じっくり・ていねいなフィンランドの暮らし~ガイドブックに載っていない北カレリア~

じっくり・ていねいなフィンランドの暮らし~ガイドブックに載っていない北カレリア~




この度、フィンランド航空が主催のファムトリップに行ってまいりました。なんと総勢50名近い大所帯。参加者はそれぞれタリン/北カレリア/クーサモの3方面におよそ10数人ずつ振り分けられて、最終日にヘルシンキで合流して3班それぞれがプレゼンテーションを行い、お互い訪れた場所のそれぞれの情報を共有します。たった5日間のファムでしたが大きな思い出と沢山の情報をお土産に帰国しました。


私は北カレリア班に参加しました。フィンランドに行かれたことのある方の中でも北カレリアは知らない方は多いのではないでしょうか?フィンランド事体初めの訪問でしたが、北カレリアは「これぞフィンランド」と思える風景の連続でした。
ここにはダイナミックな自然や派手な観光地、歴史ある遺跡があるわけでもありません。でもじっくり心に染み入るような自然の美しさと人々の生活があります。湖のほとりにじっと佇むと誰もが、吹きつける風の気持ちよさ、水の清らかさ、新緑の匂い、鳥たちが自由に空を駆け巡る様子を見たり感じたりすることができるでしょう。私が旅行をしたのは6月初旬で夏本番まではまだまだという感じでした。朝晩は10℃前後までグッと冷えるのですが北カレリアの空は青く澄み渡っているためか、すっと背筋が伸びるようなそんな気持ちの良い朝を毎日迎えることができました。
フィンランドというと冬のオーロラ観光がメインだと思われがちですが、夏は日の長い季節だからこそ、サイクリングやベリー摘みにハイキングなど、自然と共に向き合うフィンランドの人々の生活を覗き込む、そんな体験ができるというものです。北カレリアお勧めです。
~~☆~行程~☆~~
1日目 ヘルシンキ乗継でヨエンスーヘ ヴァラモ修道院にてワイン&ウイスキーテイスティング【ヴァラモ泊】
2日目 ヴァラモ修道院観光、その後ヨエンスー市内立ち寄り、コリ国立公園を観光【コリ泊】
3日目 コリ国立公園観光 船でヴオニスラヒティ近郊を観光後、クオピオ空港からヘルシシンキへ移動 ヘルシンキのレストランにて3班合同の宴会【ヘルシンキ泊】
4日目 朝ヘルシンキの街を散歩、プレゼンテーション後、帰途へ
~~☆~~~~☆~~
6月3日 ヴァラモ修道院へ
朝8時半に成田空港に到着し、フィンランド航空にてチェックインを済ませる。朝9時過ぎに東京から出発するメンバーとの初の顔合わせ。名刺交換を終えた後は各自、両替などを行い搭乗口へ。
実は私欧州系の航空会社に乗るのはかなり久しぶり。
ここ最近に乗った航空会社を思い起こしてみると、四川航空・アメリカン航空・キャセイパシフィック航空・ユナイテッド航空・カタール航空・ニューギニア航空・エミレーツ航空・中国国際航空・・・・。とにかく5・6年前まで遡らなくてはならないのは確かだ。特にフィンランド航空は良い評判しか聞かない航空会社なのでいつか乗ってみたい航空会社でもあった。
<フィンランド航空>
真っ白な機体にブルーのロゴが印象的なフィンエアー。機内も同様、オフホワイトを基調にしたカラーリングのためか広く、清潔感を感じた。東京発の配列は2—4—2。ビデオオンデマンドでは邦画は少なかったが劇場公開されていない最新のハリウッド映画がラインナップされており、ヘルシンキまでの片道3本鑑賞した。機内食は出発2時間後と到着2時間前の2回提供され、私は照り焼きチキンと焼うどんの2食とも完食した。飲み物はワインのほかビールやスパークリングワインも無料だった。
今回特別にビジネスクラスの席も見せてもらった。ビジネスクラスは2—2—1の配列。シートはもちろんフルフラット。またコンフォートクラス以上のシートにはマリメッコデザインのアメニティがつくそうだ。

フルフラットになるビジネスクラス

<ヘルシンキ空港>
日本から約9時間半でフィンランドの首都ヘルシンキへ到着。ヨーロッパの主要都市の中でも最も北に位置するヘルシンキは日本からは最も近く移動距離に時間がかからない。ヘルシンキ空港は非常に機能的な構造で、最短乗り継ぎ時間はなんとたった35分。ターミナルはたった一つなので迷うこともない。さらに2012年から自動入国ゲートを導入しており、シェンゲン協定加盟国へ行く場合、EUや日本・韓国のパスポート所持者は有人の入国審査レーンに並ぶ必要もなく、無人の自動出入国審査端末にパスポートをスキャンさせるだけで簡単に通過できる。
空港内には免税店も多く、ムーミンストアやマリメッコ、イッタラなどフィンランドを代表するお店が軒を連ねており乗り継ぎだけでも十分楽しめることだろう。フィンランド国内旅行だけでなく、直行便のないヨーロッパの国へ行くには一押しの航空会社である。

ヘルシンキ空港内の自動入国ゲート


ヘルシンキ空港にて散策後、今回の目的地であるヨエンスー行きのフライトに乗り換え。ヘルシンキからは1時間のフライトだ。
ヨエンスー空港到着。周りには何もない、本当にど田舎の空港だ。空港には北カレリア観光局のスザンナさんが迎えに来てくれていた。バスに揺られること約1時間、向かったのは新ヴァラモ修道院。
<新ヴァラモ修道院>
ヘイナヴェシ(Heinävesi)の森の中、周りには何もない人里離れた湖畔にポツリと佇む新ヴァラモ修道院。
新ヴァラモ修道院はロシア連邦カレリア共和国のロシア正教ヴァラーム修道院から第二次世界大戦の戦火を逃れるためにフィンランドのへ移り住んだ150人のも修道士たちが1940年ごろに建立した修道院だ。そのため「新」ヴァラモ修道院と呼ばれ現在、フィンランド正教会唯一の修道院でもある。そんな歴史的な経緯から修道院の内部にはまるでロシアの教会にいるかのように、立体のキリスト像、マリア像の代わりに美しいイコンにあふれ、教会は玉ねぎ型の屋根と白亜の壁が印象的なつくりとなっている。修道院内には修道士たちの暮らしぶりを伝える博物館や美術館が併設されており、いずれも必見のポイントだ。またこの地域では気温が低いことからブドウが栽培できない。代わりにこの修道院ではベリーを原料にワイン造りを行っている。そのためワインテイスティングできるのもこの修道院の魅力のひとつだ。
修道院は広くレストランのほかに宿泊施設もあるため、是非1泊することをお勧めしたい。早起きすれば朝のお祈りをみることができ、きっと心が洗われる体験になるはずだ。
新ヴァラモ修道院はフィンランドの中でもとりわけ時の支配者に翻弄されたフィンランドの歴史およびロシアとフィンランドの関係を感じられる場所であり、北カレリアに来たのであれば是非訪れたい場所である。

ロシア風の新ヴァラモ修道院の教会

教会内部と髭の司祭

ヴァラモ修道院に到着後、我々は修道院に経営するホテル(宿坊)にチェックイン。
<ヴァラモ修道院 宿坊>
室内は実にシンプルな造り。シングルベッドが2つ、机と電気ポット、懐中電灯、それに宿坊らしく壁にはイコンが飾られ机には聖書があった。トイレとシャワーは各部屋に備わっており、シャワーの温度調整は実に素直に反応し、およそ24時間ぶりにたっぷり温かいシャワーが浴びることが出来た。

ヴァルモ修道院の宿泊施設

宿坊でもプライベートのトイレ・シャワー付き

その後、夕食の前にワインのテイスティング。
赤・白のベリーから造ったワインとウイスキーをテイスティング。フィンランドではブドウが育たないのでフィンランド産のワインというのはほとんどないらしい。ただしこちらではベリーを原料にワインをつくっているのでフィンランド産の珍しいワインを楽しめる。お土産にもうってつけである。
ワインテイスティングの後は司祭を囲んで、フィンランド料理の夕食。ロシアの国境にも近いせいかロシアの影響を受けた料理が多いそうだ。

フィンランドではワインを生産していないがここにはベリーで造ったベリーワインが飲める

修道院で造っている赤・白のベリーワインとウイスキー

旅始まって以来初めての全員集合での食事

食後のお茶はジャムを混ぜるロシア風でいただく

6月4日 ヨエンスー市内観光とコリ国立公園へ
朝7時に教会のお勤めを見させていただく。撮影禁止だったのが残念だが、朝日が差し込む中、信者たちの前で黒装束の僧侶がお祈りの言葉を捧げている光景は神秘的でいて心の現れるような心地になった。

光が差し込み、まるで心が洗われるような教会内部

その後朝7時半から朝食。修道院の朝食にしてはちゃんとしており、温かいパンにオートミール、チーズ、ヨーグルト、そしてサラダなど。豪華ではないが健康的で美味しい朝食だった。
朝食後にヴァラモ修道院の見学ツアーに参加。
修道院内の博物館や美術館を見せてもらう。展示物の多さにここは修道院だとは思えないほどである。
ほかにも湖畔を巡るクルーズツアーなどの用意があるそうだ。こんなに美しい自然のなかでゆっくりできるのであれば修道院に2泊以上ステイしても十分楽しめると思う。

ボートクルーズもできるみたいです

ヴァラモ修道院近くの湖畔


10時半にヴァラモ修道院を出発、約1時間かけてヨエンスー市内を目指す。
<ヨエンスー>
ヘルシンキから北東400kmに位置するヨエンスーは現在人口6万人ほどの運河に面した小さな都市である。かつて1848年にロシア帝国の皇帝ニコライ1世によって開かれ、製材業と水運業の成長によりロシア貿易の要所として発展を遂げた。現在は北カレリアの観光のハイライト「コリ国立公園」の玄関口として知られている。ヨエンスーを都とする北カレリア地方は見渡す限り広がる森林と青く澄んだ湖がで知られる風光明媚な地域である。
ここでカレリアについての説明をしよう。
フィンランド南東部、ロシアとの国境に位置する北カレリアと南カレリア、および現在ロシア連邦に編入されているカレリア共和国を合わせて「カレリア」と呼ぶ。カレリアは独自の言語を持つ民族がすむ地域であったが、中世以来ロシアとスウェーデンの争いの舞台となり、戦後多くの部分がロシア(当時はソ連)に割譲されてしまった。
ロシアとフィンランドに分断されてしまったカレリアだが、フィンランド人にとっては精神的な故郷ともいわれている。それを裏付けるように国民的な叙事詩「カレワラ」はその名のとおりカレリアの伝承や歌謡を元に編まれたものであり、フィンランド生まれの作曲家ジャン・シベリウスの交響詩「フィンランディア」はカレリアの原風景からその着想を得たものだといわれている。他にもシベリウスの作品には「カレリア」を題名に持つ作品も多数あるそうだ。つまりフィンランドを語るうえでカレリアの自然と歴史は外せない場所なのである。
ヨエンスーのマーケット広場に降り立ち、いまヨエンスーで最もお洒落なスポット、タイトコルッテリTaitokortteli へ向かった。タイトコルッテリはかつての資産家の伝統的な邸宅をリノベーションした可愛らしい外観のいわば工芸センターである。北カレリア地方の伝統的な刺繍を施した製品や地元のアーティストたちのギャラリー兼お土産屋さんとなっている。フィンランドらしいデザインの雑貨が多く、見ているだけでもあきない。中でも印象深いのは1日7.5ユーロを支払えば、フィンランド伝統の機織りが体験できる織り物教室。ヨエンスーに滞在しながらひがな一日織りものをつくっているのもそれはそれで楽しいかもしれない。

マーケット広場にてカレリアパイを実演販売していました

タイトコルッテリ

1日7.5ユーロを支払えば、フィンランド伝統の機織りが体験できる

タイトコルッテリ観光後は街の中心・マーケット広場の隣にある、世界的に有名なアールヌーヴォー建築家エリエル・サーリネンの設計による市庁舎の中のシアターレストラン(Teatteriravintola)にて。これまでのトラディショナルな食事とは一風違ったフィンランドとフレンチのフュージョンのようなスタイルで、可能な限りヨエンスーの地の物を使ったという創作料理に舌鼓をうった。

市庁舎の中のシアターレストラン(Teatteriravintola)でのランチコース 前菜

食事の後はヨエンスー中心地に構えるソコス系列のヴァークナ(Vaakuna)ホテルのインスペクション。
<ヴァークナ Vaakuna>
マーケット広場に面した街の中心にあるVaakunaはフィンランドのあらゆる場所に支店を持つSokos系列の4つ星ホテル。スーパーマーケットにも隣接しており、ヨエンスーに滞在するなら利便性はピカイチ。室内はシンプルながらフィンランドデザインのセンスが光る温かみのある空間。冷蔵庫、ドライヤー、湯沸かし器、室内のWIFIあり。セーフティーボックスはない。バスタブやスリッパは部屋のカテゴリーによってはあるようだがあまり多くはないそうだ。ホテルにはサウナも併設されている。

ヨエンスー市内中心部のソコスヴァークナホテル

Vaakunaを後にして向かったのはスーパーマーケット。
というのは「この後のスケジュールでお土産を購入する時間がないから」というフィンランド航空さんの計らいである。これまでの旅行先のお土産はスーパーマーケットで購入することが私にとって嬉しいサプライズだった。
フィンランドに詳しいフィンランド航空の方々がお勧めしていたFazer(ファッツェル)のチョコレートを大量に購入。いろいろなフレーバーがある中、ポップコーン入りのチョコレートが一押しだそうだ。
ヨエンスーから車で1時間。今回の宿泊先であるコリ国立公園に到着。
まずは国立公園内にあるブレイクソコスホテルコリ(Break Sokos Hotel Koli)にてチェックイン。
<ブレイクソコスホテルコリ Break Sokos Hotel Koli>
コリ国立公園内にある唯一の4つ星の宿泊施設。名前の通りソコス系列のホテルである。3階建からなっており、スーペリアルーム以上のカテゴリーであればコリ国立公園の雄大な景色が室内から一望できる。室内は木材を多用した自然と融合したリラックスした空間を演出しており、ドライヤー・湯沸かし器・無料のWIFI、冷蔵庫が備わっている。一方、バスタブやセーフティーボックス、スリッパはなかった。ホテルには眺望の見事なテラスのあるレストランやモダンなデザインのスパとサウナ、さらにはカラオケバーまで併設されており、コリ国立公園でのアクティビティを楽しみながら2泊、3泊したくなるような居心地のよいホテルとなっている。

ブレイクソコスホテルコリ

素敵なホテル内のカフェ

モダンなデザインと壮観な景色のスパ シベリウスの音楽も流れる

<コリ国立公園のハイキング>
ホテルにて一休みした後、コリ国立公園のハイキングに出発。
今回の向かったのはパハコリとウッココリという約1時間のハイキングで訪れることができる展望台である。ホテルをでた我々は坂道を登り自然豊かな遊歩道を抜ける。途中、自生するブルベリーの花、生い茂る白樺や松ぼっくりなど、自然のあるがままの姿を目の当たりにしながら平坦な道を一歩一歩、足を踏みしめて歩く。
しばらく歩くとむき出しの岩盤が地表に現れる。滑らないように気をつけながら歩くと樹木と石で造られた十字架と聖壇のある小さなチャペルが。ここはアッカコリと呼ばれる展望台の一つでウッココリとは逆側に広がる広大な樹海を一望できるスポットになっており、ここで結婚式を挙げるカップルもいるのだそう。

アッカコリと石の教会

アッカコリを後にして歩くこと10数分、パハコリに到着。眼下に広がる樹海とピエリネン湖の組み合わせはまさに我々の中にある「フィンランド」の自然を絵に描いたような美しさ。
パハコリの道からホテル側へ戻るように進み、アッカコリの反対側の展望台・ウッココリに到着。コリ国立公園の中でもひときわ有名な展望台である。崖へ突き出た岩肌に恐る恐る足を踏み出す。日本であれば転落防止用の柵やフェンスなどを設置するような絶壁だ。いまは夏だからよいものの、日の光があたらない冬になると転落事故が起きてもおかしくはない。しかしそういった野暮なものがないもの自然と共生するフィンランド人らしい。自然はあるがままあるべきで人の都合で景観を壊したり、無駄に手を入れることはしないのである。勇気を出して踏み出した展望台からはフィンランドの自然の持つ人の心を包み込むような雄大さと、背筋がピンを伸びるようなちょっとした怖さのようなものを同時に感じた。

パハコリ展望台

ウッココリにて初めてで最後の集合写真

私はアウトドア用の折りたたみ式のスニーカーを用意していたが、滑りやすい岩肌やゴツゴツした岩盤を歩く箇所がいくつかあるので3時間以上のトレッキングを楽しむのであれば本格的なトレッキングシューズを持ってきた方がいいだろう。また気温差も激しいため薄手のダウンジャケットやウインドブレーカーも忘れずに。
ハイキングのあとは夕食。ホテルからバスでおよそ5分。フィンランドの伝統的な小屋(コタ)の中で焚き火にあたりながらのバーベキューのディナー。

夕食の会場近くで飼われていたトナカイ

焚き火の暖かさを同じ空間にいる人たちと共有していると、心の壁も溶けていくような、不思議にアットホームな雰囲気になるのはどうしてだろう。ふわふわした幸福感のようなものを感じながら食べたワインとカレリアパイ、焼きたてのサーモンは最高に美味しかった。

美味しく焼かれているサーモンとパイ

暖かいコタのなかでのディナータイム

メインディッシュのサーモン

食事の後はホテルに戻り、時差の関係かベッドに横になるとコロリとすぐに寝てしまった。
6月5日 コリ国立公園観光、ヘルシンキへ
朝4時頃に起床。会社に提出するためのレポートを作成する。ひと段落したところで朝食に出かける。食後のコーヒーを飲んでいると朝6時でもあまりに青空が広がっていて綺麗だったので、昨日訪れたウッココリの展望台にもう一度いってみようという気分になり、ホテルをでて早速出発。
ウッココリへのルートは昨日アプローチした登山道とはまた別の階段から。階段は急ではあるが直線距離でウッココリまで到達できるので時間がない時や手軽に散歩したい人にはうってつけである。朝の誰もおらず、聞こえるのは風が木々を揺らす音と鳥の鳴き声、そんな中で見たウッココリの壮大な風景は深呼吸をすると身体の中まで透明になってしまいそうなほどのすがすがしさだ。

コリ国立公園にはロープウェイもある

眼下に広がるピエリネン湖




8:45にホテルをチェックアウトしてバスで移動。この日最初のアクティビティであるノルディックウォーキングの出発地点へ向かう。
<ノルディックウォーキング>
ノルディックウォーキングは北欧生まれのスポーツ。2つのポールを使った歩行運動で、通常の歩行よりも上半身の筋肉が積極的につかわれエネルギー消費量も20%アップするという。また足首、膝、腰の負担も通常の歩行よりも40%近く軽減されるそうだ。年齢問わず気軽に楽しめるため病気のリハビリにも活用されている。
ホテルからバスに揺られて約10分。コリ国立公園の山道入り口にて降車。参加者はまず2本のポールを手渡され持ち方と歩き方のレクチャーを受ける。ノルディックウォーキングと聞くとちょっと難しいのかな、と身構えてしまうが、2つのポールで歩行を補助するだけと考えればシンプル。とっても単純である。
この日は約2時間のノルディックウォーキングを行ったのだが、ポールの補助のおかげかそれほど疲れを感じることなく山道を散策できた。途中、ゲストハウスでの休憩や森に咲く花を観賞したり、フォレストヨガ(樹木をつかったヨガ)をしたり、山道も楽しみながら移動できたのが良かったのかもしれない。

馬~




フォレストヨガ

ノルディックウォーキングで我々が到着したのがコリの港。ここから高速船で20分、コリの対岸の町「ヴオニスラヒティVuonislahti」へ。ヴオニスラヒティVuonislahtiの港はコリの港と比べて寂しいところで到着したのはいいが私達のバスが待つ以外何もなかった。こんな場所に一体何があるのだろうと疑問がよぎったが、港からバスに乗り換え向かったパーテリ(Paateri)にはすばらしい木の教会があった。
<パーテリの木の教会>
港からバスに揺られること20分足らず。到着したのはフィンランドを代表するエヴァ・リューナネン(Eva Ryynanen)という彫刻家がつくりあげた教会とその周囲にあるアトリエ、住居。現在はギャラリーのようになっており入場料を支払えば誰でも入れるようになっている。なお木の教会では実際に結婚式も挙げることができるそうだ。
失礼ながらこの女性の彫刻家の名を初めて知ったのだが、木という温かみのある素材とフィンランドの国に住んでいそうな動物や精霊などを題材がマッチしており、作品の根底に流れるテーマを理解できなくとも感じ入るものがあることだろう。
木の教会ではあらゆるものが木からできており、エアコンがあるわけではないのに教会内はほんのり暖かい。木という材質がもつ機能性とエヴァ・リューナネンの持つほっこりとした世界観が自然と我々にそう感じさせるのであろう。




次に向かったのがヘッランニエミ Herranniemiのゲストハウス。このゲストハウスで本日のランチをいただいた。供されたのはフィンランドの家庭料理で素材はすべてこの地のもの。スタッフの方もすごく気さく。近くにエヴァ・リューナネンのギャラリーやコリ国立公園もあるし、夏にはベリー摘み、冬にはアイスフィッシングなどが楽しめる。もちろんフィンランドの風物詩であるコタやサウナもゲストハウス近くにあるのでローカルな人々に接しながらフィンランドの大自然を満喫するにはこれ以上ない環境である。フィンランドを旅するのであれば都市ではなく、大自然に囲まれたこういったゲストハウスに何泊か滞在しのんびりするのもいいだろう。



ゲストハウスを最後にヨエンスー到着後からお世話してくれた現地観光局のスザンナさんとお別れ。ここからはドライバーさんのみでクオピオの空港へ送迎してもらう。
ヘッランニエミからクオピオ空港へは約2時間。クオピオ空港はヨエンスー空港に勝るとも劣らないほどの田舎の空港だ。本来はヨエンスーの空港からヘルシンキに向かうはずだったのだがヨエンスー発の便が混んでいて取れなかったそうだ。しょうがない。
約1時間のフライトを経てヘルシンキヘ。
ヘルシンキ空港からは列車でヘルシンキ中央駅へ、空港駅と中央駅の列車は環状線のように円状になっているのでどちら方向に乗っても中央駅に行ける。料金は5.5ユーロ。切符は車内スタッフから購入できるので来た列車に乗れば良い。とっても簡単である。

列車マークを辿れば空港駅に到着します



空港から中央駅は約30分。中央駅に到着後、歩いてこの日のホテル、ソコス・プレジデンティへ。

ヘルシンキ中央駅

<ソコス・プレジデンティ>
中央駅から徒歩5分程度にある4つ星大型ホテル。周りにはデパートやレストラン、スーパーマーケットなどあり買い物には困らない。ホテル自体は年代を感じさせるものだが室内は大変清潔でドライヤー、冷蔵庫、バスタブ、室内の無料のWIFIもある。湯沸かし器、セーフティーボックスはない。ホテルにはサウナも併設されている。現在一部の部屋がリノベーション中である。中央駅からこのホテルまでは石畳が続くのでスーツケースの人は難儀していた。

ソコス・プレジデンティ


ホテルに荷物を置いて、この日のレストランへ移動。
3班に別れてそれぞれ各地に飛んでいった各旅行社のスタッフがこの日の夕食で一堂に会する。
レストランはヘルシンキ中心部にあるZETOR。フィンランドの農家をモチーフとした家庭料理を出す店だ。ビールなどの酒類が豊富で日本語のメニューもあるので、気軽にフィンランド料理を体験するにはお勧めである。

フィンランド航空本社スタッフ

約3時間半にも及ぶ大宴会のあとは近くのバー・プラハに二次会へ。ビールを一杯のみいただきようやく(?)解放された。そのあとは仲間内でヘルシンキ駅前にあるカジノへ。カジノではパスポートを提出せねばならず、3人のうち1名はホテルに置いてきたため私ともう1人だけでひと勝負(ルーレットの赤・黒)だけかけてきた。ミニマムは100ユーロだったので2人合わせて50ユーロ出し合い黒にかけたところ見事にあたり1人あたり50ユーロの儲けに。2人で思わずハイタッチ。
フィンランドの最後の夜はひんやり冷たい風が吹いていたが私達の心と財布はあたたかった(?)。。。
6月6日 プレゼンテーション
朝7時半に仲間内で落ち合ってヘルシンキ大聖堂へ向かう。
実はヘルシンキ市内を歩くのはこの日の朝しか時間が取れない。大聖堂のあとは港近くのマーケットをそぞろ歩き。そしてホテルへ戻る、

ヘルシンキ大聖堂からは無料のWIFIが出ています

トラムの線路

マーケット広場

朝食を食べた後、9時半からホテルの会議室でそれぞれ3班に分かれてプレゼンテーションの作成。
我々にカレリア班は団体とFITの2グループに分かれモデルプランを提案するという構成。会社や性別・年齢もバラバラなので3時間でまとまるかしら、と最初は不安ではあったが結果、皆の意見が反映されたプレゼンテーションとなった。お互い意見を出し合うことで自分だけの視点でなく、同じ行程を旅した仲間たちの視点も共有できたことは大きな財産になったと思う。
12時半からホテルでランチ、そして13時半にプレゼンテーション。
プレゼン前はウチの班が一番だ、という思いがあったが各班素晴らしいものであった。同時に楽しそうでもあり「そっちの班でもよかったなぁ」と思うこともしばしば。結果、エストニア班が優勝した。

プレゼンテーションの後は空港へ。
5日間では短いなぁと最初は感じていたが、5日間とは思えないほど内容が詰まったファムトリップとなった。
思い出という「お土産」だけでなくお互いの情報を共有できる素晴らしい機会を作っていただいたフィンランド航空の皆様、JALの皆様、そしてフィンランド観光局の皆様に感謝したい。
本当にありがとうございました。
追記1:
お土産を買う時間はほとんどなかったものの空港ではマリメッコを始めイッタラなどフィンランドブランドのお土産が充実していたおかげで妻からのリクエストされた商品を全部購入できた。見事にお土産探しは空港内の1時間でコンパクトに完結。尚且つ空港内だから免税手続きも簡単。フィンランドの土産物選びに困ったら早めに空港で探すのもおすすめです。

最終日にお世話になった空港内のマリメッコ

追記2:
修道院で出会った年配の日本人ご夫婦の姿がとても印象的だった。まさかこんなところに日本人がとお互い思って思わず声をかけてしまったのだが、なんとこのお二人はフィンランドをレンタカーで観光しているのだそう。このご夫婦の仲睦まじい様子とフィンランドのゆっくり流れる小川のせせらぎのような自然の優美さがぴったり自分の中でシンクロして、私も年をとったらゆっくりこのあたりを気の向くまま旅してみたいなぁと感じ入った。
(2016年6月 橋本康弘)
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