なんだか毎日疲れるなあ。そうだ、ラオスへ行こう。 ~東南アジアの隠れた癒しスポット、ラオス~

なんだか毎日疲れるなあ。そうだ、ラオスへ行こう。 ~東南アジアの隠れた癒しスポット、ラオス~




「この前さ~、海外旅行、行ってきたんだよね」
「えっ、どこどこ?どこに行ったの?」
ここまでは、よくありがちな、友人との他愛もない会話。
この後の答え方次第で、その場の空気は変わる。
台湾・韓国あたりなら、「あ~、いいよね、私も去年行った~」と会話が広がるだろうし、タイ・ベトナムあたりだと「えっ、パクチー平気なの?私、無理だわぁ」なんて返事が来るかもしれない。ヨーロッパなら「うらやましい~!」なんて言われるかもしれない。
しかし、ここで
「ラオス」
と答えると、さあ、どうだろう。
きっと、相手は頭の中で世界地図を描くも((…え?…ラオスってどこ…?))と戸惑い、それまでスムーズに流れていた会話は、0.8秒ほど、ぴたりと止まるに違いない。
11月中旬、そんな(どんな?)ラオスと、さらにカンボジア・ベトナム、あわせて3か国を9日間で巡る出張にでかけてきた。


その中でも中村が『これは!全力でおすすめ!』と感じた部分を旅行記としてお届けしたい。

【ラオス編】
~暑い日中は出かけたくない。そんなあなたに捧げる!ラオスの朝活&夜活!特集~
11月~2月のラオスはちょうど乾季にあたり、旅行にはベストシーズン。
渡航前に『11月 ラオス 気温』と検索する私に、Googleは確かにそう教えてくれたはずなのに…。
成田からハノイで乗り継ぎ、ラオスの古都ルアンプラバンの空港に到着するなり、私はこう思った。
「あ、暑い・・・、ベストシーズンなんて言ったのはどこのどいつじゃ!!」
ラオスでは、確かに11~2月はぐっと降水量も減り、晴れが続く。観光に最適だ。
Googleは何も間違ったことは言っていない。『ベストシーズン』という言葉を、勝手に『涼しい』と解釈してしまった私がいけなかっただけである。
ラオスの気温は、年間通してそこまで上下しない。11月のルアンプラバンは日中30度近くまで気温が上がる。
そのため、比較的涼しい朝と夜に動き回ることをお勧めしたい。という訳で、ラオスでの朝活と夜活を紹介しよう。
まずは朝活から!

ルアンプラバンでの朝活は、朝5:30から始めよう。

外は完全に真っ暗。早朝はトゥクトゥクをつかまえづらいので、前日から予約するのが無難。こんな風に、ホテルの前まで迎えに来てくれる。

向かうはサッカリン通り。まだまだ薄暗い中、地元の人や観光客がなぜか横一列に座っている・・・?

これは新作のたまごっちを買うための列ではない。では、彼らは何故こんな早朝から並んでいるのだろう?

はい、正解は・・・ルアンプラバン最大の見どころである「托鉢」のため!!

朝5時半頃、オレンジ色の袈裟が印象的なお坊さんたちがぞろぞろと寺から現れる。
列をつくって座っていた人々は、お坊さんの持つ壺の中にお米やお菓子を入れることで、徳を積んだり先祖への想いを託したりする。
受け取るお坊さん側にとっては「托鉢」という名の行為で、お坊さんに与える側にとっては「喜捨」という名の行為になる。

基本的にお坊さんには話しかけてはいけないので、托鉢の時間は静か。
なんともいえぬ厳かで神秘的な雰囲気が漂う…。

ちなみに、受け取った食べ物はお坊さんたちのご飯となる。
彼らはルアンプラバン中を練り歩くので、食べきれないほどの量が集まることとなる。
しかし、そうして集まり過ぎてしまった食料は決して廃棄されることなく、お坊さんから貧しい家庭へと無駄なく分け与えられると言う。

実際、喜捨する人たちに混ざって、お坊さんから食料をもらおうとしている人も目にした。お坊さんは顔色ひとつ変えずに、ごく自然に、彼らに食料を渡していたし、そうやって食料を受け取る人を白い目で見る住民もいなかったように思える。毎日おこなわれる托鉢と同じくらい、この光景もルアンプラバンの住民にとっては日常なのだろう。
そんな、食料と思いやりの循環のおかげだろうか。ラオスは東南アジアの最貧国と呼ばれている(一日2ドル以下で生活する人が国民の半数以上を占める)にも関わらず、物乞いの人を目にすることは滞在中ほとんど無かった。

優しげな笑顔が素敵。ラオスの女性。

ほどよく、ちょうどよく足りていれば十分。自分が満たされたら、足りなくて困っている誰かにすっと手を差し伸べる…。
お金への執着やら物欲やら、雑念まみれのトーキョーライフで私が忘れかけていたホントの『満足』をルアンプラバンで見た気がした。
さて、清らかな気持ちになったところで、朝市に移動してみよう。

全体的にゆるい雰囲気。商品の上で寝ている子供も。このゆるさがラオスらしさ。

ずいぶんワイルドな魚屋さん。

朝市からホテルに戻る途中、托鉢を終えたお坊さんたちの舞台裏に遭遇。

受け取るだけ受け取ったら、徒歩じゃなく車で帰路につくようだ。見てはいけないものを見てしまった気分・・・。これにて、朝活は終了。
「えっ昼間は?昼間は何をしたらいいの?」と思った、そこのアナタ。
托鉢をするために早起きすると正直すぐ眠くなる。昼間はホテルでまったり昼寝がおすすめ。そして、夜活への体力を温存しよう。
日が暮れたら、再びお出かけ。
メインストリートであるシーサワンウォン通りへGO!

シーサワンウォン通りでは毎日ナイトマーケットが開かれている。

ラオス名物カオソーイを注文。

あっさりスープにピリ辛肉味噌、米麺。
食いしん坊の私は、渡航前からラオスでは絶対コレを食べようって心に決めていた。期待を裏切らず、絶品だった。パンチの効いたフォー、という感じ。
夢中になって食べ進めるも、…ん?何やら視線を感じる。
隣の席で1人晩酌をしていた地元のおっちゃんが、話しかけたそうにチラッチラッとこちらを見ているではないか。控え目な態度がなんだかいじらしい。

あたかも店員のような映りっぷりだが、単なる常連客。

イージーイングリッシュでおっちゃんと親睦を深めた。
「明日も俺に会いに、この店に来いよ!」的なことを言われたが、ごめんよ、明日はカンボジアに向けて出国するのだ…。さよなら、おっちゃん、さよならラオス…。
【カンボジア編】
~水の上で生まれ水の上で死ぬ。トンレサップ湖クルーズで見る“水上生活”の事情~
ラオス・ルアンプラバンから、カンボジア・シェムリアップへ移動する。
暑さは変わらず。
いや、むしろシェムリアップの方が暑いのでは?・・それもそのはず、世界地図を見て納得。だいぶ南下したようだ。



シェムリアップ一番の見どころは間違いなく「アンコールワット」なのだが、個人的に「ひょっとするとアンコールワットよりも行く価値アリ?!」と思ったスポットがある。
シェムリアップから車で約30分、トンレサップ湖という湖がある。乾季ですら琵琶湖の3倍、雨季には琵琶湖の10倍以上の面積となり、その豊富な水と魚はまさしく「カンボジアの心臓」と呼ばれるにふさわしい。

トンレサップ湖の畔にあるボート乗り場。

快適なボートで、いざトンレサップ湖クルーズ。

ここトンレサップ湖には、水上で生活を営む人々がいる。別荘とかそういうレベルではない。彼らは一生を水上で過ごす。水上で生き、水上で死ぬ。

湖上の小学校。

湖の上には寺も商店も学校も存在する。子供は毎朝自分でボートをこいで学校に通い、大人は魚を捕まえて湖畔にある市場で売ることで生計を立てる。ボートが行き交うたびに湖面は揺れ、イカダのような彼らの住まいも揺れる。雨季と乾季では湖の深さも変わる、そのたびにボートに家をしばりつけて引っ張り、引っ越しをする。

君たち、そんなに水の上が好きなのかい…?
ノンノン、彼らは好き好んで水上を選んでいる訳ではない。

陸での人生を選べないから、水上生活を余儀なくされているだけなのだ。実は水上生活者のほとんどは貧しいベトナム系難民だという。彼らはベトナム人の血は流れているものの、祖先が様々な事情でカンボジアに移住してきたために、ベトナムの地を踏むことなくカンボジアで生まれ育ち、自分の故郷は当然カンボジアだと思っている。しかし、カンボジア側からは『ベトナム人』としてベトナムに帰るよう煙たがられ、ベトナム側からは『カンボジア人』扱いで拒まれる。行き場のない彼らの住まい、それがここトンレサップ湖の上なのだ。

現地ガイド・パニさんとワニ革(トンレサップ湖には野生のワニがいる。売ると相当の値になる。高級品。)のツーショット。これぞ、まさしく美女と野獣!

長野県生まれ新潟県育ちの私。長野県からは新潟県民扱いされ、新潟県からは長野県民扱いされて、長野にも新潟にも住めない…なんて体験は、当たり前だけれど、したことはない。でも自分が『当たり前』だと思っているコトって、別の誰かの物差しで見ると全然『当たり前』じゃないんだな、と気づかされる。
海外旅行って、そういう気づきを増やす行為なのかもしれない。

と真面目な話をしたけれど、しっかりクルーズは楽しんだ。ただでさえユラユラと揺れる湖上休憩所のうえで、さらにハンモックに揺られてみる。

【旅を終えて…】
ラオス、カンボジア、ベトナムを巡ってみて、「どこが一番よかった?」と聞かれたなら、わたしは間違いなくラオス推し。
ラオスでお世話になった現地ガイドのテーさんは
「ラオスには、日本人の観光客、まだ少ないデスネ。
なぜなら、ラオスには、タイのプーケットみたいな海、無いデスネ。
カンボジアみたいな大きな遺跡、無いデスネ。
ラオスは、寺しか無いデスネ。ハハハ‥‥」
と謙遜(自虐?)気味に笑っていたが、そんなことは全くない。

ラオスは内陸国であるため海は無いけれど、大きなメコン川が通っているし、その川のそばには豊かな緑がある。そして、そこにひっそりとたたずむ寺はなんとも美しい。
静かに列をつくるお坊さん、そしてそのお坊さんよりも早く起きて托鉢を待つ街の人々、
そうして託される食べ物とともに巡る思いやり。雨にも負けず風にも負けず、淡々と繰り返されるその光景には、心を打たれる。
そして、何より、「寺しか無いデスネ、ハハハ」なんて笑う、その控えめな人柄も、ラオスの魅力の一つなのかもしれない。

テーさん、そして今回の出張に関わってくださった全ての皆様、ありがとうございました。そして、読者の皆様。最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

●スタッフおすすめ
ルアンプラバンの托鉢  ★★★★★ 毎朝繰り返される静かな光景。心が洗われます。
ルアンプラバン ナイトマーケット ★★★★★ ラオス名物カオソーイ、絶品。
トンレサップ湖クルーズ ★★★★☆ カンボジアを訪れた際は、アンコールワットのような長い歴史を持つ遺跡見学もいいけれど、実際に住む人のナマの生活も見てほしい。是非訪れて。
(2017年11月 中村未来)
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