メキシコと言えば、古代遺跡、ハネムーンで人気の高級ビーチリゾート、テキーラ、サボテンなど女子同士で楽しめるデスティネーションとして頭に思い浮かべる人は少ないだろう。女子にとって旅先を選ぶポイントとして、素敵な町並みやホテル、ショッピング、美味しい料理は欠かせない。実はこのメキシコ、その全てを叶えてくれる魅力満載の国なのだ。今回は『女子的メキシコ旅行ノススメ』として、①アート ②メキシコ雑貨 ③グルメと女子的切り口でメキシコの楽しみ方をご紹介したい。
① コロニアル都市でアート巡り
遺跡やビーチリゾートも良いが、メキシコをより深く味わうにはコロニアル都市も外せない。メキシコにはスペイン植民地時代に建てられたヨーロッパ風のコロニアル都市が数多く残されている。特に銀の道と呼ばれる全長2000km以上に及ぶ道は、16世紀から300年間にわたりメキシコで産出された銀が運ばれ、その沿道には銀で巨万の富を得た富豪達が豪華な建物を建築した。このルートには、メキシコを代表するコロニアル都市グアナファト、 サンミゲルデアジェンデ、 ケレタロ、メキシコシティなど世界遺産に登録された都市があり、ヨーロッパの華麗で荘厳な静の美と、数千年にも渡り受け継がれたラテンアメリカ特有の躍動感溢れる動の美が融合し、ヨーロッパとはひと味違う独特な雰囲気を醸し出している。押し寄せるヨーロッパの新しい文化を受け入れながらも、自分達のアイデンティティは失わず独自の発展を遂げたメキシコ独特の美的感覚から生まれたアートに触れながらコロニアル都市を巡るも是非お勧めしたい旅の楽しみ方の1つだ。
【メキシコシティ】
●フリーダカーロ美術館
メシキコを旅すると、ある女性が描かれたグッズを至る所で目にする。彼女の名はフリーダカーロ。夫ディエゴ・リベラと言うメキシコを代表する壁画家と暮らした「青い家」と呼ばれる真っ青な外壁で囲まれた彼女の生家は、現在博物館として利用されている。小児麻痺、交通事故、3回に渡る流産、夫の度重なる裏切りなど数え切れない絶望の中で享年47歳の短い命を生ききった彼女の激動の人生は度々映画化され、今も熱狂的なファンが多く訪れていた。彼女自身も度々降りかかる困難から受けた心の傷を癒すかのように多くの恋を経験したそうだ。女性なら少し羨ましくもあるそんな彼女のドラマチックな人生に思いを馳せながら見学すると更にこの博物館が楽しめる。
(入館料55ペソ、館内での写真撮影は別途料金60ペソ)
その他にもメキシコシティには、国立人類学博物館、世界遺産ルイス・バラガン邸と仕事場、エルメスも認めたメキシコ伝統の民芸品が展示されている民芸品博物館など数多くの美術館・博物館があり、その数は世界有数なのだとか。日曜日は国民に無料解放され子供から大人まで多くの市民で賑わいメキシコ人の芸術に対する関心の高さが伺える。メキシコシティは周辺都市へ行く為の中継地と考えていたが、実は魅力的なスポットが多く次回は是非ゆっくりと見て周りたい。
<その他の見所>
【グアナファト】
世界遺産グアナファトでは、ピンク・黄・緑など虹色に彩られた絶景の街並みが楽しめる。16世紀半ばに発見された銀鉱脈で栄え、18世紀には世界の3分の1の銀がここグアナファトで産出されていたと言われる。銀で巨万の富を得た大富豪達は、本国のスペインを上回る街作りを目指し、莫大な富を投入してバロック調の華麗な装飾を施したコロニアル建築を建てた。グアナファトは他のコロニアル都市に比べ重厚感ある豪華な建物が数多く残り歴史の重みを感じさせる。
ここグアナファトは同じく世界遺産のコロニアル都市ケレタロやサンミゲルアジェンデへのアクセスも良く、コロニアル都市巡りの起点としてもお勧めだ。
●虹色の街並み
グアナファト州はメキシコ独立戦争が始まった場所である。街を一望出来るピピラの丘には独立戦争の英雄ピピラの銅像が建てられている。銀の産出で栄華を極めたその裏で、先住民やメスティソ達は銀の採掘のため過酷な労働が強いられ多くの命が奪われた。この美しい街並みはそんな光と影の中で作られたものだと思うとより感慨深いものがある。
●ディエゴリベラ博物館
メキシコ革命後、壁画を通じてメキシコ独自のアイデンティティを民衆に訴えた壁画運動の中心的人物であり、フリーダカーロの元夫でもあるディエゴリベラはグアナファトで生まれた。街の中心部にある彼の生家を利用した博物館には、彼の作品や現代アーティストの作品も展示されていた。美しいフリーダカーロが決して男前とは言えない歳の離れたおじさんに惹かれたのか彼の作品を見ると少し分かる気もする。
(入館料20ペソ。ディエゴリベラの作品は撮影不可)
●ミイラ博物館
アートとは関係ないが、グアナファトにはミイラ博物館がある。高地の乾燥地帯と言う気候により埋葬された遺体が自然とミイラ化したのだとか。洋服を着たままのミイラや幼児のミイラなど数多くのミイラが展示されている。エジプトでもミイラは見たが、こちらの方は比較的年代が新しいため生々しくかなりの衝撃だった。興味のある方は是非グアナファトへ足を運び実際に見てほしい。
<その他の見所>
【サンミゲルデアジェンデ】
サンミゲルデアジェンデは2013年には旅行雑誌コンデナスト・トラベラー読者130万人が選んだ観光都市ランキング「世界の都市25選」でナンバー1に輝いた街だ。 グアナファトが銀で発展したのに対し、この街は手工業で発展を遂げた。その流れなのだろうか、この小さな街にはメキシコで有名な「アジェンデ美術学校」と「エルニグロマンテ文化会館」2つのアートに関する施設があり、世界で活躍するアーティストを輩出してきた。今も若手アーティストのギャラリーや彼らが製作した作品を売るお洒落なショップ、洗練されたレストランやブティックホテルが軒を連ね、街自体が「アート」だった。歴史を感じたい人にとってもしかするとこの街は作られ過ぎていると言う人も居るかもしれないが、目に映る全てが絵ハガキのような可愛い街並みは女子にとって間違いなくテンションが上がる。コンパクトなこの街は徒歩で見て周る事が出来る。今回は日帰り訪問だったが、次回は是非お洒落なブティックホテルに滞在し、じっくりこの街を楽しみたい。
② メキシコ雑貨
メシキコには色彩感溢れる可愛い民芸品が多く売られている。各都市に民芸品市場があり、陶器や服飾品など所狭しと並んでいる。市場は雑多に品物が並んでいるためお気に入りの品を見付けるのは一苦労だが、 街中のショップよりお安く買え値段交渉も可能だ。 自分へのご褒美なら街中の洗練されたショップも良い。市場には無い質の高い商品が売られている。雑貨巡りならサンミゲルアジェンデとオアハカは外せない。アートの街と言われるサンミゲルアジェンデでは、他の都市には無いセンスのよい品がある。今回訪問する事は出来なかったが、オアハカではメキシコの伝統的な民芸品が売られているそうだ。メキシコの思い出と共にお土産を持ち帰るため大きめのスーツケースは必須だ。
③ グルメ
メキシコ料理のイメージは「タコス」「辛い」しかなかった。実はメキシコ料理、ユネスコが食文化として初めて世界無形文化遺産に認定した7000年という長い歴史を持つ伝統ある料理で、トウガラシ・トマト・カカオ・カボチャなど、今や私達の食生活に欠かせない食材の原産地でもあるのだ。シーザーサラダやガムなどもメキシコ発祥なのだとか。
古代より受け継がれた伝統と、植民地時代に運ばれたヨーロッパの新たな食文化が融合し、今や料理の種類も豊富で、料理に付けるソース1つを取ってもかなりの種類がある。
食事をするにあたり料理の味は言うまでもなく、それと同じく重要なのは食事をする場所の雰囲気だろう。ここでは今回私が訪れた中で、味覚・視角共に大満足だったレストランを紹介したい。
●フィエスタ アメリカーナ アシエンダ ガリンド(ケレタロ郊外)
●CUNA DE TIERRA(ドローレス・イダルゴ)
●ミッション ブティック カーサ(グアナファト)
ピピラの丘近くの高台に建つ高級ホテルで、グアナファトの美しい街並みが一望出来る。グアナファトの中でも人気のホテルで予約が取り辛いそうなのだが、そんな時にはレストランでディナーをするのがお勧め。暖かい灯に照らされたグアナファトの美しい夜景がレストランからも楽しめる。
今回の旅を通じてメキシコのイメージがガラリと変わった。中南米と言えば遠い異国の地で気軽には行けないエリアと思っていたが、アエロメヒコを利用すれば往路は成田から直行便約13時間でメキシコシティに到着する。古代遺跡やビーチリゾートがフューチャーされがちなメキシコだが、ヨーロッパ的な雰囲気と先住民文化の2つが味わえるコロニアル都市や豊かな色彩感覚から生まれたアート、カラフルなメキシコ雑貨にグルメと女子が喜ぶエッセンス満載の国だった。定番も良いけどちょっと冒険してみたいと思っている女子の皆さん、ぜひ次のデスティネーションはメキシコへ。
【スタッフオススメ度】
グアナファト ★★★★★ 虹色のカラフルな街並みと歴史を感じられる街。
サンミゲルデアジェンデ ★★★★★ 街全体がアート。洗練されたメキシコ雑貨が豊富。
メキシコシティ ★★★★ 美術館や博物館が豊富。
(2015年3月 藤原奈緒子)
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