イケメンと言うならイケ国と言ってもいいじゃないか! かなりイカしてる・・・と思う ワインカントリーとして楽しむクロアチア

イケメンと言うならイケ国と言ってもいいじゃないか! かなりイカしてる・・・と思う ワインカントリーとして楽しむクロアチア


私のワインの知識はほとんどないも同然ですが、飲むことにかけては自信があります。家にワインがないことはほとんどありません。いつでもワインが飲めるように常備しています。ただ、千円しないワインばかりで、千円を超えるワインを家で飲むことはめったにありません。
今回の旅は、行く場所行く場所でワイナリーに立ち寄り、ワインはじめ併設のワイナリーレストランでクロアチアのお料理も堪能し、空腹感を感じることのない幸せな旅を満喫しました。
いろんな青が混じったどこまでも続く海の遥か彼方の水平線に白くたなびく長い長い雲が交わり、射すような太陽光線に耐えられなくなる頃に爽やかな風が「ヒューン」と通り過ぎる。そんな中でワイナリーに整然と並ぶブドウの木を見ていると、何とも言えない幸福感に包まれます。
私はワイナリーが大好きです。そこで食べるワインとお料理はもっと好きです。

ワインについて熱く語るワイナリーオーナー


最初に訪れたワイナリー「バルトロヴィッチワイナリー」は、ドブロブニクから車で約1時間のプリズドリナ村にありました。テイスティングをさせていただくにあたり、ワイナリーの歴史やぶどう栽培について、英語で説明してくれたのですが、なかなか終わらないので目の前にあるワインや食事に手をつけることができません。ガイドさんが見事なタイミングで話を切ってくれなければいつまで続いたわからないほど情熱たっぷりにお話をしてくださいました。あとでワインのことに詳しいそのガイドさんに聞いてみると日本語に訳してくれました。こういうことだったようです。もちろん要約しています。

看板にある「KONOBA」とは、お酒を飲みながら料理を食べる場所の意味

お話はまだまだ続きます

現代のぶどう栽培では、昔ほど「土」へのこだわりはなくなり、それよりもむしろ「気候」、つまり太陽がぶどうの実にあたる角度や時間、強さ、そして水などの外的要因が与える影響の方を重視し、それらの要因に人が何らかの変化を加えることにより、思い描く良質のブドウが育つよう努力しているそうです。また、水分供給についても重要で、わざと水を与えないことで良質なぶどうが収穫できることもあるそうです。もちろん、その他の要因が複雑にからみ合うので思い通りにいくことばかりではありません。

白ワインとブドウ畑

ワイン造りの世界にも科学の進歩により昔では知りえなかったことがたくさんわかるようになり、ワイン造りに生かされているのだとあらためて認識しました。日々、情報を集め研究し、トライ&エラーの繰り返しで一歩一歩進んでいくのですね。
この情熱のかたまりのようなオーナーさんじゃないとブドウ栽培などできるものではないのだと強く感じました。ものづくりとは果てしない物語です。
ところで、ワインの味の方なのですが・・・
ワイン無知の私が説明するのは本当におこがましいのですが敢えて述べさせていただきます。いや、その前に・・・。
話の中に出てきたクロアチアワインのブドウの種類は、今まで聞いたことのないものばかりでした。シラーズやカベルネソービーニヨン、シャルドネなどお馴染みの品種も栽培されているそうですが、以下、ご覧ください。
<白ワイン>
ポシップ、クルク、クラリェヴィーナ、マルヴァジァなど
<赤ワイン>
フルヴァツィツァ、プラーヴァッツ・マリ、プラーヴィナなど
私は知らないものばかりです。呼び方が違うだけなのではないかと思い聞いてみましたが、これらはクロアチアの土着品種だそうです。


ワインセラーに眠るワイン畑

では、味のお話に戻ります。
私は、白は辛口で爽快感のあるもの、赤は重たく深い味わいのものが好きです。白は好みに合うものばかりでした。赤は、最初はヘビーに感じる味が、飲み続けるうちにどんどんライトな感じに変わってきたように思いました。聞いてみると、クロアチアでは若めのブドウを使って醸造し、完成するとすぐに飲んでしまうのがクロアチアのワインの飲み方だそうです。そのため、クロアチアのワインはライトで飲みやすいものが多いそうです。
少し、クロアチアのワインの歴史を調べてみました。
もともと、クロアチアのワイン造りの歴史は古く、紀元前4世紀にまで遡ります。緯度は概ね、フランスのボジョレーやローヌ、イタリアのキャンティやトスカーナ地方とほぼ同じです。昔からの栽培品種に加え、最近では輸入品種も栽培されるようになり多種多様なワインが生産されています。
内陸部では総生産量の60%が生産され、その内、白が90%です。内陸部では白ワイン品種が育てやすいのですね。一方、沿岸部は、残りの40%が生産され、その内、赤ワインが70%、白ワインが30%で、内陸部と沿岸部で見事に特徴が表れています。合計1000種類以上のワインブランドがあるそうです。
面白いことに、ワインのブランド名はぶどう品種になっているものが多いです。たとえば、白ワインだと、品種のひとつであるPOSIP(ポシップ)と大きく書かれたラベルが貼ってあります。だから、店頭には「POSIP」と書かれたボトルがやけに目立つことになります。それは実際、いろんなブランドの白ワインが置いてあることになります。もちろんラベルのデザインは違うのですが、そのあたりの事情を知らない人が見たら、クロアチアのワインは「POSIP」ばかりだった、となります。ラベルをよく見ると生産地かと思われる地名が小さめに書かれています。なぜ、このような習慣になったのかを聞き忘れてしまいました。次回、クロアチアを訪れる機会があったら、是非、質問してみたいと思います。

このボトルはブランドが大きくブドウの種類の文字が小さい

次に訪れたのがコルチュラ島の「CHAKULA」です。時間がなかったので、ワイナリー訪問はできませんでしたが、町の中心にある海沿いの直営レストランで夕食をいただきました。
シーフードが中心のお料理で、酢漬けのオイルサーディンは絶品でした。コルチュラ島はワイン栽培が盛んな島です。

充実のシーフード料理

せっかくなので、コルチュラ島の説明を少しさせていただきます。
世界遺産のドブロブニクの旧市街と比べると、スモールというのではなく、タイニーという言葉がぴったりくるような、愛着の湧くかわいらしい感じの町並みです。綺麗な左右対称ではないですが、旧市街の中心に縦に1本の目抜き通りがあり、その通りから横に何本もの通りが左右にのびています。魚の骨のような感じでもあり、人間の肋骨のようでもあります。おわかりいただけますでしょうか。

中世の町と洗濯物-絵になる風景??

小さな町なので隅々まで見ることができました。
中世のままの街並みが残り、石畳の路地が歴史の重みを感じさせてくれます。あたたかい南風が、既に乾いたであろう洗濯物をやさしく揺らす風景とのコントラストは、なぜかしら興味をそそります。

南からの風が歴史ある石畳の狭い路地を吹き抜ける

南風で思い出しました。話はそれますが、ガイドさんから教えてもらったお話です。クロアチアなど数か国が1991年にユーゴスラビアから分離独立しました。そのユーゴは「南」を意味します。スラビアは「スラブ人の国」。ユーゴスラビアは、南スラブ人の国という意味です。
かつて、ユーゴスラビアは6つの共和国で成り立っていました。ガイドさんからこの国を説明するためのおもしろい方法を教わりました。
「7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字、1つの国家」です。
1991年から始まったユーゴスラビア崩壊以降、各地で終結しては勃発を繰り返した血みどろの内戦が完全に収束するまで10年もかかりました。

聖マルコ大聖堂

鐘楼

下が丸見え

そんなユーゴの風を全身で感じることができる素晴らしい場所が聖マルコ大聖堂です。有料(少額)ですが、この鐘楼にのぼることができます。小柄な女性同士でもすれ違うことができないとても狭く暗い階段をのぼっていきます。上ると30mくらいの高さになりますが、下が丸見えのシースルーの床を通って鐘楼の外の展望台に出ます。高所恐怖症の私は、お股が「ヒュン」となりました。でも、かわいらしいコルチュラ島の旧市街の風景を爽やかな風に吹かれながらたっぷりと楽しむことができました。お奨めの場所です。


鐘楼からの旧市街の景色

マルコポーロ博物館

コルチュラ島は「東方見聞録」で有名なあのマルコポーロが生まれた町としても有名です。ただ、そういう説が言われているだけで確かな証拠があるわけではないようです。旧市街にはマルコポーロに因んだ観光用の施設がたくさんありました。また、マルコポーログッズを取り扱っているお店がいくつかあったのですが、全部閉まっていました。残念。

食前酒でお出迎え

レストラン全景

伝統料理の仔牛のペカ

大好き!酢漬けのオイルサーディン

次に、沿岸部をさらに北上したところにあるザダルのワイナリーをご紹介します。これぞ「ザ・ワイナリー」と言えるすばらしい場所に「ロイヤルワインヤード」があります。そのワイナリーに併設しているレストランが「クラリエスキー・ヴィノグラディ」です。天気の良い日は屋外で、雨や風が強い日は屋内で楽しめます。
このワイナリーのオーナーは、かつての内戦時にクロアチアの英雄と称えらた戦士でした。その戦士が、平和な今、ワイン生産者として、我々にすばらしい世界を提供してくれます。
無料の体験メニューは、
★クロアチア伝統料理のペカ調理見学
★ホームメイドパン作り
★伝統料理教室
★ワイン作り体験
など
これと合わせ、ランチまたはディナーで4種類のワインを飲みながら肉料理コースまたは2種類のシーフード料理コースの中からひとつ選びます。ホテルの送迎も合わせて面倒をみてくれるのもうれしいです。

当レストランが力を入れているマグロ料理「マグロの塩炙りと焼き野菜の付け合せ」シンプルだか絶妙の味!

当レストランが力を入れているマグロ料理「マグロの塩炙りと焼き野菜の付け合せ」シンプルだか絶妙の味!

ブラックボディの赤ワインがかっこいい

ワイナリーオーナーにもお見送りいただきました

ここでいただいたマグロ料理は絶品でした。ザダル市が一丸となってマグロの養殖に力を入れているそうです。各種ワインそれぞれに合う調理方法で新鮮なマグロ料理を食べさせてくれました。生でも食べてみたかったですね、日本人ですから。
ザダルは、今年2016年のヨーロピアンベストディスティネーションに輝いた注目都市です。広いヨーロッパの中で最も注目される都市として選ばれたのだからすごい栄誉なのではないでしょうか。

ザダルのシンボル聖ドナド教会

公園にあったかわいらしいWi-fiアンテナ

因みに過去の受賞都市をご案内します。
2015年 ボルドー(フランス)
2014年 ポルト(ポルトガル)
2013年 イスタンブール(トルコ)※イスタンブールもヨーロッパなのですね。
ザダルは、かつてダルマチア地方の中心地として栄え、起源は紀元前9世紀にまで遡る歴史ある町です。港湾都市であるがゆえに周辺国から何度も攻撃を受け続けてきました。
聖ドナド教会は9世紀に建てられた町のシンボルで、奇跡的に戦火を逃れた歴史上重要な建造物です。他にも歴史ある教会関連施設が数多く残されじっくりと見学してみるのがよいでしょう。他にモダンでおしゃれな雰囲気の「ザダルの太陽」や「シーオルガン」もおもしろいです。「ザダルの太陽」は夕方になると7色に光り、「シーオルガン」は風が吹くと地面に埋め込まれたオルガンが音を奏でるしくみになっています。
ここには、のんびりとした田舎町のザダルならではの楽しみ方があります。

ザダルの太陽

シーオルガン(Sea Organ)

新市街には、大きなドーム型の建物があり、サッカーの試合や陸上競技はじめ、いろいろなイベントが行われています。人口8万人に満たないザダルに、こんな立派なサッカー施設があるとは少し驚きました。そう言えば、クロアチアはサッカー強国でした。比較してよいのかわかりませんが、人口7万に満たない鹿嶋市に巨大なサッカー場があるので、驚くのは鹿嶋市に失礼ですね。
因みに、ダルマチア地方は黒いぶちが特徴の犬、101匹ワンちゃんでお馴染みの「ダルメシアン」の生まれ故郷です。が、しかし、残念ながら、一度もダルメシアンに会えませんでした。どこにいたのでしょうか。

スプリットの魚市場

これも好き!塩が効いた「アンチョビ」

広い沿岸部を持つクロアチアだけあって魚介類は充実しています。手長エビやムール貝、今回は食べませんでしたが、牡蠣も多く出回るとのことで、9~4月頃までがシーズンだそうです。内陸部では酪農が盛んで肉料理やチーズ類も見逃せません。久しぶりに食べたステーキはぶ厚いけど柔らかく、食べごたえ満点でした。恐らく300g以上はあったと思います。

300gの牛ひれステーキ

穏やかな気候と豊かな食文化、そしておいしいワインやビールが揃ったクロアチアがずっと平和でありますように。イケ国のイカしたクロアチアを皆様も是非体験してください。
ドブロブニク★★★★★
多くの観光客が訪れるだけあって見応え十分の美しい旧市街
城壁を一周してみよう!最近、アメリカの歴史ドラマ『GAME OF THE THRONES』の撮影が旧市街のメインストリートで行われたそうです。私は聞いたことがなかったのですが、世界中で大人気のドラマだそうです。
コルチュラ島★★★★★
歴史ある旧市街だが全長約200mほどしかないためか何故か心地よい
ザダル★★★★★
静かでのんびりした田舎町。歴史は古く貴重な教会施設も多い。ワイナリーレストランが素晴らしかった。
(2016年5月13日~20日 森 裕)
このエリアへのツアーはこちら

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