は現れた。薄ピンク色に輝く神殿はまさにヨルダンの宝(トレジャー)と呼ばれるにふさわしい。美味しいものは後でではないが、細く曲がりくねった道の先にこんなに魅力的な神殿が待っているとはまさにビッグ・サプライズだ。ただ驚くのはまだ早い。エル・ハズネを抜けると一気に視界が広がり、ローマ劇場・王家の墓・柱廊・犠牲の祭壇・凱旋門などが建ち並ぶ。ナバタイの人たちよ、よくも後世の私たちのためにペトラ遺跡を残してくれました。感謝!
12月のオフシーズンにもかかわらず、世界中から・ヨーロッパ・台湾・中国などから多くの人が訪れているのは現代世界7不思議の一つとしての人気の高さを表している。


翌日はペトラから1時間半車に乗って、あのアラビアのロレンスの映画の舞台となったワディ・ラムへ向かう。3回も映画を見ているので着く前から胸はドキドキ・ワクワク。入り口のビジターズセンター、資料館、レストラン等実によく整備されていてシステム化されている。よほど多くの観光客が訪れていることが伺える。砂漠の観光には4WD車かラクダでベドウィンの人たちが 案内する。720K㎡もある広大な自然保護区は到底1日では回りきれないが、今回 は3時間コースで有名な箇所を3つ回った。最初は映画の撮影に使われたことでその名がついた「ロレンスの泉」。次は岩に碑文や絵が描かれているカザリ渓谷へ。
狭い岩の間の絵や文字を見ると、古代に戻った錯覚におちいる。最後は綺麗な色をした砂山に行く。こうしてワディ・ラムの中を回っていくと、その広大さ、自然のままの姿、突き抜けるような空の青さに大感動する。映画より何十倍も素晴らしい。もし時間があれば夜はキャンプに泊まりたかった。砂漠での満点の星は次回のお楽しみに取っておこう。キャンプ場はシャワーもありこぎれいでかつアラブのムードもありおすすめだ。
3日目は世界で最も低い土地、海抜マイナス394ⅿにある死海へ向かう。ペトラから実に快適な2時間半のドライブの途中には、渓谷あり、デューンズあり、また遠くにはイスラエルを望む景色を堪能した。主産業の3番目がツーリズムだけに、道路は国内どこへ行っても整備され、思ったより早く目的地に着く。死海の温度は低地なだけに平地より7~8度温度が高い。冬でも25~26度あり、年中泳げる。本当に沈まない。美容のためか黒泥を体中に塗り、キャッキャッ喜んでいる女性達。次回は仕事抜きで自分も死海に入るのだ。周辺には観光客の増加に伴って高級ホテルが建てられている。広大な敷地とスパを誇るモーベンピックと美術館のようなロビーを持つケンピンスキーは超高級ホテルであり、世界の超一流と比べても引けを取らない。マリオットもその次にひかえている。元々あるデッド・シー・スパ・ホテルはファミリー向けには最適で、今年には部屋数が倍の250ルームになる。ホリデイ・インも建設中だ。
4日目はアレンビー橋(ヨルダンではフセイン橋)を渡りイスラエルへ。ヨルダンとイスラエルは和平協定を結んでいるとはいえ、イスラエル側の入国審査は厳しく時間がかかる。ほかの国では味わったことのない緊張感があった。入国後、世界最古の町、エリコで昼食をとる。ここは世界で最も低地にある町で、旧約聖書の中にヨシュアが最初に攻めた町としても有名だ。エルサレムまではヨルダンのそれより整備された高速道路に驚きながら午後到着。宿泊のオリーブ・ツリーホテルはヨーロッパ風の落ち着いたいいホテルで、エルサレム旧市街のダマスカス門に7~8分のところにある。チェックイン後早速その門に出かける。ダマスカス門は8つの城門の中で最も美しいと言われているが、何よりも驚いたのは人の多さだ。門の内外とも市場と化し、生活の場となっている。アラブ系の人が多く想像とはかなり違った。
5日目はガイドのシャフィールに連れられ、エルサレム旧市街を回った。イエスの歩いた悲しみの道・ヴィア・ドロローサを第1留から12留までその跡をたどった。聖墳墓教会ではフィリピンから来た女性達が合流したが、イエスの墓では彼女らは敬虔な祈りを捧げていた。多くのクリスチャンにとってここは神聖な場所であり、特別な意味を持っていることをあらためて感じた。ヨーロッパやアメリカから多くのグループが来ている。韓国のグループも沢山来ている。行ける時期ではないかもしれないが日本人は1~2人見かけた程度だった。次はオリーブ山へ。ケデロンの谷を挟み旧市街が一望できる。黄金の屋根の岩のドーム、正面には黄金門、ライオン門が見える景色は時代を超えて悠然とたたずんでいる。ゲッセマネの園、万国民の教会を見た後、再度旧市街に入り、「嘆きの壁」を訪れる。男女を分けるついたてがあり一緒には祈りを捧げられない。写真で見るとおりひげをつけたユダヤ人教職が祈りを捧げている。パレスチナ人のガイド・シャフィールにここが嘆きの壁
かと確認したら、我々はそうは言わない、「西の壁」だと言う。立場によって呼び方も変るのだ。イスラム教にとっても、ユダヤ教にとっても、キリスト教にとってもここは聖地なのだ。ただ、多くの人が訪れる世界屈指の観光地であることは間違いないといえる。
午後は、イエスの生誕の地、ベツレヘムへ向かう。パレスチナ自治区にあるのでパスポートの提示を求められることがある。イエスの聖誕の地に作られた聖誕教会、神の使いが羊飼いに聖誕を告げた「羊飼いの野」などを見て回り観光を終える。
6日目はアンマンに戻り、午後はホテルインスペクションをする。ヨルダンのホテルの質はかなり高いが、アンマンでも高級ホテルが勢ぞろいだ。フォーシーズン、インターコンチネンタル、シェラトン、マリオット、ケンピンスキーなど。4星ではセンチュリー・パークがお勧め。
 いよいよ最終日、先ずダウンタウンのローマンセアターと周辺を訪れる。この辺りは見所が多い。丘の上にはアンマン城(シタデル:城塞)とヘラクレス神殿があり、ここから見渡すアンマンの景色は格別だ。ローマンセアターは2世紀に造られ、収容人数6000人の大劇場だ。周辺は小さな公園になっていて市民の憩いの場所となっている。隣には小ぶりながらローマンスタジアムもある。買い物もこの周辺に沢山お店があって便利だ。
 次は今回の旅の最後の地、アンマンから北へ約50kmにある2000年前の古代都市「ジェラシュ」を訪れる。世界遺産でもないし、まだ名前もさほど売れていないがここはすごい。地震や自然劣化で崩れてはいるものの、その規模も、姿も驚くほど素晴らしい。紀元後50~60年頃から、ローマ帝国の繁栄に伴いジェラシュはローマ人がアラブに造ったローマ都市の中で最大規模の都市になった。その後600年の間繁栄を続けたが、12世紀以降19世紀に発見されるまで忘れられた都市となった。そして今、各国の支援により復旧活動がなされている。その柱廊は長く美しいフォルムを描き出し、南劇場・北劇場は繁栄の証しであり、大聖堂をはじめ多くの教会は高い信仰心を表している。ヨルダンといえばペトラと言われるのが、ペトラとジェラシュと言われる日も近いかもしれない。ワディ・ラムもお忘れなく。
2008年12月2日~10日  本山泰久

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