今回グアテマラ・ベリーズという中米を訪問する機会を得ました。
中米というとジャングルに眠るティカル、カラコルなどマヤ文明の遺跡やマヤ系民族のイメージが強いのですが、
それに負けないような大自然の絶景とアドベンチャー好きを唸らせるような、とっておきの場所があります。
それが今回訪れたATM洞窟と秘境セムックチャンペイです。特におすすめはこのATM洞窟!ちょうどベリーズの中央部に位置する鍾乳洞「アクトゥン・チュニチル・ムクナル洞窟」のことです。舌を噛みそうな名前のこの洞窟は、頭文字をとって通称「ATM洞窟」と呼ばれ、ベリーズを訪れる旅人たちにとって隠れた人気スポットとなりつつあります。
洞窟にたどり着くまでにジャングルで幅約10メートルの川を3回渡り、途中シロアリを食し、暗闇の洞窟を泳いだり、岩をよじ登ったりしながら道なき洞窟内を探検し奥にあるマヤの神聖な儀式跡をめざす最強のアドベンチャーツアーです。
今回訪問する機会を得ましたので以下にご紹介いたします。
まるでインディージョーンズの世界!秘境!ベリーズATM洞窟探検
世界有数のカルスト地形を誇る中米ユカタン半島。この半島には、多くの鍾乳洞やセノーテが数多く点在しています。ガイドさんによれば、この地域に住んでいたマヤの人々にとって、それらは冥界への入口であり、信仰の対象であり、そして、儀式を執り行う舞台でした。熱帯雨林が色濃く残るカリブの小国ベリーズには、当時のマヤの人々の痕跡が残る手つかずの鍾乳洞がいまだに数多く遺されています。その中でも、探検家になったかのような大冒険を体験できる、とっておきの洞窟が通称ATM洞窟(Actun Tunichill Muknal アクトゥン・チュニヒル・ムクナル)です。ツアーはこの洞窟に残されているマヤ文明の生贄の儀式の遺構を見に行くのですが、この道中が面白いのです。洞窟に至るまでにまずジャングルの中の川を3本渡り、入り口から最深部の遺構まで真っ暗闇の鍾乳洞の中を、自分のヘッドライトの明かりだけを頼りに進んでいき、時には地下水脈の中を泳ぎ、時には自分の背丈以上の壁をよじ登って、奥へ奥へと進みたどり着く体験はまるでインディージョーンズの世界!アドベンチャー好きの期待を裏切らない大興奮のツアーでした。
朝8:00サンイグナシオの町の中心部にあるツアー会社前にいくと、通称ATMと呼ばれている洞窟の専門ガイドの人が出迎えてくれました。今日の担当はフランシスコさん。
今回の我々のグループはドイツ人やオーストリア人に我々も含め8人でした。まずはマイクロバスでサンイグナシオから約1時間、ATMジャンクションと呼ばれている町外れの売店へ向かう。「ここが今日洞窟探検から戻ってくるまでの最後の補給ポイントです。」とガイドさんが冗談めかして言う。 売店には衣類、文具、食料品など村の生活物資、洞窟探検でも使えそうな「靴下」「ミネラルウォーター」「お菓子」なども売っている。買い漏れがあった人には確かにうってつけの店である。
それからさらにラフな道を約20分走ります。途中民家兼検札所のような場所でチケットをみせて、さらに10分ほど進むと駐車場があります。
駐車場の脇にはトイレと水シャワーがある。トイレ休憩を済ませると、ヘルメットとヘッドライト(LED)を渡され装着し臨戦態勢。カメラは洞窟へ持ち込めないので、ここに置いていくように言われる。また貴重品もずぶぬれになるのでここに置いていく。ドライバーさんがずっと見てくれているので安心です。
そこから洞窟までは徒歩です。木々が生い茂る山道を歩きます。ただ起伏がなだらかなので息切れはしません。歩き始めて10分ほどのところで、靴を履いたまま川を渡りました。(もちろん橋はありません)膝ぐらいの深さの川を歩いて渡るのです。この後も洞窟につくまで同じような川を2回渡ることになります。両岸にはロープが張られ、ロープをつたい渡るのですが川底は滑りやすいため、ツアー参加者で手を取り合いながらすすみます。
渡り切ってからは、フランシスコさんが歩きながら目に留まるものをネタに説明してくれます。話はガイドによって、またその時節によって違うようですがとても博学でATM専門ガイドの知識レベルに驚かされました。今回は、葉切り蟻、ジャングルで生き延びるときに役立つ蔦、生命の木、きのこ、馬のたまたまという名の木の実、傷に効く葉、香りのいい葉などなど。途中木の上にあるシロアリの大きな巣を発見!フランシスコさんはおもむろに枝を巣につっこみ、その枝をぺろり。枝についたシロアリを食べたのです。これには参加者もびっくり。冗談そうにみえるが実はアリはジャングルでの貴重なタンパク源なのだそうだ。折角なので食べみるとセロリのような不思議な味。ジャングルでの軽食、貴重な体験でした。そんな話に目をきょろきょろさせながら歩いている内に早くも目的の洞窟の入口に到着。
歩き始めて1時間程度すると洞窟へ入る前に軽食が取れる簡単な場所とトイレがあるキャンプサイトに到着します。ここで洞窟探検をする前にスニッカーズなど軽食を食べます。そして懐中電灯のついたヘルメットをかぶり直しいざ鍾乳洞の入口へ。
洞窟内に入る前にフランシスコさんが洞窟がマヤ人にとってどういう意味を持った世界なのかということをわかりやすく説明してくれました。
マヤの神話「ポポル・ヴフ」でも描かれているように、この地域に住んでいたマヤの人々にとって、鍾乳洞やセノーテは冥界への入口であり、信仰の対象であり、そして、儀式を執り行う舞台だったとのことです。ではいざ冥界の入口へ!
フランシスコさんが、「洞窟に入ったら先頭の人は僕が言ったことを正しく後ろに伝言すること。一語一句正しくね。」と洞窟での注意事項を皆に説明してくれました。なんか探検隊みたいと思いつつも多少の不安を抱きながらいざ出発。
まず入り口からしてものすごく神秘的。鍾乳洞の入口は地下水脈の出口となっていて、一部足のつかないところもありますが、靴を履いたままここを泳いで渡ります(ウエットゾーン)。中は、もちろん電気も道も手すりも何もない自然のままです。開発された観光地慣れした方にはちょっとカルチャーショックかもしれません。中に入ってからも、一部足の着かないところを泳いだり、岩山をよじ登ったりしながら先へと進みます。途中胸まで水につかりながらここ通れるの?と思えるぐらいの隙間を入って洞窟の奥に進んで行きます。
鍾乳石が上下から生える不思議な光景の中を進むと、まるで自分が探検家になったかのような気分で、まるでインディージョーンズの世界さながらの雰囲気!テンションがあがります。
このツアーに参加する条件にソックスを持ってくる、というのがあるのですが、なぜか。
謎が解けました。1時間くらいどんどん中へ奥へ上っていくと、そこからは靴を脱いで、靴下だけで上っていくところがあります(ドライゾーン)。それは、靴や裸足だとすべりますし、人間の油が鍾乳洞ができるのを妨げる可能性があるからです。
そこから少し傾斜があり、登っていくと、石灰岩が棚田のように広がっていた。ゆるい波が固まったようにも見える。そして、そこかしこに壊された壷が転がっている。その横には骨のようなものも見えた。この壺は、マヤの儀式で使われたもので、その儀式が終わると割って捨てられるそうです。一説によれば9世紀から10世紀ごろの長期的な干ばつに困ったマヤの人々が雨乞いの儀式を執り行った跡なのだとか。当初動物の犠牲をささげ儀礼をおこなっていたようですが、思うような効果がないためについには人間の犠牲をささげたようです。数の多さからもその必死さが伝わってきます。
さらに石灰岩の階段を登ってゆくと、宮殿のような広い空間に出た。周りを石柱がそれこそ御殿の柱のように天井を支えているように見える。その鍾乳石の柱がガイドのライトに天国のような美しさを見せる。美しい鍾乳洞がマリア像のように折り重なって見えます。これが自然につくりあげられたとは思えない神殿です。発見者はここを「カテドラル=大聖堂」と名づけたようです。神秘的な鍾乳石に囲まれた場所に残された約1500-2000年近く前の遺跡を見ているとここまでのハードな道のりのことなど忘れてしまうほど感動します。ナショナル・ジオグラフィックのプレゼンテーターも絶賛している場所のひとつだというのも納得です。きっと言葉でも写真でもこの体験は伝わらないと思います。
こういう自然のままの見せているのはおそらくベリーズだけだろうということです。これも人があまり多く来て収拾つかなくなったら変わってしまうのかもしれません。体力的にはハードですが、日本語通訳の丸さんやフランシスコさんの助けをかりながらとはいえ、私が最後まで行って帰って来れたので、普通の人もがんばれば行けるツアーでしょう。また同じ道を戻り、駐車場へ。更衣室で着替えを済ませてピクニックランチ後、サンイグナシオの町へ戻りました。
洞窟に入ってから出てくるまで約3~4時間。洞窟内で見ることができる骸骨や出土品もとても貴重なものですが、このATM洞窟の醍醐味は、やはり、かつてマヤの遺跡と財宝を探してこの地を冒険した探検家たちの気分を味わえる、という点に尽きます。いつまでこの洞窟が観光客に公開されているかはわかりません。考古学的にも大変興味深いこの洞窟探検に、ぜひ足を運んでみませんか。弊社でも近日ツアー発売予定です。乞うご期待!!
エメラルドグリーンの水棚「セムックチャンペイ」で泳ぐ!
グアテマラのセムックチャンペイも、ATM洞窟に引けを取らない絶景ポイントです。石灰棚を流れるカーボン川が作り出したエメラルドグリーンの水棚で、世界一美しい天然のプールと旅人の間では呼ばれているようです。
セムックチャンペイは、グアテマラシティから約200キロ以上離れたコバン(ランキン)からさらに約70km、陸路で約3時間の山奥にあるため、通常は1泊2日ツアーで訪れることになります。
コバンからランキン、セムックチャンペイまではダート道で、車は4駆でないと無理で、坂も半端じゃないほど傾斜しています。特にランキンからセムックチャンペイまでの道のりは、ランキンまでの未舗装の道をはるかに越えたダート道。車が上り(くだり)やすいようにコンクリートでタイヤが通れる道があるが脱輪覚悟。しかも対向車がすれちがえない所もいくつかあるし、横はがけも多いのです。
水棚の入口の到着すると、まずセムックチャンペイ展望台へ向かいます。この展望台までの道のりが大変!立札をみてお気づきの通り「difficult、1時間15分」と書いてあります。ガイドさんは「若い人なら20分もかからないよ」といってましたが、いずれにしてもこの登山道を登りきらないと絶景を拝める展望台にはたどり着けないのです。普段全く運動をしていない体にはだいぶ答えましたが、約30分で無事展望台に到着。そこから見える景色はまさに絶景!多少無理して登った甲斐がありました。
次に展望台からはこの石灰棚を目指して下っていくこと約15分、轟音を上げる水しぶきが見えてくる。棚田のように見える部分は約300m、前後は流れの急な川なのだ。川の周りは遊歩道が整備されていますが、サンダルがあると便利です。そこから約5分で、エメラルドグリーンの天然のプールに到着します。水は澄んでいるので、上から覗くだけで魚がよく見えます。そう、小さい魚がすんでいるのです。早速水着に着替えて泳いでみました。ドクターフィッシュのように、小魚が足をつっついてきます、この日は曇りでしたが水の温度もちょうどよく気持ちい。石灰棚を滑り降り、自然のウォータースライダーのように楽しむこともできる。
このような絶景はどのようにできたのか。ガイドさんによると、ここに流れているカーボン川の上に、その昔橋渡しの状態になるようにでっかい石灰岩が落ち、川の水量が多いときはこの石灰岩の上を川が通ったり、山からの水で石灰岩が侵食されてこのような水棚ができたそうだ。確かに現在もこの水棚の下をカーボン川が流れており、前後には激流のカーボン川の出入り口がある不思議な風景を広がっている。ケクチ語で「土地の下に隠されている川があるところ」という意味の「セムックチャンペイ」と名付けられたのも納得です。
石灰棚といえば、中国の九寨溝やトルコのパムッカレが有名ですが、セムックチャンペイはジャングルの中にあり、泳ぐことができる点でほかの石灰棚とは異なる
景観だけでなく、アクティビティーとしても楽しめる「セムックチャンペイ」、今後注目のスポット間違いなしです!
グアテマラシティやアンティグアから拠点となるコバンに向かう途中には、「ビオトポ・デル・ケツァール」というケツァール保護区があるので、一緒に国鳥、ケツァールを探しに行くことも出来るのであわせて訪問するのもいいでしょう。
今回訪れたほかの絶景ポイントは写真のみご紹介します
お勧め度
●ATM洞窟 ★★★★
洞窟探検ツアーはアドベンチャー好きにおすすめ
●セムックチャンペイ ★★★★
超山奥にある世界一美しい天然のプールはエメラルドグリーンの絶景
(2014年11月 渡邊竜一)
このエリアへのツアーはこちら
グアテマラ
ベリーズ