ずっと行きたかったスペイン ~欲張り駆け足の旅~

ずっと行きたかったスペイン ~欲張り駆け足の旅~


スペインに行くならアンダルシアだけでいいやと思っていたが、ついに行けるとなると、あそこもここもと欲張って、駆け足でめぐる旅となった。
その中でも、私の中で新発見だったセゴビアと、ずっと心待ちにしていたグラナダについて、書いてみたい。



【セゴビア】
実は、当初セゴビアに行くつもりはなかったのだが、マドリッドから日帰りで行ける距離ということで急遽候補として浮上してきた。ガイドブックを開いてみると、ローマ時代の水道橋や、白雪姫のお城のモデルとなったアルカサルがあるということで、行ってみることにした。

マドリッドチャマルティン駅からAVE LANZADAに乗り30分でセゴビアAVE駅に到着。普通中距離列車の止まるセゴビア駅とは別なのだが、ちょうどイースター休暇中の観光客の大群はみなAVEでマドリッドから来ていた。
駅のまわりはな~んにもなく、バスだけが待っていた。AVE駅からバスに揺られること10分ほどで旧市街の入り口アソゲホ広場前に着く。
スペインの都会を除いては、バスの車内で「次は○○~、お降りの方はお近くのボタンでお知らせください~」という日本式の丁寧な案内はなく、停留所の名前も分からない観光客はいったいどうやって降りればいいのよ、と、きめ細かい配慮の行き届いた国で育った日本人なら思ってしまう。バスの中で地図とにらめっこしながら、だいだいの雰囲気で降りるのだが、ここセゴビアではそんな必要もなく、

バスの車窓にドドーンと現れる水道橋のおかげで、スペインで初めて自信をもってバスを降りることができた。
約100年前まで実際に水を供給していたというこの水道橋に迎えられ、その巨大なスケールにしばし見とれてから、セゴビアの旧市街へ入る。



石畳の細い道を歩き、カテドラル前を通って15分ほどてくてく行くと、旧市街のつきあたりにアルカサルがある。ガイドブックなどに載っているその全景写真は、“いかにも白雪姫のお城っ!”なのだが、旧市街自体が丘状になっていて、 その“いかにも”な姿は、旧市街からおりてその城壁の下から見上げなければ見られない・・そのことに気付いたが時すでに遅し、帰りの列車の時刻が迫っていた。。後ろ髪をひかれながらUターン、駅へ行くべくバス乗り場へ急いだ。
帰りのバスはAVE駅へ戻る観光客で大混雑で、一度に3台も出た。その到着後、小さなセゴビアAVE駅は観光客で埋め尽くされた。AVEに乗る際は、駅で荷物検査がありX線に通すのだが、機械はもちろん1台しかない。長蛇の列の荷物を通し終わって列車が発車したのは、予定時刻を10分過ぎた後だった。
半日で急いでまわったセゴビアだったが、その中世の面影の残る街並みがとても印象的な町だった。
【グラナダ】
グラナダと言えば、言わずと知れたアルハンブラ宮殿のある町。イスラムの香りを残すこの世界遺産の宮殿を訪れるのをずっとこれまで心待ちにしていた。その時がやっと来た・・おのずとテンションが上が・・・っていたのだが、アルハンブラにたどり着くまでにひと苦労あった。

グラナダには、朝コルドバからバスで着いた。自動車道だというのにグネグネ少々デコボコな道を走り、若干疲れて・・それは良いとして。グラナダには泊まらずその夜の寝台列車に乗る予定だったため、大きな荷物を先に駅に預けるべく、バスターミナルから列車の駅へ向かう。駅を通ると教えられた路線番号の市バスに乗り込むも、降りる場所が分からない、紆余曲折を経てようやく降りても駅の建物はすぐ見えず、道行く人に聞きながらなんとか通りの奥まったところにひっそりとある鉄道の駅を見つけ、やっとこの大荷物とおさらばできると思いきや、駅にコインロッカーがない・・すがる先は朝着いたバスターミナルしかなく、再び舞い戻ってターミナル内のコインロッカーにようやく預けた。そして振り出しに戻ったのだった。。

改めて、グラナダの鉄道駅にはコインロッカーがありません、皆様お気をつけください!


憧れの宮殿を前に早くもクタクタになり、体力回復のためヌエバ広場近くで遅めの(とはいえ、食事時間の遅いスペインではちょうどお昼時。)お昼をとる。


ワインと、奮発したハモン・イベリコ、名物のトルティーリャ・サクロモンテ(オムレツ)・・どれも美味しかった・・!ハイオクガソリン補給で生き返り、ようやくアルハンブラを目指す。
ヌエバ広場から少し戻ったイサベル広場から出ていたアルハンブラバスに乗り、宮殿へと坂を上っていく。アルハンブラのチケットブースに着いたのは夕方4時ごろ。もちろん当日券は売り切れていた、が!入場券は日本でインターネットから予約しておいた。アルハンブラのナスル朝宮殿は30分ごとに入場人数を制限しており、当日券も朝8時からブースで売り出しているが、時間が限られている旅行の場合、事前予約が欠かせない。私が日本でそのインターネット予約をした時には、すでに昼間の時間は軒並み売り切れていて、取れたのが17時半からのチケットだったので、日本の感覚でもうその時間には空が薄暗いのだろうと少し残念に思っていたが、春のスペインは日が長く、私が訪れた4月頭で夜20時半くらいまで日が出ており、17時半とはいえまだまだ昼間の太陽で十分に楽しめた。

アラビア装飾文字の描かれた壁のタイル、

透かし彫りの施された柱を使った数多くの部屋、

噴水のある緑豊かな広い庭園、建築物の外観は派手に飾らないが全てにイスラム朝の栄華が映し出されている。汗ばむほどの気温、

ドーム型天井の装飾やアーチ、

庭に植わっている椰子やオレンジ、
全てがイスラムの風情たっぷりで、自分が今ヨーロッパにいることを忘れかけた。

アンダルシア地方の町は、イスラムの香りもさることながら、その中世の面影を残す街並みがとても素敵だった。
食べ物はどこもおいしく、バルに行けばいつでもタパスをつまめるし、お腹も満足できた旅となった。
どの街でも警官が歩いていたし、皆に脅かされたほど治安は悪そうには見えなかった。もちろん、マドリッドやバルセロナの地下鉄の駅や込み合う大通りを歩く際には、カバンやカメラは自分の前につけ、目を離さないように気を引き締めていれば、楽しいスペイン滞在を満喫できる。
またいつか次は、今回行けなかったスペイン北部へも行ってみたい。
2010年4月 中島

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