現在スイスではスイス全土を網羅する交通ネットワーク「スイス・トラベル・システム(以下STS)」が中心となり、世界各国のスイス政府観光局やスイスの公共交通機関各社と共にスイスへの渡航者に対してユニークな旅行ルートの提案を行うプロモーション「Grand Train Tour of Switzerland」を行っており、STS が推奨するスイス国内の素晴らしいパノラマ景色を堪能できるルートを人気のシーニックトレインなどで巡るものです。今回のそのプロジェクトの一環としてレイルヨーロッパ主催のFAMトリップに参加する機会を得まして、実際にSTSが推奨するパノラマルートの一部を回ってまいりました。
今回のルートは、チューリッヒ→シャフハウゼン→シュタイン・アム・ライン→ザンクト・ガレン→ルツェルン→ピラトゥス→リギ→ミューレン→シルトホルン→シーニゲプラッテ→インターラケンです。
後半のシルトホルン展望台・シーニゲプラッテ展望台を除き、天気にも恵まれ充実の視察旅行となりました。レイルヨーロッパの加々美様、キャセイパシフィック航空の比留間様はじめ皆様には大変お世話になりました。ありがとうございました。
以下でお写真を交え見所を一部ご紹介いたします。
スイスを周遊するならスイストラベルパスを使うのがお得です!
スイス旅行は特に個人旅行をする場合列車やバス移動となりますが、日本と比べると物価が高いスイスでは、列車やバスなどの交通費は比較的高く何度も移動するとなると旅費が高くつきます。そこで今回の視察旅行でも大活躍だっだのがスイストラベルパスという鉄道パスです。STSに加入している、全長16,000kmに及ぶ連邦鉄道、私鉄、登山鉄道、遊覧船、そして、郵便バスなどの路線網を「無制限」に利用できる”定期券のようなパス”で、このパス1枚あればスイス各地の殆どの場所に行く事が出来ます。更に、スイス国内の主要36都市の市電や市バスにも「無料」で乗れるほか、登山鉄道やケーブルカー、ロープウエイ、ゴンドラなどでも 「25%」や「50%」の割引乗車券が購入できます。また、乗車券を購入する手間が省け、検札時に黙って提示するだけでいいのも楽ちんです。たとえば今回訪れたシルトホルン展望台へのケーブルカーは通常80スイスフラン(約¥9000)しますがこのパスを使うと半額になります。さらに主要75都市の市バスや市電などの都市交通が乗り放題。主な山岳交通路線も半額で購入できるほか、全国約490カ所で使えるミュージアムパスとして利用できるなどのボーナス特典もついています。余談となりますがスイスの鉄道やバスは時間が正確で、列車自体も大変きれいです。車掌さん含めみんな親切で気持ちいい旅ができました。
フォア・アルペン・エクスプレスで絶景パノラマルートを巡る
今回ザンクト・ガレンからルツェルンまでフォア・アルペン特急を利用しました。
フォア・アルペン(アルプスの手前の意)地方の美しい山や湖の数々が一度に味わえる魅力的な鉄道ルートです。往復便とも1時間毎に運行しているので、気軽に楽しめる絶景パノラマルートです。この路線は有名なベルニナ・エクスプレスのように、次々とドラマチックな風景が展開されるわけではありませんが、オーバー湖、チューリヒ湖、ラウエルツ湖、ツーク湖、フィアヴァルトシュテッテ湖(ルツェルン湖)など美しい湖を通過しながら奥に広がるアルプスや、うねるように連なる緑あざやかな丘、春には一面の花畑となる牧草地、谷間のかわいい村々など車窓に次々と広がる景色は十分絶景です。派手さはないけどこれぞスイスといえる景色です。スイスビールを飲みながらの展望列車の旅を満喫しました。今回はルツェルンを起点にピラトゥス山やリギ山へのエクスカーションを楽しみましたが、途中下車してそれらを訪れることも可能です。
ヨーロッパ最大の滝、スイスの名瀑「ラインの滝」は想像以上の大迫力!
ライン滝はヨーロッパ随一の水量を誇る名瀑です。滝の高低差は23mと低めですが、幅が150mあり、特に雪解けの頃、春から夏にかけては約700㎥/秒と特に水量が多く大迫力の滝を見ることができます。特に遊覧船での滝壺巡り・滝中の岩登りはスリル満点!横にあるラウフェン城や展望台からの景色も素敵です。最寄りのシャフハウゼンやシュタイン・アム・ラインも美しい家々や絶景の城壁が見所の街ですので合わせて散策されるといいでしょう。
中世の学問の中心ザンクト・ガレンの修道院図書館は必見です!
ザンクト・ガレンは中世にはヨーロッパの文化・教育の中心地となり、15世紀以降は絹織物や刺繍産業で栄えた町です。最大のハイライトは世界遺産に登録されている大聖堂併設の修道院図書館です。中世初期の蔵書数は世界最大級の16万冊を誇り、内装はロココ様式で非常に美しく壮大なスケールの知の集積は訪れるものを圧倒します(残念ながら内部は撮影不可)。中世の美しい町並みと、近代的な都市の様子が見事に調和する旧市街は、町の歴史の深さを感じさせる魅力があります
世界でも最も急勾配の登山列車で行くピラトゥス山からの眺めは絶景!!
ピラトゥス山は標高約2000m程度の山であるが回りに高い山がない独立峰のため、アイガーやユングフラウなどの名峰や美しい湖を一望できる人気の観光名所の1つです。ルツェルンから麓にあるアルプナハシュタットまで遊覧船でアルプスの山々を眺めながら約1時間のクルーズを楽しみ、その後山頂までは世界最大勾配480‰の登山鉄道でアクセスします。断崖絶壁の崖を登山列車で上に引っ張られるような感覚はとてもスリリングです。中腹のフランクミュンテックにはアルパインコースターやアスレチックフィールドがありお子様連れにもおすすめです。
ヨーロッパ最古の登山鉄道で行くリギ山からの絶景も見逃せない!
ルツェルン近郊の山でピラトゥス山と並んで人気が高いのがリギ山です。中でもリギ山は1871年に開通したヨーロッパ最古の登山鉄道が運行しておりとても人気です。二両編成の列車はレトロで見た目も可愛いです。標高約2000m程度の山であるが回りに高い山がない独立峰のため、アイガーやユングフラウなどの名峰や美しい湖を一望できる人気の観光名所の1つです。フランスの文豪ヴィクトル・ユゴーが「変幻自在の自然」と絶賛した朝日を見るなら山頂のリギ・クルムホテルに泊まるのがおすすめです。
映画007の舞台 絶景のシルトホルン展望台へ
シルトホルンはユングフラウヨッホについで人気の高い展望台で、天気がよければユングフラウ三山はもちろんのこと、ティトリスやリギ、ピラトゥウなど中央スイスの山々、エメンタールの谷、奥にはジュラ山脈、フランスのモンブランからヴォージュ山脈、ドイツのシュヴァルツヴァルトまで望むことができます。山々を眺めた後は映画007の撮影が行われた回転レスストラン「ピッツ・グロリア」でパノラマを楽しみながら食事を楽しんだり、007映画の50年の歴史をたどる特別展示アトラクション「ボンドワールド007」を見学したりするのもいいでしょう。
天空のアルプスの村ミューレンで絶景の山々を拝みたい
ラウターブルンネン谷にそそりたつ崖の上ある小さな山村で、アイガーなどのベルナーオーバーラントの山々を眺められる絶景スポットとして有名です。一般車の乗り入れが禁止されており、基本的に登山列車とロープウエイでしかアクセスできないため、ユングフラウ地方の点在する町の中でもかなり穴場とされています。崖っぷちに肩を寄せ合うように建つ家々はシャレーばかりで素朴な佇まいが素敵です。ハイキングを思う存分満喫したい、スイスアルプスに囲まれた大自然の中で山岳リゾートの雰囲気を楽しみたい、何もせずにのんびり過ごしたいという人には是非おすすめです。
中世の雰囲気が残る古都ルツェルンの散策もおすすめ!
古都ルツェルンはルツェルン湖の湖畔にあり自然豊かで美しい町並みが魅力です。石畳の旧市街は散策するだけで中世にタイムスリップしたかのような雰囲気を楽しめるのが魅力です。街中に数多く立ち並ぶ古い建築物には美しいフレスコ画が描かれていて、街中が美術館のように見所がたくさんあります。中でもワイン広場には沢山のフレスコ画が残っており必見です。また旧市街は様々なショップやカフェはもちろんのこと、スイスのショコレートショップや御土産物さんなども集まっているので買い物にも便利です。
おすすめポイント
ミューレン 4つ星
ザンクト・ガレンア 4つ星
リギ 3つ星
ピラトゥス 3つ星
(2016年6月 渡邊竜一)
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