キリスト教3大聖地の一つ サンチャゴ・デ・コンポステーラ“お手軽”巡礼の旅

キリスト教3大聖地の一つ サンチャゴ・デ・コンポステーラ“お手軽”巡礼の旅

カテドラル(スペイン サンチャゴ・デ・コンポーステーラ)

ファイブスタークラブには有志が集まって作った班があり、その中の一つに宗教班という班がある。別に新興宗教を作るグループではなく、例えば宗教画が好きとか、教会の建築が好きだとかでも所属可能。そんな宗教班のリーダーである私がついにキリスト教3大聖地を制覇した。ローマ、エルサレムの2箇所は既に訪問済み、最後に残された聖地サンチャゴ・デ・コンポーステーラに今回は“お手軽”巡礼の旅をしてみた。さらにスペインより南下し、ポルトガルも訪れた。


夕暮れのドンルイス1世橋とノッセニョーラドビラール修道院(ポルトガル・ポルト)

〇マドリッド
サンチャゴ・デ・コンポステーラには日本から同日で行けない為、今回はマドリッドから旅をスタートした。1日宿泊し翌日の午後には古都レオンに向けて列車に乗るが、せっかくなので時間は少ないが世界3大美術館(諸説あり)にも数えられるプラド美術館とピカソの名作“ゲルニカ”を見にソフィア王妃芸術センターを訪れた。プラド美術館は私の好きな宗教画をはじめ、非常に楽しかった。チケットは入場券のみとガイドブック付入場券の2種類あるが、付いてくるガイドブックが非常に大きく重い為、今回は入場券のみを購入。賞味1時間30分くらいしか見れなかったのでガイドブックは不要だったが、時間があればぜひガイドブック付をお勧めしたい。美術館好きであれば1日でもいられるすばらしい内容。私もぜひもっと時間がほしかった・・・。後ろ髪を引かれながらソフィア王妃芸術センターへ。正直に言ってしまうと宗教に関する美術や芸術は好きだが、近年の芸術・美術には全く興味がない。地図がなかったためゲルニカを探してひたすら館内を探し、ようやく人ごみの中にゲルニカは発見。大変申し訳ないですが近代美術はよく分かりません。取りあえず取れ高OKになったところで駅へ移動。
〇スペインの列車

マドリード-レオン間を走る列車

1等車の車内食

今回は業者用のパスを利用した為、何と全区間1等車を利用。席もゆったりでリクライニングも可能。昼食時にはランチも無料で出る。特にレオン→サンチャゴ・デ・コンポステーラ間は時間が長いので、ゆったりシートはありがたい。ちなみにスペインの列車は特急は全席指定。日本事前予約がお勧め。
〇レオン

パラドール・デ・レオンの外観

レオンはその昔聖地サンチャゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路の要所として栄え、旧レオン王国の首都でもあった街。マドリッドからは特急で約3時間で到着する。街自体はすごく小さく恐らく日本の団体ツアーでも来ないであろう。夕方レオン到着後、早速ホテルにチェックインして旧市街地へ。レオン駅前のホテルから旧市街地へは徒歩で10分ほど。まっすぐ一本道なので迷いようがない。旧市街地はカテドラルをはじめ歴史のある建築物がたくさんで、ライトアップもされているので夜景観光もお勧め。夜景写真を撮って早めに就寝。翌日改めてレオン観光へ。まず駅からすぐのベルネスガ川を渡ると何と桜並木が!しかも満開!スペインに来て桜並木を見るとは正直思わなかった。花びらの舞う中を最初の目的地のパラドールへ。パラドールとはスペイン独自のホテルで昔からある修道院などを改装してホテルにしたもの。建物自体の歴史も深く、中世の雰囲気を体験しながら宿泊できるので人気の高いホテル。レオンにパラドールがあるので少し見学。パラドールの中には宿泊客のみしか入れないため、名刺を渡して写真を撮らせてもらった。

カテドラル(レオン)

レオンのパラドールは元々巡礼者を保護する修道院でホテルとは思えない外観にまず圧倒される。ホテルの中も歴史のある回廊や絵画が置いてあり、中世の雰囲気そのもの。せっかくなのでぜひパラドールの宿泊をお勧めしたい。その後旧市街地へ移動しサン・イシドロ協会やカテドラル内部を観光。ここで感動したのがカテドラル。

カテドラルのステンドグラス

小さな街なので大したことないだろうと思っていたが、レオンのカテドラルのステンドグラスは非常にすばらしい!100枚以上のステンドグラスがあるとのことで、1枚1枚が非常に精巧な細工が施されておりじっくりと見てしまった。ヨーロッパは各地の教会を訪れているが、久々に鳥肌が立つ感動だった。
レオン、恐るべし。せひこのステンドグラスを見る為に訪れてほしい。
〇サンチャゴ・デ・コンポステーラ

カテドラル(サンチャゴ・デ・コンポーステーラ)

キリスト教3大聖地の一つで世界遺産にも指定されている中世からの巡礼地。中世の巡礼者は800kmにも及ぶ巡礼路を踏破して、このサンチャゴ・デ・コンポステーラのカテドラルを目指した。そんな聖地に“お手軽”に列車を使って私は巡礼した。さらにサンチャゴ・デ・コンポステーラではパラドールにも宿泊した。今回の旅のクライマックスである。レオンから約6時間、長い間列車に揺られようやくサンチャゴ・デ・コンポステーラに到着。目指すパラドールは旧市街地の中心にある。旧市街地は車の立ち入りができないため徒歩でパラドールを目指す。サンチャゴ・デ・コンポステーラは坂道が多く、駅から旧市街地へはすっと上り坂。徒歩15分くらいだかスーツケースを転がしながらの坂道はさすがにきつい。これぞ巡礼とへなちょこな体に活を入れてようやくパラドールへ。ようやく到着しチェックインをしながら何気なく外を見ると、パラドールの前にタクシーが到着。もしやと思いフロントにスタッフに聞いてみると何と駅からパラドールの前までタクシーで移動できるとのこと。何気にきつい坂道を登らなくてもよかったのか!!これからパラドールにお泊りの方、駅からはタクシー移動をお勧めします。体も気持ちも折れまくりつつ、部屋へ移動。

パラドール・サンチャゴ・デ・コンポステーラ

サンチャゴ・デ・コンポステーラのパラドールも昔は病院兼宿泊所だった建物を改装したパラドール。自分の部屋までの間も回廊を通ったり、修道院を通ったりとなかなか体験できない雰囲気。重い木の扉を開けて室内へ。さすが5つ星、さすがパラドールといった豪華な室内。部屋自体も歴史を感じさせ天蓋付きのベッドにきちんと設備の整ったバスルーム、さらに弱い電波ながらもWIFIも完備。元病院と聞いてすこしびびったものの、やはりぜひ宿泊していただきたい。正直出そうな雰囲気もあったが、出たところでスペイン語は分からんと開き直って就寝。翌日は早速旧市街地観光へ。パラドールの利点は何といってもその立地。パラドールは皆がひたすら巡礼で訪れるカテドラルのほんとに目の前。旧市街地の中心にあり観光も非常に便利。世界中から観光客の来る街だけにパラドールは取りにくいらしいので、ご希望はお早目に。さすがに3大聖地に数えられるだけありその中心のカテドラルは圧巻の一言。正面のファサードや内部の装飾など非常にすばらしい芸術を見ることができる。たまたま昼時に中に入るとちょうどミサの時間。大聖堂に響き渡るパイプオルガンの音には涙が出そうになるくらいの感動を覚えた。隣にある博物館もぜひ見学したい。昔のテーブルや聖書など歴史のあるものを見ることができる。

カテドラル屋根裏ツアー(サンチャゴ・デ・コンポーステーラ)

博物館へ入ると教会の回廊の2階に上がれる。回廊から上を見るとさらに上の回廊に人がいる。どこから上がれるのか探すとカテドラルの屋根裏ツアーというのがあるらしい。早速行ってみると予約制で、既に当日の英語ガイドの分は満員とのこと。あきらめきれないので再度確認するとスペイン語でよければ空きがあるとのことで早速予約。どうせ英語でもがっつり説明されると分からない為、スペイン語でも一緒だろうと参加。結果、屋根裏ツアーはぜひお勧めです。カテドラル内部の2階にも上がれ、さらに屋根の上にも出られます。高いところから眺めるサンチャゴ・デ・コンポステーラは非常に魅力的です。

夕暮れのカテドラル(サンチャゴ・デ・コンポーステーラ)

さてサンチャゴ・デ・コンポステーラは海にも近く、街中のバルには海産物もたくさん。美食の街でもあります。おいしそうなタパスに引かれ早速バルへ。まず1件目ではムール貝の茹でたタパスとビールを1杯。昼間から飲むビールは格別のうまさ。さらにムール貝もなかなか。

ムール貝のグリル

他のバルも見てみたくなり午前中からチェックしていたバルへ移動。たこのオリーブ炒めとホタテのオーブン焼を注文。白ワインを片手に2皿を完食。ムール貝もそうだったが、一皿の量もかなりある。いろいろと注文したかったがさすがにお腹一杯になってしまった。

ホタテのグリル

また3月だからなのか、やっていないレストランやバルも結構あった。午前・午後・夜と歩いたが、気になった店の数件が営業していなかった。時期なのだろうか少し残念。
〇ポルト・リスボン

夕暮れのドンルイス1世橋と
ノッセニョーラドビラール修道院

宗教班のリーダーとしてはサンチャゴ・デ・コンポステーラが終わってしまうと消化試合のような気持ちになってしまうが、ポルトガルへ入国しポルト・リスボンの2大都市を観光した。サンチャゴ・デ・コンポステーラからポルトへは朝か夕方の2便しか列車がない。しかもローカル線の為全て自由席。5時に起きて朝の便でポルトへ向かった。今回の旅はなぜか坂道に縁がある。ポルトも坂の多い街でホテルの移動や観光などでいくつもの坂を登って下った。スペインから比べると少し洗練さが落ちたかな?という感じの街並み。市場やカイス・ダ・リベイラなどを徒歩でてくてく観光する。ここでも驚いたのがサン・フランシスコ教会。しょぼい外観とは正反対で中身は非常に装飾兼備。バロック様式の細工がいたるところにされており、一気にテンションが上がった。やるなポルト!写真禁止なのだか間違えて何回かシャッターを切ってしまった。この教会を見るだけでもポルトに来る価値があると思う。またカイス・ダ・リベイラの夕方から夜の風景もお勧め。なぜかブダペストを思い出してしまった。川の名前のドロウ川とドナウ川・・・どうでもいいか。またカイス・ダ・リベイラにはレストランも密集している。海の幸も多く、食べたアローシュ・デ・マリシュコという海鮮リゾットも非常においしかった。

アローシュ・デ・マリシュコ

ポルト観光の翌日ついに旅の最終目的地リスボンへ移動。リスボンでの私の最大の目的はファド鑑賞。ギター好き、暗い曲好きの私にとってファドはひそかに楽しみだったポイント。リスボン到着後、早速ファドレストランに予約をした。

ファド(リスボン)

ファドレストランもいくつもあり、ファドだけ見れるところや食事をしながらファドを鑑賞できるレストランなど様々。今回は事前にインターネットで検索してよさそうだと思ったクルベ・デ・ファドを予約。地球の歩き方にも書いてあるファドレストランなので、日本人の団体もいるかと思ったが結果日本人は私だけであった。食事も非常においしく、ファドも十分堪能できた。

タコのサラダ

ガイドブックによると深夜が一番盛り上がるとのことだか、日曜日の夜で早めに客が引けてしまったので12時前にはクローズしてしまった。それでも閉店間際まで居座り独特のファドの雰囲気を楽しめた。ポルトガルに来たならぜひ1度聞いていただきたい。
翌日は午前は気の向くまま観光し、午後からシントラ・ロカ岬の観光ツアーに参加した。シントラは世界遺産にも指定されている小さな街で中心にある王宮の周りにかわいい店が立ち並ぶ観光地。王宮の観光のあと街を少しだけ散策したが、お土産やさんやレストランなどゆっくり見てみたい街だった。その後はユーラシア大陸最西端のロカ岬へ。ユーラシア大陸の最西端まで来たと思うと、何となく感動。あまり時間もないので急いで写真をとり、インフォメーションで最西端到達証明書を発行してもらった。有料だか証明書をもらうとうれしい気分になった。

ロカ岬にて

9日間でかなり移動はしたが、今回の旅は非常に充実したものだった。マドリッドやバルセロナなど大都市も魅力はあるが、スペインの小さな街は魅力たっぷりだった。サンチャゴ・デ・コンポステーラなどカテドラルに当たる夕日は宗教好きでなくでも、絶対感動できる。列車の移動も思っていたより快適で次の機会があれば小さな街のみを巡ってみたいと思う。
2012年3月 菅原

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