最近何かとテレビや雑誌でとりあげられているという、噂の国ラオス。
そして今まで、いつでも行けるから良いかと足が向かなかったベトナム。
全く今まで興味の無かった国。しかし、今私は声を大にして言いたい。
「ラオベト最高!!ブッダ最高!!」
果たしてベトナムとラオスで私を待ち構えていたものとは!!
<ハノイ>
ハノイに着いて、すぐに旧市街の散策にでかける。
ホテルは旧市街に密集しているので、簡単に出かけられるのが良い。
と言いたいが、そうもいかないのがハノイ流。
何せ、一人では道路が渡れないのだ。
こんなに渡れない道路は生まれて初めてみた。すさまじい数のバイクが、信号のほとんどない細い道を我が物顔で走り回る。しかも、まるでヌーの川渡りのように大群でとめどなくやってくるので、日本の安全安心な交通ルールになれてしまっている私は、足を出したり引っ込めたりして周りから見たら陽気なステップを踏んでいるような状態になってしまう。(写真でお伝えできない、自分の写真センスの無さがもどかしい)
しかしそこはベトナム人のガイドさん。手を引いて安全に道路を渡してくれます。
ハノイのイメージは、とにかく人が多い!一体これだけの人数の人間が、一体何の用事があってこんなにいるのか。人にぶつかるぶつかる。いつも大阪の雑踏を誰にもぶつからずに歩いているのに、ここでは私の拙いスキルは通用しない。ぶつかり放題、さぞ迷惑だったであろう。
観光も終わり、夜7時ぐらいにホテルに戻ったのだが、せっかくの海外もう少し楽しみたいと一人で散歩に出かけてみた。
結果、道路渡れず。
同じ道を行って帰ることになってしまったが、その道中で面白い出会いがあったので紹介したいと思う。
ハノイでは、そこかしこでとうもろこしを売っている。
七輪の前に椅子を置き、とうもろこしを焼いているだけの路上販売である。
一人で彷徨っていた私は、一人のとうもろこし売りのおばさんと目があった。
ベトナム語で喋りかけてくるおばさんの顔は、とうもろこし一筋四十余年と主張している。(真相は分からない、なぜなら言葉が通じないから)ついしゃがみこんで一つ頼んでしまった。
しかし、値段が分からない。
とりあえず自分の中で妥当であろうという金額を渡してみる。おばさん渋い顔。
しかしここはせっかく値段交渉のできる国!お願いお願いと言い続けると、焼きたてのとうもろこしを渡してくれた。私はおばさんと道路に座り込み「どうぞ」「どうも」と笑顔で会話し、とうもろこしにかぶりつく。
「あ・・・・・・・味が無い!!!!」
驚きの味であった。とうもろこし=甘いものという日本人の甘ちゃんな概念をふっとばすその味。多分であるが、茹でてない生のとうもろこしを直火で焼いたらしい。
ベテランさんなのにイージーミス!!!!!
とおばさんを勘ぐっていたが、私の次にとうもろこしを買いに来た女の子は何事も無いように美味しそうに食べている。
誰かが彼らに美味しいとうもろこしの調理法を教えてあげるべきだ。
と、言葉の通じない辛さを噛みしめながら、目を白黒させて食べていると、おばさんの家族だか仲間だかがたくさん寄ってきた。
しかし、一人も英語が通じる人はいない。
私も無理に英語を話すのは諦め、日本語で話す。向こうはベトナム語。
しかし笑いの絶えないなごやかな時間。
なんだろうこの不思議な感覚。言葉は通じないがお互い母国語で一生懸命質問をし、一生懸命相手の話を聞く。
全く理解できない会話が流れていくが、楽しい。
No border, One world. とうもろこしに関しては超えられない一線を感じたが、言葉という壁は笑顔という共通語で越えられるようだ。
<ルアンプラバン>
ついにやってきたラオス1都市目は町全体が世界遺産に登録されているルアンプラバン。
夜の便で到着したのだが、飛行機の窓から見える明かりはごくわずか。世界遺産の名に恥じない慎ましやかな街らしく、空港もとてもこじんまりとしている。
着後、さっそく夕食に連れて行ってもらう。期待していたラオス料理である。
「美味しい!!!」和食を思い出すような優しい薄味な味付け。
瓜の中に春雨とミンチが詰められている料理はすぐに日本でも売り出せるような味!
カレーには隠し味でココナッツミルクが入っていると言われたが、全く隠れていない。カレー風味のココナッツスープといったものだった。ラオスの料理は、どこで食べても何を食べても美味しかった。
ルアンプラバンでは、「CHITLATADA 2 GUEST HOUSE」というゲストハウスにお世話になった。宿のすぐ目の前にはメコン川が流れており、中心部からも徒歩10分という立地の良さ。
そしてこのゲストハウスは日本人スタッフが駐在しているので、日本語でいろんな事を相談できるのが良い。日本人スタッフの沼倉さんは笑顔の素敵なお姉さんで、ベトナム語もペラペラなのでとても心強い。沼倉さんのまわりにベトナム人スタッフが集まってくる様子はとてもほほえましく、よくテレビで放送されている「こんなところに日本人」そのものであった。
またここの朝食はメコン川沿いのレストランでラオス料理をいただける。なんとも言えない贅沢な気持ちになれる。
朝市が行われているというので覗きに行ってみる。
朝市では、メコン川で捕れた魚や野菜、ルアンプラバンの台所といった感じだが、少しお土産を売っている店もでていた。
可愛い丸々としたねずみも売られていたが、やはりそこは愛玩用ではなく食用なのだそうだ。
朝市をしている路地を抜けると、すぐ目の前にルアンプラバーン国立博物館が現れる。ここは昔王宮だった建物を利用しており、王朝時代の調度品や、諸外国から贈られた品々を見ることができる。
玉座や王の寝室などがそのままにされており、昔の王宮生活をうかがうことができる。
館内は写真撮影禁止なので、目にじっくりと焼き付けておきたい。
国立博物館の入り口を入ってすぐの所には、この建物がメインでないとは!と驚いてしまうようなパバーン像安置祠が建っている。
ルアンプラバーン博物館に隣接しているワット・マイ。
ルアンパバーン様式と呼ばれる何重にも重なった屋根が美しい。壁には金色でラーマヤナの物語が絵にして描かれている。本堂の内側の壁にも金色の仏像が壁一面に張り付けられており、なんとも豪華なのに嫌味がない。
夕方にまた訪れた際には、ワット・マイの敷地で暮らしているお坊さんたちがお祈りをしている姿を見ることができた。
お坊さんにはまだ子どものような年頃の子が多いので、正座に苦しみ、もごもごと動いている様子がなんとも微笑ましい。
夕方、夕陽がきれいと有名なプーシー丘に登る。
プーシー丘には登り口が二つあるのだが、私は是非ともナムカーン川側の階段を利用することをお勧めする。もう一つのルアンプラバーン国立博物館側から登る階段は、キレイに舗装されているので登りやすいが、ナムカーン川側の階段には途中にブッダの足跡があったり、金の仏像があったり、このプーシー丘で修業をしていた仙人の洞窟があったりして非常に 面白い。
300段近くあるという階段を登りきると、タトー・チョムシーという黄金の塔が建っているが、残念ながらここは立ち入り不可。頂上で夕陽を待つ。
プーシー丘の頂上からはルアンパバーンの町が一望でき、とても素敵であり、たくさんの人たちが陽の落ちるのを待つ。かなり人口密度は高い。
なぜ人はこんなにも朝日と夕陽が好きなのだろうと人の熱気で朦朧としてきた頭で考えている内にキレイな夕陽の時間がやってきた。
ルアンプラバンの朝は早い。この町は托鉢(たくはつ)が有名なのである。
キレイな橙色の袈裟を身にまとった、まだあどけない少年僧侶から、年配僧侶までが一列になり朝の町を練り歩く姿は、朝の光に包まれてキラキラとして見える。
仏教への帰依を示すために、町の人たちは道路に一列に座り、前を通って行く僧侶たちの持つつぼに食糧(ご飯やおかずなど)を黙って入れていく。
なんとも美しい光景であった。
番外編 それいけ聖☆おねいさん
この某漫画をもじった題名を見てテンションの上がった方は、是非お話してみたい。
私はこの他にもパクセ―とヴィエンチャンを訪れたのだが、ここから先は完全に自己満足な旅行記になってしまいそうなので、番外編としておおくりしようと思う。
私、何を隠そうハマリ気質である。
一度何かにハマルと、24時間寝ても覚めてもそのことしか考えられず、口を開けばそのことしか喋らない状態に陥る。そんな勉強熱心で愛情深い私のことを皆、一言でこう呼ぶ。
「オタクやな!」
そうです、私はオタクです。
そんな私の寵愛を受けているものの一つに「宗教」がある。
日本人にはあまりなじみの無いものかも知れないが、宗教とは国や人を語るときに欠かせないものの一つである。
その中でも私が大好きな三大宗教は「キリスト教・仏教・ヒンドゥー教」(イスラム教はなぜか入らない)。
大好物の涅槃像で、胸いっぱいお腹いっぱいになれる私がパクセーとヴィエンチャンで出会った愛するべき仏像・寺院を、プチ雑学と共にお届けしたいと思う。
<パクセー>
その昔、カンボジアのかの有名なアンコールワットと一本の道で繋がっていたというワットプー遺跡。
一本道をずっと進んでいくのだが、その道の両脇にはシヴァリンガが立ち並ぶ。ヒンドゥー教の神、シヴァの男性器をかたどったものである。
ずっと進むと「天国への階段」と呼ばれる石段が現れる。やはり天国への道は険しく、なかなかの急こう配である。
登りきるとついに天国である。歴史を感じさせる本殿や仏像、ヒンドゥー教の神々が迎えてくれる。
遠くに見える、ワットプー遺跡公園の入り口にある池には、インドのガンジス河と同じ効用があるらしく、この池で沐浴をすると今まで自分が犯したありとあらゆる罪が許されるそうだ。
入口で罪を全て洗い流し、階段を登るだけで天国へ行ける。このゆるさが何とも言えないヒンドゥー教の良さである。
<ヴィエンチャン>
何もないと思っていたヴィエンチャンであるが、ブッダ好きにはたまらない場所であった。
ヴィエンチャンの一番の見どころ、タート・ルアン。
なんとこの仏塔の中にはブッダの骨が納められているそうだ。そして、ふと視線を左にやると、そこにあった寺院。なんと入口に、まるで狛犬のように左右を守る巨大なブッダが!
しかもこの像、ブッダは前に進み続けるという意味を持っているらしく、片足を一歩踏み出しなんとも躍動感がある!
嬉しくてつい記念撮影。もうただのファンである。
寺院の横には大きな菩提樹があり、なんということか、その幹をブッダ像が囲んでいるではないか!鼻息荒くテンションのあがる私に、ガイドさんがおもしろいことを教えてくれた。
<生まれた曜日できまるあなたの運勢>
ラオス人はあまり自分の誕生日を覚えていない、しかし自分が何曜日に生まれたかは知っている。ガイドさん曰く、何曜日に生まれたかによって自分の人生が変わってくるそうだ。菩提樹の幹を囲んでいたブッダ像を、曜日を追って解説しよう。
日曜日は両手を体の前で重ね、物事をじっくり考えている像。
この曜日に生まれた人は賢い人になる。
月曜日に右手を前に出して何かを止めようとしている像。
昔争いが起きそうになった時に止めに入ったブッダのように、平和で優しい人になる。
火曜日はかの有名な涅槃像。
悟りを開き、輪廻から解脱できる。
水曜日は托鉢をもっている像。
食べ物に困らない人になる。
木曜日は座禅を組み、一生懸命考えている像。
生涯勉強を続けなさいということ。
金曜日は胸の前で手を重ねている像。
幸せを逃さないように胸の上に置いているので、幸せになれる。
土曜日はブッダが悟りを開く少し前の像。
座禅を組んでいるブッダの上に雨が降ってきた時に、蛇のムチリンダくんがやってきて雨風から守っているところ。
誰かの助けを得て、何か新しいことにであえる。
みなさんはいかがであっただろうか。
この曜日によって意味があるという考え方はタイにもあり、その曜日の意味も諸説あるようだ。私は今回ガイドさんに教えてもらった通りに書いたが、もし興味があれば、調べてみてもおもしろい。
え?私?もちろん火曜日である。
タート・ルアンの逆側には建物の内側全部に、ブッダ誕生から出家、悟り、布教、涅槃までの人生が描かれているという、もうその建物に住みたくなるような寺院もあった。
ラオスベトナム旅行。食事も美味しく、人は優しく、本当に楽しかった。
しかし、正直こんなに楽しめたのは、ヒンドゥー教と仏教が好きだったからもあるのかと思う。観光地の中にもたくさん寺院や仏像のある国だからこそ、少し勉強して行くと何十倍もラオス、ベトナムという国を味わいつくせるのではないだろうか。
最後は宗教好きまるだしの旅行記になってしまったが、本当に楽しみどころのある国であった。
いつかまた、次こそは沐浴した後に天国へと登ってみたいと思う。
2012年12月 大野