飛行機を降り立つと、そこにはアラビアンナイトな幻想世界が広がっていた。短剣・ジャンビーアを腰に巻き、上着とスカートが一枚布でできた白い民族衣装ガラベイアを身にまとった男性の姿が目に付く。イエメンに来たんだなぁと急に実感が湧いてくる。
早速5台の4WDに分乗しマナーハへ。車は険しい山道をどんどんと進み、容赦ないくねくね道がひたすら続く。カーブを曲がる度に変わっていくパノラマ。車から見える周りの景色はとても迫力がある。ただ、到着後すぐということと標高の高さもあり少々皆お疲れモード。 マナーハに到着後、昼食はイエメン料理。そしてジャンビーアダンスを観賞。
イエメン男性がジャンビーアを振りかざしながら仲良く手を繋ぎ、何とも言えないゆる～い感じの動きで魅了する。私個人的にはジャンビーアダンスはかなりつぼで何度でも見たいと思ってしまうほど興味深かった。最後はみんなで輪になって楽しく踊った♪そのあとハジャラを観光し、サナアへと戻る。
翌日、サナアから国内線でムッカラへ。シバームを目指す。途中、ワディドゥアン渓谷を観光。ワディドゥアン渓谷は特に上から見る景色が素晴らしい。眼下にワディドゥアン渓谷が広がる光景はまさに絶景だ。昼食後、シバームを目指して再び車は進む。どんどんと日が暮れていくなか、やっとシバームに到着！砂漠に出現した不思議な摩天楼都市シバーム。
独特の景観は非常に魅力的だ。噂に聞いていた通り、まさに砂漠のマンハッタン☆この日の宿泊はアルホウトパレス。古い宮殿を改装したアラブ風のホテルで部屋のつくりがかわいかったのが印象的である。
4日目はサユーン市内観光。午後、国内線で再びサナアへ。5日目は後半チームとの合流の日。午前中、サナアの旧市街観光へ。世界遺産にも登録される旧市街は見所にあふれていてほんとうに面白い。特にスークは活気に満ち溢れていて、わいわいがやがやと人々が行き交っている。かつて乳香を主とする交易によって富を得、アラビア半島の中でも裕福な商業都市であった。旧市街は街全体がアラビアンナイトの世界を彷彿とさせるが、古都を特徴付けるお菓子のような家々がそれを際立てている気がする。このかわいらしいお菓子のような家だが、内部構造はとてもよくできている。不思議な高層家屋に心奪われた。後半チームが到着するまで、旧市街で自由行動に。それぞれ買い物を楽しんでいたが、特にイエメンの家をモチーフにした置物が大人気でみんな買っていた。しかも安い。あと、以前から欲しかったアザーン目覚ましもゲットした。他のスタッフも何人かアザーン目覚ましを買っていたが、恐らく日本で大音量のアザーンが鳴り響けばかなりの近所迷惑になるだろうなぁそして怪しい目でみられそうな気が・・・
活気にあふれたバーバルヤマン（イエメン門）付近で後半チームと合流。毎年恒例の集合写真を撮ることに。珍しいものを見るようにどんどんとイエメン人が集まってきて、気づけばたくさんのイエメン人に囲まれていた。イエメンに行く前までは、イエメンはイスラム諸国の中でもとりわけ敬虔なイスラム教徒だと聞いていたし、少し恐いイメージもあった。だけど、実際に来てみるとイエメンの人々は本当に人懐っこくて親切で全くそんなことはなかった。写真を撮られるのが好きなようで、特に子供たちに撮った写真を見せてあげるとケラケラ楽しそうに笑顔で笑っていたのが印象的だ。
あとイエメンで印象的だったのはカート。男性たちの嗜好品として人気がある。どの都市に行ってもカートの葉っぱを頬がぱんぱんになるまでほお張るイエメン男性をたくさん見た。まるでコブとり爺さんみたい。その姿はけっこうおもしろい。ドライバーさんがいつも食べていたので、少しもらって試してみたけど・・・にがい。私にはどうしても普通ににがい葉っぱとしてしか感じられなかったけど。
イエメンの人々は本当に古き良きアラブの習慣を大事にしてきたことが旅している間に色々な部分から感じることができた。独自の文化に誇りを抱き、近代化を急ぐことなく現在まで先祖伝来の街を守り続けてきたからこそサナアの旧市街のような街並みが今なお素晴らしい状態で、変わることなく生き続けているんだと思う。
イスラムの国なのでお酒などのアルコール類が売られておらず、お酒好きなスタッフが多いファイブスタークラブの面々にとっては食事の面で多少の不便はあったものの、イエメンはほんとうにおもしろい国なので是非オススメしたい。サナアはもちろんだけど、部族社会のイエメンでは街や村ごとに建物や街の造りが異なるので、行く先々で魅力的な風景に出会えるはずだ。
2008年11月 田中
