いつかは行きたいと思っていたイラン行きが決まり、わくわくして過ごす日々もあっという間に過ぎて出発の日がやってきた。ドーハで乗り継いでテヘランに到着。到着するや否や、女性は皆スカーフをかぶる。イランでは海外からの旅行者でも、女性は髪を隠さなければならないし、服装にもルールがある。そうはいっても、あまり神経質になる必要はない。なぜなら、現地の女子達は前髪から頭のてっぺんくらいまでスカーフからばっちり出ている人も多いくらいなのだ。もちろん頭からかぶって体全体を覆うチャードルを着ている人もいるが、旅行者はとりあえずスカーフをかぶって、できればお尻がかくれるくらいの長さのチュニックかワンピース、それか上着を着て、その下に長いパンツならok。意外とスキニーとか、細身のパンツを皆はいている。上に着るものが長めの丈なので、バランスを取ると自然にそうなるのかもしれない。ロングスカートはイラン人ではみなかったが、海外からの観光客では何人かみかけた。男性は特に服装を気にすることはなさそうで、ハーフパンツを避けることくらい。
10月とある日のテヘランの女性たち
ハーフェーズ廟で出会ったイラン女子と
早々に黄金のドームが目立つホメイニ廟を見学。内装も派手でとてもお金がかかっていそう。かなり大規模なもので、なんと現在も増築中。そしてテヘランの象徴ともいえるアザーディータワーへ。「Y」を逆さにして、斜めに組み合わせたような、でも上部は十字型という独特の構造。中は博物館になっている。
1泊目からいきなりだが、テヘランでホームステイ。子供のかわいい笑顔や、面倒見の良い兄弟のやり取りを見ているととても癒される。イランは人が良いと出発前にあちこちで聞いていたが、こんな良い子たちが大人になっていくなら、それは当然そうなるだろうなと納得してしまった。
テヘランからシラーズへ国内線で約1時間半。シラーズには最近人気急上昇中の見どころがある。ピンクモスクと呼ばれるマスジェデ・ナスィーロル・モルクだ。ここには絶対に朝のうちに来るのがポイント。ステンドグラスから陽の光が差し込み、モスクの中が色鮮やかに染まる。まるで万華鏡のようにカラフルでほんのり幻想的な光景にうっとりしてしまう。ハチの巣のような天井のエイヴァーンや、ピンクモスクを呼ばれる所以のピンク色の美しいタイル画も見逃せない。
そして待ちに待ったペルセポリス遺跡へやってきた!日差しは強いが風があるので、10月はちょうどよい。広大といっても、運動不足の私でも十分に歩き回れる広さの敷地内をあっちこっちと巡る。なかでもアパダーナや宮殿のレリーフには釘付けになった。有名な鷲の頭が左右についた像(イラン航空のマーク)も見ることができた。
ペルセポリス遺跡を見に行ったあとは、テヘランのイラン考古学博物館の見学がおすすめ。ペルセポリスから持ってきたアパダーナの謁見図や、牡牛の柱頭、階段のレリーフなど比較的保存状態の良いものが展示されている。
個人的に興味深かったのがダレイオス1世像。これには古代エジプトの象形文字ヒエログリフも刻まれており、アケメネス朝ペルシャの広さをここでも感じる。
それからsalt man。塩抗で塩漬けになったとても保存状態の良いミイラ。持ち物や足も残っている。
とにかくこの博物館はとても面白かった。次イランに行った時も必ず立ち寄ろうと決めた。
シラーズではバザールでのお土産探しも楽しいのだが、バザールでおすすめなのがこのお店。
イランのおすすめスイーツ、バスタニーやジュースを売っている。バスタニーはコーンスターチを冷やしたもので、甘いシロップやさっぱりレモンシロップをかけて食べる。
シラーズから車で約5~6時間走り、砂漠の町ヤズドに到着した。ここはゾロアスター教の神殿などが残っていて、ゾロアスター教信者も多いという。沈黙の塔ではなんと50年程前まで鳥葬が行われていた。その塔に登ることができる。塔というか丘の上に建てられた要塞のような感じだが、設置されている階段で息を切らして上まで行くと、天井のないコップのような塔になっていて、中央が少し深くなっているだけで他には何もない。つい最近までここで実際に鳥葬がされていたと思うと、なんだか神妙な気持ちになる。ゾロアスター教では土も神聖なものと考えられていたので、遺体を土に埋めるのはよくないのだそうだ。現在では土にコンクリートを入れて、そこに遺体をいれているらしい。
ちなみに塔の上はヤズドの町がよく見えるフォトスポットでもある。
イランのお菓子はバザールなどでも買えるのだが、ヤズドには人気のお菓子屋さんがある。アミール・チャグマーグ広場の角にあるハージュ・ハリファ・アリー・ラフバーだ。
ナッツ類が入ったお菓子や甘ーいバクラバ、粉砂糖がたっぷりかかったお菓子など。どれもひと箱の目安の重さの値段が書いてあり、注文用紙に記入してカウンターで渡すと、箱ごとに重さを測って、金額が印字された紙をくれる。これを隣のレジで支払い、レシートを持ってさっきのカウンターで渡すと、品物を袋に詰めて渡してくれる。困っていたら誰かが助けてくれるのがこの国らしさだ。
そしてヤズドからさらに車で約6時間、「イランの真珠」といわれるイスファハンにやってきた。あの有名なエマーム広場にはマスジェデ・エマーム、マスジェデ・シェイフ・ロトゥフォッラー、アーリーカープー宮殿と世界遺産がぐるりと並び、広場自体も世界遺産という、世界遺産づくしの場所だ。「イスファハンは世界の半分」という言葉はエマーム広場のことを指すともいわれるほどだ。比喩が多すぎて、結局エマーム広場は真珠の半分ということになってしまうが、とにかく様々な形容がされるほど美しく、なんでもあるということなのだろう。
なかでも面白いのがアーリーカープー宮殿の音楽堂。壁や天井が楽器の形にくり抜かれている。
エマーム広場にはバザールもあり、職人さんの技が光る伝統工芸品が並ぶ。細かく作り込まれたミニアチュールや金属の飾り皿、イランらしいブルーが美しいミーナーカーリーや様々な模様をプリントした更紗、象牙細工など、品質の良いものはここで買うのが良い。安すぎるものは偽物だが、卸売りなので本物もテヘランで買うよりは安い。
シラーズのバザールはイスファハンのバザールよりもかなり広く、迷路のようで迷ってしまうほど。でも品物ごとにお店が集まっていて、品数も飛びぬけて多いので、いろいろ比べて買いたい人はシラーズで買うのもよい。ちなみにイランならではのお菓子ギャズはシラーズ名物。マシュマロのように白くてぐにぐにした不思議な食感で、中にピスタチオが入っている。テヘランのバザールは人がとにかく多く、じっくり品定めしている間に置き引きか何かにあう可能性もあるので、必ずガイドさんと歩くことをお勧めする。
イスファハンでもイラン人のお宅に立ち寄った。イスファハンの人はよくしゃべる。突然大きな声でしゃべり始め、喧嘩かと思ったら冗談を言い合っていたらしい。私のイメージでは大阪の人みたいな感じ。ペルシャ語のわからない私にも色々と話してくれ、とても楽しい時間だった。チャイをいただいて帰る予定だったが、夕食までごちそうしてくれた。ここではホームステイもできるのでおすすめだ。
最後にイランの食べ物をご紹介。
ケバブ。どこでも食べられる。羊肉が多いが、鶏肉や牛肉もある。
ケーキ型のごはん、タ・チーン。ケーキのように見えて全然甘くない。
マス料理、マーヒー・ケゼララー。表面のカリカリ部分がたまらない。
鶏モモの煮込み料理。
チキンシュニッツェル。普通においしい。
ナスとヨーグルトソースのキャシュコ・バーデムジャーン。酸っぱいソースが独特。個人的にはあまり・・・好き嫌いがわかれそう。
イスファハン名物、ベリヤーニー。ひき肉にナッツがかかったものが、ナンに巻いてある。ナンをちぎって中身をつけて食べる。くせになる味。
煮込みスープ、アーブ・グーシュト。スープと具をわけて、スープにはナンを浸して食べ、具は潰してナンにつけて食べる。食べ応え充分。
麦のスープ。ミネストローネみたいな味。
豆のシチュー。日本の味に近く、とても食べやすい。
ナスのシチュー。これも食べやすい。
ペルシャ風シチュー、ゴルメサブジー。シチューなのにすっぱいという不思議。
お米。一人分が特大サイズ。2,3人でシェアしてちょうどよいくらい。
ナンは地域によって違う。
飲み物は基本チャイというお茶。まれにコーヒーが置いてあることも。他にはジュースや炭酸飲料zamzam、ノンアルコールビールもある。イランではアルコールは禁止だ。
ごはんもおいしいし、見どころが山のようにあるイラン。地図を見ると他にも行ってみたい場所が数えきれないほど。そして人がとにかく良い。出発前にイラン経験者が言っていたように、私も日本に帰ったらイランはいいところだと、多くの人に宣伝することになりそうだ。
おすすめ度
テヘラン…★★★★★見どころも多い大都会
シラーズ…★★★★★広大なバザールでお買い物天国
ヤズド…★★★★ゾロアスター教にふれる町
イスファハン…★★★★★すべてが集まるエマーム広場は必見
(2017年10月 増田里紗)
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