あらためて地球って何と恐ろしい場所なのかと思ってしまうエアーズロック&マウントオルガ岩群とキングスキャニオン<オーストラリア>

あらためて地球って何と恐ろしい場所なのかと思ってしまうエアーズロック&マウントオルガ岩群とキングスキャニオン<オーストラリア>

この恐怖の断崖絶壁が写真ではよく伝わからないのが残念です!
(キングスキャニオン)

エアーズロックを観光中、バスの車内でガイドさんからこの地球上で世界遺産に登録されている数はいくつかと質問されました。答えは三択です。
1.約300
2.約600
3.約900
ツアー参加客の答えは2番に集中しました。


手のひらに乗ったエアーズロック

車窓からのエアーズロック

オーストラリアの数ある世界遺産の中で最も有名で人気のあるのがエアーズロックです。かつて、日本からオーストラリアへの渡航者数がハワイを超え、人気ナンバー1の座を確保したこともあるほどです。確かに、人気絶頂のピークは越えたものの、今も尚、その人気は根強く残っています。
エアーズロック=空気の岩。あの岩の中は空洞になっているのだろう。子供の頃は全く何の根拠もなくそう思っていました。
今回、初めてエアーズロックを訪れ、ガイドさんの説明を聞く中、エアーズロックについて、また、その周辺のエリアに関するいろんなことを学ぶことができました。

シャンパン、ビール、ワイン・・・飲み過ぎ注意
(エアーズロック・サンセットツアーで)

エアーズロックの名称は1873年、イギリスの探検家ウィリアム・ゴスがヨーロッパ人として初めて確認した際、当時のサウス・オーストラリア植民地総督ヘンリー・エアーズにちなんで名付けられました。
エアーズロック及びその周辺が現在のような形になるまでの説明を聞いても想像のつかない凄まじいことが起きていたことを知りました。また、その痕跡を目の当たりにし、地球の力の恐ろしさもまたあらためて知ることになりました。

シャンパングラスの中の逆さエアーズロック
(エアーズロック・サンセットツアーで)

今から六億年前、現在、エアーズロック(ウルル)がある周辺地域は、現在のヒマラヤ山脈に匹敵するような8000m級の山脈があったと考えられています。幾度の地震や大雨などで、山からふもとへ大量の土砂が運び出され、扇状地を形成し、約一億年経過する間に、8000m級の山脈は侵食を受けすべて消滅しました。侵食によって流された、以前は山脈を形成していた土砂は扇状地の上に何層にもなって覆いかぶさり、その重みで扇状地の土砂を砂岩へと変化させました。

エアーズロック・サンライズツアーで日の出を待つ人々

そして、さらに一億年たった約四億年前には大規模な地殻変動が起こり、元は扇状地の砂であった砂岩の地層は大きく折れ曲がり、地上に出た部分と地中に埋まった部分に分かれました。その後、この地域全体が雨や風などの侵食を受け、砂岩の地層は周りの土砂よりも硬かったため侵食の度合いが少なく、その砂岩の地層のみが残る形となりました。その結果、エアーズロック周辺は7000万年前には、ほぼ現在の姿となったそうです。その地上に出た部分と地中に埋まった部分に分かれたそれぞれの両端が、エアーズロック(ウルル)とマウントオルガ岩群(カタジュタ)なのです。そして、さらに驚いたことに、現在、地上に出ている部分は、その折れ曲がった砂岩の地層全体のたったの5%なのです。その姿を実際に見たものの、信じがたいお話です。あの巨大なエアーズロックとマウントオルガ岩群が・・・。

エアーズロックとマウントオルガ岩群が地中でつながっている
(エアーズロック・サンライズツアーで)

今回の訪問で初めて知ったことが他にもありました。エアーズロック(ウルル)とマウントオルガ岩群(カタジュタ)の写真や映像を商用で利用する場合や一般に広く公開する場合は撮影に関する細かい規定があることです。テレビ番組はもちろん、旅行会社が制作するパンフレットやインターネットで公開する旅行情報も含まれます。事前の申請をした上で許可を受け、エアーズロックに到着した際に、原則的に説明会に参加することが義務付けられているのです。その細則に関する10ページ以上に及ぶ資料が事前に送られてくるのですが、その規則から逸脱した場合は罰金も課される場合があると書いてありました。

2つ以上の岩を入れて撮影しなければならない
(マウントオルガ岩群)

その規則は非常に細かくその資料を熟読しないと把握できないほどです。では、その例をひとつ紹介しましょう。マウントオルガ岩群(カタジュタ)では、いくつかある岩群を決して単体では撮影しないこと。つまり、2つ以上の岩を入れて撮影しなければならないという規則があります。また、エアーズロックをある角度から撮影してはいけないというものもあり、その方向や撮影禁止場所の範囲がその資料に記されています。
旅行者が個人の思い出として撮影する場合や個人のブログでその写真をインターネットで公開する場合は事前の撮影許可は不要です。撮り方も自由です。ツアーの場合はガイドさんが撮影してはいけない場所をしっかりと教えてくれますし、その場所に撮影禁止の掲示があります。

これらひとつひとつの岩に
アボリジニ人によって名前が付けられている(マウントオルガ岩群)

これらはすべて先住民族のアボリジニ人の意向によるもので、彼らの特別な神聖な場所を撮影してはいけないということがこれら細かい規則の根底に流れています。
驚いたことが他にもまだあります。エアーズロック=ウルル。マウントオルガ岩群=カタジュタとヨーロッパ世界で付けられた名前と、アボリジニ人が名付けた本来の名前の2つの名前を持っているものも多いのですが、アボリジニ人が本来の名前を公開していないものも数多くあるそうです。それらは、アボリジニ人にとって神聖なもので、アボリジニ人以外には知らせないというのがその理由です。彼らの誇り高い民族性がうかがえます。それを知るよい例がアボリジニ人によるエアーズロック登山禁止運動です。この問題に関しては非常に複雑なのでこの場で触れることはしませんが、現在のエアーズロック登山観光の条件を記しておきます。それらの条件がひとつでも欠けた場合は登山口は閉鎖されます。実際、ある月1ヶ月間毎日閉鎖されたり、たったの1日しか開放されないということも起きています。

各国語で記された“エアーズロックに登らないで”と訴える案内板

エアーズロック(ウルル)への登山口は次の条件によって閉鎖されます。
1.気温:その日の最高気温が36度以上になると予想される場合、朝の8時に閉鎖。
2.風:2500フィート(25ノット)以上の風が吹くと予報された場合。
3.強い低気圧:ウルル50キロ以内の北西又は南西に強い低気圧が観測された場合。
4.雨:今後3時間以内に20%以上の確率で降雨が予報された場合。
5.雷:今後3時間以内に5%以上の確率で雷雲の発生が予報された場合。
6.曇天:ウルルの山頂より低く雲が出ている場合。
7.明るさ:日の出の1時間半以上前、及び日の入り後1時間半後。
8.救援活動:ウルルにて救援活動が行われている場合。
9.文化的な理由:アボリジニの人の宗教・文化的な行事が行われる場合。
エアーズロック登山はかなりの幸運がないとできないということが言えそうです。

そんな場所に立っても恐くないのか!?
(キングスキャニオン)

次にキングスキャニオンのお話です。
キングスキャニオンはハイキング気分でその景色を楽しむ観光スポットです。しかし、高所恐怖症気味の私にはいくつかの難所がありました。そこだけはハイキング気分から探検隊に参加した気分です。でも、そこからの景色はとてもワイルド!!これぞキングスキャニオンと言えるもので、終わってみると満足度100%以上!個人的な意見ですが、エアーズロック(ウルル)やマウントオルガ岩群(カタジュタ)の観光に勝るものでした。時間的な余裕がない場合、エアーズロック(ウルル)国立公園からなかなか足を伸ばすのが困難ではありますが、是非とも訪れていただきたい観光スポットです!ウォーキングコースは、クリーク・ウォークとキャニオン・リム・ウォークの2つのコースがあり、クリーク・ウォークは平坦なコースで率直に言ってあまり見どころはありません。やはり、キャニオン・リム・ウォークを歩きましょう。度々休憩を入れながらゆっくり歩いても4時間ほどです。日中は暑いので帽子と飲み水は決して忘れないようにしてください。

精一杯断崖に近寄って決死の撮影

この木何の木気になる木

キングスキャニオンの見どころのひとつ“ロストワールド”
(峡谷を挟んで撮影)

キングスキャニオンは、アリススプリングスの近郊、ワタルカ国立公園(一部資料にワルタカという表記も見られますが正しくはワタルカ)にあるオーストラリアで最も壮大な光景を持つといわれる峡谷です。切り立った崖の高さは最高270mにものぼり、一部に岩が裂けたようなポイントもあり足がすくむ場面もしばしばです。鉄分の多い岩肌は長い年月の間、風雨に晒され、赤く錆びた部分、水の通り道が黒紫色に変色した部分など、実に様々な色を見せてくれます。元々、このエリアは、なんと海の底だったらしく、その痕跡も間近に見ることができます。

“数百万年前ここは海の底だった!”の証拠
(キングスキャニオン)

つまり、数百万年間かけて、何回もの地殻変動を繰り返す中で地面が隆起し、現在の神秘的でさえある見事な岩の累層を造り出したわけです。
また、この地域では、2万年以上に渡りアボリジニのあるひとつの部族が生活していたそうで、ここもまたアボリジニ人の聖地のひとつとなっています。「ワタルカ」という名前は、彼らの言葉で、数百種に及ぶ国立公園に生息する植物の一つ、アンブレラ・ブッシュの名前に因んで名付けられました。

キングスキャニオンにある、この写真の場所は、「世界の中心で愛を叫ぶ」のたぶんテレビドラマ版で、死んでしまった恋人の骨を撒くシーンで使われた場所だそうです。写真ではよくわからないと思いますが、よくもこんなところに移動できたものだと思いました。行けても戻れない・・・。私は、テレビ版も映画版もまだ観ていないので近いうちにチェックしようと思います。

上の写真の場所を反対側の崖から撮影しました
右側に一人で立っている人がいる場所です!

このあたりに行くには
こんな岩の亀裂を跨いでいかなければなりません

さて、話を元に戻します。
2011年7月現在の世界遺産に登録されている数は・・・。
世界遺産総数……936件
あらためてこの数を知ったときの感想は、「全部行くにはたいへんだ。すべてを行きつくすには何年かかるのだろうか!?」でした。
その内訳を調べてみると・・・
文化遺産……725件
自然遺産……183件
複合遺産……28件
実は、そのガイドさんが言いたかったのは、総数のことではなく、936件もある世界遺産の内に、複合遺産は、たったの28件しかないのだということでした。何を隠そう、エアーズロック(世界遺産の登録は“ウルル・カタジュタ国立公園”として)は、その中のひとつなのです。まず、自然遺産として登録された後、数年後に文化的遺産としての価値も認められ複合遺産として拡大登録されました。

エアーズロック(ウルル)・サンライズツアーで

マウントオルガ岩群(カタジュタ)全景

因みに、オーストラリアには、他に3つの複合遺産があります。
★カカドゥ国立公園(1981年) - オーストラリア北部ダーウィン近郊
★ウィランドラ湖群地域(1981年)- オーストラリア南東部にあるウィランドラ湖の周辺にはオーストラリア大陸が他の大陸から分離する以前の痕跡が残っている。
★タスマニア原生地域(1982年) - 神秘的な景観が魅力のクレイドル山脈が有名
つまり、世界にたった28件しかない貴重な複合遺産の内の4つがオーストラリアにあるのです。あらためてこの事実を知り、やはり、世界5大陸の中のひとつに数えられるオーストラリアだけあって、話題にはこと欠かない国なのだと再認識しました。因みに、キングスキャニオンは世界遺産ではありあせん。
これから私自身、オーストラリアにもっと目を向けていきたいと思うようになりました。
2011年8月 森

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