憧れのエーゲ海クルーズ☆ の実態に迫るギリシャの旅

憧れのエーゲ海クルーズ☆ の実態に迫るギリシャの旅


『そんなにあちこち海外に行って・・・ギリシャくらいは新婚旅行のために残しておかれ』
大学時代勉強そっちのけでバックパッカーと化し、旅に夢中だった私に田舎の父が言った一言。そんなギリシャへ、憧れのエーゲ海クルーズを体験すべく、1人出張に出かけた。


【ルイスオリンピア号】総トン数37,584トン、全長214.88mm、全幅28.4m、最大乗客人員1,450人、客室数724室

クルーズど素人でこの数字が示す船のサイズの想像もつかないまま、アテネ市内から約30分のピレウス港へと向かった。
乗船ターミナルAに到着後、まずは入り口で大きな荷物を預ける。中へと入り、カウンターで乗船手続。パスポートは港湾局による管理のため、クルーズ中は預けることになる。写真を撮り乗船カード(IDカード)を発行してもらい、手荷物のⅩ線検査を受けて終了。目の前に立ちはだかる、巨大なビルのようなルイスオリンピア号に乗船。

ゆるキャラがお出迎え

今回は3泊4日のクルーズの旅。本来は4泊5日のアテネ発着のクルーズだが、最終寄港地のサントリーニ島で下船し、サントリーニ島のホテルに2泊。飛行機でアテネへと戻るという日程。クルーズでは、アテネ~ミコノス島~クシャダス(トルコ領)~パトモス島~ロードス島~クレタ島~サントリーニ島と、人気の島々を効率よく周遊するなんとも欲張りなプラン。
クルーズでは、乗船手続をして部屋に荷物を解いてしまえば、あとはいつの間にか船が次の寄港地へと連れて行ってくれる。部屋は広くはないが清潔に保たれており、また、弊社のツアーでは海側キャビン指定なので、朝昼晩と美しい景色をゆっくりと眺めることができる。



船内では3食+アフタヌーンティー分までクルーズ代金に含まれているので食事の心配もなく、朝から晩までたくさんのアクティビティが用意されている。あとは寄港地観光を存分に楽しむのみ!
しかしその前に・・・
まずは、各部屋に置かれている救命胴衣をつけて全員参加の非難訓練が行われる。
その後、グループ別、国別、言語別などに分かれての乗船説明会。2013年6月現在、ルイスオリンピア号には日本人スタッフが1名乗船しているため、クルーズ初心者でわからないことだらけの人でも安心。尚、船内での注意事項などは毎日配布される船内新聞(デイリープログラム)にも記載されている。


まず乗船1日目に必ずしなければならないことは、船内口座の登録。レセプションでクレジットカードを登録するか、現金(100ユーロ程)を預け入れる。船内で利用できる通貨はユーロ。クレジットカードは、ビザ・マスター・アメリカンエキスプレスの利用が可能。尚、スタッフへのチップ代として1人1日8ユーロが自動的に必ずチャージされる。この手続きにより、その後の船内での支払いは全てチェックインの際に渡された乗船カードを提示することで済ますことができる。(カジノなど一部の支払いは除く)
次に、オプショナルツアーの申し込み。1日目の夕方4時までに、3日目までのオプショナルツアーを事前に申し込む必要がある。レセプション隣にあるショアエクスカーションデスクは長蛇の列!これは出発前に弊社でも予約ができるので、事前予約がおすすめ。事前予約された場合でも、予約確認のバウチャーをショアエクスカーションデスクへ持っていきチケットと引き替える必要があるが、乗船説明会後はとにかくカウンターが混み合うので、乗船後すぐにショアエクスカーションデスクへ向かい、チケットの受け取りとレセプションでの船内口座登録を済ませておいた方が良い。
長蛇の列にはまり、海の景色も見られないまま40分程時間を取られてしまったが、ようやくこれで心置きなく船内生活を楽しめる。
9階まである船内を一通り歩き回り、疲れ果てたところでアフタヌーンティータイム。
どこまでも広がる青空と紺碧の海、降り注ぐ太陽の下でくつろぐ人々を眺めながら、ようやくエーゲ海にやってきた実感がわいてきた。







11時にアテネを出港し、18時過ぎに最初の寄港地・ミコノス島へ到着。

船が到着するのはニューポート(トゥーロス港)。そこから約4Km離れたミコノスタウンの北に位置するオールドポートまでは往復シャトルバスを利用。(オプショナルツアー扱い/要予約)
「エーゲ海に浮かぶ白い宝石」とも言われ、青い空、青い海、真っ白な壁の家々が迷路のように広がるその風景は、エーゲ海の島のイメージそのまま。白の迷路に足を踏み入れれば、とってもお洒落な雰囲気に満ちている。





何気ない道や有名な風車、小さな教会、あちこちで見かけるネコ。そして、美しすぎる夕陽。ひとつひとつが絵になり、人気の理由が納得の島であった。ただ一つ残念だったのは、島のアイドルペリカンのペトロスに会えなかったことである・・・




2日目。目覚めるとそこはお隣の国トルコ・クシャダス港。

港の周りはきれいなショーウィンドウやおしゃれなカフェが並び、アウトレットモールのような雰囲気。少し歩けばイスタンブールのグランドバザールを模した、バザールもある。
ここではエフェソス遺跡観光のオプショナルツアーへ参加。
集合時間が朝の7時15分ということと、エフェソス遺跡へ行くのは2度目ということもあり、少々乗り気ではなかったが・・・ このクルーズでのオプショナルツアーで、唯一の日本語ガイドさんがついてくれたということもあり、とても楽しく良い勉強になった。
エフェソスは、紀元前11世紀にイオニア人により建設された古代ギリシャの大都市。かつては地中海貿易の要港として栄え,野外劇場、図書館、市場、公衆浴場や、公衆トイレなど、どれも保存状態がとても良い。残念なことに、昔の人々がこの遺跡から発掘されたもの以外の材料(コンクリートなど)を使って修復したなどの理由により、世界遺産には登録されていない。




12時半にはクルーズ船に戻り、昼食ビュッフェ、アフタヌーンティーをゆったり楽しんでいるとあっという間に16時を過ぎ、次の寄港地パトモス島へ到着。

パトモス島は小さな島のため、クルーズ船は沖止めとなり、テンダーボートに乗り換えての上陸となる。オプショナルツアーへ参加する場合はラウンジへ一度集合し、島で自分が乗るバスの番号を確認し、アナウンスに従い順番にテンダーボートへと乗り込む。


ツアーへ参加せず島へ上陸したい場合は、指定の時間内に事前にテンダーボート利用の整理券をもらいに行く必要がある。この整理券をもらい忘れると、島へ上陸することもできなくなるので要注意。
西暦95年ローマ帝国はこの島を流刑地として用いており、「ヨハネの黙示録」の著者ヨハネがローマ人に追放されこの島へと流されたと伝えられている。イエス・キリストから啓示を受けたとされる洞窟が残っており、丘の上の聖ヨハネ修道院やそれを囲む旧市街ホラとともに、世界遺産に登録されている。



パトモス島では、この聖ヨハネ修道院と聖ヨハネが暮らした洞窟を訪れるオプショナルツアーに参加した。修道院内のフレスコ画の美しさは見応えがあり、また、丘の上から見える島の風景がとても美しかった。尚、この修道院へ行く場合、露出の多い服装は避けること。オプショナルツアーに参加しない場合でも、港の町には小さな通りがあり、お土産や服、アクセサリー、近くの海で取れる名産の海綿スポンジなどショッピングが楽しめる。





3日目。目覚めるとそこはギリシャ屈指の観光地・ロードス島。

ロードス島には古代遺跡だけでなく、聖ヨハネ騎士団の影響により中世の遺跡・町並みが多く残る。一方、新市街地にはカジノやゴルフ場、ナイトクラブが溢れ、国際的にも有名なリゾート地である。この日は朝から夕方5時半までロードス島・ロドスタウンのコマーシャルハーバーに停泊。

ロードス島では、古代都市リンドスとロドスタウンの騎士団長の宮殿観光の半日オプショナルツアーに参加。この日の集合時間も朝の7時15分・・優雅できままなクルーズのイメージだったが、なんとも健康的な生活を送っている。
リンドスは、ロドスタウンから南に約55Km、バスで約1時間。村全体が考古学遺跡の指定を受けており、村の中へは車もバイクも乗り入れ禁止。利用できるのはロバのタクシーのみ。真っ白な家々と石が敷き詰められた美しいモザイクの道が迷路のように広がっており、小高い丘へと続く石階段を登っていくと頂上にアクロポリスがある。ここでもまた、丘の上からの景色が絶景!遺跡×白い町並み×青い海と、このリンドスならではの景色は一見の価値あり。





ロドスタウンに戻り、旧市街にある騎士団長の宮殿を見学。14世紀に聖ヨハネ騎士団が、城壁の一部を騎士団長の居館として改修。内部にはアンティーク家具や有名な像も飾られているそうだが、残念ながらこの日は休館日にあたる月曜日だった。


しかし、騎士達が住居としていた館が両脇に並ぶ、この宮殿から続く玉石敷きのイポトン通り(騎士団通り)を城壁の外まで歩いただけでも、中世の雰囲気を十分感じることができた。


12時半にはクルーズ船へと戻り、昼食後は一人でゆっくり旧市街を散策。賑やかの大通りや、ひっそりとした中世の雰囲気漂う路地裏を歩いてみたり、ロードス島ではゆったりとした時間を過ごせた。


4日目。目覚めるとそこはギリシャ文明発祥の地・クレタ島。

クルーズ船が停泊するイラクリオンは、クレタ島のみならずギリシャの島々の中では最大の都市である。旧市街までは港から約1.5Km。旧市街での散策も良いが、この島ではやはりクノッソス宮殿へのオプショナルツアーに参加してみたい。
ちなみに、この日の集合時間は朝の7時半。オプショナルツアーへ参加する場合は早起きが必須である。クノッソス宮殿までは30分弱で到着。

クレタ島は、ヨーロッパにおける最初の文明のひとつであるミノア文明が栄えた地。クノッソス宮殿遺跡ではミノア文明に始まるこの島の繁栄を垣間見ることができ、儀式や政治の中心であったと考えられている。見どころのひとつである色彩豊かなフレスコ画は、当時の繁栄を想わせる躍動感ある様子が印象的。ただし、遺跡に飾られているものはレプリカであり、本物はイラクリオン考古学博物館に所蔵されている。また、クノッソス宮殿は、ギリシャ神話に登場する怪物・ミノタウロス伝説でも知られている。クレタ島のミノス王が、一度入ったら二度と出ることのできない迷宮を建て、この怪物を閉じ込めていたと言い伝えられている。クレタ島でギリシャ神話の世界へ迷い込んでみては?



クレタ島を11時半に出発し、今回の下船場所、サントリーニ島までは約5時間のクルージング。最後に名残惜しくエーゲ海の景色を堪能・・・の前に、ホテルのチェックアウトと同様に、下船に向けての準備。まずは運んでもらいたい大きな荷物を早々にまとめ、船室の外へ出しておく。また、現金で船内口座を作った場合は、レセプションへ精算に。クレジットカードで船内口座を作った場合は、明細が部屋に届く・・はずだが、届かないことが多いとのこと。まさに私の部屋にも明細は届かず、レセプションへもらいに行くことに。尚、パスポートの返却も同じレセプションにて受け取れるが、パスポートはサントリーニ島到着後からの受け取りとなる。
チェックアウトの作業を終え、旅を振り返る。
古代遺跡、中世の面影を残す旧市街、美しいビーチや華やかなリゾート地と、寄港地での楽しみ方のバリエーションは本当に豊富である。移動中も、何度見ても飽きることのない美しい海を眺めるもよし、プールサイドで読書をしたり、ジムやサウナで汗を流したり、スパ、ネイルサロンなどを利用するもよし。思いのほか連日早起きの健康生活ではあったが、疑問だらけだった船上生活についても、日本人スタッフの方に都度丁寧に教えてもらうことができた。
エーゲ海クルーズは、船旅初心者からリピーターまで楽しめること間違いなし!
そしてやはりここは、新婚旅行にぴったりの国!!!!
ただし、1人で旅行しても、各地でネコがあなたを癒してくれるでしょう。

最後に降り立ったサントリーニ島。
そこはまさにロマンティックが止まらない島であった・・・




2013年6月 冨樫
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