地中海の青、チュニジアンブルー、どこまでも続く青い空 ~鮮やかなチュニジアの風景を追いかける旅~

地中海の青、チュニジアンブルー、どこまでも続く青い空 ~鮮やかなチュニジアの風景を追いかける旅~

砂漠の上で何かが歩いた!?

2011年にチュニジアで起こったジャスミン革命(民主化運動)は、エジプトやリビアといった周辺の独裁政権を持つアラブの国々に広がりました。それからもう3年が経ちます。残念ながら今も治安が落ち着かない中東の国々が多くある一方、チュニジアはとてもスムーズに新しい国づくりが進められています。そんなチュニジアに、6日間という日程ででかけました。

飛行機でたった1時間のマルタからチュニジアへ行きました

ラマダン目前と言うこともあり、里帰りのお客さんでいっぱいのチュニス空港。イミグレーションを過ぎ、ようやく空港の外に出たら待つのは人、人、人の波。ガイドさん見つかるかなぁと心配をする間も無く、すーっと現れたのは今回の旅のガイドとしてお世話になったアリさん。チュニジアの歴史文化、経済のことまでとても詳しいだけでなく、ものすごい人波から人を見つける達人と認定させていただきます!


暑いー!

空港の中の熱気を抜け出し爽やかなチュニジアの風を受けたいところでしたが、空港の外はさらなる熱気が。気温40度にも達する暑さ。太陽が、風が、車のドアが、何もかもやけどをしそうなくらい熱い!チュニジアの夏、暑いです。いつでも、何月でも訪問が可能なチュニジア。シーズンによってクローズする観光地もありません。でももし旅行する時期が選べるなら・・・これからの秋、冬、そして春がおすすめです。100人中100人が暑いというに違いない気温の中、革ジャンを着ているチュニジアの人がいたり、高速道路の料金所の手前では売り子のおにいちゃんたちがタブレットのチラシを配ってたり、こんな強い太陽の下で・・・なんだかチュニジアの人は暑さというものに特別な耐性を持っているのかもしれない、と思うような光景にも出くわしました。

カラフルな革製のスリッパ

スースの旧市街

この日は到着してからそのまま中部のリゾート地スースへ。空港からは3時間ほどのドライブで到着しました。「サヘル(沿岸)の真珠」とも言われるスースはたくさんのホテルが建ち並ぶリゾート地で、目の前は地中海です。リゾートエリアから車で5分も走れば、メディナ(旧市街)があります。このメディナ、7世紀の頃から残るもので、世界遺産にも指定されています。30分もあれば十分回れる規模ですが、カフェでコーヒーをすする人、新鮮な野菜を売るおばちゃんたち、革製品のお店などなどチュニジアのローカルの雰囲気が伝わるエネルギッシュなメディナです。

ロイヤルセーラムホテル

スースのホテルは4つ星のロイヤルセーラムホテル。ちょうどサッカーのワールドカップの時。ホテルのレセプション前のスクリーンの前で世界中から泊まりにきたお客さんみんなが大興奮!アルジェリアが韓国と対戦する試合。チュニジアのチームは出場していないようで、チュニジアではお隣の国、アルジェリアチームが大人気。この旅行中、カフェやレストランなどいたるところでテレビにくぎ付けになってアルジェリア戦を見ているチュニジアの人々を見かけました。

だんだんと砂漠に近づきます

翌日からはいよいよチュニジアのサハラ砂漠へ向かいます。車からの景色も街からオリーブの木がどこまでも広がる畑へ、そしてカラカラに赤茶けた大地、時々ヤシの木の茂るオアシスへ変わります。スースから砂漠の中にあるオアシス、クサールギレンまで車で約6時間。チュニジアを周遊するなら途中の景色の移り変わりも必見です。

穴居住宅を守るファティマの手

穴居住宅を上からみた(側面にある穴がキッチンなどの部屋になっている)

キッチン

荒涼としているマトマタ

あたり一面が木々のほとんどないごろごろとした石だけがころがるエリア、スースから4時間ほど走ったところでランチを兼ねて、砂漠の入口であるマトマタに立ち寄りました。ここは穴居住宅で有名なところ。広々とした大地にでこぼこの穴がいくつもある不思議な風景。穴の側面には小さな個室ができていてそれぞれが台所や寝室、シャワールームなどとして使われています。穴の真ん中は吹き抜けの中庭です。雨で崩れないように漆喰が塗られて内部は真っ白です。当然のことながら上を見れば、さんさんと太陽の光。さぞかしこんな直射日光を浴びて、暑いのではないかと思いきや、洞穴となっているそれぞれの部屋はとっても涼しく快適。びっくりするくらいの温度差でした。かつてマトマタが大洪水に見舞われ、政府が新しい住宅を用意して以来その穴居住宅の数は減ったそうですが、それでも夏は涼しく、冬は保温性が高い快適な住まいを愛して多くの人が暮らしています。

シティイドリスはスターウォーズが撮影された

スターウォーズのロケ地でいただくチュニジアのスナック、ブリック

このマトマタはスターウォーズ(1作目)のロケ地としても有名。スターウォーズの撮影が行われた穴は現在、シティイドリスというレストランとホテルを兼ねて営業しており、当時の撮影風景などをみることができます。私はここでランチをいただきました。チュニジアのスナック、ブリックがおいしかった!

サハラ砂漠がはじまります

さてさて景色は一面砂だらけ。風が強く、砂が舗装された道路まで迫ってきて、道のど真ん中に小さい砂丘ができているところさえあります。人の住まいはほとんどなくなり、丈の低い草が時々生える本当の砂漠に近づいてきました。それにしても暑い、暑すぎる。温度計がないので正確な気温がわからないですが、でも間違いなく人生で体験した中で最も暑いということを確信する暑さ。息を吸い込むと胸が熱い。暑すぎて汗が全くでない。

砂漠のオアシスにあるヤディスクサールギレン

今回の目的の一つ、クサールギレンのテントホテル、ヤディスクサールギレンを視察するということ。こんな極限の環境のところにグルメディナーをいただけて、お部屋に電気はもちろんエアコンもついて、しかも熱いシャワーも浴びられるホテルがあるなんて信じられない。でもそんな天国のようなホテルがあるんです。頭の中がもう「暑い」でいっぱいになりかけたころ、やっとクサールギレンに到着しました。

プールもある

スパ

ヤディスクサールギレンはこの辺では唯一の設備がしっかり整った豪華テントホテル。約60のテントがサハラ砂漠の目の前に広がります。砂漠の朝日や満点の星空など、赤い砂漠と言われるサハラの大自然に浸ることのできるテントキャンプです。テントの周りはヤシの木に囲まれたオアシス。涼しげな雰囲気です。

バギーとドライバーのお兄ちゃん


カステーロロマーナ(砂漠の中にローマ時代の遺跡がある)

聞くところによれば気温は45度。さすがにテントの中のエアコンを動かすのは機械がかわいそうです。ホテル内にはバーやスパ、プールもあります。日差しの強いうちは冷たいチュニジアワインでのどを潤すもよし、旅の疲れをスパで癒すもよし、のんびり過ごしましょう。日が暮れてからのおすすめは砂漠へのバギー。1時間で60ディナール(+10ディナールのチップ。日本円で4,000円くらい。定価はないも同然。ドライバーのおにいちゃんと要交渉)。キャンプの中には砂漠を見晴らす展望台のようなものがあるのですが、残念ながら砂漠の風紋やデューンを見るには少し遠い印象です。そこでバギーに乗ってぜひサハラの真ん中まで。真ん中とはいってもさらっさらの砂とでこぼこの砂丘のためかあまりスピードが出せません。

赤い砂漠、クサールギレン

テラスでディナーを

テントのあるオアシスがかなり遠くに小さく見えるまでくるとそこがだいたい5キロ。クサールギレンから約5キロ離れたところまで行って戻ってくるのがだいたい1時間の目安だそうです。あたりは高低差のあるデューンが広がります。クサールギレンが「赤い砂漠」とよばれる理由がよくわかります。夕日に照らされて砂漠が真っ赤に染まります。昔行ったモロッコの砂漠も、チュニジアと同じサハラ砂漠だけれども、やっぱり色が違う。モロッコみたいにラクダも人もいない。そこにいるのはおにいちゃんとバギーと私だけ。しばし誰もいない砂漠の静けさを満喫しました。
お夕食はチュニジアの伝統料理カムーニャ、牛肉の煮込み料理です。日が暮れるとからっと涼しい風が吹き、満点の星空の下テラスでお夕食をいただくことも可能です。日中の暑さが嘘のように朝晩涼しくなるのは砂漠の特徴です。砂漠に行かれる際には羽織ものをお忘れなく!砂漠の中にあるとは思えないような設備の整ったテントでおいしい料理とチュニジアワインをいただき、空から星が降りだしそうなくらいの星空を眺めて砂漠での1日が終わりました。

砂漠の朝

翌日は砂漠の朝日を見に少し早起き。砂の上は歩くのが少し大変。日の出の時間の30分前にはテントを出ましょう。月明かりで青かった空は太陽が出た途端に真っ赤に染まります。赤い砂漠クサールギレンの一日が始まります。クサールギレンで見られる砂漠の景色は夜も朝も心をとらえて離しません。

らくだのエミル

らくだと一緒に砂漠にいく

その翌日はもう一つの砂漠の入口、ドゥーズでラクダ乗りをしました。弊社の多くのチュニジアツアーで体験できるラクダ乗り。砂漠の国チュニジアならではの楽しいアクティビティの一つです。ラクダに乗って、(通常は)1時間ほど砂漠の中を歩きます。今回私はラクダのエミルの背中にのせられ、ラクダ使いのアブドラくんとともに30分ほど遊牧民気分を満喫しました。「灼熱の太陽の下1時間なんて!僕は本気でおすすめしない」とガイドさんに言われ、泣く泣くあきらめ30分。確かに暑い!!いやいや30分で十分です・・・さらに30分も砂漠の真ん中にいたら多分私の肺は焼け焦げ、灰になってしまったはず。ふふっ。ラクダとラクダ使いはこの暑さには慣れています。いくら暑くても大丈夫なのでしょう。でもガイドさんはお客様の体が心配なんです。ここは皆様!体調を考えて無理をしないでくださいね。

チュニスへ戻る途中で立ち寄ります。世界で3番目に大きい塩湖ジェリド湖

食用の塩がとれます

チュニジア最後の夜はチュニスへ戻り、近郊のシティブサイドを訪ねます。ここはチュニス市内から30分くらいでいける地中海を見下ろす断崖にあります。鮮やかな青と白壁の色が映えるとても美しい街並みで有名です。水色や青色といった絵の具のカラーとはちょっと違う、何とも言えない青さ。ちょうど地中海の青にも似ているかもしれません。このチュニジアンブルーのドアやバルコニー、そして白い壁の家々、その鮮やかな色のコントラストはいつまでも強烈に印象に残る風景です。どこを切り取っても絵になる、いつまでも歩いていたくなるそんな街。多くの芸術家が愛した街というのも納得です。チュニスからの日帰りもできる場所ですが、ここはひとつシティブサイドに泊まるプランをおすすめしたいと思います。

青白、青白、青白・・・

ダルサイード

プールサイドでいただく朝ごはん(ダルサイード)

青と白の街並みの真ん中にある、ダールサイードはおしゃれなプチホテル。ダール「屋敷」を改装したホテルです。モザイク模様のタイルが施された中庭を囲むようにお部屋があります。お部屋は天井が高くて開放的、シックなインテリアに囲まれ、ゆったりくつろげる空間です。もちろんテレビやWIFIもしっかり完備。朝食はテラスでおいしいクロワッサンとたっぷりのフルーツを。お姫様のような一晩が過ごせるホテルです。日中は観光客があふれるシティブサイドも、夜になると本来の静けさを取り戻します。シティブサイドに泊まれば、地中海から吹く気持ちの良い風に当たりながらゆっくりとこの街並みの散策ができるはず。シティブサイドを満喫するならぜひ1泊したいホテルです。このダールサイード、お部屋はたったの24室。人気があります。ご予約はお早めに!

チュニジアは海の幸、シーフードがおいしい。それからワインも!

どこか陽気で明るいチュニジアの人たち・・・これはアラブの文化、フランスの文化など幾重にも重なったこの国の歴史によるものでしょうか。近隣の国とこんなにうまくやっている中近東の国はほかにないし、チュニジアの人はあまり宗教にも縛られないリベラルな人たち。だからこそアラブの春という難しく、厳しいできごとを経て、チュニジアはうまく民主化に移行することができたんだ、とガイドさんが言っていました。私が思っていた以上にチュニジアは明るく安定した国でした。
地中海に面した旧市街でそぞろ歩きが楽しかったスース、どこまでも続く砂丘と砂に描かれる美しい風紋、空から星が降ってきそうだったクサールギレン、チュニジアンブルーと白が映える街並みシティブサイド・・・チュニジアははっとさせられ、印象に残る風景があふれる国。これからがチュニジア旅行のシーズン。地中海、アラブ、アフリカ・・・いろいろな文化が混ざったエキゾチックなチュニジアへでお出かけください。
【スタッフおススメ度】
<スース>★★★
世界遺産の旧市街は素朴なアラブの原風景を見られます。
時間があれば地中海で海水浴を!
<クサールギレン>★★★★★
赤い砂漠、チュニジアのサハラ砂漠ははずせません。
<ドゥーズのラクダ乗り>★★★★★
かわいいラクダと一緒に遊牧民気分。
かわいいラクダの目にも注目!
<シティブサイド>★★★★★L
チュニジアで最も美しいといわれる街並み。
青と白のコントラストが美しい。陽気で明るい気分になる街です。
(2014年6月 吉木真耶)
このエリアへのツアーはこちら

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