世界のどの国にも似ていない「異国」モロッコを旅する

世界のどの国にも似ていない「異国」モロッコを旅する


アルガンの木(と実を食べるヤギ)

タジン、アルガンオイル、バブーシュ、ラクダ、ミントティー、モザイク柄のタイル、かわいい雑貨。行ってみるまでのモロッコのイメージはまるでこんな感じだった。確かに、毎日ミントティーは飲んだしかわいい雑貨もいっぱいあったしラクダもいっぱいいた。けれど、それ以上に、モロッコはそんな言葉一言では言い表せない、もっともっとエネルギッシュで、今までに感じたことのない、不思議なパワーを感じることができる場所だった。
旅の醍醐味の一つはその国の空気に触れ、人に出会い、文化を知り、新しい発見、体験をすること。モロッコでは今までに味わったことのない発見や体験がたくさん待ち構えている。
今回私はマラケシュ、ワルザザード、サハラ砂漠、フェズ、カサブランカをいう行程でモロッコをぐるっと巡ってきた。日本からモロッコまではトランジットを含め約20時間。長い長いフライトを終え、ようやくカサブランカに到着した。


〇マラケシュ〇

マラケシュのシンボル クトゥビア

まず最初に訪れたのがここ、カサブランカに次ぐモロッコ第2の都市で、フェズに次いで2番目に古い町、マラケシュ。カサブランカから列車に乗り、建物が赤茶色に変わってきたらそこはもうマラケシュだ。
ホテルは「ジャマ・エル・フナ広場」の近く。ホテルに着いたのが遅かったので、ご飯を食べに少し散策してみることにした。そこには無数の屋台が所狭しと立ち並び、野性的な羊肉の香が立ち込め、活気と喧騒に満ちていた。

歩いていると、四方八方から客引きの人に声をかけられる。長時間移動で疲れていたので、適当なお店に入ってタジンを食べた。

お店の人はみんなフレンドリー

レストランでのご飯も良いが、屋台でいろんなものを食べ歩くのも楽しい。美味しいお店選びのポイントは客引きしているところではなく、地元の人たちで賑わっているところを狙うこと!
このフナ広場、お昼間はまた違った顔を持っている。何があるの?と聞かれると、一言ではなんとも言い表すことができないが、水を5Dhほどで売るおじさん、蛇使いのおじさん、猿使いのおじさん、楽器を演奏する人、ペットボトル釣り(?)をする人、怪しげな占い師さん、ヘナをするおばさんなど、、なかには歯を抜くおじさんまで。

水を売るおじさん

日本では見ることのない光景が広場中にたくさん。歩いていると四方八方から声をかけられ、カメラを手にしているとフォト!フォト!と写真を迫られる。写真を撮った場合は必ずチップを請求される。そういえば、ここは世界三大ウザい国の一つだった。むしろ、誰にも話しかけられずに歩くことはできない。
マラケシュでは12月に毎年映画祭が開催されており、私が訪れたのはちょうど映画祭の1週間前だった。街中では映画祭の広告が大通りにずらっとならんでおり、フナ広場の巨大スクリーンで毎日映画が上映されるらしく、ちょうどそのスクリーンの準備がされていた。

リハーサルでそのスクリーン脇のスピーカーから大音量で最近流行りの音楽が流れていたが、広場から聞こえる笛や安っぽい鐘の音と、その洗練された音楽との間には、何とも言い難い妙な空気が漂っていた。
この映画祭では毎年世界で一つの国を選び、特集が組まれている。今年はなんと日本が選ばれているのだそう。溝口健二や小津安二郎、黒澤明といった往年の巨匠から大島渚や今村昌平、そして北野武や宮崎駿ら現代の監督まで、27人の作品が各1本ずつ上映される。
http://www.festivalmarrakech.info/personnalite/hommage-au-cinema-japonais/
あわせて、私がちょうど帰国した12月10日から皆さんご存知のワールドカップも開かれていた。
大イベントの前ということもあり、街中大騒ぎ。ホテルをいくつかインスペクションしたが、ホテルも12月は大忙しだと言っていた。
今もっともアツイ都市のひとつかもしれない。
〇ワルザザード〇

私が訪れた1週間前に、モロッコで記録的な大雨が降った。その影響で、通常マラケシュからワルザザードへ行く道が封鎖されてしまっていた。一時はどうなることかと思ったが、ルートを変更し、なんとか催行することになった。マラケシュからワルザザードまではアトラス山脈を超えていく。そのため、かなり激しい山道がずっと続く。山道には魘されたが、まだまだ雪が残るアトラスの山々や深い渓谷など壮大な自然を楽しむことができた。

ドゥムナット

テッサウト渓谷

途中、レストランがないのでとあるベルベル人家族のお家で手作りのクスクスを頂いた。

巨大クスクス!

レストランでは味わうことのできない本物のやさしい味。ごちそうさまでした!
ワルザザ-ドはハリウッドと姉妹都市になっていて、映画のロケ地としてよく使われている。本当に、何世紀も前に遡ったみたいで、まさに恐竜が出てきそうな景色。実際に映画に使われたセットもたくさん残っていた。

映画スタジオがそのまま残っている

いまや、映画は国を挙げての一大産業となっている。しかし、アメリカやヨーロッパが描いたモロッコの映画はたくさんあるなかで、モロッコ人によるモロッコ映画はなかなか日本では見ることができない。エネルギッシュなモロッコ人が描くモロッコはどんな感じなのか、とても気になるところだ。
〇サハラ砂漠〇

今回の旅で一番のハイライトが砂漠のど真ん中で1泊キャンプ!私もこれを一番楽しみにしていた。
砂漠の入り口エルフードからキャンプ場まで90分のキャメルライド。これまでドバイやオマーンでラクダ乗り体験(5分ほど)はあったものの、90分も乗って移動するのは初めて。日が暮れる前にエルフードを出発し、沈む夕日をめがけてラクダに乗って行く。

途中、ラクダを降りて夕日鑑賞。360 度見渡す限り砂漠の中、そこにいるのは私とラクダ引きのお兄さんとラクダのみ。赤色に染まる空と砂漠を独り占め。

この日は満月で、夕日が沈んだ後まん丸な月がうっすらと見えてくる。

月とラクダ

夕陽を堪能した後はそこからさらにキャンプ場を目指して進む。だんだんと暗くなってきた頃、ようやくキャンプ場に到着。

イングランドから来たグループと一緒だったので、混ぜてもらって一緒にご飯。

お腹がいっぱいになった後は皆で火を囲んでキャンプファイヤー。ベルベルの音楽を一緒に太鼓で演奏したり、歌を歌ったりと楽しんだ。


その後はキャンプ場から少し歩き、皆で寝転がって星空観賞。何も考えず、ひたすらぼーっと。。いつも時間に追われてせかせかとしている東京ではなかなか味わえない貴重な体験。周りは何も遮るものがなく、砂漠の暗闇と静寂に映える星空はまるで巨大プラネタリウム。この日は満月だったので、おそらく新月の日などはもっと見えるんだろうなと思った。しばらく寝転がっていると、流れ星も見ることができた。
サハラ砂漠の真ん中で満点の星空を眺める。本当に貴重で幸せな時間だった。
翌日、朝日が昇る前に起き、砂漠に登り朝日を鑑賞。
徐々に赤色に移り変わっていく空と砂漠。信じがたいほど綺麗で、神秘的としか言いようがない。


キャンプ場に戻ると、そこにはオープンエアの朝ごはんが準備されていた。砂漠の真ん中で朝ごはん。今まで食べた朝ごはんのなかで一番贅沢かもしれない。

そんな素敵な朝ごはんの後はラクダに乗ってメルズーカへ戻り、砂漠キャンプは幕を閉じた。
〇フェズ〇
最後に訪れたのは世界一の迷宮都市、フェズ。
今回私は時間が少なかったこともあり、ガイドさんに案内をしてもらったが、これが大正解だった。方向音痴の私はこの街を一人ではとても歩ける気がしなかった。メディナ内はたくさんの地元の人でごった返しており、たまにロバが人ごみ中から急に現れる。

お店には食料品からスパイス、かわいい雑貨までなんでも揃っている。


また、人一人が通れるほどの細い路地がたくさん入り組んでいる。

この奥に家がある

タンネリ(革なめし職人地区)にも立ち寄った。細路地の店内入ると、まず匂い騙しのためのミントを渡される。そして作業場の屋上まで階段を上っていくが、近づくにつれ、強烈な匂いが漂ってくる。そして下を見下ろすと、革を染色する染色桶が絵の具のパレットのようにたくさん並んでいた。


この白色は鳩のフンらしい

アフリカ大陸の西の端、ヨーロッパからほど近いところにある国モロッコ。アラビア語とフランス語の2か国語を話し、イスラムの国なのになぜか自国のワインやビールがたくさんある不思議な国。そこに足を踏み入れれば、本当に他のどの国にもない「異国」を感じることができる。そして、メディナに入れば新しい発見と驚きの連続で、この国のすべてを見ることができる気がする。
ホテルのスタッフやガイドさんは今エボラ熱の影響でお客さんが減ってきていると話していた。実際、日本でも心配されてモロッコは西アフリカだし、、と心配されていらっしゃる方も多いかと思う。しかし、実際モロッコには全く何の問題もない。
この国の魅力は足を踏み入れるまでは絶対に感じることができない。是非、モロッコに一度飛び込んでみて欲しい!

<スタッフおすすめ度>
サハラ砂漠 ★★★★★  砂漠に寝転がってみる星空は最高!
マラケシュ ★★★★   朝と夜のジャマ・エル・フナ広場、どちらもおすすめ
フェズ★★★★     この迷宮に迷い込んでみると本物のモロッコが見れるだろう
2014年12月 池田郁依
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