小さな頃から、夏になると当たり前のように夏休みがきた。春休みとも冬休みとも違う長い、長いお休み。海に、花火に、家族旅行、優しい祖母の家への帰省。そんな懐かしい夏の日々を思い出す。私にとってこのカリブの旅は大人になっての長い夏休みのような旅でした。
カリブ海クルーズと聞くと、出発前の私の中でのイメージは退職した老夫婦向けのゆったり優雅な旅。とか日本人にはずっと船に乗っているのなんか飽きそうで向かないのかな?なんて実際に乗船をしてみていかに自分が短い尺度でクルーズの旅を考えていたのかを思い知らされました。
船に乗って一番に思ったことはとにかくみんな陽気だということです。まるでディズニーランドのスタッフのような笑顔と対応のクルーズスタッフ、何度か同じスタッフに会うと名前を覚えていてくれて、YURI気分はどう?食事は美味しい?など気さくに声をかけてきて、私が何気なく海をみていると、あっ!今サメがいたかもね(ちなみにジョーク)思わず笑みがこぼれるような常にゲストを愉快な気分にさせてくれます。陽気なのはスタッフだけではありません。乗船している沢山のゲストはアメリカ人が多くを占めているようなのですが、これがもうはたからみていてもおかしなくらい陽気なのです。
例えば、ブールバーの横で始まったイケメンは誰だ!大会。選ばれた女性ゲスト3人に大人の男性10人ぐらいが男性らしさをアピール。そのアピールが筋肉マッチョポーズを決め たり、男らしい大きな声を出したりと40代は過ぎていると思われる大の大人が全力で大勢の人の前でパフォーマンスをしている姿はキュートでそれでいてその空回り具合もおかしくてたまりません。バスタオルを蛇にみたてて本気で蛇と戦いそれをみているゲストも大笑いいまどき学園祭の余興でもやらないし、と思わせるような内容を大人が全力でとりくむのが真剣すぎてありえない、と思いながらもついつい笑わされてしまいました。
それから次に感じたことは乗船しているゲストの年齢層がすごく幅広いことでした。アジア人の乗船客はかなり少なく今回日本からのゲストはほとんどみかけなかったのですが。アメリカ人をはじめとした欧米諸国の国の親戚一同と思われる小グループ参加や小さな子供連れの家族。ティーンエイジの子供を連れた家族。夫婦、若い男性グループ、女子旅、老夫婦、歩行器が必要な足を悪くしたご高齢の方も何名もいらっしゃいました。船内では沢山の無料プログラムが実施されていいて、サルサのダンスレッスンが始まるとみんな気軽に参加して船上で踊りだします。びっくりしたのは老夫婦もサルサの音楽にあわせて踊っているのでした。踊るんですよ!もう私にはカルチャーショックでした。小さな子供たちにはキッズプログラムも用意されていて早朝から夜まで年齢層にあわせて親たちの手を離れてベビーシッターさんの役割もしてくれます。(シッター費用は有料)大人は大人の時間を楽しんで、子供は子供の時間を楽しむ。はー日本では考えられません。その他船内の設備は15歳から17歳までのティーン専用のクラブ、ダンスクラブ、カフェ、シガーバー、ピアノバー、スポーツバー、カジノ、ジャズクラブ、エンターテイメントショーラウンジ、すしバー、ステーキハウス、巨大ダイニングルーム(2箇所)、エステスパ、サロン、21歳以上の大人専門のラウンジ、ミニゴルフ場、バレーボール&バスケットボールコート、ジョギングトラック、プール、プールバー、ジャグジー、ウォータースライダー。娯楽のすべてが船の上に詰め込まれています。
食事はケーキもアイスもピザもなにもかも24時間食べ放題、ルームサービスも無料。メインダイニングの夕食は毎日ステーキ・ロブスターなど見た目だけではなく味も抜群のしっかりディナー。メインダイニング以外でもカジュアルダイニングの夕食もありフォーマルの日を除いて基本はカジュアルでOK。フォーマルといっても女性は、ワンピース。男性は、スーツにタイ程度なので必ずしもカクテルドレスやタキシードなどは必要ありません。どんな年齢層の人にも楽しめるように配慮をしてあり、食事メニューにもヘルシーマークがしてあり、健康面にも気を使ってあります。そしてサービスのすべてが強制ではなくゲストが好きなように選ぶことができるのです。まあこれでもかーというエンターテイメントサービスにはいささか参加をせずにはいられない気持ちにはなりましたが、ゲストを空きさせないクルーズの底力を感じました。
これだけのサービスを備えたクルーズ船はその大きさも想像を絶します。私が今回乗船したカーニバルヴァラー号は全長290.47メートル。乗客定員2974名、乗務員数1160人とこの船だけで1つの町といえるほどの大きさです。全長の写真を撮影しようにもかなり船から離れてもあまりの大きさに船全体が写真に納まらない状態でした。こんなにものゲストが乗船していると混みすぎるのではと心配されるかもしれませんが、これがまた見事な限りストレスがたまらない様に、沢山のエレベーターの数、ビーチチェアーの数、ビッフェレストランの食事量、座席数、スタッフの人数の多さ。きちんと考えられていて計算されているのです。食事の内容も毎日変わります。長く乗船するクルーズでも同じものを食べなければいけないというのではなくいつも違うものが食べることができる幸せ。ついつい箸が(フォークですかね)すすんでいくらヘルシーフードがあっても乗船中に少々肥えることは目をつぶらないとかもしれません。
そして、クルーズ船の楽しみは船に乗るということだけではありません。カリブの島々に訪問できるというのが最大の魅力です。カリブの島は1つ1つの島はとても美しいですが、飛行機の旅ではなかなか沢山の島を一度に訪問するのは費用的にも難しくなります。カリブ海クルーズは島々の訪問をリーズナブルな価格で楽しめるという本当に夢のような船です。
今回の船では、セントトーマス、バルバドス、セントルシア、セントキッツ、セントマーチンを訪れましたがその中でも印象的だった場所はセントルシアで訪問した泥の温泉です。火山の島であるセントルシアではバナナプランテーションや火山の影響でできた起伏のある山々、深いジャングルの緑。などカリブ海だけではない、緑にあふれた島なのですが、島内に硫黄の匂いが立ち込める真っ黒な温泉があります。日本だったら地獄温泉とか名前がつきそうな真っ黒な温泉は、ぶくぶくと泡立つ黒い温泉でちょっと怖おもしろい観光地なのですが、ここでは泥温泉に入ることができます。海外の温泉は比較的温度が低いことが多いのですが、肌に感じる温度は銭湯ぐらいの熱さで長く入っていることが難しいぐらいです。温泉の足元は泥がふわふわ底に溜まっていてふわふわと雲の上をあるくような、なんともいえないあるきごごちです。肌に塗るとすべすべになるからとの事で、他のゲストの方にも手伝っていただき、いつのまにやら体じゅう真っ黒に、はじめはこわごわ少しだけと思い塗っておりましたが、塗りはじめたら面白くなってきてしまいついには泥まみれに。子供も大人も真っ黒になってハハハと笑う。おもしろくて肌も綺麗に?なる温泉体験をまさかカリブ海の島で経験できるとは、世界中旅していてもなかなかできない経験でとても印象的でした。
そしてこの旅で一番楽しみにしていた訪問地はセントマーチンです。ここには飛行機ファンには世界的に有名な空港横のビーチで頭上間近を飛ぶ飛行機が見れるマホベイビーチ
というビーチがあります。私自身は飛行機マニアではありませんが写真や映像で見たことがありここは行ってみたいなと昔から思っていた場所でしたので訪問チャンスに恵まれたことをうれしく思いました。実際にマホベイビーチに立って飛行機を見るともう、びっくりするぐらい近い距離で飛行機の腹の部分がみえて、離着陸の際にはものすごい風を感じることができます。炎天下の中次にくる飛行機はジャンボジェットかもと思うといつまでもその場を離れることができず船の出発時間ぎりぎりまでいつまでも空を見上げてしまいました。ここは何日か泊まってビーチでゆっくり飛行機を眺めるバカンスも楽しめる場所です。帰国してからも飛行機好きに会うたびについつい自慢してしまう自分がいます。
クルーズ船の旅は、下船場所で観光を楽しめることも旅の楽しみの1つですが、船に乗っているときも乗船ゲストがどんな時も楽しそうで、みんなが心の底から笑っています。そしてそんな時間を作り出すために温かいクルーズスタッフのおもてなしの心を感じます。時間を忘れて、1日の時間を楽しむことのためだけに使えるってなんて幸せなのでしょうか。私はこのクルーズ乗船中こんなに毎日、毎日楽しむ事だけの為に時間を使っていいかしらと何度も思いました。日々の生活ではいつも今日しなければならない事、明日しなければならない事、いつも時間に追われている気がします。明日なにをしなければではなく。明日はなにをしようかなと思いをはせる時間を楽しめる自分に幸せを感じます。
まるで子供に戻って夏休みを楽しむように時間を楽しむことができる旅。それがクルーズの旅なのです。本当にこんな旅があること知りませんでした。是非チャンスをみつけて「明日なにしようかな!」を体験してみてください。きっと今までに無い休暇のすごし方が経験できるはずです。
2013年3月 岡野
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