今回はフランスの中世の面影が未だ残る小さな村をいくつかを訪ねてきました。それぞれの村は本当にかわいらしく、童話に出てきそうな雰囲気でした。
<ニース発>
ニースをはじめコート・ダジュールのイメージと言えばまず「海」ですが、ニースには山も多くまた内陸部には「鷲の巣村」と呼ばれる山や丘の上にある村が数多く残っています。
・エズ村
「鷲の巣村」の代表格がこのエズ村です。村は海抜420mの切り立った崖の上にあり遠くから見ると本当に鷲の巣のように見えます。
村に一歩入ると石造りの家々が並びと石で舗装された狭い通りが目に写ります。高低差がある道は迷路のように入り組んでいますが、そこは小さな村なので迷う心配はありません。どこを見ても絵になる雰囲気で登ったり下りたり気の向くままに歩いてみました。
高台にある城跡は現在植物園になっていて展望も楽しめます。
現在住んでいる人はおらず、家々はおみやげ物の工芸品を作る職人の仕事場やお土産屋などになっていて、散策に疲れたらお土産を選んでみだり、カフェで休憩したりとゆったり過ごすことができます。
また村には豪華古城ホテルが2軒あるので宿泊すると人が少ない朝や夕方以降まで思う存分楽しめます。どちらのホテルのレストランもミシュラン星付です。
・ サンポール・ド・ヴァンス
ニースから約1時間、こちらは内陸にある丘の頂に立つ城壁に囲まれた中世の村です。多くの芸術家がこの村を訪れました。細く続く道の両側には16世紀の家々が立ち並び、その多くは現在アートギャラリーになっています。ギャラリーには個性的な作品がたくさん飾られているので、お気に入りのアートを見つけながらの散策が楽しかったです。
村の端は展望台になっていて南仏の風景が見渡せます。村から続く墓地にはシャガールのお墓があります。この風景を愛した芸術家の気持ちが分かるような気がしました。
・アンティーブ
アンティーブはニースの西にある地中海のリゾート地で豪華ヨットが停泊する港と城壁に囲まれた中世の街並みが残っています。城壁内の旧市街ではマルシェ(市場)が開かれていて、野菜・果物や香辛料、鮮魚、オリーブ、マカロンやお花などさまざまなものが売られていて生活感にあふれています。アンティーブは昔ピカソが暮らした村でもありピカソ美術館もあります。
ニースからは海沿いの道を通ってきますが、今回は雪をかぶった南アルプスと地中海を見ることができました。
めったに見ることができないという風景を心に焼き付けました。
・ビオット
各村はそれぞれに特色がありますが、ビオット村はガラスの村です。ここのガラスの特徴は中に気泡がはいっていること。気泡が入ったものは失敗作とされていましたが、これはこれできれいだ、ということでそのまま気泡入りを作るようになったということです。麓の工房では職人さんが作品を作っている工程を見ることができます。
高台にある村は小さな鷲の巣村です。こちらはそれほど観光地がされておらず農村という雰囲気。お土産屋もありますが、地元住民の生活必需品が多く売られている印象でした。訪れたこの数日前にお祭りがあったということで名残の飾りがまた小さな村の素朴さを醸し出していました。
・グルドン
グルドン村はニースから約2時間、ひたすら山道を登って行きます。標高約800mの険しい頂にある「鷲の巣村」で秋から冬は雪で道が閉ざされてしまうほどです。日本のガイドブックには載っていないけれどニースの人々がお勧めする村でもあります。
石造りの家々は本当にかわいらしくまさに童話の世界へまぎれこんだよう。この日は少し風が強かったのですが、その風がお土産屋のサシェ(匂い袋)からラベンダーの香りを村中に運んでさらにメルヘン気分が高まります。
そして見つけたセミグッズ。フランスではセミは幸福のシンボルで忍耐強い、太陽、夏、バカンスと良いイメージで南仏にしか生息していないのだそうです。村を一周しても10分ほどの小さな村で来るまでに時間はかかりますが、それでも訪れてほしい村でした。
・ トゥレット・シュル・ルー
こちらの村の別名はスミレの村。同じく城壁に囲まれた村です。スミレの季節は11-3月で、3月にはスミレ祭りが行われるほどスミレ栽培が盛んです。村は迷路のように入り組んでいてお店が点在していますが、センスの良い品が多いのでゆっくり見て回るのもよいかもしれません。またスミレのソフトクリーム(この日は寒すぎて食べられませんでした)やスミレの砂糖漬け、ジャム、チョコ、お茶などスミレを使ったさまざまお土産も買うことができます。
・ヴァンス
ヴァンスはこれまで見てきた中では村の規模が大きい方ですが、観光と生活がうまくまじりあっていると感じました。中心地にある教会ではシャガールのモザイク画を見ることができます。
また旧市街から少し離れたとことにあるロザリオ礼拝堂はマティスがすべてをデザインしました。「陽気さのあふれた教会。人々を幸せにする空間」をコンセプトに教会内は白を基調としマティスの絵が描かれステンドグラスも黄、青、緑の3色のみのシンプルなものですが、いつまでも座っていたい、優しさにあふれた礼拝堂でした。教会内に描かれている絵はニースのマティス美術館でも見ることができます(マティス美術館は何と無料です)。
<ボルドー発>
・サンテミリオン
サンテミリオンと言えばワイン好きであればご存じの方も多い、ボルドーワインの中でも特に名高い銘柄の地ですが、世界遺産になったこの地域は歴史的な建物や、趣のある小路、周辺に広がるブドウ畑の眺めなど、見所の多い村で、ワインにあまり興味がない方でも楽しんでいただけるところだと思います。始まりは8世紀に修行僧が隠遁生活を送るために洞窟を掘ったことで、その掘った石でボルドーの町がつくられたとか。現在残っている地下の洞窟は周辺シャトーがワイン保管庫として利用しています。ブドウ畑は剪定されたばかりで成長するのはこれからですが、緑に囲まれた景色はすばらしいだろうなと想像をかきたてられました。
町のどこからでも高くそびえ立った教会の鐘楼は12~16世紀のもの。その鐘楼を目印に町を散策。石畳の坂道が多いので滑らないように気を付けて歩きます。お土産はワインはもちろんのこと、元祖マカロンやカヌレ発祥の地でもあります。カヌレはワインの製造工程で残った卵黄を利用してつくられたのがカヌレです(卵白は泡立ててワインの中にある浮遊物を取り除きます)。おいしいと評判のお菓子屋さんやカフェ、レストラン、雑貨屋などが並びます。
今回はフランスの新たな一面を知った旅になりました。
2013年4月 平田
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