光と影、空と海、青と白、歌と踊り、ロブスターとエビ、たばこと葉巻、ビールとラム この世の喜びがいっぱい詰まったキューバへ行こう!

光と影、空と海、青と白、歌と踊り、ロブスターとエビ、たばこと葉巻、ビールとラム この世の喜びがいっぱい詰まったキューバへ行こう!


この旅の最後の夜はハバナで迎えた。ハバナで有名なナイトスポット「カサ・デ・ラ・ムシカ」へ行ってみたかったのでスタッフに場所の確認をしたのだが「そこよりもっといい場所を紹介しますよ、お客様」とデスクから顔をあげたその顔は自信たっぷり。彼はこのホテルのフロントマネージャーだ。



私が泊まったホテル「CONDE DE VILLANUEVA」


このホテルに最初に到着したのは3日前。生まれて初めてキューバに降り立ちそのまま市内観光を終えてこのホテルに着いた。その時もこのマネージャーが対応してくれた。チェックインの手続きが終わるや、「お客様、この後のご予定はお決まりですか?」と。16時を少し過ぎたころだった。

ヘミングウェイ博物館

ヘミングウェイが足繁く通ったレストラン「ラ・テラサ」の彼の場所

1704年に建てられたカテドラル

ハバナクラブ博物館のバーテンダー

実は、次の日、国内線で移動するため、空港送迎のバスが夜中の3時に滞在中のすぐ近くのホテルにやってくる。元々は4時だったのだが、この日の市内観光中に急遽変更になったと代理店から連絡があったのだ。そのフライトは定期便ではなくチャーター便なので頻繁にこのようなことが起きるそうだ。つまり、今晩はほとんど眠ることができない。今すぐに寝てもよかったが、この夜と3日後の2晩しかないハバナの貴重な夜を無駄にするわけにはいかない。そこで私は、仮眠したあと晩ごはんを食べることに決め、マネージャーにレストランを紹介してくれるようお願いした。



ホテルのマネージャー推薦ハバナで最高のレストランとロブスター料理

エビもおいしい!

するとマネージャーは、我が意を得たりと「私がこれまで行ったことのあるハバナで最高のレストランを予約します。何時からにしますか」と笑顔で返してきた。目的はいろいろあるだろうが、彼はお客とのコミュニケーションを大切にする人なのだと思った。何故なら、確かにすばらしいレストランだったし、最後の夜も素晴らしい体験をさせてくれた。
さて、深い仮の眠りから這い出てきた私は19時30分にフロントへ行った。レストランを20時に予約してもらっていたからだ。私に気付いたマネージャーは満面の笑みだ。レストランの場所を尋ねた私に、「彼がご案内します」と大柄の男性スタッフを紹介した。
レストランへの道すがらお互いの家族の話をしながらプライベートな国際交流に花を咲かす。レストランに到着したが、外観は質素なことこの上ない。大丈夫かと不安になったが中に入るとちょっとびっくり。高級レストランではないか。メニューを見せてもらい選んだのがロブスター。キューバは、ロブスターが安く食べられることで有名で是非食べなければと思っていたのでちょうどよかった。本当にかゆいところに手が届く接客だ。ところで、わざわざ連れてきてもらうほどの距離でもないし、方向音痴の私でも迷いようのない場所にレストランはあったのだが細やかな対応をしてくれたものだ。
ロブスターをおいしくいただきホテルに戻った私は、ロビーで勤務中の2人に感謝の気持ちを伝え翌日の準備をするために部屋に戻った。

ツアーの集合場所のホテルイザベル

3時に迎えに来るとは言え早めに来ることもあるらしい。だからこちらも早めに集合するしかない。私は2時過ぎに起きて集合場所のホテル・サンタ・イザベルへ向かうためロビーにおりるとマネージャーがソファーで仮眠していた。ホテル勤務はたいへんだ。2日後のこのホテルでの再開を約束して私は誰もいないハバナの夜の通りに吸い出された。
これまで海外で深夜の集合を体験したことはあまりない。もしも手配がちゃんとできていなかったら、担当者が寝坊して来なかったらと考えると心細くなる。深夜となるとなおのことだ。特に今回は飛行機に乗るので乗り損ねたらやっかいだ。
集合場所への道中、犬一匹以外とは誰とも出会わなかった。1月のハバナは冬だけあって1日中暖かいわけではない。日没から最も気温の下がる深夜にかけてはジャンパーやコートは必須だ。寒さは不思議と不安感を煽る。その犬は私の不安を察してか集合場所まで一緒についてきてくれてベンチに座った私の足元に横たわった。集合時間である3時になったがそれまでの約30分間、誰もやってこない。人影すらみることはなかった。昼間は観光客でごったがえすメイン通りなのだが・・・。心細さがどんどん募ってくる。送迎バスはホテルを何か所か立ち寄って空港へ向かう。このポイントからの乗車は私だけだったのだ。


早朝の国内線専用ターミナル

それまでずっと眠っていた犬が突然立ち上がり唸り声を上げながらすたすたと前へ歩いていった。するとその犬は間もなく遠吠えを始めたのだ。集合時間の3時を待っていたかのように。もしかすると担当者がその声を頼りに迎えに来てくれるのかなと期待したが、その時が来たのはそれから15分後だった。それさえも長い時間に感じてしまった。私は、集合時間から15分過ぎても係員が来ないときは現地旅行社に電話するようにしているが、電話をしようと立ち上がり周辺の通りをチェックし始めたまさにその時だった。暗闇から黄色いジャンパーを着た係員が私の名前を呼んだ。「来てくれてありがとう」と握手したかったがやめた。
最初は私を含め数人だった大型バスの乗客は最終的に満員になった。40人くらいの人数だ。国内線専用ターミナルに到着するとさらに多くの利用者がいた。国内線のフライトは早朝からたくさん飛んでいるようだった。

カヨ・ラルゴ行きのチャーター便と空港

どこででも歌と踊りで歓迎してくれる

Hiroshi Hiroshi(私の名前)とかわいがってくれたカヨラルゴ日帰りツアーに同行していた陽気なガイドさん

私の次の目的地はカヨ・ラルゴ。キューバ本島の南約100kmの距離に位置する小さな島のリゾート地だ。そこを訪れることが今回の旅の大きなテーマのひとつだった。
カヨ・ラルゴには世界で指折りの美しいビーチがある。真っ白い砂浜とミルキーブルーにも見える透明度の高い海は死ぬまでに見ておきたい絶景のひとつ。ハバナから空路でわずか30分ほど。あっという間にキューバの楽園に到着だ。

プラヤ・シレナ行きの送迎車

その絶景ポイントは「プラヤ・シレナ」と呼ばれるビーチだ。ホテルゾーンから車で15分くらいの距離なので歩いて行けないこともない。鉄道型の有料送迎車が1日3往復運行されているので時間が合えば乗ってみるのも楽しいだろう。「プラヤ・シレナ」に隣接する「プラヤ・パライソ」へは徒歩で移動でき、こちらのビーチも素晴らしい青と白の世界を堪能できる。また、ホテルのプライベートビーチでもその2つのビーチに負けず劣らず、存分にリゾート気分を味わえる。




プラヤ・シレナとプラヤ・パライソ

島内はどのホテルもオールインクルーシブ型のリゾートホテルだ。食事は朝昼晩ビュッフェスタイルで飲み物はアルコールも含まれているからうれしい。朝食は卵料理やハム、ベーコンをその場で調理。昼食は焼きたての新鮮な魚や肉を白砂のビーチを眺めながらいただき、夕食は肉や魚のステーキをお好みの焼き加減で、また、いろんな種類のパスタとソースが並べられよりどりみどり。豊富なメニューのお食事が食べ放題。


調理したてのお料理も食べられる

旅慣れた旅行客はマイタンブラーを持参し、そこにビールやモヒート、コーヒーをいれてもらい思い思いの場所で楽しんでいた。ビーチバレーやエクササイズ、スペイン語教室やナイトショーなどホテル主催の魅力的な日替わりアクティビティもあり飽きさせない工夫もばっちりだ。
ビュッフェスタイルの朝昼晩の食事は、開始と終了時間が決められているだけで、ホテルにいる人が誰でも利用することができる。チェックイン前でもチェックアウト後でも関係ない。私は、このホテルに朝早くに着いた。フロントはチェックインのお客でごった返していたので、先に朝食を食べた。オールインクルーシブのシステムはグレートだ。




食べ放題&飲み放題はすばらしい、オールインクルーシブプランを楽しもう!

カヨ・ラルゴからハバナへ戻るフライトも前日に最終的なスケジュールが決まることになっていた。予定では15時だったので最終日もゆっくりできるはずだった。
実は、私のカヨ・ラルゴ滞在の2日間は曇り勝ちで消化不良の状態が続いていたので、私は最終日が晴れ渡ることを熱望していた。最終スケジュールはホテルのフロントで確認するシステムになっている。前日の夕方頃に部屋番号とホテルを出発する時間が書かれた紙がフロントデスクに置かれる。つまり、誰も教えてくれないので自分から確認しに行かなければ空港へのバスに乗れないし飛行機も行ってしまう。だから要注意なのだ。これから行かれる方は十分に気をつけてもらいたい。
さて、ハバナへ戻るフライトを確認するためフロントにデスクを訪れた私は愕然とした。私のホテル出発時間は何と朝9時に決定していたのだった。



晴れる予感満点の早朝のホテルのプライベートビーチ

翌日、朝起きた私は、空を見て再び愕然とした。何と皮肉なことに晴れ渡る素質十分な空だったからである。私は意を決し、大急ぎで朝食をかっこみ、ホテルスタッフにタクシーを呼んでもらい、「シレナ・プラヤ」へと急いだ。1時間くらいの猶予があるので何とかなりそうだった。ドライバーさんにも協力してもらい晴れ渡る空とビーチの写真をカメラおさめることができたのだった。

頼りになるタクシードライバー


爽快!プラヤ・シレナの絶景ビーチ

早くハバナに戻ってくることになった私だが、悪いことばかりではなかった。ハバナの旧市街をゆっくり歩く時間ができたのだ。
ハバナ市内観光の醍醐味は何といっても街歩きだ。観光客でごった返すオビスポ通りというメインストリートをふらりと歩いてみるとたくさんの歌と踊りのパフォーマンスに出会える。しかも、そのレベルの高さにびっくり。



本当にかっこよかった

すべてがプロの演奏家とダンサーに見えてしまうほどだ。だから、ただで見るのは気が引けるので少額のチップを用意しておきたい。さらにテンションが上がるというもの。勇気があれば自分も是非踊ってみよう。きっと温かく迎えてくれる。また、エリアを広げて歴史的建造物を観光するならピッカピカに改造されたいかしたクラシックカーのタクシーを利用するのがよいだろう。また、小さくて可愛いココタクシーもいい。お陰で街歩きを楽しむことができた。






世界遺産のハバナ旧市街の絵になる風景





かっこいいです!

かわいらしいココタクシー

ハバナの最後の夜。マネージャーがおすすめしてくれたのは、VUENA VISTA SOCIAL CLUBのディナーコンサートだった。最初にそれを聞いた私は、あのVUENA VISTA SOCIALCLUBなのだろうかと耳を疑った。彼らが世界中を席巻した時代は1990年代後半。今から20年ほど前だ。あのひたすらダンディでかっこいい老ミュージシャンたちはまだ生きているのか・・・。マネージャーに話を聞くと納得。その当時の彼らはすでに亡くなっていたり引退したり何度も代替わりが行われる中、現在も音楽活動をしているとのことだった。でも、この夜は引退したメンバーやその他有名ミュージシャンたちも参加するらしい。私は胸を躍らせたのだった。



ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブの旧メンバーと現メンバー

ご存知の方も多いと思うが、ご存知ない方のために少し紹介する。
アメリカ人ミュージシャン、ライ・クーダーがキューバで出会った老ミュージシャンたちとのライブセッションがきっかけで結成されたのがVUENA VISTA SOCIAL CLUB。渋くてかっこいい彼らの音楽はアメリカのグラミー賞を獲得するなど世界中の音楽ファンを魅了した。彼がレコーディングを終えてハバナからアメリカに戻ってきたとき、そのマスターテープを聴いた彼の友人、ヴィム・ヴェンダースはその音楽に取り憑かれたという。数年後、彼が撮ったドキュメンタリー音楽映画「BUENA VISTA SOCIAL CLUB」の中で老ミュージシャンたちの音楽活動はじめ彼らの生き様を垣間見ることができる。最後は感動のニューヨーク・カーネギーホールでのコンサートの模様で締めくくられている。何度攻撃をしかけても攻略することができなかった敵対国・キューバの音楽に感動するアメリカ人の姿を見ることができる。是非この映画を観て欲しい。

開演前のコンサート会場とここまで連れてきてくれたおねいさん

ディナーコンサートだけあって会場はレストランだ。大きなロの字型になっていて中央部は吹抜けになっている。ステージから最も離れている場所まで50m以上あり、総勢300人くらいの席があったと思う。幸いなことに私は最前列のテーブルに通してくれた。お陰で動画も撮れた。きっと、あのマネージャーが交渉してくれたに違いない。20時開始だったので、19時30分頃にロビーに下りた。するとマネージャーが「遅いです!急いでください。今、お部屋に行こうと思っていたところでした」と少々怒っていたのがおかしかった。



たくさんのゲストミュージシャンも続々登場

テーブルにつくとドイツ人のご婦人とその友人のキューバ人のご婦人がいらっしゃった。二言三言は言葉を交わさないといけないのが少々疲れる。しかし、何もしゃべらないのも疲れる。こういう時は、テーブルにつくなり言葉を交わすに限る。そのあと楽になる。
お料理は3品で1ドリンク付き。既にホテルでクーポンを切ってもらい支払いは済んでいた。ドリンクの追加は別料金だったのだが、帰るときに精算しようとしたところ、追加の飲み物代はレストランでもつとのこと。何と太っ腹なことだ。驚いた。
コンサートの終盤はお客がステージ前に押し寄せダンス三昧。皆、積極的だ。また、踊りのたしなみもあるのか、さまになっていた。このまま朝まで延々と続くのではないかと思った私は、終わりを見届けることなくコンサート会場を後にしたのだった。

マネージャーと大柄のスタッフさんと記念撮影

ところで、方向音痴の私は、目的地が決まっているときは基本的に事前の下見をするようにしている。今回もハバナ旧市街の街歩き中にコンサート会場の場所を探してみたのだがなかなかみつからなかった。そこで通りを歩いていたおねいさんに道を尋ねたところ親切にもわざわざ会場まで連れて行ってくれた。お陰で完璧な下見ができたのだが、ホテルのマネージャーや大柄のスタッフといい、私は親切なキューバ人と出会っていたのか、キューバ人は親切なのか、どちらにしろ、この旅での私のキューバに対する印象は非常に良い。本当に良い国だ。
そして、これまで、こんなにホテルのスタッフとふれあったのは初めてだった。彼らのお陰で私自身の新しい旅のスタイルに気付かせてくれたように思う。本当に良い体験をさせてもらった。ありがとう。
私が干渉することではないが、アメリカと早く国交正常化をして欲しいものだ。そうなるともっと便利に快適に旅することができるだろう。しかし、そうなると素朴なキューバではなくなるのかなという心配もある。難しい。
<カヨ・ラルゴ> ★★★★★
元々は無人島だったのだが白砂でできた島のようだった。青い空と海、白い雲と砂。2色のコントラストは人の気持ちを高揚させてくれる。オールインクルーシブプランも素晴らしい。
<ハバナ> ★★★★★
旧市街の街歩きでみつけた様々なシーンが忘れられないものになった。年代を感じさせるキューバ人たちの家々。ノスタルジックな雰囲気を醸し出してくれるクラシックカー。はたまた、改造バリバリの観光用のクラシックカーは惚れ惚れするほどかっこいい。
旅人 : 森 裕(もりひろし)
旅行期間 : 2018年1月12日~21日
メキシコ
キューバ

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