どこやねん系知られざる島国をアイランドホッピング!四者四様・奥深いカリブ海世界へ  ~グレナダ・トリニダードトバゴ・ドミニカ共和国・ハイチ4国周遊紀行~

どこやねん系知られざる島国をアイランドホッピング!四者四様・奥深いカリブ海世界へ  ~グレナダ・トリニダードトバゴ・ドミニカ共和国・ハイチ4国周遊紀行~

カリブの島々を周遊するならぜひラム酒の飲み比べを

グレナダの派手な選挙広告。なぜか南の国ほど選挙がアツい気がする!

ニューヨークでトランジット観光中、あのタイムズスクエアで巨大なTOTOのウォシュレット広告を発見

弊社のカリブ海エリアの売れ筋方面はキューバやメキシコのカンクン。ジャマイカやバハマのツアーも人気がありますが、それ以外の国へのツアーはあまりスポットが当たりません。「この島どこやねん!何があるねん!」と突っ込みたくなるような、日本人のなじみが薄いマイナーな島国ばかりですから当然といえば当然です。
そんな「どこやねん系島国」にも絶対魅力があるはず!ということで、今回グレナダ、トリニダードトバゴ、ドミニカ共和国、ハイチ4か国の視察に行ってまいりました。
日本から遠いエリアゆえどの島も同じ感じちゃうの?と思われがちですが、結論からいうと四者四様全く違った魅力を持つ非常に奥深いエリアでした。どこやねん、からほな行ってみよか、というお気持ちに変わっていただければ幸いです。

<「スパイスの島」グレナダは街歩きが楽しい>

最初の目的地はグレナダ。いきなり超マイナーな国からのスタートです。「グレナダ 観光地」などとネットで検索するとスペインのグラナダのページが出てきたりします。
スペインのグラナダにはアルハンブラ宮殿という有名世界遺産がありますが、グレナダには世界に知られた観光地はありません。けれども島の各所にある絶景ビーチは他の島と比べても美しいとの呼び声が高く、「カリブ海に来た!」という実感を強くさせてくれます。

夕暮れが美しいモーンルージュビーチ

また他の島にはないグレナダの特徴はスパイスが豊富に取れること。別名「スパイスの島」とも呼ばれ、特にナツメグは国旗にも描かれているほど重要な産品です。

ゴヤーヴにあるナツメグ工場は気軽に内部を見学させてくれる。スタッフもウェルカムな感じ

そんなグレナダでのおすすめは、首都セントジョージズの街歩き。港に面した坂道が多い街で、元イギリス領らしいコロニアルな街並みや味のある教会がカリブの明るい太陽によく映えています。

坂道のてっぺんに教会

市場内のバーでグレナダ国旗Tシャツが似合う陽気なおじさんが絡んできた

街の中心部にある風情あるトンネル

歩いているだけで楽しいセントジョージズの街歩きですが、そのハイライトが要塞。カリブの島々はヨーロッパ列強の争奪戦があったり、海賊の襲来でリアル「パイレーツオブカリビアン」な世界が繰り広げられたりということもあってどの島にも要塞がありますが、セントジョージズにあるその名もずばりなジョージ要塞は必見です。

声をかけてきたお姉さんと。グレナダ女性はエキセントリックな髪形をしている方が多く見ていて飽きません

海賊が荒れ狂っていた時代を思い起こさせるような立派な大砲と美しい海、港町、そして陽気なお姉さん。この要塞にはカリブのエッセンスが詰まっていました。カリブ周遊の旅、幸先のいいスタートです。

<「鳥」と「音楽」をテーマに旅する多民族国家トリニダードトバゴ>

続いてグレナダのお隣、南米ベネズエラにもほど近いトリニダードトバゴのトリニダード島へ。このあたりの島国は一日かければ一周できるほど小さい島ばかりですが、トリニダードトバゴの面積は千葉県よりやや大きい約5000平方キロ、人口も100万人を超えておりちょっと格が違います。カリブ海では数少ないサッカーワールドカップ出場国でもあります。これでも当時(2006年)では歴代出場国で最小の人口だったとのことですが・・・。

この国は民族構成でも周辺諸国とは全く違った特徴があります。多数派を占めるのは、なんとイギリス植民地時代に農園労働者として連れてこられたインド系!本国インドでも見られる、カレー風味の「ロティ」が完全に国民食になっています。

そのインド系と、他の国でも見られる黒人で国民のほぼ大多数を占めていますが、政治やビジネス面ではシリア人やレバノン人などアラブ系移民が目立ち、華僑も住んでいるので中華料理屋もしばしばみられます。地球の裏側からアジア人が大集結している感じです。

トリニダードトバゴを旅するためのテーマは、「鳥」と「音楽」。まずは「鳥」の話から。
国内には約430種類もの鳥が生息しており、この小国でこんなに多くの種類の鳥が見られるのは世界でも珍しいとか。もちろんバードウォッチングのメッカになっており、それぞれの鳥専門のガイドもいるほどです。

まずは聞いたことはあるけどなかなか見る機会がないハチドリ。そういえばこの国のフラッグキャリア、カリビアン航空の機体にもハチドリが描かれています。

そういえば今回の旅で利用した空港では、ほとんど滑走路から直接搭乗していた・・・

首都トリニダードトバゴから車で約1時間、山に囲まれた静かな村のカカオ農園でハチドリが鑑賞できます。この島に生息する17種類のハチドリのうち、14種類が見られるとか。

あのかわいいハチドリがこんな至近距離で見られるとは!ひっきりなしにいろいろなハチドリが猛スピードで飛んでくるので、私のような素人にわかバードウォッチャーでも全く飽きることがありません。もう一生分のハチドリを見た気がする。

ここではただハチドリを見るだけではなく、アフタヌーンティーが楽しめます。ちょっと変わった組み合わせ。

アフタヌーンティーといえばイギリス。さっきまでインド系やアジア人が云々と書いてきましたが、そうはいってもやっぱり元イギリス領。古き良きイギリスの面影も見られます。

植民地時代の華麗な館たち「壮麗なる7軒」の一つ、クイーンズ・ロイヤル・カレッジ

ハチドリのごとく話が急に行ったり来たりしていますが、また鳥の話。この国で見られる鳥の中でも人気が高い国鳥スカーレットアイビスを見るため、ジャングルクルーズも参加しました。

木に巻き付くボア

しばらく水路を進んでいくと、急に視界が開け湖に出ます。ここで夕暮れを待っていると・・・

写真左に赤い鳥の群れが見えるでしょうか?ではもう少しアップした写真を。

遠くからでもはっきりわかる鮮やかな赤。それもあらゆる方角から多くの群れが飛んできて、ボートから歓声が上がります。
スカーレットアイビスが止まった木々は花が咲き乱れているかのようでした。

カリブの小国とは思えない雄大な大自然が広がる

そして音楽について。各島で特徴のある民族音楽を聴くことができるカリブ海エリアですが、トリニダードトバゴはその中でもさらにユニーク。ダンス音楽カリプソと、インド系の音楽を取り込んだソカ(ここでまたしてもインド!)がこの国で生まれました。そのトリニダードトバゴのミュージックシーンに欠かせないのが、「20世紀最後にして最大のアコースティック楽器の発明」といわれるスチールパンなのです。

空港でいきなりスチールパンと棒人間がお出迎え。いかにこの国で誇らしく思われているのかが分かる

産油国でもあるこの国で廃棄されていたドラム缶の底を、メロディが出るよう加工したのがきっかけといわれるスチールパン。運よくホテルの近くでバンド練習をやっているとのことで、お邪魔させていただきました。

その辺のおっさんおばちゃんたちが暇つぶしにやっているだけでは?と勝手に思い込んで行きましたが、スポンサーも付いたそこそこ有名なバンドとのこと。

ドラム缶で演奏するなんて・・・と全く想像もつかなかった音色は聴いてみると意外と繊細。よく見るとスチールパンのサイズや叩く位置によってメロディが全く違い、とても奥深い楽器のようです。

彼らバンド演奏の集大成となるのが、毎年2月に開かれるこの国自慢のカーニバル。リオ、ベネチアと並び世界3大カーニバルの一つですが、他の2つと違い誰でも参加できるのが魅力とのこと。世界中からの参加者が踊りまくり、スチールパンの音色が響きまくる、、、想像しただけでもものすごい世界です。これはいつか行ってみなければ、でも行ったらハマって毎年行く羽目になりそうで怖い。。

音楽に合わせてたまらず踊りだすおばさん。この風景こそがザ・カリブ!

<コロンブスゆかりの歴史都市はラテンのノリ溢れる魅惑の街!ドミニカ共和国の首都サントドミンゴ>

ドミニカ共和国の首都サントドミンゴに到着した瞬間、前に訪問した2国とはまた全然雰囲気が違うことに気づきました。空港から市内へ向かう道や街なかでは深夜にもかかわらず音楽がジャンジャカ流したバーや食堂がオープンしており、人々もさらに増して陽気そう。
先ほどの2国は英語圏なのに対し、ここドミニカ共和国はスペイン語圏。この雰囲気の変わりようは、彼らが話すスペイン語の楽しげなリズムから来ているのかもしれません。一緒くたにされがちなカリブ海諸国ですが、島によって文化や歴史、言葉が全く違うことが身をもって分かります。

深夜の公園で声をかけてきたドミニカ美女と

なかなか日本人旅行者が少ないドミニカ共和国ですが、実は首都サントドミンゴはコロンブスが最初の航海で訪れた貴重な街。その後ラテンアメリカにおけるスペインの最大植民都市になり、ここを足掛かりとして中南米をどんどん征服していきます。

旧市街の中心コロンブス広場

郊外の「コロンブス灯台」にあるコロンブスの柩。スペインにもコロンブスの遺骨とされているものがあり論争の種になっているとか・・・

その古きスペインの面影が色濃く残る旧市街、ソナ・コロニアル地区が観光の中心で世界遺産にも登録されています。「新大陸最初の」という枕詞がつく建造物も多く、見ごたえがあります。

コロンブスの子孫が住んだアルカサルとスペイン広場

新大陸最古の教会カテドラル

厳粛な雰囲気が漂う

そんなドミニカ共和国ですが、意外と日本と共通の文化もあります。
まずはドミニカ共和国といわれて最もイメージしやすいワードであろう野球。あいにく今はシーズンオフのようでしたが、せっかくなので「ドミニカ野球の聖地」といわれる球場エスタディオ・キスケージャに行ってみます。

歴史を感じる重厚な建物がならぶ旧市街に対し、新市街はカリブ地域最大規模の大都会。立派な地下鉄まで走っています。

その新市街の下町にエスタディオ・キスケージャはありました。日本と負けず劣らずの立派な球場。国じゅうが熱狂するといわれるウィンターリーグの試合を見てみたかった!

銅像はドミニカ人選手で初のメジャーリーグ野球殿堂入りを果たしたフアン・マリシャル氏のもの

そのすぐ脇で少年チームが練習していたのでちょっと見学。コーチが声をかけてくれたので、「今メジャーリーグで一番活躍している人気のドミニカ人選手は誰?」と聞くと多すぎて答えられない、とのことでした。野球大国らしい貫禄ある回答。この間日本の球団が視察に来ていたよ、とも話してくれました。

この中に将来日本でプレーする選手がいるかも?

また意外ですが白米が美味しいということも日本と同じ。1950年代にこの国へ日本人が移住し農地開拓を行いましたが、過酷な自然環境や両国政府の対応のまずさもありとても困難な生活を送っていたそうです。けれどもこの美味しい白米はその重要な功績なのかもしれません。

ドミニカ名物ヤギの煮込みと白米

サントドミンゴには2泊しかしなかったものの、とても濃厚で充実した旅ができ、今回訪問した中で個人的に最も気に入った街になりました。歴史散策も楽しかったのですが、最も心に残ったのはやはり陽気なドミニカン達。この国でアジア人は珍しいはずですが、物おじせずどんどん話しかけてくれます。

市民の台所、モデロ市場にて

おどける八百屋のおやじさん

「アキラ・トリヤマ!」と声をかけてきたドラゴンボール好きの遺跡警備員

アルカサルで社会見学中の中学生に囲まれた!

新大陸最初の軍事建造物といわれるオサマ砦で凧を揚げていた子供

夜になると街のあちこちからラテンな音楽が流れ、ミュージシャンの演奏も。去年キューバに行ったとき「ああこの人たち音楽がないと生きていけないんだろうなあ」と感動しましたが、ここでも全く同じ思いを抱きました。

最近キューバがおすすめの旅行先として人気急上昇中ですが、同じく世界遺産都市がありラテンの雰囲気があふれ、ビーチリゾートもあるドミニカ共和国はまだまだ穴場といえます。この魅力をたくさんの人に知ってほしい、でもまだまだ穴場でいてほしい、と気に入った国だからこそ複雑な感情を持ってしまいました。(私の勝手ですが)

<カリブの中で異彩を放つアフリカンな国ハイチ>

ハイチは高校の世界史で習って以来、ずっと気になっていた国でした。当時からちょっとひねくれていた私はヨーロッパや北米よりアジアやアフリカ、ラテンアメリカの歴史の方が興味があり、その中で「ハイチが『黒いジャコバン』トゥサン・ルーベルチュールの指導のもと、ラテンアメリカ初の独立国かつ黒人初の共和国として独立した」という出来事は、「なんでハイチが?」という疑問と独立指導者の中二病チックな人名とが合わさり強く印象に残ったのでした。

そんなハイチへようやく行くことができました。とにかくカリブの中では異色の国と聞いていましたが、入国前から衝撃の出来事が。ドミニカ共和国とはカリブ海でキューバの次に大きな島、イスパニョーラ島を二分して国境を接しているのでさぞ結びつきも強いはずと想像していたのですが、空港で待っていたのはローカル国内線に使われていそうな1列+2列の小型プロペラ機。直行便があるだけマシという感じでしょうか。チェックインの際自分の体ごと重さを量られ「???」となったのですが納得です。

しかもその数少ない乗客全員に、チェックインの際「I Love Haiti カレンダー」が贈呈されました。全ページにセクシーなハイチ人美女の写真付き。これ他の国でやったら大問題では・・・。

初っ端から突っ込みどころありまくりの怒涛のスタートとなったハイチの旅ですが、まずは国内の見どころが集まるハイチ第2の都市、北部の港町カパイシャンへ。

飛行機を降りるといきなり流しのミュージシャンが現れる。いろんな意味で異色の国だ。。

フランス植民地だったハイチは、本国で起きた革命に刺激を受けた黒人奴隷が蜂起し1804年に独立してできた国。その独立当初の貴重な遺産、「サン・スーシ城」と「シタデル・ラフェリエール」がカパイシャン郊外にあります。いずれも世界遺産に登録され、この国で一番の観光地になっています。

ベルサイユ宮殿をモデルにしたといわれるサン・スーシ城

とはいっても周辺諸国と比べツーリスト産業が発達しておらず、旅行者もかなり少ないハイチ。観光客でにぎわうこともなく、この壮大な建造物を独り占めにできます。

せっかく独立の目標を達成したのにもかかわらず、ハイチは独立後すぐに分裂してしまいます。北部にできた国を統治していたアンリ・クリストフが居城としていたのがこのサン・スーシ城でした。今は略奪や地震によって廃墟になっていますが、ヨーロッパから運ばれた装飾品が用いられとても豪勢な建物だったとのこと。

これに飽き足らず、フランスの侵攻に備えてさらなる巨大建造物、シタデル・ラフェリエールを完成させました。

サン・スーシ城からシタデル・ラフェリエールは馬に乗って向かう

ラスボスの住まい感が漂うシタデル・ラフェリエール

サン・スーシ城の完成には5年かかりましたが、シタデル・ラフェリエールの完成に費やされたのはさらに長い12年。城内に残された大量の大砲や砲弾からは、クリストフが本気でフランスの侵攻を恐れていたことがうかがえます。

しかしフランスが攻めてくることは結局なく、クリストフには国民から独裁者との批判が高まり結局サン・スーシ城内で自殺してしまいます。独立当初から波乱続きだったハイチはそれ以来貧困や独裁政治といった問題が続き、記憶に新しい2010年大地震の混乱もあり西半球最貧国とよばれています。

街の市場に行ってみると、ハイチの歴史があらわれているかのような混沌っぷりでした。海外へ行くときは必ず一度はその国の市場を覗いてみることにしていますが、こんなにカオスな市場はなかなかお目にかかれません。

そもそもハイチが異色の国といわれるゆえんは、アフリカ系黒人が国民の9割以上を占めているから。カリブ地域各国の共通点として、ヨーロッパ人の到達後強制労働や疫病で先住民がほぼ絶滅し、代わって多くのアフリカ人が奴隷として連れてこられた―という経緯があるためどの国でも多かれ少なかれアフリカ系黒人が住んでいます。けれども黒人奴隷の力で独立したハイチはその割合が極端で、人々の所作や街の雰囲気ももろにアフリカン。

原色のカラフルな街並みがいかにもアフリカ

市場を歩いているときも、よく大きい声で話しかけられます。いや、怒鳴られるといった方が正しい。しかも彼らはフランス語とアフリカ系言語がごちゃ混ぜになって生まれたクレオール語を話すのでなんと言っているかまるでわかりません。全く知らない言葉で怒鳴られるって怖すぎる。

そんなハイチですが、カパイシャン郊外のラバディ村にはカリブのイメージぴったりの美しいビーチもあります。喧騒の市場の後で行くと、ハイチらしくないザ・絶景に逆に戸惑いますが・・・。

絶品ロブスターのBBQも楽しめる!

アメリカからのクルーズ船

ハイチ特有の喧騒と混沌をめいっぱい感じるには、首都ポルトープランスへ。カパイシャンの市場も圧倒されっぱなしでしたが、首都だけあってポルトープランスのカオスさはまた別格。

この街最大の市場、アイロンマーケットで目に付いたのがゾンビで有名なブードゥー教のグッズ。ブードゥー教の生まれは西アフリカですがハイチに信者が多く、彼らの組織が独立の要因にもなったといわれます。
そのブードゥー教グッズ、見るからに怪しいものばかり・・・。

これらを儀式でどう使うのか全く分かりませんが、知らない方がいいのかもしれません。

ポルトープランスの混沌をさらに際立たせているのが、カパイシャンではなかなか見られなかった超カラフルな車。派手なモン勝ちといわんばかりに、ことごとく極彩色に塗られています。

広いポルトープランス市内でも、ひとつとして同じ塗装の車がないのではと思えるほど。おそらく一日中道端にたって車を観察しても飽きることはないでしょう。

容赦なく乗客が詰め込まれる乗合タクシーは、見た目に反してタプタプという愉快な名前

喧騒やカオスさにスポットを当ててきたポルトープランスですが、滞在して最も印象に残ったのは逆境の中で生活する人々から感じるたくましさや、初の黒人共和国という歴史的偉業の誇りでした。

大地震で崩壊した大聖堂。今は新しい教会がたてられ、街全体で復興が進む

大量のゴミが放置されていることを利用し、廃材アート制作も

夜に行くのは避けたいところだが・・・

独立の父デサリーヌ像

最後に興味深い習慣をご紹介。

右の方になんの変哲もなさそうなかぼちゃスープが見えますが、これこそハイチという国を象徴している料理なのです。
このかぼちゃスープ、フランス植民地時代黒人奴隷は禁止されていたとのこと。1804年1月1日にフランスから独立したことを記念し、今でも1月1日にかぼちゃスープを食べることが国の伝統なのだそうです。カリブで異彩を放つ国、その原動力は欧米列強に支配されていたラテンアメリカや黒人世界の中で先陣を切って独立したことのプライドなのかもしれません。カリブ地域はもちろん、世界の中でも旅をしてこんなに刺激を得られる国はなかなかないのでは、と思います。

これら4か国を駆け足でまわりましたが、いまいち各国や各島の違いがぴんと来ない(というかまず国の名前すらあやふやな)カリブ海地域が、さまざまな文化や歴史に彩られた多様性あふれる地域だということが身をもって分かりました。とはいえ何十とあるカリブの島の中で訪れたのはほんのわずかで、まだ見ぬ島や街がまだまだあると思うとわくわくせずにはいられません。何百年も前にここを訪れていた航海者や海賊たちも同じ思いを抱いていたのでは、そう思うとカリブの魅力が大いに理解できた気がします。

【スタッフおススメ度】
●グレナダ ★★★★
世界遺産や目立った観光地はないが、日本人が来ないようなリゾートアイランドでのんびりしたい・・・という方にはおすすめ。首都セントジョージズは程よくローカル、程よくおしゃれな港町で街歩きも楽しめる。

●トリニダードトバゴ ★★★★
野鳥好きや民族音楽好きは最大限楽しめること間違いなし。東カリブの中では日本からのアクセスも良く、周辺諸国へのフライトの中継地点にもなっているので周遊旅行に組み込みやすいのもうれしい。毎年2月のカーニバルが有名だが、訪問したとき(3月)にはもう来年のカーニバル期間のホテルが埋まり始めていた。

●ドミニカ共和国 ★★★★★
首都で世界遺産都市のサントドミンゴは、ひとことでいえば観光客が少ないキューバ。コロンブス以来の歴史都市、街角から音楽が絶えないラテンの魅力あふれる街、カリブ随一の大都会、とさまざまな面を見せてくれ何日いても飽きることがない。

●ハイチ ★★★★★
カリブの中のアフリカ。簡単に旅できる国ではないことは確かだが、この国にしかない珍しい光景(喧騒と混沌の市場、極彩色の街並みや車etc)や興味深い文化(ブードゥー教、食文化etc)と出会うたびに刺激や感動を覚えるはず。ぜひ特異な歴史的背景を予習してから訪れたい。

【おすすめツアー】
<アフリカの雰囲気漂う異色の国ハイチと☆スペイン植民地の面影が残るドミニカ共和国☆国境を接する対照的な2国を巡るカリブ周遊の旅>

<レゲエの国ジャマイカ×スチールパンとカーニバルの国トリニダードトバゴ☆カリブ音楽好きにおすすめの2島周遊ツアー☆2都市で日本人経営ゲストハウスに泊まる 延泊アレンジも可能!>

(2018年2月 伊藤卓巳)

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