おじいさんもモミの木も教えてくれなかった、スイスの魅力丸かじりの旅

おじいさんもモミの木も教えてくれなかった、スイスの魅力丸かじりの旅

口笛はなぜ、遠くまで聞こえるのか。
あの雲はなぜ、私を待っているのか。
昔、少女ハイジから答えづらい問いかけを受けていたおじいさんに、幼いながら同情していたのを覚えているが、何年か前に久しぶりにテレビ画面で再会したおじいさんは、新しい難問をふっかけられていた。
「テイネンピってなにーー?!」
(低燃費少女ハイジより)
さてさて、相も変わらず乏しい知識しか持たない私が、今回お邪魔させていただいたのが、ハイジの故郷スイス。
ヨーデルと聞けば、ようかい体操第一しか思い浮かばない、ぱっぱらぱーな私を乗せて、スイスまで楽々直行便、スイスエアラインズで出発しました。
今回、研修旅行を主催していただいた欧州エキスプレス様、スイス政府観光局様、レイルヨーロッパ様、ご招待いただきありがとうございました。
私が感じた、懐の広いスイスの魅力、皆様の旅の参考となれば嬉しいです。

逆さ富士ならぬ、逆さマッターホルン

今回、列車を楽しむ旅ということで、色んな列車に乗ることができましたが、こんなに分かりやすく女心をくすぐるネーミングセンス世界中探しても他にないんじゃないかと思える列車に、今回乗車させていただきました。
その名も「チョコレートトレイン」。列車の中でチョコレートフォンデュでもでてきそうな名前ですが、スイス名産のチーズ工場とチョコレート工場を一日で効率よく回ることができる、素敵な列車なのです。
車内でもコーヒーとパン・オ・ショコラが振舞われます。
この列車の何が楽しいって、やっぱり試食が大充実していること!チーズ工場ではお土産コーナーで美味しいチーズがたくさん試食できる上に、値段は日本で買う三分の一!嫌ほど試食した後、山のようにチーズを買ってみんな大満足。

チーズ作りの行程をお勉強

勉強した後は本場のラクレット!うまーーーーい!


その後に訪れる、カイエ・ネスレチョコレートの工場では、カイエの成り立ちやチョコレートの製造工程を見学した後、目を疑うような試食コーナーがでてきます。

これ全部食べ放題!

ついつい「タッパー持ってない?ねぇ、タッパー!」となってしまうほど。
コーヒーがあったら、ここで1時間は居座れそうでしたが、いくら美味しいとは言え10個も食べられないほど大人になってしまった自分の体を呪いつつ、泣く泣くその場を後にしました。
もちろんここでも特価でチョコレートを購入することができます。
旅の途中で大人の階段を一歩登ったメンバーがいたので、チョコレートでお祝いもしました。メッセージが書いてあるチョコレートプレート。お土産にもいいですね。
JOYEUX ANNIVERSAIRE!

フランス語で「お誕生日おめでとう」

そして去年オープンしたばかりの「チャップリン・ワールド」へも行ってきました。
モントルーから電車とバスを乗り継いでいくと、ヴヴェイ郊外のコルシエという町に、喜劇王チャップリン終の住処が残っており、そこを利用して2016年4月にオープンしたのがチャップリン・ワールドです。

最初にチャップリンの簡単な映画をみる

チャップリンをよく知らない人でも、ヒットラーを模した格好の彼の姿は目にしたことがあるのでは。
その映画「独裁者」の中でチャップリンが行った6分間の演説は、今もなお人々の心に響く、映画史に残る素晴らしいスピーチと評されています。
「絶望してはいけない」という名フレーズが含まれたこの映画は大ヒットとなった反面、共産党支持者とみなされ、アメリカに住んでいたチャップリンが家族旅行に向かった時を狙って、アメリカ政府は彼を国外追放としました。
旅行先へ向かう船の上で国外追放を言い渡された彼は、そのまま家に帰ることもできないまま、スイスへと移り住むことになり、最後までこの穏やかな街で家族に囲まれて過ごすこととなったのです。
約20年後にアカデミー賞を贈られ、再度アメリカの地を踏むことになりますが、そんな波乱の人生を送っていた彼のことが、ここではよく分かります。
若くして大成功を収め、大統領よりも年収が高かったと言われる彼ですが、映画・舞台への情熱はすさまじく、今見ても驚くような技法が使われていたり、粋な風刺が効いていたり、実際チャップリンの映画をちゃんと見たことが無い私でも非常に楽しく、一瞬でファンになってしまいました。


映画の中に入り込んでしまったよう

顔抜きならぬ、顔乗せ

さてさて、そしてスイス旅行といえば忘れちゃいけないのが、山登り。
今まで、富士山や立山など山登りの経験はあるものの、山登りにいまいちハマれない理由が、登れば登るほど、降りるのが大変だから。
スイスはまさにそんな私にぴったりの国でした。世界的に有名な山々のすぐ近くまで、電車で簡単にアクセスができます。全然努力してないのに、達成感がすごい!
日本もこれぐらい便利になればいいのに!と思わずにはいられませんでしたが、簡単に登れるようになったらなったで寂しいし、山岳信仰がある日本ではやっぱり難しいかもしれませんね。
スイスの人たちは、なぜここに列車を通した?!と思ってしまうほど国内中に列車が張り巡らせてあります。ありえない角度の山肌を登っていく登山鉄道や、かの有名な氷河特急などの絶景を楽しめるものなど、列車の種類も多ければ、その時間の正確さも素晴らしく、今回はスイス鉄道に脱帽しっぱなしでした。
これだけ充実していれば、山登り好きなのに、登る度に怪我をして帰ってくる山レディな私の母にも安心してお勧めできるし、本当に老若男女問わず楽しめる国だと感じました。
まずは、ルツェルンから日帰りでピラトゥス山へと訪れました。
昔、竜が住むと信じられ、中世までは登山が禁止されていたピラトゥス山ですが、今はその面影もなく、多くの観光客で賑わっています。独立峰なので、標高2132メートルから360度景色を見渡すことができます。
もちろん山上も最高に気持ちがいいのですが、私が気に入ったのがここまでの移動手段。バラエティに富んでいて、とっても楽しいのです。

カペル橋が美しいルツェルンの街

まず、ルツェルンから船に乗って麓の街まで約1時間の船の旅。遠目にピラトゥス山を眺めながら、のんびり進んでいく船旅は、まさに贅沢時間。

ゆったり船旅

そしてアルプナシュタッド駅に到着すると、そこから世界一の急勾配を誇る登山列車に乗り換えて山頂を目指します。
この登山列車が非常に面白い。さすが世界一を誇るだけあり、その急さたるや、もはや車体はひし形になっており、走るというよりかは吊り上げられているよう。
こんな急角度で岩肌ギリギリを走るのだから、まさにスリル満点。
さらに驚くのが、この鉄道ができたのが19世紀ということ。最初に発表された際には、誰もが無理だと思ったものが100年たった今もしっかりと走っているのだから驚きです。
ただ、最初に乗った人は本当に怖かっただろうな・・。100年後に生まれてよかった。

ぎりぎり!

山頂には素敵なホテルが二軒たっていて、そこのレストランで絶景見ながらお食事を楽しむこともできますし、このホテルに泊まることも可能です。
いくつかのハイキングコースもあるので、一泊して絶景を独り占めするのも羨ましい!

素敵すぎるBGM

足がブルブルガクガク(高所恐怖症)

山頂を楽しんだ後は、山の反対側からロープウェイとゴンドラを乗り継いで下山です。
これまた、景色を楽しめるように大きく窓が取られているため、とってもスリル満点。森林限界を眺めながらの空中散歩はなかなかできない体験かもしれません。



今回の船を使っていくルートは「ゴールデン周遊ルート」、船の部分を列車に変えると「シルバー周遊ルート」と呼ばれます。どちらをご利用になられる場合も、スイスパスを利用して割引サービスを受けることができます。(2017年10月時点)
そして次に、誰もが知っているであろう有名すぎる山、マッターホルンを拝むため、ツェルマットへ訪れました。ここも信じられないぐらい簡単にアクセスができます。ゴルナーグラート鉄道で一気に3089メートル地点へ。こんなに簡単でどうしよう。
到着するまで、スイスに何度も来ている同行者に「大野さん、山に興味ないとか言いながら、観たら絶対泣くよ。これ絶対。絶対泣くから楽しみにしときな」とずっと言われ続けたため、逆に緊張して泣くタイミングは完全に逃したのですが、その存在感は凄まじいものでした。

見えてきた!

ゴルナーグラート展望台からは、目の前にマッターホルンの姿を捉えることができ、そこからマッターホルングレッシャーパラダイス、モンテローザまで全てを見渡すことができます。その山々を繋ぐように横たわる氷河の美しさは、まさに息をのみ、吸い込まれるようでした。
丁度サンセットの時間に間に合った我々の目の前で、神々しい山々は、真っ白な雪をまとった姿から、夕陽を受けてピンクに染まり、最後は漆黒の闇に隠れていきました。
この時間を何に例えればいいのか。
大きな自然の美しさの前に、私はただただ黙って見つめることしかできませんでした。





「観た人にしか分からない」この言葉がこんなに似合う場所は、なかなか無いはず。
いくら良いカメラを持っていても写真には残せない、訪れた人だけの特権。
マッターホルンしかり、世界で一番急勾配の登山鉄道しかり、その場で私が感じた感動を、どう伝えたらいいのだろうか。
マッターホルンという、人が太刀打ちできない大きな感動を前に、私はそれを伝える術を持っていなかった。全てをこの目にしっかり焼き付けようと、カメラを下ろして漆黒に埋もれていくその姿をいつまでも見つめていた。
これは決して、今回良い写真が撮れなかったことへの言い訳ではないので、ご承知いただきたい。
この世には、その場に行かないと分からないものというのが確かにあると思う。
スイスの大きすぎる自然は、まさにその代表でした。
スイスは物価が高いイメージも強く、旅の目的地を決める時に気になってしまう所だとは思います。
しかし、スーパーにいけば美味しいチーズもたくさん売っています。レストランでの食事をセーブすれば、思ったよりも出費は抑えられると思います。
もし、興味があるけれども躊躇している方がいるとすれば、この素晴らしい景色と、信じられないほど美味しい料理・チョコレートを逃してしまうのは勿体なさすぎると感じた8日間でした。
この絶景を観ずに死ねるか。
是非今度のご旅行先にはスイスを候補にしてみてはいかがでしょうか。

まるで自力で登ったかのような、渾身のドヤ顔

おすすめ度
日帰りビラトゥス山ツアー★★★★★
もう一回乗りたい世界急勾配の登山鉄道!
スイスワイン★★★★★
ほとんど国外に出回らないスイスワインをお得にゲット!
チョコレートトレイン★★★★★
行けば納得。美味しい・楽しい・お手軽。
(2017年10月 大野史子)
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