2月にヨーロッパへの旅行ということで、少しでも暖かいところを求め、ポルトガルにやってきた。直航便もなく、なかなかの長旅となる。
リスボン空港から市内まではメトロで30分ほど、地上は石畳みでスーツケースを転がしにくく、しかも坂道だらけ。やっとホテルに到着した。
そこからサント・アントニオ教会やバラ窓のステンドグラスが美しいカテドラルを見に行った。リスボンらしいかわいい黄色の市電に乗ったのだが、ものすごい混み具合と長旅の疲れからか、なんと早速スリに遭ってしまった。紙幣と小銭を綺麗に抜き取り、レシートだけは残してあって、その華麗さにも驚いた。お金は小分けにしてあったので、幸い被害は少額ですんだ。
リスボンにきたら、やっぱりサンタ・ジュスタのエレベーターに登りたい。週末や夕暮れ時は並んでいたので、平日の朝行ったら並ばず登れて、展望台もすいていた。リスボンが一望できる。ヴィヴァ・ヴィアジェンというカード(東京でいうsuica)をメトロや市電の24時間乗り放題券として買えるのだが、これでエレベーターも乗り放題になる。リスボンではこれらの移動手段が便利なので乗り放題券がオススメ。
それから、サンタ・アポローニャ駅の近くで火曜日と土曜日だけ泥棒市と呼ばれる蚤の市が開かれている。ガラクタからお土産、アンティークな小物など様々なものが並び、見てまわるだけでもとても楽しいし、ついつい買ってしまう。
この泥棒市の広場の真ん中にあるカフェのホットチョコレートが美味しい。肌寒い風にちょうど良い温かさで、風味豊かな味わい。
リスボンからちょっと移動して、ベレン地区も欠かせない。テージョ川に出航する船のような「発見のモニュメント」にはエンリケ王子やヴァスコ・ダ・ガマ、マゼラン、ザビエルなど大航海時代を築いた歴史上の人物が並ぶ。
世界遺産であるベレンの塔とジェロニモス修道院もここにある。ジェロニモス修道院は南門のレースのように繊細な彫刻や、壮麗な教会に見入ってしまうし、オレンジ色の木漏れ日の差す回廊は心安らぐ空間だ。
ベレンからの帰り道には絶対「パステイス・デ・ベレン」に寄りたい!ここはポルトガル伝統のお菓子エッグタルトの老舗。エッグタルト(ポルトガル語でナタ)はあちこちで売っているが、ここはポルトガル一と言われるほどの美味しさ。甘さ控えめでとろっとろになめらかなクリームが、パリパリのパイの皮に包まれている。持ち帰りもできるが、できたてをコーヒーと共にいただきたい。
ついでだが、ベレンから戻る途中のカイス・ド・ソドレ駅前におしゃれなフードコートがある。100年以上前からあるリベイラ市場をリニューアルしたもので、ポルトガル料理やハンバーガー、日本食もあり、生ハムやチーズ、ワインも楽しめる。
郊外の町にも見所は多い。世界最大の波がくるという港町ナザレや、オビドスの町で城壁を歩いたり。原宿みたいなおしゃれな通りがあって、サクランボの甘いお酒ジンシャが飲める。チョコレートでできた小さなカップに入れてもらって、1杯1ユーロ。
ユーラシア大陸最西端のロカ岬に行ったら、お目当ての最西端到達証明書を入手。
シントラでは宮殿を改装した宮殿ホテル「パラシオ・デ・セテアイス」に宿泊。ポルトガルにはポサーダと呼ばれるこのような宮殿ホテルが複数ある。内装もまさに宮殿にいるかのように整えられていて、ゆっくりとアフターヌーンティーを楽しめば、もう貴族のような気分になれる。
ここから徒歩数分で行かれるレガレイラ宮殿のお庭には、地中深くまでつながるらせん階段や、いくつもの洞窟が造られ、本格的なアスレチックのようなところだ。
シントラで必見なのが山頂にあるペーナ宮殿。赤、黄、水色とカラフルな色使いで、おもちゃの宮殿のようでかわいらしい。
様々な様式が取り入れられているのもおもしろく、ここからの眺めも素晴らしい。町からはバスかトゥクトゥクで行かれる。
お土産はあのカラフルなニワトリの他にも、アズレージョという装飾タイルやコルク製品、レトロなパッケージの石けんや魚の缶詰、ポートワインやオリーブオイルなどがある。野菜モチーフの食器がかわいくて買ってしまった。
今回、ポルトの街も訪れた。リスボンからは列車で約2時間半。こちらも街中が坂道と階段で、幾度となく登ったり降りたり…かなり立体的な街だ。徒歩でまわれるくらいの範囲内に、たくさんの教会がある。なかでもサン・フランシスコ教会は独特の雰囲気で見応えがある。ただ残念ながら教会内での写真撮影は禁止。カテドラルのアズレージョも繊細で綺麗だ。
ポルトは風味豊かなポートワインでも有名だ。ドウロ川の対岸に並ぶワイナリーでは見学ツアーにも参加できる。川にかかるドン・ルイス1世橋から眺めるポルトの街はとてもきれいで、特に夕陽にあたるオレンジの家々や、夜景がとてもロマンチック。
ポルトでは中心部から少し離れた宮殿ホテルと、中心部のホテルに泊まった。ポサーダ・ド・ポルトは18世紀のフレイショ宮殿を改装したもの。ドウロ川に面し、スパやプールも完備されたリゾートホテル。割りと新しく綺麗に整備されている。
もう一箇所はサン・ベント駅近くのホテルNHコレクション・ポルトを利用した。ここは元々郵便局だった建物で、はがきで埋め尽くされた壁紙や、切手モチーフが使われていたり、真っ赤な外観もかわいいホテルだ。駅近だけど、駅からホテルへは上り坂なので少し大変で徒歩10分くらい。下りはもっと楽だ。
ポルトではおすすめのグルメが2つある。一つはポルト発祥のB級グルメ、フランセジーニャ。ハムチーズサンドにたっぷりのチーズと半熟の目玉焼きをのせて焼き、トマトソースをかけたもの。中身はベーコンやステーキだったりもして、軽食というにはボリューミーだ。あちこちのカフェで食べられる。
もう一つはチョコレートショップ、エクアドル。レトロなパッケージの板チョコやチョコレートバーがかわいい。トリュフやガナッシュを一粒ずつ選んで買うこともできる。
そして前々から行ってみたかったのが、「世界の美しい書店ベスト10」に選ばれたレロ・エ・イルマオン。「ハリーポッター」のモデルにされたとも言われ、アンティークな内装に入り組んだ階段、天井のステンドグラスから差し込むオレンジ色の光があの世界の雰囲気を醸し出している。世界各地からやってきた観光客で賑わっていて、10時半に訪れると既に多くの人が入っていたので、10時の開店直後が良いのかもしれない。
旅の始まりはちょっとショッキングだったが、かわいいものと甘いものに溢れるポルトガルの旅はとても満ち足りたものになった。日本にあったら通いたいおしゃれなお店もたくさんあって、女子旅にぴったりなので、友達にすすめたくなる国だった。
オススメ度
リスボン…★★★★★黄色い市電のかわいく見所満載
シントラ…★★★★★山中の貴族の別荘地「この世のエデン」
ポルト…★★★★★ドウロ川に面した坂道と教会の街
(2017年2月 増田里紗)
このエリアへのツアーはこちら