今回は友人と共に情熱の国スペインへと旅立った。
5泊8日と短かったため、バルセロナ2泊とマラガ1泊、グラナダ2泊という詰め込みプラン。
かつて「太陽の沈まない国」と称され、栄光を欲しいままにしたスペインは街ごとに異なる人々や風景、料理など様々な表情で私たちを迎えてくれた。
○バルセロナ○
2泊しかしなかったこともあり、ガウディに始まり、ガウディに終わったバルセロナ。
空港からバルセロナ市内までは、空港シャトルバスを使って約30分。値段は片道1人5.75ユーロ。(2014年11月現在)15分おきごとに走っていて、空港 → スペイン広場 → バルセロナ中央大学前 → カタルーニャ広場と止まるので、この周辺のホテルに泊まる場合は断然おすすめ。
バルセロナの象徴ともいえるサグラダ・ファミリア。ずっと見てみたかったのだが、ついにこの目で見る日が訪れた。地下鉄サグラダ・ファミリア駅を出ると、目の前に突如として現れる。予期せぬ近さに思わず声を上げてしまう。訪れる際は電車を降りたあたりから心の準備をしておこう。
中に入ってみると、美しいステンドガラスから入り込む光が聖堂内部に何とも言えない神秘的な空気を作り出している。
ガウディの設計手法はかなり独特だ。網状の糸に重りを数個取り付け、その網の描く形態を上下反転したものが、垂直加重に対する自然な構造形態だと考え、このような設計を施した。
うーん。ガウディの頭の中を一度覗いてみたいものだ。
ご存じの通り、すでに着工から130年間経過しているものの、まだがっつり工事が行われている。2026年には完成するという噂。本当に完成するのかどうかは謎。
続いて、グエル公園、カサ・ミラ・カサ・バトリョを見て周った。
個人的にはカサ・バトリョが一番好きだった。内部は海の中をイメージして作られており、天井は自然の光がまんべんなく取り入れられるよう工夫が施されている。その光の関係でタイルは上は濃い青、下は薄い青色となっている。
お部屋のドア、ドアノブ、階段、窓、屋根全てが曲線を描いており、一つとして同じ形のものがない。さぞかし、ガウディは職人さん泣かせだったことだろう・・。
屋上に出ると、カラフルなシメジのような形の煙突や通気口、真ん中には天窓がとってある。こんなに奇妙で愉快な屋根は世界でもここだけだろう。
ガウディの作品を訪れるなら、サグラダ・ファミリアとカサ・ミラは日本で事前に予約をしていくのがベター。当日に行くとかなり並んだり入れない可能性がある。
バルセロナの街のとある通りにある六角形のタイル。これもガウディの作品。ホタテ・タコ・ヒトデなどの海の生き物が模様になっている。
街を歩きながらぜひ探してみてほしい。
○アンダルシア地方○
バルセロナから国内線で次の目的地マラガへ。
マラガに到着したのは10月31日の夕方頃。そう、ハロウィン真っ只中。
空港からホテルへ向かう道中、ちらほら仮装をした子供たちを見かける。
ホテルから徒歩1分ほど、マルケス・デ・ラリオス通りに出るとそこはまるで異世界。
子供からおばあちゃんまで、みんな仮装をして歩いている。
中には一仕事を終え、レストランで真剣に口論をしている夫婦(?)も。
さすが本場のハロウィンは日本のハロウィンとはレベルが違う。普通の服を着ている私たちが逆に浮いてしまっていたが、歩いているだけでとても楽しかった。
さて、スペインといえば白い町、闘牛、フラメンコ。それのすべてを叶えてくれるのがここアンダルシア。
翌朝、マラガからグラナダへ向け専用車でミハス、ネルハ、フリヒリアナという白い町を巡った。こういった小さい町へは専用車で効率よく周るのがおすすめ。自分で公共交通機関を使って移動をすると、バスの本数が少なかったり乗継が必要となったり複数周ることが難しい。
どの町も、それぞれ特徴があって面白い。そしてどこを切り取っても絵になる。
ミハスまではマラガから約1時間ほどで着く。
ネルハまではミハスから約20分ほど。車窓から真っ青に輝く地中海が見えてくる。そこには、もう11月なのにも関わらず、水着で泳いでいる人達がたくさんいた。
ヨーロッパのバルコニーという、地中海を望めるところがある。カラッとした陽気に、街中で演奏されているヴァイオリンの音色。ゆったりとした空気のなかその綺麗な地中海を眺めていると、時間を忘れてしまいそうになる。
この日、たまたまここでウェディングを挙げるカップルに出合った。こんなところでウェディングなんて素敵。
次の町、フリヒリアナでランチ。
スペインではご飯は間違いがない。有名な発砲ワイン「カバ」とパエリア、パスタなどを白い町並みを眺めながら堪能し、おなか一杯。
どの町も人が少なく、時間の流れがゆっくりとしている。真っ白な壁に、青色に統一されたドアや植木鉢。そのコントラストが素晴らしい。
青と白で思い出したが、グラナダで見かけたコカコーラのマーク。景観保護のため、ここではコカコーラが青と白なのだ。
夜は、フラメンコ鑑賞やバルめぐりが楽しい。
私はグラナダのタブラオでフラメンコを鑑賞した。タブラオとは、食事をしたり、お酒を飲みながらフラメンコを鑑賞できるところ。私が行った「ロス・タラントス」は洞窟のように狭い空間でダンサーを囲んで見ることができる。とても距離が近く、迫力満点だ。
ここでは、手拍子や掛け声は演者の邪魔になってしまうためNG。生のギター演奏、歌、手拍子はシンプルだが情熱がこもっており、そのなかにも美しさを感じることができた。
そして、もう一つ外せないのがバル巡り。ここではお酒を1杯頼むと、タパスが1つ無料でついてくるのだ。お酒は1杯2~3ユーロとお手頃。タパスとは、スペイン語で「ふた」を意味する“Tapa”(タパ)の複数形。もともと、アンダルシア地方のバルで、グラスに虫が入らないように、パンやハムでふたをして供したのが始まりだとされていて、そのサービスが好評だったため、しだいに全国のバルに広まってバリエーションも増え、お酒と一緒に出す前菜全般をタパスと呼ぶようになったのだとか。
最後に。スペインでは心優しい人が本当に多かったように感じられた。
地図を広げていると、必ずといって良いほど声をかけてくれ、親切に教えてくれる。3人で写真を撮っていたら、通りかかった人はみんな「撮りましょうか?」と声をかけてくれる。
観光客の多いスペインでは、やはりスリ・ひったくりには十分注意は必要だが、私はこの旅で人の温かさに感動した。情熱の国なだけあり、皆心はぽかぽかだ。
ガウディの異才に触れ、白い町並みに癒され、おいしいご飯を堪能し、8日間全力でスペインの魅力にかじりついた旅となった。しかし、今回はスペインの「ス」しか見ることができなかったので、今度はビルバオやサンセバスチャンなど北の方や、イビサ、マヨルカ島などにも行き、今回見ることができなかった更なる魅力を見てみたい。
<おすすめ度>
バルセロナ ★★★★ ガウディの奇想天外な発想に驚きの連続!
アンダルシア地方 ★★★★★ アンダルシアを訪れずにスペインは語れない
2014年11月 池田 郁依
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