田舎に泊まろう!! in チェコ、スロバキア 小さな世界遺産の町に泊まる旅

田舎に泊まろう!! in チェコ、スロバキア 小さな世界遺産の町に泊まる旅

ウィーン、プラハにブダペスト、中欧の人気3都市。
教会や重厚な石造りの建物、王宮を観光して、カフェでお茶をして、
観光の合間におみやげものを物色して、夜は教会ミニコンサートにも出かけて・・・
そこはきらびやかでにぎやかな観光地。
でもせっかく中欧に行くのだから首都だけに滞在して移動するのはもったいない。
ということでチェコとスロバキアの田舎をのんびり専用車でまわる旅に出発した。
そして、そこは素晴らしい世界遺産の宝庫だった。


まずは、プラハから車で約1時間ちょっとの世界遺産の町クトナーホラヘ。
クトナーホラは、13世紀に銀鉱脈が発見され、プラハに継ぐ都市に発展したが、16世紀になると銀が枯渇し、町はすっかり衰退してしまったらしい。そのおかげか中世の街並みを今なお残している。
クトナーホラで一番有名なのが約4万人の人骨でつくられた納骨礼拝堂。
一歩足を踏み入れた途端、圧倒される。

人骨でつくられたシャンデリア・・・

人骨でつくられた紋章・・・



そして、急にカメラの設定サイズが変わっていたというミステリー・・・

圧倒的な死を突きつけられる体験となった。
気を取り直して旧市街へ。
聖バルバラ教会。



400年をかけて建築された見事な教会。迫力のある壮麗な大聖堂だ。
カメラで全体像をおさめようと思っても巨大すぎて無理なほど。

中にはランタンを掲げた鉱員の像など、銀の採掘で栄えた歴史をうかがわせるものが多くある。
雰囲気のよい石畳の旧市街を散策する。ちらほらと観光客の姿は目にするが、プラハから1時間ちょっととは思えないほど、ひっそりとした町だった。



クトナーホラから車で走ること約1時間30分。
ゼレナーホラにある世界遺産聖ネポムツキー巡礼聖堂にやってきた。

緑に囲まれた小高い丘の上に建っている。
ネポムツキーは王妃の懺悔内容を王に問い詰められたが決して話さず、拷問にも耐え、結果、袋詰めにされプラハのカレル橋からブルタヴ川に投げ入れられてしまった。死後、彼の墓を開けてみると遺体は白骨化していたが、舌だけは原型をとどめていた。この奇跡によりネポムツキーは聖人となった。カレル橋には聖ネポムツキーの像があり、その台座に触れると幸せになれるというジンクスもある。



その舌をモチーフとした天井の飾りが特徴的。五角形の礼拝堂、祭壇の5人の成人、星型など5を意識したユニークな造りになっている。また屋外に出ると、小高い丘からゼレナーホラの街並みが見渡せる。


17:30 テルチに到着。ボヘミアの真珠と称される小さな小さな世界遺産の町。ザハリアーシュ広場という細長い三角形の広場に、おもちゃのような可愛らしい家々が並ぶ。



観光客はほとんどいない。本日はテルチに宿泊。


ひっそりとしたテルチのまち。

おすすめビュースポット。ベルプスカー橋より、池に映るテルチ城。


18:30 唯一オープンしていた一軒のレストランでマス料理の夕食。
08:00 通勤、通学の人以外はいない、朝もひっそりとしたテルチのまち。
世界遺産を独り占め。そして女心をわしづかみにする、パステルカラーのかわいい家々。

この景色を持って帰りたくて思わず、ミニチュア版を購入した。


世界遺産なのだからもう少し気合を入れて観光客を呼び寄せればいいのに、と思う反面、にぎやかさのないひっそりした雰囲気に心が落ち着く。それがテルチの良さなのかもしれない。
約2時間のドライブ後、チェスキーキロムロフに到着。

13世紀に南ボヘミアの貴族がこの地に城を建設したのがはじまり。最も繁栄した16世紀の美しい風景が今でも残る世界遺産の町だ。テルチとはうってかわって観光客がとっても多い。おとぎの国のよう。気の向くままぶらぶらと町歩きをしているとかわいいディスプレイやおもしろい看板のお店に遭遇する。






町を散策した後は、チェスキークロムロフ城へ。

場内のお堀ではクマが飼われている。



チェコの建物でよく見られるスグラフィット画。
お金はないけど、レンガ風に見せたいという涙ぐましい努力。

チェスキークロムロフといえばこの景色!オレンジ屋根の家々のなかに教会が。

絵のような写真はこのようにして撮ります。
チェスキークロムロフ城の内部見学ツアーに参加してみる。
大きな鍵を持った女性が、礼拝堂や食堂、黄金の馬車が置かれたホールなど、豪華な家具や絵画が今でも残る城内を案内してくれる。特に貴族の社交場として使われたマスカレードの広間は必見。約6ヶ月で描き上げられたとは思えない見事な絵で四方が囲まれている。鏡のうえまでペインティングされていたり、趣向が凝らされている。残念ながら写真撮影は禁止されているが、貴重な体験となった。
18:00
本日はチェスキークロムロフで宿泊なので、エッゲンベルグ醸造所に併設されているレストランで地ビールを飲みに出かけた。


300mlの生が一杯100円以下という驚きの安さ!

水死体という名の酢漬けソーセージ、ウトペネッツにトライ。

瓶詰めを見ると、確かに水死体っぽい、、、
夕食後は、もう一度旧市街を散策。ライトアップされた幻想的な街並みが美しい。
こんな素敵な夜景を見られることが
世界遺産の町に泊まる魅力でもある。


09:30
チェスキークロムロフからチェスキーブディヨヴィッツェに向かう途中で、世界遺産の町ホラショヴィツェに立ち寄る。のどかな農村風景も中に白い漆喰をベースにした優しいパステルカラーの家々が並ぶ。

南ボヘミア風バロックというここでしか見られない独特の建築様式が残っている。
素朴なバロックとも呼ばれていて、やわらかな曲線を描く屋根やシンプルで控えめな装飾が田園風景に溶け込んでいる。
10:30
大好物ピルスナー発祥の地、ビール好きにとっての聖地チェスキーブディヨヴィッツェのブドヴァル醸造所に到着。世界中で愛されるピルスナーを製造している工場だ。そして、アメリカのバドワイザーがここからその名を拝借したことでも有名。
毎日14:00からは工場見学ツアーが行われているが、時間が早かったので、簡単な展示物を見学した後、工場直営のビアレストランでランチをとった。できたてのビールは本当においしい。ドライバーさんもジョッキでがばがば飲んでいたけど…。
チェコの締めくくりには最高の一杯となった。



ところで、チェコやスロバキアのレストランでは、メニューに必ずカロリーではなくグラム数が表示されている、一人旅には便利だが、パスタ350gなどと書かれていると、食べ切れるか心配で注文しづらい……。

18:00
プラハから空路でスロバキアのコシツェヘ。
スロバキア第2の都市コシツェは、旧市街のランドマーク、スロバキア最大のゴシック建築、聖アルジュベタ大聖堂を中心として中欧らしいパステルカラーの建物が並ぶ町。
フラヴナー通り沿いにはレストランやオープンテラスのカフェがあり、初めて訪れても歩きやすい。



国立劇場の正面にある噴水は、毎時、音楽に合わせて噴水が上がる水のショーが見られる。
コシツェから専用車で約1時間。
ジブリアニメ「天空の城ラピュタ」では、悪党の城のモデルとなったと言われるスピシュ城へ。コシツェから来た場合、約5kmあるスロバキア最長のトンネルを抜けたその先、雄大なパノラマの中で目に飛び込んでくるのが、小高い丘の上にそびえるスピシュ城の廃墟。
鳥肌が立つほど感動的な出会いだ。スピシュ城は山あいの開けた土地に残る石造りの廃城。
モンゴル人やトルコ人の襲来に備えて13世紀前半造られ、増築が重ねられたが、1780年の火事で焼け落ち、以来巨大な廃墟となった。
残念ながら霧雨の降る曇天だが、それがまた廃墟と化したスピシュ城を神秘的に見せている気がする。スピシュ城には曇り空の方が似合うかもしれない。




城壁に囲まれた交易の要衝都市、レヴォチェに到着。スロバキアでも最大級の教会、聖ヤコブ教会には高さ18mもある木彫り装飾の祭壇があり必見。当時、釘を一つも使わずに作られたというから驚きだ。まこの教会内部には座ると結婚できるという椅子がある。女子必見のパワースポットだ。
スロバキアの大自然を感じながら走ること約1時間、世界遺産のドブシンスカ氷穴へ。スロバキアはカルスト大地のため、地下に多数の洞窟がある。その中の一つがドブシンスカの氷穴だ。ヨーロッパで最大級のもので、1946年までは洞窟内で1年中スケートを楽しむことができたらしい。ドプシンスカ氷穴は全長21キロメートルに及ぶ洞窟の一部でその長さは約1.5キロメートル。またその一部を5月~9月のみ観光客に公開している。



駐車場から氷穴の入り口までは林の中を軽く20分ほどのハイキングとなる。ほどよい汗をかいてきたところで、氷点下近くに達する氷穴内に入るので、タオルや厚手の服を用意しておくと便利。

祭壇と呼ばれる美しい氷の柱

フィギュアスケートのオリンピック選手も通ったと言われる氷穴

氷のトンネルをぬける

17:30
本日の宿泊はスロバキアの世界遺産の町、バンスカーシュテアヴィニツァ。なかなかその名前を覚えることができず(バンスカー何々と言ってしまう・・・)、10回は繰り返し練習した町の名前。金、銀の採掘が盛んで18世紀にはハンガリー王国の最も重要な鉱山都市となった町だ。

ガイドさんからオススメされた地ビール、ERBを飲みに出かけた。
レストランの中に醸造所があり、ほとんど外に流通していないかなり貴重なビールだ。



そして、ここのビールと料理が今回の旅の中で一番おいしかった!
9:00 バンスカーシュティアビニッツァの町を一人散策した。
かつてヨーロッパ一の鉱山として名をはせたが現在は人口も減り静かな町。歩いてみると坂の多い町という印象を受ける。ゆっくりと石畳の道を歩く。カラフルなメインストリートを外れると廃墟っぽい住居が残っていたりと、哀愁たっぷりで、時代の流れを感じさせてくれる。



まずは旧城に登ってみた。町に現存する最も古い建物で13世紀の初めに建てられた教会が要塞化したものだ。時計塔からの眺めが素晴らしい。


旧城から徒歩で約15分の新城へ。ここはオスマン帝国との戦いに関する展示物が見事だ。
そして最上階からの眺めは、旧城をも見渡すまた違った景色だった。

朝9:00から10:00頃まで、街を歩く観光客は一人もいない。
とてもひっそりとした世界遺産だ。日本でイメージする世界遺産の騒々しさとはまったくことなる。世界遺産となる以前から変わらない人々の生活の場がある。

路地裏散策でかわいい家を発見。

11:00頃からは続々と大型バスに乗り込んだ団体客がやってくるので、1泊して世界遺産の町独り占めするのがオススメ。
スロバキアから国境を越えてハンガリーへ。
第二次世界大戦で破壊され2001年に再建された2つの国を結ぶ橋、マーリア・ヴァレーリア橋を渡ると、ドナウ川沿いに聳え立つ巨大な教会が見えてくる。

ハンガリー・カトリックの総本山エステルゴムへ到着。その歴史は古く西暦1,000年まで遡る、ハンガリー最大の大聖堂がある。ハンガリーの初代国王イシュトヴァーン1世は、ドナウ川を望むここエステルゴムの小高い丘に王宮と大聖堂を築き、ここからハンガリー王国が始まった。大聖堂の円屋根はドーム展望台になっていてぐるりと一周できる。眼下には雄大なドナウ川が流れ、手前にはハンガリー、奥にはスロバキアと2か国同時に見渡せる。最高の景色だった。




その後ブダペストのホテルへ送ってもらい世界遺産を巡る旅を終えた。
もちろん、田舎町を巡る前後にはプラハとブダペストに滞在した。
けれど、今回の旅で印象に残っているのはどれも小さな世界遺産の町ばかりだ。曇り空の日が多かったけれど、のんびり石畳の町並みを散策していると、ふと中世にタイムスリップしたような気分にさせられる。古きよきヨーロッパの哀愁漂う街並みを存分に味わう旅だった。ひと味ちがうローカルな旅を楽しみたい方是非ともおすすめしたい。
【スタッフおすすめ度】
○テルチ ★★★★★
絵本から飛び出したようなパステルカラーの家が並ぶ、小さな小さな世界遺産の町。
○バンスカーシュティアヴィニツァ ★★★★
かつては鉱山都市として栄えたが、今は哀愁漂う東欧らしい世界遺産の町。
○クトナーホラ ★★★★
ガイコツ教会を一目見れば、人生観が変わるかも。
○スピシュ城 ★★★★
まるで天空の城のような幻想的な石造りの廃墟。曇り空でもおすすめ。
○チェスキークロムロフ ★★★
最も繁栄した16世紀の美しい風景が今も残る、オレンジ屋根の世界遺産の町。
○エステルゴム ★★★
ハンガリー・カトリックの総本山、巨大な大聖堂とドーム展望台からの景色は必見。
2014年9月 山本みな
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