迷宮都市、砂漠、ショッピング、ハマム、ベルベル村の料理教室・・・見どころ満載モロッコ周遊の旅!

迷宮都市、砂漠、ショッピング、ハマム、ベルベル村の料理教室・・・見どころ満載モロッコ周遊の旅!


大西洋・地中海に面し、4,000メートルを越える山、サハラ砂漠・・・と、多様な気候と地形に生活風土と、表情豊かな国モロッコ。その全てを体験しようと周遊の旅に出た。空の玄関口はカサブランカなので、ここからぐるっと一周するような行程である。


~カサブランカからフェズ、シャウエンへ~
エミレーツ航空でドバイから午後にはカサブランカに到着。車で一路フェズへ。10~11月のこの地方は雨期で、フェズに近づくにつれ雲が厚くなってきた。暗くなってから到着すると、どしゃ降りの雨。直前にインターネットの天気予報をチェックして、折りたたみ傘を入れてきていてよかったと安心。カラッとしていて暑い国というイメージがあるが、起伏に富んだモロッコは各地で天気が異なるので、日本を出発する前に最新の天気をチェックして出かけたほうがよいと実感した。
フェズに到着してすぐにガイドさんが自宅に招待してくれた。モロッコ人は家庭料理が一番美味しいと考えていて、あまり外食するということがないようだった。その言葉通り、家庭のあたたかみのある夕食でとても美味しくいただいた。

「うちの奥さんの料理は本当に美味しいよ~」と幸せそうな笑顔が印象的なガイドさんと、照れくさそうに私の前にやってきた息子さん(とにかくかわいい)

メインディッシュのチキンの煮込み

奥様自慢の手作りモロッコスイーツ
フェズで1泊した後、車でシャウエンへ。およそ4時間で到着。事前に聞いていた通り、青と白のコントラストの美しい街。山の麓にあり、坂道や階段が多く、入り組んではいるものの、大きなメディナではないので、迷うことを恐れずに歩き回ることを楽しめる。そこら中絵になるところばかりなので、ついつい写真を撮るのに夢中になってしまった。狭い路地の中を元気よく子供たちが走り回っていて、転ばないかな・・・と心配していると、「オラ!(スペイン語)」と声をかけてくれたり、あちこちで猫がごろーんと寝転がりながらあくびをする光景に出会ったり、とても心が和むぶらりシャウエン散歩。

壁、ドア全てがブルーの一角。蚊などの虫除けのために染めたというから驚き。

1人しか通ることができない箇所。ガイドさんが「僕についてきてね~」と先をゆく。

ドアノッカーの丸みを帯びた「ファティマの手」も見事にブルー。
シャウエンで1泊した後は再びフェズに戻り、いよいよ世界一複雑な迷路の街を探検。フェズ生まれフェズ育ちという生粋のフェズっ子であるローカルガイドさんと共に、そぼ降る雨の中メディナを歩き回った。一つ通りをメディナ内に入っただけで、迷路の町と呼ばれる所以が理解できる。縦横無尽に走る細い路地、あちこち角を曲がったりしているだけで方向を見失ってしまう。時間が限られている私としては、とにかくガイドさんについて、迷わないように見所をまわり、楽しむことに必死。気付いたらカラウィンモスクの近くでうろうろしていたり、楽しみにしていたタンネリ(なめし革職人街)にたどり着いていたり。

いきなりこんな細い路地が登場。すれ違うこともできない。

たくさんの観光客で賑わうスーク。左右あちこちから声をかけられる。
タンネリでは革製品のお店の屋上から、円い染色桶が並ぶ作業場を眺めることができる。とにかく臭いがきついので、入り口でもらうミントの葉を鼻につけながらの見学。メディナを一望することもできるので、フェズ観光でははずすことのできないスポット。

そしてモロッコ滞在で検討したいのが「リヤドへの宿泊」。今回フェズでは「La Perle de la Medina」というリヤドへ宿泊した。メディナ内にはあるが、比較的位置がわかりやすく、内装も非常におしゃれで趣きのあるリヤド。



~フェズからサハラ砂漠へ~
大自然が好きな私にとってサハラ砂漠は憧れの地。モンゴルの砂丘には訪れたことがあるが、本物の砂漠は今回が初めてであった。フェズから1日かけて砂漠キャンプの拠点エルフードへ向かう。フェズ出発時点ではどしゃ降りの雨だったが、エルフードに近づくに連れて雲が晴れて青空と太陽が出て、それに伴い気温も上がり、いよいよ砂漠へ近づいているという実感がわいてきた。

厚い雲が広がり、どしゃ降りのフェズ

一転して太陽と青空が広がるエルフードへの道中
エルフードへ到着したのはすっかり陽が暮れて辺りが暗闇につつまれた頃。エルフードで4WDに乗換え、一路メルズーカへ。既に真っ暗だったので、途中4WDをおりて車のエンジンを止め、ヘッドライトを消すと満天の星空が頭上に広がっていた。そして街の音も生き物の声も聞こえない静寂。
メルズーカに到着すると、荷物を預けるためにオーベルジュに立ち寄った。フロントでいそいそと手続きをしているとホテルのスタッフが「ジャパニーズ!ムーン!ムーン!」と声をかけてきたので外に出てみると、地平線の彼方から月が昇ってくるところだった。月の出なんて見たことがない。しかも砂漠で。感激してワーキャー騒いでいると、どや顔のホテルスタッフが満足気に立ち去っていった。
キャンプ地まではラクダに乗っておよそ90分。月の明かりに照らされて、ベルベル人のお兄さんとラクダと私同行3人(?)。終始「月の~砂漠を~♪」が頭から離れなかったことは言うまでもない。お兄さんは何かと「ラクダは楽だ~」「布団がふっ飛んだ!」などと日本語の駄洒落を繰り出し、笑わせてくれた。すっかり夜遅くなって到着したので、その日はすぐに就寝。
翌朝は日の出前の5:30に起き、キャンプ地の前にある砂丘に登る。昨夜は何も見えなかった砂丘が目の前に広がっていた。宿泊客がたまたま私1人だったので、風の音しか聞こえない。

ゆっくりと地平線の先に太陽が顔を出す。

ぼやっと日の出を眺める

ついに日の出

風紋が美しい

砂漠の日の出を堪能した後は、朝食をとり、再びラクダに乗ってメルズーカへ戻る。陽が高く昇るにつれてどんどん暑くなっていった。

ベルベル人のお兄さんとラクダと私の同行3人(?)

~サハラ砂漠からカスバ街道、ティシカ峠を越えマラケシュへ~
道中印象に残った風景をいくつかご紹介。
リッサニという街でしか食べることのできないピザのようなパン。ガイドさんも私もリッサニのパンに夢中になり、その後度々「NOタジン!YESリッサニブレッド!」と車中で盛り上がった。

モロッコバージョンのカナート(伝統的な灌漑施設)

カスバ街道の途中の町、ティネリール。トドラ渓谷への観光の拠点

トドラ渓谷。険しい崖が迫り来る渓谷。人気の景勝地。

アイト・ベン・ハドゥのカスバ。今回はアイト・ベン・ハドゥに1泊。


そしてマラケシュに到着。

~ベルベル村のお料理教室~
マラケシュではメディナ探検も楽しいけれど、より深くモロッコの人たちの生活を体験したいという方にオススメのお料理教室に今回参加してきた。大都市の喧騒で溢れるマラケシュをほんの20分ほど離れると、のんびりとした時間の流れるベルベル村がある。ロバの荷車でお料理を教えてもらうお宅へ向かう。

なんとものんびりした光景である。

いつからかすっかり居着いている猫がお出迎え。
まずはミントティーと自家製のオリーブ、バター、オリーブオイルとパンで簡単な朝食をいただく。

その後近くの畑を散策。収穫が終わっていたので、畑には何もなかったが、時期によっては野菜を収穫し、それを料理に使うことができるそうだ。

びっくりするくらい立派な鶏がいた。ボス鶏。この子の卵は絶品だそうだ。

今回のメニューはクスクス。今はクスクスを家庭で手作りすることはほぼなく、市販のクスクス粉を使うことが大半で、手作りのクスクス料理を出すのは高級料理店くらいで、大変貴重だそうだ。というのもクスクス作りには大変な労力と時間がかかる。日本でも家庭でうどんやそばを粉から作ることがないのと同じだ。

材料となる小麦粉を2種類

クスクス作り名人のおばあちゃんの手元を見ながら、ひたすら粉をこねる

ひたすらこねる

途中で水を入れながら、とにかく手の指を使って小さい粒を作るようにこねる。これを何度か続けているうちに、普段使わない腕の筋肉が悲鳴をあげてくる。しかしおばあちゃんは慣れた手付きで大量のクスクスを作り上げていく。どこの国でも家を守る女性は強い。

出来上がったクスクス

クスクス作りに夢中になっていたら、私の後ろで猫が気持ち良さそうに寝ていた

スープに使う野菜を切る。調理師免許を持つおばあちゃんの息子さん。

蒸し器でクスクスを蒸しあげる。

そしてほぐす。蒸してほぐすという流れを3回続ける。昔からの土のかまどを使って作る。


クスクスをランチでいただく予定であったが、結局出来上がって食べられるようになったのは16時頃であった。
出来上がったクスクス。家族の方や近所の方も集まってきて一緒に手作りクスクスを楽しむ。野菜たっぷりのクスクスは、たっぷりスープをかけてつゆだくでいただくと本当に美味しい。今回の旅行中に食べたモロッコ料理の中で、間違いなくナンバーワン。


出来上がるまでに何時間かかっても、皆でワイワイ食べるのはあっという間。のんびり料理を習いながら、モロッコの家庭生活を体験する1日。騒がしい大都市を離れてゆったり過ごすのも旅の形の一つである。
旅の最後はマラケシュのリヤドでハマムとゴマージュ(モロッコ風あかすり)体験。周遊して疲れた体をハマムで温め、あかすりをしてもらいすっきりさっぱり。

マラケシュでの滞在先のリヤドのパパ、ママはフランス語しか分からなかったけれど、ボディランゲージやネットの翻訳サイトを駆使して何とか意思疎通。短い滞在ではあったが、あたたかく迎えてくれて、マラケシュ滞在を楽しむことができた。
メディナ散策、砂漠でキャンプ、ショッピング、ハマム・・・などなど、旅に出たらいろんなものを見たり、食べたり、体験したりしたい欲張りな私にはぴったりのプランだった。フェズやマラケシュだけに滞在してのんびり滞在するもよし、物足りない人はエッサウィラやシャウエンまで足を延ばすもよし、砂漠でラクダに乗るもよし。モロッコはあらゆる旅人の好奇心を満足させてくれる国であることは間違いないでしょう。

2012年10月 倉田

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