『ポルトガルのポサーダに泊まりました』

『ポルトガルのポサーダに泊まりました』

「オビドスのポサーダはお城の中」

①ポルトガルの「ポサーダ」
ポザーダ(POUSADA)とは、古いお城や修道院、貴族のお屋敷などを改修したり、その地方特有の建築様式を生かして建てられたポルトガルならではの宿泊施設です。ポザーダは、昔ながらの伝説が残っていて、歴史の舞台となった、しかも美しい景観の場所に建っているところが多く、現代でも、何世紀もの年月を越え、その時代の雰囲気を感じさせてくれる、そんな体験のできるところと言えるでしょう。
しかも、歴史的な建て物を利用したポザーダであっても、ホテルとしては新しく快適な設備を整えています。
また、ポサーダはどこもレストランも最高級で、その土地の郷土料理で楽しませてくれます。
こんな素敵なポサーダが、ポルトガル全土に29もあって、世界中からやってくる観光客を迎えているのです。
ボクはその中の2箇所に泊まってきました。
②谷間の真珠、オビドスの古城のポサーダ

「オビドスの旧市街全景と最奥にある城郭(ポサーダ)」

リスボンから約70km北にあるオビドスは、城壁に囲まれ「谷間の真珠」と呼ばれる小さなかわいい町です。青や黄色の装飾が施された白い家々、狭い路地、整った石畳など、絵のように美しい町で、その起源はローマ帝国の時代ということですが、キリスト教徒がイスラム教徒から支配を取り戻した12世紀から今の町が形作られました。


「オビドス旧市街のメインストリート」

「メインストリートのおみやげ屋さんの壁に飾られた陶器」

オビドスの特産のお酒で「ジンジャ」というさくらんぼの一種Ginja ジンジャから作った甘いリキュールがあります。甘くて口当たりが良いのですが、ちょっと強いお酒なので、アルコールが弱い人は気を付けて飲まねばなりません。オビドスの街を歩くと、至る所で、このジンジャを売っています。

「メインストリートの酒屋さんの壁に並べられたジンジャ」

町を囲む城壁は、その上を歩いて4~50分で巡ることができ、中世の面影が残る町の内外を眺めながらの散策も楽しいでしょうが、柵も無いのでスリリング。要注意です。

「内側には柵も何も無いオビドスの城壁」

町のいちばん高みにある城郭に、優雅な宿の「ポサーダ・カステロ・オビドス(POUSADA CASTELO OBIDOS)」があります。15世紀の古城を改修した人気のポサーダで、落ち着いた内装とアンティークな家具が居心地のよい空間を作り出しています。

「ポサーダ・カステロ・オビドスの入り口」

「ポサーダ・カステロ・オビドスのロビー」

「ポサーダ・カステロ・オビドスの客室」

入り口から客室までご案内した動画をご覧下さい。

「ポサーダ・カステロ・オビドスの入り口から客室まで」

「ポサーダ・カステロ・オビドスの客室」

(スチール写真のカメラで撮っているので、ピントがあまり合っていません。予めご了承ください。)
ポサーダからの眺望もすばらしいのです。オビドスの白い町並や田園風景を楽しむことが出来ます。

「ポサーダ・カステロ・オビドス前から見る町」

「ポサーダ・カステロ・オビドス前から見る城外の眺望」

ところで、オビドスの地図を見ると、ポサーダのすぐ近くにポルトガル鉄道のオビドス駅があるのが分かります。列車でオビドスに行く人は駅が近くにある、と思いがちですが(ボクもそうでした)、これは大きなまちがい。

「ポルトガル鉄道オビドス駅」

平面の地図では分かりませんが、実はポサーダは、駅からは見上げるような、高い高い城壁の中の、そのまた一番高いところにあって、ぐるっと回り込むように坂道を登り続けなければたどり着けません。大きな荷物でも持っていようものなら、とても歩いて行けるところではないのです。
でもこの駅からはバスもタクシーもありません。事前にホテルにお迎えを頼んでおくのでなければ、列車でオビドス駅に着くのはお勧め出来ません。ぜひ、隣のカルダス・ダ・ライーニャ駅で降りて、こそこからタクシーでポサーダ・カステロ・オビドスまで行くようにしてください。
③城壁に囲まれた世界遺産、古都エヴォラの修道院のポサーダ

「エヴォラのディアナ神殿(左後ろにロイオス教会、右後ろにカテドラルのドームが見える)」

リスボンから東南東へ120km、アレンテージョ地方の中心都市エヴォラ。ローマ時代の城壁に囲まれたこの街は、ローマ時代からイスラム教時代を経て、キリスト教時代の中世、近代と、幾多の歴史の中で生まれた建築物の数々が残っていて、1983年に世界遺産に登録されました。まるで、街全体が博物館のよう、と言われるそうです。

「エヴォラの街に溶け込んでいる水道橋」

「カテドラルの天正遣欧少年使節が弾いたというパイプオルガン」

カテドラルには、1584年にここを訪れた天正遣欧少年使節が弾いてみせたというパイプオルガンが残り、ローマ時代の遺跡ディアナ神殿や水道橋、人骨堂が有名なサンフランシスコ教会、アズレージョの壁が見事なロイオス教会、大学や美術館など見どころ満杯。春から初夏には周囲の平原には色とりどりの野花が咲き乱れ、自然にもあふれています。

「アズレージョが見事なロイオス教会」

このエヴォラの心臓部にあたる歴史地区にポサーダ・コンヴェント・デ・エヴォラ(Pousada Convento de Évora)があります。
このポサーダはアズレージョが美しいことで有名なロイオス教会の修道院を改修して作られました。

「ポサーダ・コンヴェント・デ・エヴォラのレセプション」

「ポサーダ・コンヴェント・デ・エヴォラの回廊(1階はレストランに改装されている)」

「ポサーダ・コンヴェント・デ・エヴォラのプール」

入り口から客室までご案内した動画をご覧下さい。

「ポサーダ・カステロ・オビドスの入り口から客室まで」

「ポサーダ・カステロ・オビドスの客室」

(スチール写真のカメラで撮っているので、ピントがあまり合っていません。予めご了承ください。)
客室は狭いですが、雰囲気はたっぷりです。

「ポサーダ・コンヴェント・デ・エヴォラの客室」

「ポサーダ・コンヴェント・デ・エヴォラのバスルーム」

エヴォラでもポサーダのレストランは最高の料理を味合わせてくれました。元の修道院の回廊をレストランに改装してあります。庭の側は全面のガラス張りになっていて、オープンな雰囲気を保ったまま、快適に食事を楽しめます。

「ポサーダ・コンヴェント・デ・エヴォラのレストラン」

「ポサーダ・コンヴェント・デ・エヴォラの朝食」

朝食にはポルトガル名産の生ハムを。ポサーダ自家製のパンやジャムもたくさんで、目移りしてしてしまいます。
④その他のポサーダ
泊まってはいませんが、観光に訪ねた街のポサーダを2つ紹介します。
ひとつ目はヴィラ・ヴィソーザにある「ポサーダ・コンヴェント・ヴィラ・ヴィソーザ (Pousada Convento Vila Viçosa)」
公爵の宮殿の隣に建っていて、最も絵になるポサーダと言って良いと思います。

「公爵の宮殿の隣に建つポサーダ・コンヴェント・ヴィラ・ヴィソーザ」

もう一つは城壁が残る大理石と陶器の町、エストレモスにある
「ポサーダ・カステロ・エストレモス(Pousada Castelo Estremoz)」
です。
エストレモスの町は、13世紀にディニス王が、後に聖人に列されたイザベル王妃のために小高い丘に建てたお城を中心とした、城壁に囲まれた町です。
こんな歴史あるお城が、今ではポザーダとして泊まる事が出来るようになっています。

「ポサーダ・カステロ・エストレモスと古城のトレス・コロアス塔」

この城郭は、1698年に主塔のトレス・コロアス塔を残して崩壊してしまいましたが、この塔は今でもポザーダのシンボルになっています。
この塔のてっぺんまで階段を延々と登っていくと、それは素晴らしい眺望に出会えます。お城のある丘のふもとに広がるエストレモスの町はもちろん、城壁外の草原やその先、遠くに海に浮かぶ島の様にエヴォラ・モンテのお城まで見えます。
ここは、「最も眺めがよいポサーダ」と言えるかもしれません。

「ポサーダ・カステロ・エストレモスの回廊と中庭」

「トレス・コロアス塔頂上から見たエストレモス」

「トレス・コロアス塔頂上から見たエストレモス」

「ポルトのドン・ルイス1世橋上で」

【スタッフおすすめ度】
オビドス ★★★★
小高い丘の上に築かれ、城壁に囲まれたオビドス旧市街は、中世の町がそっくりそのまま残っています。それが、城壁の上から一目で眺められ、まるで映画にでも出てくる景色のよう。ぜひ、城壁の上を一巡りすることをおすすめします。
エヴォラ ★★★★
歴史好きな人にとって街歩きがこんなに楽しい所はなかなかありません。街中に敷き詰められた石畳、ローマ時代の城壁や水道橋が背景にあって、歴史的な建物を景色の中に溶け込ませています。
(旅行期間:2016年 4月25日から 5月3日までの9日間 小澤 誠)
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